気になる投信用語③「リターン」は「分配金を加味して確認を」

ポイント
  • 誰もが気になる投信のリターン(収益率)とは・・・分配金の影響に要注意
  • 「分配金再投資換算」と「分配金受取換算」
  • 手に入る金額を調べるのか比較するのか、目的に応じた使い分けを
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 投資信託に興味はあっても、専門的な用語が多くてとっつきにくい・・・。そんな投資初心者のために、QUICK資産運用研究所では新たに「気になる投信用語」の配信を始めた。投信選びの参考になりそうな言葉の意味やデータの使い方などをシリーズでわかりやすく解説する。第3回は「リターン」。

投信のリターン(収益率)とは・・・分配金の影響に要注意 

 投資信託(ファンド)のリターンは、運用成績を測るひとつの指標。基準価額が一定期間に何%上がった、何%下がったという変化率のことで、収益率ともいう。

 リターンを見る場合、ファンドが決算日に保有者に配分する「分配金」の影響に注意が必要だ。預貯金の利子は金融機関の資産から支払われるが、分配金はファンドの純資産を取り崩すため、決算日(分配落ち日)に分配金を支払うとその分だけ基準価額が下がるからだ。

 基準価額が大きく下がっていても、それが高額の分配金を支払った影響だとすれば、運用成績が悪化したわけではない。実態を測るには、基準価額に分配金を加味したリターンを確認する必要がある。

「分配金再投資換算」と「分配金受取換算」

 分配金を加味したリターンの算出方式は、分配落ち日に分配金を再投資したとして算出する「分配金再投資換算」と、基準価額に分配金を単純に足して算出する「分配金受取換算」の2種類がある。運用会社の月次レポートにあるリターンは、主に分配金再投資換算だ。

計算してみよう!

仮のデータをもとにリターンを計算すると、その違いがわかる。 

リターンと分配金

 まずは9月のリターンを算出してみる。月中の分配金を考慮しない場合は単純に8月末と9月末の基準価額の比較だけでよいので、計算式は、(1万200円-1万円)÷1万円=0.02(2%)となる。分配金受取換算なら、(1万200円+200円-1万円)÷1万円=0.04(4%)。

 ただし、月中の分配金を分配落ち日に再投資したとして計算する場合、分配落ち日から月末までの期間における分配金の増減率を考慮する必要がある。増減率を加味した分配金は、分配金に対して、分配落ち日と月末の基準価額の変化率を掛け合わせればよく、計算式は、200円×(1万200円÷9700円)。これを元のリターンの計算式に入れると、{1万200円+200円×(1万200円÷9700円)-1万円}÷1万円≒0.041(4.10%)となる。

同様に10月のリターンを計算すると以下のようになる。
・基準価額:(1万500円-1万200円)÷1万200円≒0.0294(2.94%)
・分配金受取換算:(1万500円+300円-1万200円)÷1万200円≒0.0588(5.88%)
・分配金再投資換算:{1万500円+300円×(1万500円÷9800円)-1万200円}÷1万200円≒0.0609(6.09%)

※上記いずれも手数料などを考慮せず課税前の分配金で計算。

目的に応じた使い分けを

このように計算方式によりリターンの値が異なる結果となったが、投資家が分配金を含めて実際に受け取る金額ベースでリターンを確認するときは分配金受取換算、分配方針が異なるファンド間の成績を比較するなどファンド本来の成長を確認するときは分配金再投資換算といったように目的に応じて使い分けることが重要だ。

(QUICK資産運用研究所 小川伸一)

QUICK資産運用研究所は、知っているようで、実はよく理解していない投信用語を分かりやすく解説した「気になる投信用語」の配信を始めました。用語の具体的な使い方やQUICKサービスでの活用事例なども紹介します。どうぞご活用ください。

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