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「お客さま視点で変わり続けて必然企業に」セコム・前田修司氏

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「お客さま視点で変わり続けて必然企業に」セコム・前田修司氏 (2016/02/23)

  • 「『安全・安心』のサービス」…今後はビッグデータの活用がカギ
  • 地域連携型の暮らし相談口を試験運転…超高齢化社会見据え
  • セキュリティ×情報サービス…ビジネスモデル構築と海外展開目指す
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ビッグデータを生かした新サービスを次々に生み出し、小型無人機「ドローン」や自律型飛行船など2020年東京オリンピックの防犯警備で注目されているセコム。社長時代の2012年にオールセコムのイメージで新たに描いた、前田修司代表取締役会長に同社の進化の理由や将来像を聞いた。※本記事は2016年2月10日にQUICK端末で配信した記事です。

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日本初の警備会社セコム、転機は1964年の東京オリンピックに

  • 【問】御社は創業50年を超える日本初の警備会社です。
  • 【答】1962年、当社は日本初の警備会社「日本警備保障」として創業しました。企業向けに巡回警備、常駐警備などの警備サービスを展開し、契約先は徐々に増えていきました。創業から2年後の1964年東京オリンピックでは当社1社、100人ほどの人数で代々木の選手村の警備を担当し、社会から高い評価と信頼を得て、飛躍のきっかけとなりました。当社が東京オリンピックで警備を請け負ったことで、日本で初めて警備会社にスポットがあたりました。
  • 創業以来、当社は警備を通じて法人や個人の「安全・安心」を守ることに注力し、独自のセキュリティサービスやセキュリティシステムを作り出してきましたが、その枠をさらに広げ、社会全体の「安全・安心」を担う会社になると決断しました。これから来るであろう情報社会を見据え、セキュリティ事業で構築した情報通信ネットワークを活用し、防犯・防火だけでなく、より広範な「安全・安心」を提供する新しい「社会システム産業」の構築を開始すると、1989年に社内外へ宣言したのです。
  • 「社会システム産業」の構築を目指して、当社はセキュリティ事業に続いて1983年情報系事業に進出、1991年「在宅医療サービス」の開始によりメディカル事業、1998年保険事業、1999年地理情報サービス事業、2000年不動産事業、2006年防災事業を開始するなど、「社会システム産業」構築に不可欠な事業分野を次々と開拓してきました。会社が成長する過程でM&Aも積極的に行ってきました。例えば、「安全・安心」には防災事業も不可欠ですので能美防災やニッタンと連携しました。そして、「社会システム産業」の構築を加速するために、2010年オールセコムの戦略を開始しました。
  • 【問】オールセコムは前田会長が社長時代に登場した言葉ですね。
  • 【答】そうです。現在も事業領域はセキュリティを中心に、防災、メディカル、保険、不動産、地理情報、情報通信の7つです。現在の事業領域を”サービス”分野で表現すると、データセンターを核とした「セキュリティ」「超高齢社会」「災害・BCP(事業継続計画)・環境」となり、”オールセコム”でイメージしやすくなりました。
  • 【問】これまで何度か転機が訪れたと思いますが、オールセコム戦略もそのひとつですね。
  • 【答】そうですね。いろいろなことがありました。例えば、1964年東京オリンピックでの選手村警備や、1965年4月スタートの宇津井健さん主演のテレビドラマ「ザ・ガードマン」、1990年長嶋茂雄さんのホームセキュリティのテレビCM「セコム、してますか?」などで世の中にセコムが知れ渡り、警備業が産業として認知されるようになりました。

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  • 技術的な切り口ではインフラの進化がありました。中でも通信回線事情の進化で文字情報だけでなく画像情報も送れるようになったことが大きかったです。当初、50ビット/秒の専用線から始まって、その後ISDN、ADSL、それと同時並行で携帯電話が普及してPHSなどが出てきました。結局、今は光回線と携帯電話網が主流となりつつあります。大容量のデータを早く送ることが出来ればデータを圧縮する必要がなくなるのです。1秒間に50ビットしか流れなかったのが今では最速で10ギガ程度まで実現しています。通信速度は2億倍速くなったと言えます。無線通信の回線スピードや容量が上がれば、携帯電話でも有線の通信網と同じレベルの画像送信が可能となり、犯罪が起きているリアルな瞬間をとらえることが出来るようになります。データセンターを中心に、防犯のみならず、「快適・便利」につながるサービスがどんどん広がっていきます。その形がまさにそこまで来ています。
  • 私が当社に入社した頃、ホームセキュリティは10万件を超えるかどうかという状況でした。それが今や100万件を超えてどんどんネットワークが広がっています。また、家の中で子供や孫の写真などもホームセキュリティを利用すると当社のデータセンターに預けることが出来るようになりました。東日本大震災を機に、災害時の備えとして写真や身分証明書などの個人情報を当社がお預かりするサービスを始めたのです。入社時には、当社が今のような会社になるとはほとんどイメージ出来ませんでしたが、ネットワークが世の中を変えていくことは予想していました。
  • 「『安全・安心』のサービス」…今後はビッグデータの活用がカギ

  • 【問】2012年10月、東京電力のデータセンター運営子会社、アット東京を買収されました。御社の業績拡大に大きなインパクトがあったのではないでしょうか。
  • 【答】これは大きかったですね。セコムグループでは、2000年に国内最高レベルのセキュリティを誇るセキュアデータセンターを構築していましたが、アット東京がグループ入りしたことで国内最大規模のデータセンターを持つことが出来ました。データセンターは、色々な事業分野からの基本情報をお預かりし、その後の変化情報、例えば、センサーの状況や画像データなどを解析し、セキュリティ、超高齢社会、災害・BCP・環境の3分野でサービスを行うビッグデータサービスが可能となるのです。そうしてさまざまな「安全・安心」のサービスが行き渡った社会、社会システム産業の実現を目指しています。
  • 【問】データセンターの役割は非常に大きいのですね。ビッグデータから生み出される「安全・安心」のサービスにはどういうものがありますか。
  • 【答】例えば、当社には監視カメラのデータがあります。リアルタイムの混雑状況、その中の性別や年齢の構成、建物の老朽化状況などがわかります。他のカメラと連携することで新しいコンテンツが生まれます。地理情報サービスを手掛けるパスコは32機の小型飛行機と25基の人工衛星を利用出来る体制を敷いています。こうした装置を使って上空と地上から撮った画像をあわせて3次元の3D画像を作り上げると、「ここの人はどの建物から見えるのか」、「ここを見るにはどこにカメラを設置すればいいのか」、などが全部わかります。
  • 直近では、2015年12月、当社のドローン監視システムが国交省から認可され、24時間警備で夜も飛べるようになりました。当社のドローンは、画像認識とGPS(全地球測位システム)で自分の位置を認識しながら緯度経度を指示されるとそこへ飛んで行くことが出来る世界初の自律型小型飛行監視ロボットです。監視カメラやライトなどを搭載し、地上3~5メートルを時速10キロ程度で飛行して不審者に近づきます。撮影した動画は当社のセンターに送信され、警備員が急行します。
  • また、2016年2月末の東京マラソンでは飛行船を飛ばして新しい警備を実現します。飛行船の高精細カメラと地上の警備員のウエアラブルカメラを活用して立ち入り禁止場所などにいる不審者を発見することも出来ます。ゼッケン番号と顔を照合するシステムも取り入れ、テロ行為や替え参加を防ぎます。飛行船は、無線技術や画像・伝送技術、画像認識を搭載し、他のデータとの比較で、上空から地上でどんなことが起きているのか、例えば、不穏な動きがある、見慣れない不審物が置いてある、子供が迷子になっている、そういうことを監視することも可能となります。こういう時にはこういう可能性があるという傾向と分析をビッグデータに加えてカテゴライズしておくと推測出来るのです。
  • 【問】日本もテロの潜在的脅威にさらされていますが、御社のドローンや飛行船があるから安心ですね。
  • 【答】ありがとうございます。出来るだけそう感じてもらえる様に努力します。現在、ドローンや飛行船が色々なイベントなどでも使えるように調整しているところです。
  • 【問】今年は日本でサミットが、2020年には東京オリンピックが開催されます。
  • 【答】2008年洞爺湖サミットは当社をはじめ主に3社で警備を担当しましたが、2020年東京オリンピックは、業界全体、オールジャパンでやらないととても出来るものではありません。2020年東京オリンピックは1964年の時とは規模が違います。警備会社と警備員の数は、当時の1社100人から今や9400社54万人という規模にまで成長しています。1964年と2020年の東京オリンピックは全く別物という形で取り組まないといけません。聖火ランナーは47都道府県全部走りますから全国で警備することになります。都道府県すべてで雑踏警備や交通誘導を行います。それだけでも何万人もいるわけです。「安全・安心」をオールジャパンで発信していきます。
  • 【問】警備の世界は、ガードマンによる警備から機械も活用した警備へと着実に進化を遂げています。「2020年東京オリンピックの警備は3割ガードマン、7割データ活用」との予測もあります。どうお考えですか。
  • 【答】今は何とも言えません。ビッグデータの活用がカギを握ることは間違いありません。機械を活用した警備は増えています。しかし、人による警備も増えています。警備には人手が必要です。現場を警備員に確認してもらうことで情報の信頼度は高まります。最後は人です。
  • 地域連携型の暮らし相談窓口を試験運転…超高齢化社会見据え

  • 【問】連続して増収増益と業績も好調です。その理由をどうお考えですか。
  • 【答】当社のビジネスモデルを愚直に実践しているということだと思います。当社のビジネスモデルは、現在の警備・防犯契約に新規の契約を積み上げていくストック型ビジネスモデルです。「安全・安心」のサービスを提供する対価として毎月継続的に一定料金をお客さまより頂きます。他業界に比べると景気が業績に与える直接的な影響は少ないと思います。国内企業や家庭向けの契約件数は200万件を超えています。その上で、技術、犯罪、社会の3つの動向に絶えず目配りしながらお客さまのニーズに応えようとしています。今期は企業向けの警備サービスの契約が国内外で伸びました。他社より値段が高くても当社のシステムを採用すれば、「より一層時間管理が出来る」、「環境に優しい」、「電気代やコピー代が下がるなど経費削減効果がある」、といった不況時でもお客さまに受け入れやすいご提案をさせて頂いていることも業績向上に寄与していると思います。
  • 【問】連結売上高収入の内訳で構成比を見るとメディカル事業が上昇していますね。
  • 【答】意図的にメディカル事業の売上構成比率を上げようとしているわけではありません。サービスは、セキュリティ、超高齢社会、災害・BCP(事業継続計画)・環境の3つで、力を入れているのは高齢化の分野だけではありません。オールセコムで取り組んでいます。もちろん、今後も超高齢社会の中で大きな役割を果たしていきたいと考えています。
  • 【問】では、どう役割を果たしていきますか。
  • 【答】例えば、気象災害はゼロには出来ませんが、気象災害による被害を減らす「減災」は出来ます。同じことが高齢化問題にも言えます。既往症を持つ高齢者が外出先で急に発症して倒れたり、認知症で徘徊したりすることもあるでしょう。しかし、危ないからと家に閉じこもっていては体調を崩すことにもなりかねません。健康な高齢者でいてもらうためにも、少しでも多く外出してもらいたいと思います。そのためにココセコム(屋外用携帯緊急通報システム)やセコム・マイドクタープラス(高齢者救急時対応サービス)があるのです。50グラムほどの携帯端末にGPS機能が内蔵されていて、家族は契約者専用のウェブサイトで位置検索が出来ます。自分が迎えに行けなければ、要請があれば稚内から沖縄まで2830カ所の国内拠点から当社の緊急対処員が駆けつけます。これらの拠点を活用してセキュリティに限らずあらゆるサービスを展開出来ます。利用件数は増えています。人口減に歯止めをかけようとしている政府目標には、高齢者が元気に安心して生活出来る環境も必要です。ココセコムやセコム・マイドクタープラスは政府の政策にも有効だと思います。
  • もうひとつあげると、2015年4月、東京都杉並区の久我山周辺地域を対象に、超高齢社会に対応する新サービス「セコム暮らしのパートナー久我山」を試験的に開設しました。地域に密着し高齢者のお困りごとにワンストップで対応するくらしの相談口です。高齢者は、移動のためにタクシーを頼んだり、住居の修理や家事代行を地域工務店や家事代行会社に依頼したり、重たい荷物の配達をスーパーに依頼したり、そういう細かな日常的なサービスをワンストップですべて受けられます。久我山モデルを地方、過疎地にも展開していきたいと考えています。

日本 世代別人口

  • セキュリティ×情報サービス…ビジネスモデル構築と海外展開目指す

  • 【問】地方には過疎地、隣の家が500メートル先という地域もあります。不採算も危惧されますが。
  • 【答】医療も含めた7つの事業領域各々の採算ではなく、オールセコムで社会貢献という考え方で事業推進しています。
  • 【問】提携先の久我山病院とスーパー、コンビニ、運送会社などいろいろな業界の会社とつながりが出来ます。
  • 【答】そうです。そこからどんどんデータが集まってきます。社内のデータに加えて社外のデータも集積され、それがビッグデータになります。データセンターでビッグデータを有効に解析して新しいサービスを生み出します。久我山モデルから新しい事業要素や新しい事業展開のイメージどんどん出てくるようになります。
  • 【問】御社はセキュリティ事業者というよりもビッグデータサービス事業者と呼べる存在とも言えますね。
  • 【答】そう言われて違和感はありません。データから価値を生む経営はグーグルのような会社と言われたこともあります。
  • 【問】事業領域は広範囲でグループの会社総数は200社に達しています。オールセコムには多角化経営のイメージもありますが。
  • 【答】多角化経営ではありません。もちろん、脱警備会社を目指しているわけではありません。オールセコムで「安全・安心」で「快適・便利」なサービスをお客さまにお届けすることに資源を集中するということです。
  • 【問】どういうスタンスでお客さまに「安全・安心」で「快適・便利」を提供していますか。
  • 【答】他社が手掛けた方が社会にとって良いのであれば他社がやればいい。当社が手掛けた方が社会にとって良いのであれば当社がやればいい。当社グループの方がお客さまに「安全・安心」をより多くお届けすることが出来る。当社が手掛けることで社会に最も貢献出来る。そう判断した領域に参入しています。
  • 【問】具体的には。
  • 【答】例えば、2011年東日本大震災の時に避難所に立ち寄って被災者の方々からさまざまな苦労話を聞くことが出来ました。「薬が必要でも処方箋が津波で流されて服用薬の名前がわからない」、「通帳・印鑑が流されて預金が引き出せない」、「家族や友人の大切な写真や身分証明書が流された」、「家族に連絡を取りたくても家族の携帯番号がわからない」。そういった事態が続出しました。これらはまさに「安全・安心」に関わる問題です。被災された方々からの声やさまざまな被災状況を見て、企業や家庭、個人のデータをいつでもどんな時でも安全に取り出せて利用出来るシステムが必要であると痛感し、当社グループがやらなければならなかったことだと気付かされました。それで開発したのが「セコムホームセキュリティGカスタム」です。これは、ホームセキュリティを通じてデータセンターにお客さまの大切なデータをお預かりすることも出来る新しいシステムです。自宅に設置のホームセキュリティ端末のカメラで、運転免許証や健康保険証、服用中の薬、銀行通帳、大切な写真などを撮影すると、当社のデータセンターで安全に保管されます。データは、グループの情報セキュリティ会社、セコムトラストシステムズがしっかりと管理します。24時間対応のセキュリティ端末からいつでも預けたデータを利用出来ます。家が流されても必要な情報は流されずに保管し、必要な時に必要な情報を見ることが出来ます。2011年12月販売を開始しましたが、セキュアなデータセンターを持っていながら今までどうしてそういうサービスを提供してこなかったのか、震災前に作っておけばよかった、と後悔しました。
  • 【問】震災を経験して情報管理の重要性を再認識され、なすべきことはまだまだあるとお感じになられたのですね。
  • 【答】世の中がどんどん変わっていきますから、まだまだやるべきことはたくさんあります。高齢者向けのサービスです。久我山モデルから出てくるいろいろなニーズに応えていくということを全国に広げるには今の体制ではまだ不十分です。当社と提携する病院は全国に19カ所ありますが、西日本については手が回っていない状態です。これらの地域でも提携病院を増やし、全国でトータル的なサービスの実現を目指します。
  • 世界でも断トツの高齢化率の日本で新しくビジネスモデルを作れば、そのビジネスモデルを海外へ展開出来ます。いち早く課題に取り組む日本から地球規模の「安全・安心」で「快適・便利」が提供出来るようになる。だからこそ日本で作り上げないといけないと思っています。高齢者の方たちに新しいサービスを提供して、意見を頂戴し、レベルアップし、世界に発信していきます。
  • 「気づいたらセコム」へ…時代に即した変化を

  • 【問】最後に、お客さまにサービスを提供する時に心掛けていることは何でしょう。
  • 【答】当社では、世の中にとって、お客さまにとって大事なものは何かというところから考えていきます。技術から考えるのではなくサービスから考えます。例えば、「ICのミニマム化に成功したからこれは何かに使えないか」と考えるのではなくて、「このサービスをお客さまに提供するにはどういう技術やインフラが必要なのか」と考えます。その結果、「ICのミニマム化が必要だ」と考えます。技術から入っていくと偏った見方になります。この技術を使って何かをやろうと無理に作ると良い結果は得られません。サービスから考えるのがセコムです。
  • 【問】お客さま視点だからこそ御社は時代とともに変わり続けられるのですね。
  • 【答】社長時代から防犯のセコムから困った時はセコムと言われることを目標にしてきました。変わり続けて「気づいたらセコム」、意識しないで周りにいる空気みたいな必然企業になっているといいと思っています。

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  • (聞き手・QUICK情報・コンテンツ本部 岡村健一)
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