QUICK企業価値研究所アナリスト 山藤秀明(2019/02/05)
・端末機販促費増で今期営業利益予想を小幅減額
企業価値研究所は今19/3期の営業利益予想を前期比5%増の1兆80億円へと従来予想を80億円減額した。端末機の販促(値引き)費用が増加している。その他の事業環境は予想どおりのため小幅減額。
来20/3期の営業利益は9620億円(前期比5%減)の従来予想を据え置いた。総務省は今春にも端末機の値引き販売の規制を一段と強める予定。一方では既報のようにNTTドコモが来期早々に通信料金を大幅値下げする。当研究所では「競合上、一定の料金値下げは回避出来ない」と判断して、前回予想時に1割程度の通信料金の値下げを織り込んでいた。今回も同様に想定した。ただ、費用削減の推進や非通信事業の拡大で1桁台半ばの減益にとどまるとみている。
・カブドットコム証券との協業検討進める
1月24日、ネット証券大手のカブドットコム証券に出資するとの報道があった。会社側は「協業の可能性を検討しているが、現時点では決まった事柄はない」としている。当研究所では金融分野の強化を進めるこれまでの経営戦略に沿った案件として進展を期待する。
・リスクファクター ~料金値下げ、解約率上昇
・アナリストの投資判断 ~料金競争懸念あるが、株価指標割安で現値水準で推移か
当研究所は「当面の株価は現値水準で推移する」とみている。株価指標をみると、当研究所が減益を見込む来20/3期予想PERで11倍。過去5年平均の14倍と比べて割安。今期予想配当利回り(会社計画)は3%台後半(過去5年平均2.7%)。会社側は引き続き株主還元を積極化する方針を示していることもあり、株価の下値余地は限定的であろう。一方では料金値下げ競争が一段と高まる懸念もあり、株価の上値は重そうだ。
(提供:QUICK企業価値研究所)
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