「適温相場」は転換点か 米長期金利上昇どこまで? QUICK月次調査<株式>

2月27日、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が就任後初の議会証言で、景気や雇用情勢の改善から物価目標達成の確信が強まったと述べた。タカ派的な内容と受け止められ、米国の利上げペースが加速するとの思惑が浮上。米長期金利の指標となる10年物国債利回りは一時、2.92%まで上昇し、ダウ平均は300ドル近く下落した。日本株も売りで反応し、2月の日経平均株価の下落率は2016年6月以来、1年8カ月ぶりの大きさとなった。ついに「適温相場」は転換点を迎えたのだろうか。

毎月実施している株式の市場関係者を対象とした「QUICK月次調査<株式>」で、今回は年央に向けての米長期金利と円ドル相場の展開と、「適温相場」の持続性について聞いた。調査期間は2月27日~3月1日。証券会社および機関投資家の株式担当者158人が回答した。

※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。

米長期金利「3%前後」が44% FOMCに関心

株式市場では、景気拡大と低金利が共存する「適温相場」が続いていたが、米長期金利の大幅な上昇を受け、株価が世界的に調整している。年央に向けて米長期金利(10年物国債)は何%程度になると予想するかと聞いたところ、最も多かったのは「3%前後」で44%、次いで「3%台前半」で38%、「2%台後半」で12%だった。

市場関係者からは「米金利は短期的に行き過ぎ感があり上昇一服を見込むが、年末にかけては3%を試し、超える可能性が高い。ただし、株価に影響を与えると考えられる3%台後半まで上昇する可能性は低い」との回答があった。半面、「米10年債利回りは3%弱の水準で定着を探ると思われるが、FRBの金利見通しが引き上げられれば、上昇余地が生じる」との指摘もあり、米連邦公開市場委員会(FOMC)での議論に関心が高まる。

一段の円高予測は1割どまりも企業業績に重荷

教科書通りなら金利が上がる国の通貨は買われやすく円相場は対ドルで下落しやすいはず。しかし実際には米長期金利が上昇する一方で円が買われている。2日の外国為替市場では2016年11月10日以来、ほぼ1年4カ月ぶりの円高水準を付けた。年央に向けての円の対ドル相場の展開を聞いたところ、最も多かったのは「110円近辺まで円安が進む」で41%、次いで「105円前後でもみ合う」が32%だった。一段と円高が進むとの予想は、「100円近辺まで円高が進む」(11%)と「90円台になる」(1%)を合わせても1割程度にとどまった。

市場では「ドル安への警戒もあるが、それほど大きなものではない」と円高は早晩一服するとの見方が大勢のようだ。ただ「国内企業は1ドル=110円程度なら2ケタに近い経常増益が見込まれるが、105円だと1ケタ台後半に伸びが鈍化する公算が大きい」と、現状の円相場水準でも企業業績への影響を懸念する市場関係者も少なくない。

「日米金利差の拡大にも関わらず継続するドル安が気がかり」との声があるのも事実で「足元は若干修正されつつあるが、リスクオフの中での円買い圧力もあり、円相場は節目の1ドル=105円を超えて上昇する可能性もある」との意見もあった。

「適温相場」の終焉に警戒感も

2月に入ってからの株式相場の急落がこれまでの「適温相場」の転換点だと思うかと聞いたところ、「転換点だと思う」とする回答は27%だった。「金利は上昇するが、株価の上昇傾向は続く」が最も多い30%、「一時的であり、適温相場は続く」が25%と、株式相場に強気な見方は根強いが、ピークアウトへの警戒感も広がりつつある状況だ。

市場関係者からは「昨年の適温相場(景気拡大とインフレ見通し低位安定)から、今年はリフレーション相場(景気拡大ペース一服とインフレ見通し上昇)になる」との意見が聞かれた。「円高進行による株安で当面は下落する可能性が高い」との見方もあった。

一方で「米景気の改善は続き、1年を通してみれば適温相場は継続する」「低金利・株高という意味合いでの適温相場は終了したと思うが、景気や金融市場には余熱がある。株式市場の明確な調整局面入りはまだ先」との指摘もあった。

日経平均予想は2万2449円 大幅に下方シフト

「QUICK月次調査<株式>」で毎月調査している日経平均株価の見通しは、3月末の水準で2万2449円(平均値)で、前回調査(確報)の2万3465円から大幅に下方へシフトした。5月末には2万3070円、8月末は2万3448円を見込む。今後6カ月程度の株価の変動要因としては、「景気・企業業績」の注目度が前月比5ポイント低下し39%となった一方、「海外株式・債券市場」が10ポイント上昇して28%だった。

国内の資産運用担当者61人を対象にセクター別の投資スタンスについて質問したところ、オーバーウエートの比率が最も高かったのは「電機・精密」で30%、次いで「消費」が14%。逆にアンダーウエートの比率が最も高くなったセクターは「公益」だった。

※「QUICK月次調査<株式>」はヒストリカルデータも含めて、QUICKの情報端末からダウンロードできます。

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