QUICK企業価値研究所アナリスト 伊藤健悟(2018/08/23)
・部門別で明暗あるが、連結全体で今期は大幅増益に
18/12期の連結業績について企業価値研究所では、従来予想を売上高9800億円→1兆100億円(前期比29%増)、営業利益1600億円→1800億円(同2.3倍)へ引き上げる。従来、石油化学部門が設備の定期修理で落ち込むほか、エレクトロニクス、アルミニウムの両部門もハードディスク(HD)の数量減などで落ち込むが、無機部門が昭和電工カーボンの通期寄与と電炉用黒鉛電極の需要増・市況上昇で業績を大きく拡大し、連結全体で大幅な増収、増益になるとみていた。こうした見方に変更はないが、黒鉛電極の市況が想定以上に上昇しているため、上方修正した。続く19/12期以降も、各分野の数量増と合理化などで業績拡大が続く見通しだが、黒鉛電極の好調が続く間に、他分野で業績の底上げが進むことを期待したい。
・上期は無機部門の好調で想定以上の大幅増益に
18/12期上期の連結営業利益は、前年同期比2.2倍の781億円。石油化学部門やエレクトロニクス部門などが落ち込んだが、無機部門が黒鉛電極の好調で業績を拡大し、連結全体で当研究所が事前に想定していた700億円を上回る大幅増益となった。
・リスクファクター ~石化製品や黒鉛電極の採算など
・アナリストの投資判断 ~足元の水準は割安。業績拡大を追い風に株価は再度上昇へ
8月に入って上場来高値を更新した株価は、その後利益確定売りなどに押されて下落。足元では来期の当研究所予想連結PERで5倍台と、総合化学メーカーの平均を大きく下回る。HDの苦戦などマイナス要因もあるが、今期の業績は黒鉛電極の好調で大幅に拡大、その後も当面は堅調な推移が続くと見込まれる点を考慮すると、同7倍程度の評価は可能であり、株価は再度上昇に向かうと予想する。
(提供:QUICK企業価値研究所)
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