2017/09/22 15:23:27

ASEAN発足50周年、インフラ事業を基盤とする経済成長の黄金期が到来 HSBCレポート

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アジア特Q便

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ASEAN発足50周年、インフラ事業を基盤とする経済成長の黄金期が到来 HSBCレポート (2017/09/15)

  • ASEAN主要経済圏、今後5年間でインフラ投資2倍に
  • 潜在的な購買力に中国も期待
  • インフラ事業を基盤に黄金期へ
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 QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は、HSBC商業銀行部門アジア太平洋地域統括責任者のスチュワート・テイト氏がレポートします。

ASEAN主要経済圏、今後5年間でインフラ投資2倍に

 今年で発足50周年を迎えるASEAN(東南アジア諸国連合)の主要経済圏は、今後5年間にインフラ投資を2倍に拡大して7,000億米ドル超とすることを約束している。これによって貿易や観光産業、今後数十年間の持続的な経済成長のための開発事業に弾みがつく可能性がある。

 またASEANのメンバー10ヵ国の経済政策における財政支出計画の焦点は、主に2020年にかけて輸送環境を整備することにある。

 世界経済フォーラムの国際競争力レポートでは、長期的に堅調な経済を創出する上でインフラが極めて大きな役割を果たすことから、こうした投資が重要であるとされている。

 さらに、ASEAN内外の貿易や投資を活発化し、人とモノの流れを円滑にするために、一段と連携を強化することの重要性も軽視できない。

 こうした取り組みは、世界最大の人口を抱えて急速に成長を遂げる、活気に満ち溢れたASEAN地域において域内外の企業が事業機会を最大限に拡大するための支援となる。ASEAN諸国全体のGDPは約2兆8,000億米ドルとすでに世界第7位の規模にあり、今後2030年までには世界第3位まで入ってくることが予想される。

 ASEAN地域のサプライチェーンの輸送網が改良されれば輸入コストが減少する。現在の世界貿易の70%を中間財やサービス、資本財が占めているとの世界銀行の推計から判断してもコスト減少の効果は決して小さいものではない。

 

ASEANの潜在的な購買力に中国も期待

 またASEANでは、今後数10年間に新たに創出が見込まれる5,700万世帯の中間層家計の消費活動を追い風に、貿易数量が2014年から2025年の間にほぼ倍増して2兆8,000億米ドルに達すると予想されていることからも、サプライチェーン改良のもたらす効果は小さくない。

 こうした裕福で若い都市人口の増加により巨大な消費者購買力が見込まれることは、中国が「一帯一路」構想の下で貿易活性化につながるインフラ整備や投資、事業を強化しようとする大きな理由でもある。

 ASEANと中国は、相互貿易額を昨年の5,000億米ドルから2020年までに倍増させて1兆米ドルにするとの目標を掲げている。こうした背景からもインフラ投資や主要プロジェクトに関わるエコシステム事業の機会は特に魅力的なものとなっている。

 

インドネシアに大規模な事業機会

 ASEAN域内のあらゆる大国に事業機会はみられるが、直近で大規模なチャンスが生まれているのはインドネシアである。

 インドネシアが2016年から2020年の間に計画しているインフラ投資は3,500億米ドルとASEAN主要5ヵ国の合計額の約半分に相当する。それには以下のような理由がある。

 ASEANで最大の経済規模を有するインドネシアでの輸送インフラへの投資はGDP比6%と域内で最も低い水準にあり、フィリピンの同13%やマレーシアとタイの19%、シンガポールの31%に遅れをとっている。

 インドネシア政府のインフラ予算は2014年以降に倍増したが全体的な支出必要額には遠い。また財務省は2015年から2019年までに民間セクターには1,300億米ドル相当の事業機会が生じると推計している。

 

タイは1,200億米ドルのインフラ支出を計画

 インドネシアに次ぐ規模のインフラ市場を有するのはタイである。事業規模で700億米ドルに相当する56件の巨大プロジェクトを始めとする、1,200億米ドルのインフラ支出が計画されている。

 タイでは、GDPの84%を製造業が占め、また製造業製品のほぼ全て(96%)が陸上輸送されているという現実が、輸送網の改善を促す背景となっている。

 早期着工が予定される56件の巨大プロジェクトの事業規模が700億米ドルであることに加え、事業規模440億米ドルの「東部経済回廊」開発計画によりタイは民間セクターの資金調達の主要市場となり、必要資本の4分の1前後は「官民連携(PPP)」の下で調達される見通しである。

 

フィリピン、道路・鉄道整備の「ドリームプラン」

 ASEANの議長国を50周年の節目の年に務めているフィリピンも、2017年から2022年までに1,440億米ドルの積極的なインフラ投資を行うことを念頭に、今後数十年間をかけて競争力を強化するための画期的な計画を策定している。

 実施が予定されている投資案件の約90%は輸送網に関連するものであり、また政府が「ドリームプラン」と称する2018年から2020年までの道路と鉄道に係る直近の整備事業の規模は410億米ドルである。

 フィリピンでは政府が税制改正に動いていることによって外国からの対内直接投資が促進され、外国資本による企業所有の規制が緩和されている。また一段の民間投資が促され、すでに中国企業がフィリピンのインフラ事業に参画し始めている。

 

マレーシアは鉄道投資を柱に輸送網を整備

 マレーシアでは、輸送網を巡る大きな事業機会は、国内の各地域間の連絡や地方における連絡を活性化し経済効率を改善することであり、また適切に統合された輸送システムを創設し、ASEAN地域における国際貿易ハブとしてのマレーシアの地位向上につながる物流能力を高度化することにある。

 2016年から2020年までの5年間のインフラ支出計画は850億米ドルとされ、2011年から2015年までの500億米ドルから増加している。

 輸送網の整備への支出においては鉄道投資が柱とされ、シンガポールとバンコクをつなぐ高速鉄道を中心に、現存の大量輸送能力を強化し東海岸の開発を進める計画が立てられている。

 

シンガポール、地下鉄システムの規模を拡大

 シンガポールの輸送インフラはすでに世界最高水準だが、さらに都市国家として地下鉄システムの規模を2030年までに2倍に拡大する政府計画の下で一段と進歩する見通しだ。

 2016年から2020年までの期間に3つの新しい路線を建設して地下鉄網をさらに113キロメートル延伸させる事業では、600億米ドルの新規投資が生まれると予想される。これは2011年から2015年までの期間の投資額の500億米ドルを上回っている。

 

ASEANはインフラ事業を基盤に黄金期へ

 ここに挙げた全ての経済活動は、ASEANの各経済圏が未来を見据えて経済成長と経済開発の基盤作りに注力していることの表れである。

 すなわち、50周年を迎たASEANではインフラ事業が貿易と投資の成長を下支えする黄金期が始まろうとしているのである。

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