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日銀の年内緩和は確実? それでも2016年は5年ぶり「円高」か(2月調査)

記事公開日 2016/2/15 12:58 最終更新日 2016/2/15 12:58 調査・サーベイ 国内 QUICK月次調査<外為> QUICK月次調査

外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の2月調査を、2月15日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者77人が回答、調査期間は2月8~10日)。この間の為替レートは、対ドルが114円88銭~117円32銭。対ユーロが128円92銭~130円66銭でした。

2月に入り、マーケットは大きく荒れています。円相場は一時、110円台まで円高・ドル安が進み、日経平均株価は1万5000円を割りこみました。そして日銀の金融緩和は、QQE(量的・質的金融緩和)に留まらず、ついにマイナス金利を導入するまでに至りました。これを受けて、各年限で利回り低下が進み、10年債利回りもマイナス金利に突入しました。長期金利がマイナスになるという、それこそ有史以来といっても良い珍現象が起ったことで、市場参加者は今後、何がどうなるのか、今ひとつ把握できず、マーケットは混乱を来しています。

マーケットが荒れれば、市場参加者が次に思い浮かべるのは政府・日銀の政策支援です。日本の財政赤字が累積するなか、財政出動は容易に行えないとなれば、政策支援で注目されるのは日銀によるもう一段の金融緩和でしょう。マイナス金利の導入に加え、もう一段のQQEを実施することで、マーケットに底打ち感を出したいというのが、政策当局の当面のシナリオといえるかもしれません。

日銀の追加緩和予想8割超 時期、年前半予想8割に迫る

今回のアンケートでは、1月29日に日銀が決めた「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を受けて、再び追加緩和に動く可能性があるのかどうかという点について聞きました。日銀が年内に再び追加緩和に動く可能性については、87%が「追加緩和に動く」と回答。日銀は1月に緩和に動いたばかりですが、早くも市場関係者の間で追加緩和に対する期待感が高まっています。

日銀追加緩和

また追加緩和の時期としては、「4月」が30%で最多。次いで6月が24%、3月が21%と続き、年前半に追加緩和に動くとの回答は8割に迫っています。

日銀追加緩和の時期

マイナス金利は一段と拡大?

次に、追加緩和に動く場合の手法についてですが、「マイナス金利の拡大」との回答が7割強。次いで「質的緩和の拡大」が約5割で続き、「量的緩和の拡大」が約4割となりました。

日銀追加緩和の手法

今回の日銀によるマイナス金利導入は、これまで実施してきた資金供給量を大量に積み増す量的緩和策が限界に達しつつあることを認める措置との受け止めも市場にはあるようです。そのため、今後、日銀が追加緩和に動く場合はさらなるマイナス金利の拡大を予想する声が増えたといえます。また、追加緩和による「円安・株高」シナリオに揺らぎが生じていることもあり、市場では上場投資信託(ETF)などの資産を購入する「質的緩和」の一段の拡大を期待する声も高まっているようです。

3月の米利上げ予想、わずか15%に 年内利上げ「1回」予想が最多

日銀の金融政策とともに、市場関係者が注目するのは、やはり米国の金融政策が今後どうなるかという点でしょう。昨年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で米連邦準備理事会(FRB)が9年半ぶりとなる利上げを決めた時、FRBは2016年中に4回程度の利上げを想定していました。しかし、年初からのマーケットの大混乱を受けてFRBの利上げに対する考え方は、やや慎重になりつつあります。

今回のアンケートでも、3月開催のFOMCでの利上げ実施の可能性を聞いたところ、「利上げ決定」予想はわずか15%で、「据え置き決定」(84%)を大きく下回りました。

FRB3月利上げ

また、2016年中における利上げ回数についてですが、、「1回」という回答が最も多く、全体の36%を占めました。次に多かったのが「2回」で34%、「据え置き」が20%で続きました。「利上げ4回(以上)」は1%に過ぎず、FRBの金融政策は見直しを迫られることが避けられない情勢だと市場関係者はみています。

2016年の米金融政策

2016年末時点の円相場予想117円66銭 5年ぶり「円高・ドル安」か

また欧州中央銀行(ECB)については、3月の追加緩和が濃厚とみられていますが、その方法としては「買い入れ額の増加」が最も多く57%を占めました。次に「預金金利の引き下げ」が43%で続いています。ECBがさらなるマイナス金利拡大に動けば、円高阻止に向けて日銀もマイナス金利拡大に動くとの思惑が強まる可能性があります。

ECB追加緩和

なお、2016年末時点で想定される為替レートについては、円・ドル相場が1ドル=117円66銭となりました。前回1月調査では120円24銭と15年末(120円30銭程度)とほぼ同水準が見込まれていましたが、日米の金融政策見通しを踏まえ、年末時点で円高・ドル安に振れるとの見方が強まった形です。今回調査の予想通りとなれば、5年ぶりに「円高・ドル安」に転じることになります。

一方、円・ユーロ相場は1ユーロ=128円83銭、ユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.09ドルとなりました。前回1月調査では、それぞれ128円02銭、1.07ドルでした。

2月末時点の円相場1ドル=116円04銭 予想レンジは112~120円

毎月定点調査している為替相場見通しによると、金融機関の外為業務担当者の為替見通しは、2月末の平均値で1ドル=116円04銭となり、1月調査(118円41銭)に比べて一段の円高水準となりました。一方、予想レンジは112~120円と見通しの幅が大きく開きました。日米の金融政策の思惑などを巡って、市場関係者の見方は大きく割れているようです。

ドル円チャート

市場の関心は3月に打ち出される日米欧の金融政策

為替レートに影響を及ぼす注目度としては、円、ドル、ユーロともに「金利/金融政策」が最も高く、3月のFOMC、日銀金融政策決定会合、ECB理事会において、それぞれどのような金融政策が打ち出されるのかに注目が集まっています。

また向こう6カ月の間に、各通貨が対円でどのように推移するかを聞いたところ、米ドルDIは1月調査分のプラス18から、2月調査分ではプラス21に上昇しており、急激なドル安がやや底を打ちつつあることを示唆しています。また、米ドル以外の通貨のDIは、依然としてマイナス圏ではあるものの、1月調査分に比べてマイナス幅が縮小しており、この点でも、円の独歩高がようやく一服しつつあるようです。

とはいえ、大半の通貨は円に対して弱い状況が続いています。マーケットのボラティリティーが高まるなか、リスクオフによる円買いの動きが依然として根強く認識されているからです。中国の景気減速と不良債権問題の行方、原油安などのリスク要因が落ち着くまで、リスクオフの円買いは、市場関係者の間で燻り続けそうです。

想定以上の円高進行で企業業績のネガティブ要因に

運用者に、運用ファンドの外貨建て資産の組入状況について聞いたところ、当面どのようなスタンスで臨むかについては、オーバーウエートが大きく後退する一方、ニュートラルが1月調査分の64%から、2月調査分では91%に上昇しました。

また、為替ヘッジについては、「ヘッジ比率を下げる」が0%になる一方、「ヘッジ比率を上げる」が、1月調査分の0%から2月調査分では18%に上昇しており、円高リスクに対して慎重な姿勢が伺われます。通貨別に見た組入比率についても、米ドルのDIが急落し、ユーロ、英ポンド、スイスフランはマイナス幅が拡大。新興国通貨DIはマイナスが解消され、やや買い意欲が高まりつつある兆しが見えています。

なお、上場企業の業績予想の前提となっている想定為替レートは、平均でドル/円が1ドル=117円38銭、ユーロ/円が1ユーロ=130円79銭となりました。いずれも現状の相場水準に比べて円安方向にあり、このまま円の高止まりが続くと主要企業の業績下方修正が懸念され、株価にとってはネガティブ要因になりそうです。


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