2017/07/22 10:45:04

黒田日銀の対話力に市場は不信感 高まる6月緩和期待は見送りの前兆?(5月調査)

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QUICK月次調査<外為>

外為市場の心理調査です。株式市場に大きな影響を与える円相場について、プロの見通しや注目点を紹介しています。

黒田日銀の対話力に市場は不信感 高まる6月緩和期待は見送りの前兆?(5月調査) (2016/05/23)

  • 「問題あり」8割超 黒田日銀の「市場との対話」
  • 6月追加緩和予想は過半数に 手法は質的緩和予想が最多
  • FRBの追加利上げ、「12月」予想4割強で最多に
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外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の5月調査を、5月23日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者64人が回答、調査期間は5月16~19日)。この間の為替レートは、対ドルが108円76銭~109円42銭。対ユーロが123円06銭~124円04銭でした。

黒田日銀の「市場との対話」、8割超が問題ありと回答

「黒田バズーカ」と言われる量的金融緩和を断行し、「円安・株高」を演出する立役者の1人となった黒田東彦日銀総裁。2013年4月に日銀総裁に就任するや、大規模な量的金融緩和を実施することによって見事、「レジームチェンジ(経済環境の潮目の変化)」を印象付けた手腕は高く評価されましたが、果たして今はどうでしょうか。

日銀は今年1月28~29日に開催された金融政策決定会合において、マイナス金利の導入を決定しました。しかし、それによって円安・株高が進むどころか、恐らく日銀の意に反して円高・株安に転じる結果となりました。黒田バズーカの神通力は完全に失われた感があります。マーケット参加者による黒田・日銀への評価はどうなのでしょうか。

まず、日銀の黒田東彦総裁による「市場との対話」を現状どう評価しますか、という問いに対しては、「かなり問題がある」が46%、「やや問題がある」が38%となり、合計84%が「問題あり」とみていることが分かりました。

市場との対話

「黒田バズーカ」は市場の期待以上の緩和策を断行したり、予想外のタイミングで追加緩和に動いたりするというのが特徴のひとつでした。しかし、市場では「市場への(金融緩和の)短期的なインパクトを意識しすぎており、発言と行動がかい離しつつある」(銀行)との声も聞かれます。

マーケット参加者は企業業績でも金融政策でもそうですが、方向性がはっきりしない「先行きの不透明感」を嫌う傾向があるとされます。不透明感が強ければマーケットに影響する材料が出た時の相場変動(ボラティリティ―)が大きくなるため、リスクを取りづらい状況が続くためです。黒田総裁の発言が結果的に市場の混乱を招いているとの思いが、マーケット参加者のこうした低い評価につながったとみられます。

6月追加緩和に黄信号? 回答者の過半数が予想

黒田・日銀と市場との対話がギクシャクするなか、日銀の年内の金融政策をどう予想するか聞いたところ、「6月に追加緩和」が53%で最多となりました。次に「7月に追加緩和」が22%となり、「追加緩和なし」は8%にとどまりました。

日銀金融政策

国内景気に力強さがなく、日銀が掲げる物価上昇2%の目標達成にも暗雲が垂れ込める中で市場は追加緩和の実施を確実視している状況といえます。ただし、ある回答者は「黒田総裁のこれまでの行動様式から考えると、市場が追加緩和期待をしている状況では追加緩和をしてこないだろう」と予想しています。

まさに、黒田日銀総裁の市場との対話能力が問われるところですが、過去の状況が示すようなよりサプライズを狙った対応をみせるのか、市場の見方・期待に歩み寄るのか、6月の日銀会合での黒田総裁の行動に要注目です。

なお、日銀が次に金融緩和を行うとした場合、その手法は何かという点ですが、これについては、複数回答可で「質的緩和拡大(買い入れ対象資産の拡大)」が88%を占め、次に「量的緩和拡大(買い入れ金額の増額)」が59%で続きました。一方、「マイナス金利の拡大」は42%、「貸出支援基金へのマイナス金利適用」が38%で、マイナス金利に対する期待感はやや後退した感があります。

日銀緩和手段

為替介入のトリガーは「100円」か

また日本の為替政策についても質問してみました。米政府が4月下旬に発表した為替報告書で日本の為替政策を監視リストにしてした一方、麻生財務相は円高進行に対して為替介入の用意があると明言しています。そこで、実際に円売り介入に踏み切る場合の引き金となる水準について聞いたところ、平均値で1ドル=100円55銭となりました。

為替介入

今回の回答者のレンジは90~105円となっています。日米金融当局者のつばぜり合いは当面続きそうな雰囲気ですが、やはり100円の大台を突破するような円高が進行するようだと、マーケットに与えるインパクトも大きいとみられ、日本政府も行動に移すとの見方が市場では根強いようです。

FRBの追加利上げ、「12月」予想が42%で最多

次に米金融政策です。6月14~15日開催のFOMC(米連邦公開市場委員会)後の6月23日に英国ではEU(欧州連合)離脱の是非を問う国民投票が実施されます。このイベントはFOMCの政策決定にどのような影響を及ぼすかについて聞いたところ、47%が「利上げ見送りの要因になる」と回答した一方、52%が「特に関係ない」と答えています。

BREXIT

またFRB(米連邦準備理事会)の年内の金融政策については、「6月に追加利上げ」が27%、「7月に追加利上げ」が30%を占める一方、「12月に追加利上げ」が42%となりました。

米利上げ

11月の大統領選挙前にはFRBも政策決定で動きにくい面があるため、大統領選挙が終わる12月に追加利上げが行われるとの見方が多くを占めたものと考えられます。

一方、5月18日(日本時間19日)に公表された4月26~27日開催分のFOMC議事要旨では、大半の参加者が「6月会合で利上げが適切となる」と判断していたことが分かり、市場では6月利上げ説が再浮上しつつあるようです。しかし、利上げの条件は「経済・物価情勢の改善が続く」か否か。今後も米経済の回復力や世界情勢を見極めながらの状況が続きそうです。

頭打ち感が強い資源国通貨

毎月定点調査している金融機関の外為業務担当者の為替見通しによると、5月末の平均値で109円48銭となり、前回調査の109円15銭に比べてやや円安方向にシフトしました。6カ月後には111円台も視野に入っています。

ドル円チャート今後6カ月程度を想定した為替変動要因で注目されるものとしては、円、ドル、ユーロともに「金利/金融政策」が最も高い状況に変わりはありませんが、ドルについては前月比で9%の減少です。逆に「当局の姿勢(介入を含む)」については、ドルが前月比で5%の増加となりました。

また、向こう6カ月間のうち、各通貨は対円でどのように推移するかについては、米ドル高に対する期待感が徐々に高まっているものの、スイスフランやNZドル、インドルピーは、プラス圏だった前月から、マイナス圏に変わってきました。そのほか、カナダドル、豪ドル、南アフリカランドなどの資源国通貨は弱含みで推移。原油高で一時は持ち直す展開になりましたが、戻りが弱く、先行きに対する悲観ムードが浮上しています。

企業のドル円想定レートは112円80銭

ファンドの外貨建て資産の組入状況について、当面のスタンスは「ニュートラル」が前回調査に比べて低下する一方、「オーバーウエート」が11%から25%に上昇しました。ひところの円高悲観ムードは、やや後退した感があります。
また、為替ヘッジに関する当面のスタンスは、「現在のヘッジ比率を維持」が88%から71%に低下する一方、「ヘッジ比率を下げる」が13%から29%に上昇しました。
なお、業績予想の前提となる想定為替レートについて聞いたところ、平均値はドル円で1ドル=112円80銭、ユーロ円で1ユーロ=125円05銭になりました。

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