米長期金利の指標である10年物国債利回りが約4年ぶりの高水準まで上昇し、節目の3%突破への警戒感が市場では根強い。2月上旬の世界同時株安の引き金となった米国の金利動向を、市場はどうみているか。2月の「QUICK月次調査<債券>」※では、米長期金利上昇の持続性について聞いた。調査期間は2月20~22日、回答者数は証券会社および機関投資家の債券担当者134人。
※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。
米長期金利、3%近辺が上限か
2月21日公表の1月30~31日開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、大半のメンバーが短期的な景気見通しやインフレ見通しを引き上げたことが明らかとなった。これを受けて、景気拡大期待は強い一方で利上げペースの加速観測が高まり、米長期金利は2.95%付近まで上昇。市場では米連邦準備理事会(FRB)が年内に4回の利上げに踏み切るとの予想が増えている。
米長期金利の上昇は教科書通りならドル高要因だが、実際には外国為替市場ではドル安が進行した。こうした米長期金利上昇とドル安の持続性の有無について聞いたところ、「持続性がある(中長期的な変化)」との回答は31%にとどまり、「持続性はない(一時的な動き)」が69%を占めた。
市場参加者からは「市場の(米利上げの)織り込みが十分に進み、さらなる金利上昇は限られる」「足もとの米長期金利の上昇は米財政赤字拡大への懸念、ドル安は海外勢によるポジション調整の米債売却によるもので一時的。ポジション調整が一服すれば、米長期金利の上昇を受けた海外勢の米債再購入の動きから、米長期金利は3%近辺で高止まり、ドル高に転じる」といった声があった。
一方で「ドル安は米国の保護主義的なスタンスに加えて米利上げを相当程度織り込んだこと、国内勢の米債処分売りやドル買いポジションの巻き戻しなどが背景で、当面はドル高に転じにくい」といった意見もあった。
債券価格変動要因は「短期金利/金融政策」に注目
毎月定例の相場見通しの調査では、前回に比べて利回り低下を予想する結果となった。新発10年物国債の金利見通しは1カ月後が0.062%、3カ月後が0.076%、6カ月後が0.090%と、1月調査(0.072%、0.086%、0.101%)に比べていずれも低下した。今後6カ月程度で注目する債券価格の変動要因で最も多かったのは「短期金利/金融政策」が56%、次いで「海外金利」が24%だった。
資産運用担当者64人(ディーリング部門除く)を対象に、現在運用しているファンドについて国内債券の組み入れ比率について聞いたところ、「ニュートラル」(56%)と「かなりアンダーウエート」(8%)がそれぞれ1ポイント低下した一方、「ややオーバーウエート」(4%)が2ポイント上昇した。「ややアンダーウエート」(32%)は変わらずだった。