QUICK企業価値研究所アナリスト 伊藤健悟(2018/11/14)
・ANの採算が想定以上の高水準を維持
19/3期の連結業績について企業価値研究所では、従来予想を売上高2兆1900億円→2兆2200億円(前期比9%増)、営業利益2060億円→2180億円(同10%増)へ引き上げる。従来は、エレクトロニクス部門が固定費増で減益となるほか、ケミカル部門の利益も前期並みになるとみていたが、ケミカル部門の主力のANは上期の採算が想定以上の高水準を保ち、下期も高い利益率を維持できる見通し。医薬・医療部門を若干の減益見通しとしたが、クリティカルケアや繊維など他の各部門の拡大もあり、今期は2桁近い営業増益となろう。続く20/3期以降も、自動車やヘルスケア関連の製品を中心とした数量増と合理化の効果で、業績は着実な伸びをみせると考える。
・上期は当研究所の想定を上回る増益に
19/3期上期の連結営業利益は、前年同期比13%増の1043億円。石化系製品の市況上昇と各部門での販売数量増により、原料高の影響を吸収して業績は順調に拡大。当研究所が想定していた1000億円弱との比較でもこれを上回った。
・リスクファクター ~ANの採算や為替の動向など
・アナリストの投資判断 ~過去のレンジとの比較では割安。株価は徐々に上昇へ
18年はじめに下落した株価は、その後同10月にかけて大きく上昇して上場来高値をつけたが、再度急落。足元では当研究所の来期予想連結PERで約10倍と、総合化学メーカーの平均を大きく上回るが、同社の過去の平均的な水準である同14倍を下回る。化学メーカーのPERは全般に低下しているが、連結全体で来期以降も堅調な業績推移が見込まれる点を考慮すると、同社の過去のレンジの下限に当たる同12倍程度の評価は可能だろう。LiB材料など成長分野の拡大を確認しつつ、株価は徐々に上昇に向かうと考える。
(提供:QUICK企業価値研究所)
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