年が明けても強い株式相場の背景にある企業業績の改善期待。資産効果の追い風を受けて年末年始商戦も高額品を中心に売れ行きが良好だったようだ。企業業績は基本的に四半期に1回、決算短信などを通じて投資家の目に触れるが、小売りやサービス業のように企業によっては、売上高をはじめとした情報を毎月公表しているケースも少なくない。株価に大きな影響を与えることもあり、材料の宝庫だ。
売上高や受注高、客数、客単価などを開示している企業が多いが、中でも利益や株価の動向を探るうえで注目を集めるのが、全店ではなく既存店の売上高だ。全店売上高の場合、単純に積極出店を進めている企業であっても伸ばすのが簡単な半面、利益面では開店コストなどが重荷になる。本来の「利益を稼ぐ力」を判断するためには、既存店の売上高が前年と比較してどのように推移しているかをチェックすることが欠かせない。
QUICK端末のナレッジ特設サイト「月次業況」では企業が開示している各種月次データを一覧できる。「各社別」タブで銘柄コードを入力して企業を検索し、月次業況をチャートで表示することも可能だ。
たとえば鳥貴族(3193)。12月は全店売上高が前年同月比で21.3%増えた一方、既存店売上高は0.4%増にとどまった。チャート上では11月と比較して既存店の売上高の伸び率が悪化し、客数に至っては前年割れとなったことが分かる。
QUICK端末のAI速報は9日15時の会社発表後、資料からデータをただちに抽出して既存店売上高が0.4%増にとどまったことを、ニュースとして発信。翌10日の鳥貴族の株価は一時7%超下落した。12日まで3日連続で下落し、昨年末時点から比べると軟調に推移している。
●業態ごとの銘柄別比較が簡単に
ナレッジサイト「月次業況」の「業態別」タブでは、同業の複数の企業の月次業況をチャート上に表示できるので、他社比較も簡単だ。スーパーやコンビニ、ドラッグストアといった業態別に比較的健闘している銘柄を探す際に参考になる。
また、各企業の販売トレンドをつかむのに便利なのが「ヒートマップ」タブだ。月次業況が前年比プラスなら「赤」、マイナスなら「緑」で色分けしており、一目見ただけでざっくりと各社の業況を把握できる。
●業績修正の先取りにも
通期の業績計画を立てるにあたって前提とした、既存店売上高の前年比増減率を公表している企業も多い。(たとえば鳥貴族の場合、2018年7月期の既存店売上高計画は前期比4%増)。期初からの既存店売上動向を丹念に追っておくことは先行きの業績修正の先取りにもつながる。
【QUICKナレッジコンテンツグループ・内山佑輔】