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「上方修正」それってホントにいい決算?

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「上方修正」それってホントにいい決算? (2015/12/21)

  • ”好決算でも暴落”のナゾ
  • 期待と裏切りが株価を動かす
  • オドロキを数値化できる?
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”好決算でも暴落”のナゾ

10月中旬以降には企業の決算発表が多く行われました。これは「4~9月期中間決算」といいます。ほとんどの企業が3月に本決算を行うことから、そこからちょうど半年である9月までの業績をまとめて、4~9月期決算として発表します。また、来年1月中旬以降には第3四半期決算の発表も多く行われます。さらに来年4月以降には3月期の本決算を発表する企業が相次ぎます。

決算がらみの荒い値動きを見せる時期は、それに関する悲喜こもごもの声が多くみられます。なかでも、「決算はよかったのになぜ株価は下がったのだろう」といった疑問や「決算下方修正されたけど株価は下がらずに助かった」といった思いを抱いた人は少なくないでしょう。

確かに私たちは「黒字」「増益」「上方修正」といった決算が発表された際、「株価の上昇」を連想しがちです。しかし、実際には常にそのような連想通りにいきません。むしろこのような好材料とも思える情報が開示された途端に株価が急落してしまうことすらあります。なぜ決算期には、このような不思議な値動きがよく見られるのでしょうか。

期待と裏切りが株価を動かす

株価は、株式に対する需要と供給によって決まり、需給を動かす要因として業績があります。すでに発表された業績に加えて、これまでに判明している情報から予想される将来の衰退ないし成長を先取りして価格に織り込んでいます。

将来の需給を予想して売買し、価格が決まるのは、他の財産やサービスの価格決定と同じです。たとえば夏物の衣服は、冬に需要が減り、価格が下落することが予想されるため、一足先に秋口にかけて安売りされます。秋口の時点で冬の需要減少と価格下落を先取りした結果、安売りがなされるのです。

マーケットは「未来を予想し、その予想によって売買する」という思惑的な動きをとるものです。決算の前に企業を分析したアナリスト機関投資家業績予想が思惑につながりやすくなります。アナリストというプロの分析家が会社の将来について予想し、市場参加者はその予想を参考にして売買をする傾向があります。

このような過程を通じて、市場参加者の間では一種の「期待」が生まれます。アナリスト業績予想の平均値であるコンセンサスが一つの指標となります。

将来の業績に対する「期待」が株価に織り込まれているのであれば、単なる「黒字」や「上方修正」といった材料のみで株価が上がるか下がるかを判断することはできないでしょう。実際の業績が、市場の期待と同じ内容だったかどうか、見極めねばなりません。

会社が発表した数値と、事前の市場の期待を比べて、期待に届かなければ上方修正でも売り、つまり見かけ上「好決算」でも暴落という現象が起こりえます。決算発表の当日~翌営業日といったごく短期の値動きについては、この予想との比較が、株価を大きく動かす要因となります。株式市場に慣れた投資家やプロは常に、会社の発表が市場の期待度をどれくらい裏切るものかを見極めようとしています。

好決算でも暴落

ここで上のグラフを見てみましょう。これは、住友ゴム工業が中間決算を発表する前後の株価の推移です。11月5日の午後6時に発表された決算は通期純利益30億円増の580億円を予想するという上方修正を含む内容でした。しかしながら翌日に株価が上昇することはなく、かえって下落してしまいました。ここで注目していただきたいものが画像下部の青いマーカー上に表示されている数値です。これは、会社の業績に対する市場の期待度の目安です。この60,700(607億円)という数字が市場の期待であれば、純利益が600億円程度で「当然だ」という反応になります。そのため、住友ゴム工業が見通しを上方修正をしたとしても株価が上がらない原因として、思ったよりも純利益が伸びなていないというネガティブな評価が影響したということが伺えそうです。

オドロキを数値化できる?

このように私たちの期待を裏切るような出来事が起こりやすいものが企業の決算です。その出来事を客観的に評価できるツールが「決算サプライズメーター」です。このツールではQUICKが独自に算出している「サプライズレシオ」が確認できます。サプライズレシオとは、株式市場が感じた決算内容に対する「驚き」度を、企業規模などを加味して数値化したものです。これは会社が発表した最新の純利益の予想と、証券アナリストの予想の平均(QUICKコンセンサス)を比較して算出しています。この値が大きいほど、株式市場参加者の「驚き」を示し、株価も反応する傾向にあります。企業が業績を上方修正した際、市場の期待を上回れば上回るほど、サプライズレシオのプラスの値が大きくなります。上方修正でも、市場の予想よりも数値が及ばなければマイナスとなります。

下のJXホールディングスの図を見てみましょう。旧来の会社予想は1600億円の純利益予想でしたが、原油価格の下落等により1000億円の純利益になるのではないかという市場の期待が存在していました。しかし最新の決算ではその期待を下回り、450億円まで純利益の見通しが縮小してしまいました。この決算にサプライズレシオは約-510ポイントを示しており、市場が織り込んでいた悪材料よりも深刻なものとして評価されました。

1110^3 サプライズレシオ.png

一方ヤマダ電機はどうでしょうか。市場においては、「旧予想の約250億円から10億円程度の下方修正はやむなし」という期待が存在していましたが、実際は331億円の増益決算です。サプライズレシオは約168ポイントを示しており、良い意味で市場の期待を大きく裏切るものとなりました。その結果として株価も上昇しています。

ただし、サプライズレシオは勝利の聖杯ではないということに留意しなければなりません。株価は様々な要因によって変化するものである以上、サプライズメーターの数値と相関性がない動きをすることもあります。またこの傾向はサプライズレシオが±100ポイント未満の場合にもよく見られるもので、0ポイントに収束すればするほど方向感がつかめないというデメリットもあります。

そうはいってもやはり、驚きという抽象的な概念を数値化し、客観的な指標として共有できるツールは珍しいのではないでしょうか。冒頭で紹介したように今月以降は本決算等大切なIR情報が続々と発表されていく時期にもなります。そのような状況下で一つずつ決算の内容を精査することは、時間の点で限界があるでしょう。そのような状況下で網羅的、直感的に決算内容の良し悪しを判断するために、サプライズレシオという指標を投資判断の一要素に組み入ることが有効となるかもしれません。

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紹介したツール

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