株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の3月調査を3月6日に発表しました。調査の対象は証券会社および機関投資家の株式担当者159人、期間は2月28日~3月2日。調査期間中の日本株市場では日経平均株価が3月2日に1万9564円80銭と、1月4日に付けた昨年来高値(1万9594円16銭)に迫る場面もありました。トランプ米大統領の議会演説が波乱なく終わったことや、3月の米利上げ観測が広がり円安に傾いたことが上昇につながったようです。
米株式市場ではトランプ政権の経済政策への根強い期待からダウ工業株30種平均は2月27日まで12営業日連続で過去最高を更新。3月1日には2万1000ドルを突破しました。
働き方改革「長期的には効果」が半数 成長率は「全体的に上昇」が4割
ここ最近、「働き方改革」という言葉がメディアなどで取り上げられる機会が増えています。働き方改革とは、安倍晋三首相が「最大のチャレンジ」と位置付ける政策です。正社員と非正規社員(パートなど)の待遇格差の解消、長時間労働の是正などにより女性や高齢者が働きやすい環境にしようという試みです。
そこで今回のアンケート調査では、この改革による日本経済の成長率の押し上げ効果について聞きました。
まず、日本は現在、完全雇用に近いと言われていますが、今後の賃金上昇についてどのようにお考えですか? と聞いたところ、最も多かった回答は「全体的に上昇」が約4割でした。
次に日本経済の成長率を押し上げるほどの効果はあるでしょうか? と質問したところ、「長期的には効果がある」が半数を占めました。また、成長率の改善に効果がある政策を聞いたところ、「労働市場の流動化促進」と「女性や高齢者の労働参加率の上昇」がともに3割超と高くなりました。
市場関係者からは「東芝に見られるように、本来であれば撤退すべきビジネスを抱え続けた結果、企業業績に悪影響を与えているケースが少なくない。もちろん、はるかに小さなスケールのケースが大半だ。その裏には労働市場の硬直化があり、労働問題が儲からないビジネスをいつまでも抱える動機となっている。新しい会社はそうでもないが、伝統ある企業ほどこのしがらみから脱せられず成長の足かせとなっている」との声もありました。
3月末の日経平均は1万9667円の予想
3月末の日経平均株価について聞いたところ、平均値で1万9667円の予想でした。前回調査(確報)の1万9220円に比べて上方シフトとなりました。上方へシフトしたのは2カ月ぶりです。また、5月末には1万9866円、8月末は1万9733円との予想でした。2017年3月期の決算の発表が相次ぐ4月下旬から5月にかけて、好決算を背景に日経平均は上昇するとの見方が増えているようです。
今後6カ月程度の株価の変動要因としては「景気・企業業績」が4割弱で注目度は上昇傾向です。一方、トランプ政権の発足後に上昇していた「政治・外交」は2割に低下しました。
セクター別では鉄鋼と機械への注目度高まる
国内の資産運用担当者59人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、「ニュートラル」と「ややオーバーウエート」がともに約4割、「ややアンダーウエート」が1割超と、前回調査からほぼ変わらずでした。
セクター別の投資スタンスについては、「オーバーウエートとアンダーウェート」のバランスをみると、前回調査に比べてオーバーウエートの比率が最も上昇したのが「鉄鋼・機械」で、逆にアンダーウェートの比率が最も高いのが「公益」でした。