トランプ米大統領就任1年 膠着ドル円相場、どちらに動く? QUICK月次調査<外為>

トランプ米大統領の就任から1年。就任前から差別的発言や過激な言動が物議を醸し続け、ロシアとの不透明な関係を巡る疑惑「ロシアゲート」は米政権を取り巻く不安の種として今も尾を引いています。その一方、米ダウ平均は1月17日に2万6000ドル台に乗せて取引を終え、最高値を更新しました。1月の「QUICK月次調査<外為>」※では、トランプ米大統領の就任初年度の評価、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ回数、ドル円相場のトレンド、2018年の取引材料などについて、外国為替市場の担当者に聞きました。調査期間は1月15~18日、回答者数は73人です。

※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。

トランプ米大統領 就任初年度の評価は?

トランプ米大統領が2017年1月20日に正式に就任してから1年を迎えました。就任直後から米国市場は“トランプ相場”に沸き、2017年末にはおよそ30年ぶりとなる大規模な税制改革を実現しました。しかし米国での世論調査では歴代大統領の中で最も支持率が低迷しているのも事実です。同氏のこの1年の取り組みについてどう評価しますかと聞いたところ、最も多かった回答は「一定の評価はできる」で5割を超えました。その半面、「あまり評価できない」(31%)、「まったく評価できない」(14%)と否定的な回答が4割を超えました。

市場関係者からは「トランプ政権は不規則な言動の割には経済に悪影響を及ぼしていない点で一定の評価に値する。中間選挙についても選挙前にとんでもない行動に出なければ、世界同時景気拡大のなか勝算が高まる」といった声も聞かれました。

FRBは12月に利上げを実施したため、1月末の会合では追加利上げを見送る公算が大きいですが、3月の利上げ観測は高まっています。2018年の米国の利上げ回数について聞いたところ、一番多かった回答は「3回」で47%、次いで「2回」が35%、「4回」が14%でした。6割近くが2回以下を予想した11月のQUICK月次調査<債券>と比較すると、積極的に利上げするとの予測が増えています。

【外為】18年の利上げ回数

市場関係者からは「米税制改革の実施で物価上昇率が高まれば、利上げペースが想定より速まる」「FRBは3回利上げをメーンシナリオに置いているが、4回の可能性も排除できない」「賃金上昇率が高まれば、FRBの利上げのペースアップもありうる」といった声が多く聞かれました。

2018年のドル円相場 円安派・円高派は拮抗

2017年のドル円相場の年間値幅はわずか11円28銭(107円32銭~118円60銭)で、狭いレンジ内での推移となりました。では、2018年のドル円相場の値幅はどのようなトレンドになるかと聞いたところ、最も多かったのは「同水準にとどまる」で5割強を占め、次いで「拡大する」が34%でした。さらに今後ドル円相場が現在のレンジから離れる場合、まずどちらに動くと予想しますか、と聞いたところ、「円安方向」が51%、「円高方向」が49%と拮抗しました。

【外為】ドル円の値幅

【外為】ドル円相場どちらに動く

2018年の円ドル相場の年末水準を聞いたところ、平均値は114円05銭でした。最高値(=円高・ドル安)は106円72銭で、最安値(=円安・ドル高)は118円05銭となりました。最高値は1月と12月に、最安値は12月に付けるとの予想が多く、年末に向けて円安もしくは円高が進行するという、両極端の見方が市場関係者にあるようです。

市場関係者からは「原油高を背景に各国の期待インフレ率は小幅ながら上昇し、日銀が長期金利の操作目標を引き上げるのではないかという思惑も市場の一部にみられ、ドル円は目先、ややドル安・円高に振れやすい地合いが続く。ただ年内を展望した場合、日銀が政策を据え置く一方、FRBは緩やかなペースで利上げを続けると思われ、ドル円は年末に向けてゆっくりとドル高・円安が進む」といった声も聞かれました。

日銀 黒田総裁再任予想が8割、副総裁は雨宮理事が6割

今年4月の黒田東彦総裁の任期満了後、日銀執行部の新体制はどうなると予想しますか、と聞いたところ、総裁の後任は「黒田東彦・日銀総裁」の再任予想が79%で、前回調査と同じく他の候補を大きく引き離しています。

【外為】日銀総裁は?

副総裁も前回と同様に「雨宮正佳・日銀理事」が最多で63%となりました。次いで「中曽宏・日銀副総裁」が36%、「伊藤隆敏・コロンビア大学教授」が26%、そして「若田部昌澄・早稲田大学教授」が12月調査の12%から23%に上昇しました。

【外為】日銀副総裁は?

市場関係者からは「黒田日銀総裁は続投するものと思われ、2期目に入ると将来的な出口政策の議論が今より活発化するはず。その過程をマーケットが先読みするため、ドル円はしばらく円高方向に振れやすくなるだろう」といった見方もありました。

2018年も為替市場の材料として最注目はFRBの金融政策

2018年の外国為替市場の材料として最も注目しているものは何ですかと聞いたところ、パウエル新体制がスタートする「FRBの金融政策」が32%で最多で、次いで「日銀の金融政策」が31%でした。「米景気」が11%、「米政権の動向」が10%、「北朝鮮情勢」が8%、「米株式相場」が7%と続きました。

【外為】為替市場の材料

市場関係者からは「膠着した昨年と異なり、今年は波乱要素が多数。大きく変動する可能性があるが、基本は米国(特に金融政策だが、景気動向ならびに政権動向も含む)要因と考える」、「米国の減税政策を受けて、景気・賃金・物価の過熱が起きるのかどうか、それが米国の景気後退を早めるのかに注目している」、「米トランプ政権の内部状況が依然として懸念材料で、政権基盤の脆弱性が表面化すれば、更なるドル安につながるおそれもある」など、米政権に対する懸念の声が多数あがりました。

1月末は1ドル=111円26銭 予想は円高方向にシフト

毎月定点調査している為替相場見通しによると、金融機関の外為業務担当者の為替見通しは1月末の平均値で1ドル=111円26銭と、12月調査(113円37銭)から円高へシフトしました。3カ月後の3月末には112円17銭、6カ月後の6月末には113円37銭の予想です。今後6カ月程度を想定した注目の変動要因は、円・ドル・ユーロすべて「金利/金融政策」で、特に円に関しては注目度7割を超えています。

ファンドの運用担当者に外貨建て資産の組入状況について聞いたところ、「ニュートラル」が75%から67%に低下し、「オーバーウエート」が25%から11%に低下した一方で、「アンダーウエート」が0%から22%に上昇しました。

事業法人の業績予想の前提為替レートは、平均値で1ドル=111円33銭と現在の水準(110円71銭~110円81銭)より円安の予想ですが、対ユーロでは1ユーロ=124円00銭と現在の水準(135円31銭~135円58銭)より大幅に円高の予想となっています。

※Qr1などQUICKの情報端末では、月次調査の詳細とヒストリカルデータをご覧いただけます。

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