2017/03/26 05:26:53

中国、景気対策の期待打ち砕く「権威」の一声 指導部内で「同床異夢」か

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中国、景気対策の期待打ち砕く「権威」の一声 指導部内で「同床異夢」か (2016/06/08)

  • 著名投資家ソロス氏も警告…「中国の債務危機がぼっ発するリスクがある」
  • 中国本土の経済や市場は引き続き調整
  • ”権威”と首相、経済問題に意見の食い違いも
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QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は、香港の現地記者ジェスロ・オー氏がレポートします。※QUICK端末で5月20日に配信された記事となります。

著名投資家ソロス氏も警告…「中国の債務危機がぼっ発するリスクがある」

「中国の債務問題ぼっ発の危機」--。ここ数カ月間、こうした観測が中国経済について海外勢が弱気な見方を持ち続ける根拠となっている。中国経済は年初に基調がやや好転。銀行金融緩和の度合いを強め、昨年に提示された中国政府の構造改革の目標が改められるのではないかとの見方が市場で広がっていた。しかし、中国共産党の機関紙「人民日報」が取材した「権威」は、中国経済が今後一定期間、L字型を呈すると発言。さらに、中央政府による大規模な景気刺激策への市場の期待を打ち砕き、まさに鶴の一声で結論を下した。
中国政府はかつて米国の金融危機のあと、4兆元(当時のレートで約57兆円)の景気刺激策を打ち出した。これにより充分に膨れ上がっていた中国本土の債務が更に膨張した。最近では、中央政府が所轄する「中央企業」で債務不履行が発生するまでになり、市場に警鐘が打ち鳴らされた。世界的な投資家ジョージ・ソロス氏は、中国の債務危機がぼっ発するリスクがあると警告。一方、雑誌「エコノミスト」はこのほど、「迫り来る債務の爆発」というタイトルの記事で中国本土の債務危機が最終的に金融危機として終わりを迎える可能性が極めて高いと指摘した。同誌は中国政府に、人民元の国際化を止めて危機対応に向けて「弾薬」を蓄えるよう呼びかけた。

中国政府債務残高推移.png

深刻な債務問題に直面する中、「権威」は人民日報に対して、「金融緩和の増強で経済成長の加速を試みるという幻想を完全に捨て去らなければならない」と述べた。また、今後の経済のすう勢について、V字型でもU字型でもないL字型になるとした。このL字型の状況は1~2年間で終息せず、一定期間続くことになるという。

中国本土の経済や市場は引き続き調整?

中国の債務問題は日一日と深刻化しており、債務残高が国内総生産(GDP)の2倍超に達している。実際の問題は表面化している状況よりもずっと深刻だと疑う者も多い。また、ここ数年間、不良債権銀行の収益の足かせとなっていることから、企業の厳しい経営状況がうかがえる。経済構造の調整に大胆に取り組む必要があり、経営が不振な一部の企業については倒産させることも辞さず、低収益の企業を無駄に延命させるための「以債養命(債務で命をつなぐ)」といった従来のやり方を改めなければならない。
「権威」の見解によると、中国本土の経済や株式市場、不動産市場は引き続き調整が続くことになる。しかし、債務危機がぼっ発して世界中の資本が中国投資に対する自信を失うよりはましだという。債務危機がぼっ発すれば、資金が流出し、株式市場や不動産市場が大幅に下落して必然的に金融市場に大きな動揺が広がり、中国や香港の経済の崩壊を招いてしまう。
当然のことながら、報じられた「権威」が誰であるかは謎のままだ。しかし、中国政府に近い情報筋の多くが、国家主席兼共産党総書記の習近平氏または中央財経領導小組弁公室(中国共産党の経済・財政政策諮問機関)の責任者ではないかとみている。中国は過去にも、毛沢東のような最高指導者が「権威」として人民日報で評論を発表した例がある。このため、今回の「権威」が習近平氏である可能性は非常に高い。そして、こうした理由から、「権威」の経済に関する評論や追加的な金融緩和を否定する言論は、今後一定期間における中国政府の経済政策の主調となる。

”権威”と首相、経済問題に意見の食い違いも

一方、「権威」は中国の銀行による債務の株式化「デット・エクイティ・スワップ(DES)」についても言及。DESのようなやり方は根本的な解決につながる優れた方法ではなく、多用すべきでないと強調した。DESとは、企業が銀行に対して負っている債務について、その中でも特に質の悪い債務を企業の株式に転換して銀行に取得させることだ。これにより、企業の負債が軽減されるだけでなく、銀行不良債権を減らすことができる。「権威」はDESに対して反対意見を示したが、こうした姿勢は李克強首相が以前にDESについて繰り返し述べた意見と異なる。このことから、中国の最高指導グループ内で経済問題の解決について明らかに意見の食い違いがあり、「同床異夢」の状況となっている可能性すらうかがえる。

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