QUICK企業価値研究所アナリスト 永田和子(2018/09/05)
・早期退職の応募状況次第では利益下振れリスクも
連結営業利益の企業価値研究所予想は今期290億円(前期比19%増)、来期305億円、21/3期385億円と前回から減額。今期1Q実績を受け粗利益率、人件費を保守的に見直した。退職金割増額積み増し(前期~来期)による人員構成適正化や非効率な催事縮小、松戸閉店、「クイーンズ伊勢丹」売却など構造改革に加え、日本橋・新宿の大規模改装、東京五輪の恩恵などにより21/3期に7期ぶりの最高益更新との見方を変えていない。ただし、人件費削減が利益回復の原動力だけに、早期退職の応募が想定を下回った場合、下振れリスクも。会社側が今期中にメドをつけるとする積み残し課題(郊外・地方・中小型・海外の不採算店や赤字子会社)への対応にも要注目。
・特損一巡の21/3期もROE4%にとどまる見通し
退職金割増額など特損が一巡する21/3期の連結純利益は235億円への回復を予想するが、ROEは4.0%にとどまる見込み。非効率資産売却資金などによる増配、自己株取得などに期待したい。会社側は持続的成長に向けデジタル化の推進と新宿・日本橋など保有不動産の有効活用を標榜。特に新宿再開発は長期的な成長要因となろう。
・リスクファクター ~人材流出、投資回収リスクなど
・アナリストの投資判断 ~再び上値を目指すには痛みを伴う改革などが不可欠
当研究所が7期ぶりの営業最高益更新、かつ、特損一巡を見込む21/3期の予想PERは21倍台と、小売業主要銘柄平均並みに。PBRの低さが目立つものの、株価は妥当水準と考える。インバウンド需要の勢いが弱まるなか、再び上値を目指すには、積み残し課題である不採算店舗、赤字事業に対する痛みを伴う改革の発表、早期退職応募人数の上振れ、株主還元の強化、新宿再開発の進捗などが不可欠だろう。
(提供:QUICK企業価値研究所)
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