円高シフト「105円~110円レンジに移行した」73% QUICK月次調査<外為>

昨年は1ドル=110~115円を中心に推移していた円相場だが、2018年2月に入ってから米国の長期金利の大幅上昇をきっかけに、世界同時株安を招き、円高が加速した。一時は1年3か月ぶりの高値水準を付ける場面もあった。3月の「QUICK月次調査<外為>」※では、2018年度の為替相場の中心レンジ予想や、円相場を動かす注目要因などについて、外国為替市場の担当者に聞いた。調査期間は3月5~8日。回答者数は76人。

※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。

 前週末9日に公表された2月の米雇用統計は非農業部門の雇用者数が市場予想を大幅に上回り、米利上げに追い風になる内容だった。結果を受けて円売り・ドル買いが進む場面もあったが、あまり持続性があるようにも見られない。円相場はすでに1ドル105円~110円のレンジに移行したのか。市場関係者へのアンケートでは「移行した」との回答が73%を占める結果となった。

18年度下期は「110~115円」が42%

2018年度(2018年4月~2019年3月)の為替相場の中心レンジについて上期で最も多かったのは「105~110円」で7割を占めた。一方、下期で多かったのは「110~115円」で42%だった。

市場関係者からは「米国の金融政策正常化の動きは円安を促す材料。米国の税制改革で物価上昇率が高まれば、米利上げペースが速まりドル高圧力が高まる」、「日銀の出口戦略の議論は封印された状況が続くこともあり、夏場にかけては再びドル上昇が予想される」と日米の金融政策の方向性の違いが円安・ドル高基調に戻すとの見方がある。

一方で「100~105円」とさらなる円高を見込む予想も25%と上期より増加しており、見方が割れて上期より予想レンジが上下に広がる結果となった。

「3か月以内の100円割れ」33%

今後3か月以内に円相場が心理的な節目の1ドル=100円を一時的に割り込むとの予想も33%に達した。「米国が貿易政策を急速に転換し、赤字削減の為にはドル安も辞さない態度を強める方向にあるため、100円割れの可能性が高まった」と、大幅な円高を試す展開を予想する意見は少なくない。

注目要因「トランプ政権の貿易政策」が81%

円相場を動かす要因として注目している材料(上位3つを回答)は「トランプ政権の通商政策と米中貿易摩擦」が81%とトップだった。「米経済・物価動向とFRBの金融政策」が78%、「新執行部での日銀の金融政策」が55%で続く。再び関心が高まる米国の通商政策。トランプ米大統領は8日、鉄鋼とアルミニウムの異例の輸入制限の発動を命じる文書に署名し、中国や欧州が強く反発している。

トランプ米大統領の強硬姿勢は今秋の中間選挙をにらんだ動きとみられるが「トランプ政権の貿易政策が一気に保護主義的方向に転換することとなり、これまでの状況とは異なった相場動向になる恐れが強まった。米貿易赤字縮小のため我が国も無傷ではいられない」「すでに欧州連合(EU)や中国などは報復措置を示唆し、世界的な貿易取引が縮小して景気の冷え込みから資本取引も停滞する」と懸念する声が寄せられた。

3月末は1ドル=106円39銭 予想は円高方向にシフト

毎月定点調査している為替相場見通しによると、金融機関の外為業務担当者の為替見通しは3月末の平均値で1ドル=106円39銭と、2月調査(109円99銭)から円高へシフトした。3カ月後の5月末には107円10銭、6カ月後の8月末には107円93銭の予想。今後6カ月程度を想定した注目の変動要因は、ドルは「政治/外交」、円とユーロは「金利/金融政策」で、特に円に関しては引き続き注目度7割を超えている。

ファンドの運用担当者に外貨建て資産の組入状況について聞いたところ、「ニュートラル」が36%から82%に大幅に上昇した一方で、「オーバーウエート」が27%から9%に低下し、「アンダーウエート」も36%から9%に急激に低下した。

事業法人の業績予想の前提為替レートは、平均値で1ドル=110円00銭と現在の水準(105円39銭~106円14銭)より円安の予想だが、対ユーロでは1ユーロ=127円00銭と現在の水準(129円45銭~131円49銭)より円高の予想となっている。

※Qr1などQUICKの情報端末では、月次調査の詳細とヒストリカルデータをご覧いただけます。

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