QUICK企業価値研究所アナリスト 小西慶祐(2018/07/31)
・「アルティマ」のモデルチェンジ効果は限定的とみる
19/3期通期の連結営業利益見通しについて会社側は、期初計画の5400億円(前期比6%減)を据え置いた。一方、企業価値研究所では、5500億円→5200億円(同10%減)へ減額する。2Q以降の為替レートの前提を1ドル=107円→110円と円安方向に見直したが、メキシコやインドネシアなど一部新興国での販売不振を反映、会社計画を下回る予想とした。会社側は、今年秋の乗用車「アルティマ」のフルモデルチェンジなどで米国の収益力を改善させる考え。しかし当研究所では、米国の乗用車セグメントが縮小傾向にあることから、効果は限定的と考えている。米国の保護主義政策の動向にも十分な注意が必要であろう。
・販売奨励金やフリート依存からの脱却は時間が必要
続く20/3期以降も、従来の利益予想を減額する。資本参加した三菱自(7211)とのシナジー効果創出による、インドネシアなどアセアン地域における収益改善により、利益は回復に向かうと予想。ただし、販売店への販売奨励金や、低採算なフリート販売に依存した米国の事業構造からの脱却は容易ではなく、全体需要の頭打ちもあり、時間が必要との見方を変えない。
・リスクファクター ~米国の保護主義政策、為替など
・アナリストの投資判断 ~当面は米国の保護主義政策の動向に左右されよう
直近の株価に基づく19/3期の当研究所予想PERは8倍。同社の過去60カ月の平均PERとほぼ同水準にあり、割安感はない。当面の株価は、米国の保護主義政策の動向に左右される展開が続こう。ただし、会社側の配当計画に基づく配当利回りは5%超と引き続き高く、下値不安は小さいと考えている。
(提供:QUICK企業価値研究所)
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