QUICK企業価値研究所アナリスト 真下弘司(2018/06/07)
・シャイアー社の買収を発表
18年5月8日、アイルランドの製薬企業シャイアー社を約460億ポンド(約7兆円)で買収することで合意(19年上期までの買収完了予定)。シャイアー社は希少疾患領域に強みを持つ。買収により収益力や開発パイプラインの強化、コストシナジーなどが期待される。ただし現時点では、不確定要因が多く業績予想に織り込むことは困難である。
・19/3期は減収・減益予想
企業価値研究所予想の19/3期の連結営業利益は前期比11%減の2140億円。潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「エンティビオ」や多発性骨髄腫治療剤「ニンラーロ」など主力製品の成長を見込むが、国内薬価改定や18/3期に株式売却益1063億円を計上していた反動で営業減益を予想する。続く20/3期と21/3期は主力製品の市場浸透や構造改革の成果等から営業増益を予想する。なお、シャイアー社買収の影響は予想には織り込んでいない。
・リスクファクター ~新薬開発や訴訟など
・アナリストの投資判断 ~配当利回りが下支え
株価は1月に高値6693円をつけた後は下落に転じ、シャイアー社の買収検討を発表した3月28日以降も総じて軟調に推移。6月4日に年初来安値となる4237円をつけた。買収についてはこの発表以前から市場では様々な観測があり、株価の重荷となっていたが、発表後も買収による財務体質の悪化や株式数の増加等が敬遠されているようだ。会社側は買収完了後も配当方針は維持するとしており、配当利回りの高さ(足元4.2%。19/3期計画の1株当たり年間配当は180円)から下値は限られよう。
(提供:QUICK企業価値研究所)
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