LINEの対話型サービス、コールセンターの自動対応システムなど人工知能(AI)を活用した対話型ロボットが普及する兆しを見せている。金融機関や証券会社でも業務効率化の観点から注目度が高い。対話型AIシステムを提供するIntelligent Machines Amaze You(IMAY)の結束雅雪・代表取締役に対話型ロボットの現状と展望について聞いた。
――対話型AI(人工知能)の現状は。
「AIによるロボットコミュニケーションは多様化しており、ロボットペット、スマートデバイスに適応可能な範囲が広がっている。その中でも私が最も期待しているのは、腕時計だ。2014年に公開された米国のSF恋愛映画『her/世界でひとつの彼女』の中では、電車の中で人々が腕時計に囁く光景が描かれている。対話AIが当たり前の時代がくれば、必然的に普段身に着けている腕時計が対象となるだろう」
「現実の世界を見ても、街の中で観光客の中年女性が『OK、Google』とスマートフォンに話しかける光景を目にする。コンピューターに詳しくない人でも対話AIを使い始めており、これまでよりずっと身近になっている」
――普及していくための課題は
「すでに世の中には、対話型のサービスが存在しているが、少し複雑な質問を投げかけると、対話が成立しない場合がある。これは入力文と出力文が紐づけられた固定対話が使われているためだ。予期しない入力文には対応できない。ただ、これではユーザーの興味を継続させることはできない。継続させるには、人の心を動かさなければならない」
「そのために必要になってくるのは、自由対話だ。自由対話を実現し、より伝えるためには性格づけも必要だ。例えば、QUICKのロボットだったら、この口調でこの返しといったような具合。キャラクターがないと、対話が人々に普及していかない」
「入力文と出力文の紐付けをメインとする固定対話ではきめ細かいコミュニケーションは難しい。自由対話では、字面上に現れる『直接的意図』と字面上で現れない『間接的意図』の理解が必要不可欠だ。実際に使われる言葉は例外と矛盾だらけだ。以前、機械に記事を書かせたことがあったが、同じ内容でも実際に記者が書いたものと大きく違った。人間は物事の背景などを考察し補うことができるが、機械が受け取る『直接的意図』だけでは必要な意味情報(文意)が含まれていないことも多い」
――自由対話を実現するには
「これまでのような、単純に入力文と出力文を紐づけるアルゴリズムだけでは実現できない。例えば、『お腹が空いたー』と言ったとき、『何を食べましょうか?』ではつまらない。話しかけた人の好みまで察して、『サーロインステーキにしましょうか?』ぐらい返さないと魅力的なサービスにはならない」
「アルゴリズムに単語の概念や意味を共起させる事柄のDBを組み合わせる必要がある。『間接的意図』を理解できれば、ニュアンスをつかむことが可能になり、サービスを使う人を感動させることができる。感動すれば人はそのサービスを使い続ける」
「そこで我々が提供しているのが、“忖度”するAI、K-laeiだ。入力された『キーワード』だけでなく、『意図』を理解し、文章中で表現されていない話し手の意図を理解する」
※Intelligent Machines Amaze You(IMAY)
2017年1月設立。徳島大学工学部青江研究室の研究成果を事業化するために2002年に起業した株式会社言語理解研究所(ILU)の技術と製品を応用・販売している。
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