台湾半導体、業界再編と相場急変でM&A相次ぐ 自社株買いも広がる

※QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は台湾の現地記者、李臥龍(リー・ウォーロン)氏がレポートします。この記事は9月2日にQUICKの端末サービス上で配信されたものです。 世界最大手の日月光、セキ品精密工業に協力を提案も反応は冷ややか 世界の半導体産業の再編の動きに対応するため、台湾の半導体産業でも、合併の動きが活発化している。この1~2週間のうちに2件の合併案が持ち上がった。 半導体後工程(パッケージング・テスト)の世界最大手である日月光(ASE)は、1株45台湾ドルで、セキ品精密工業(SPIL)の普通株と米国預託証券(ADR)を合わせた5~25%相当の株式を取得すると発表。新勢力の台頭に対応するため、互いに協力し合うことを提案をし、誠意を示した。 パッケージング・テストの同業者によれば、日月光のこの行動は、セキ品精密工業が最近、アップルから指紋識別システム向けチップなどSiP(System in Package、複数のチップを1つのパッケージに封止する技術)の受注に成功したことから、将来的にセキ品精密工業とアップルの関係がより緊密化することを恐れ、先手を打って買収を実施し世界トップの地位を固める狙いがあるという。 この株式の公開買い付け(TOB)は、9月22日を締切日としている。現在のところ、セキ品はこれを敵対的買収とみなし、法的手段を通じて経営権を守るという態度を示している。 業界再編、台湾ではM&A相次ぐ 一方、聯発科技(メディアテック)傘下の晨星半導体(MStar Semiconductor)の子会社である晨発科技は、1株51台湾ドルで奕力科技(ILITEK)の株式を買収すると発表し、世界的なタッチパネル向けチップとLCDドライバチップの合併の動きに対応しようとしている。これより先に、すでにタッチパネル向けチップ・メーカーの敦泰電子(FocalTech)が、ドライバチップの旭曜科技(Orise Technology)の合併を発表した。タッチパネル向けチップ大手の米シナプティクス(コード)も、ルネサスエレクトロニクス(6723)傘下のルネサスエスピードライバを合併している。 晨発科技による奕力科技の買収計画は来年第3四半期(7~9月期)に完成し、合併後は晨発科技が存続会社となり、奕力科技は消滅する。 このほか、最近の世界的な株式相場の変動に直面して、台湾のハイテク産業も積極的に整理を進め、戦力の集中を図っている。例えば、台湾積体電路(TSMC)は、今年初めにLED照明の子会社である台湾固態照明(SSL)の株式を晶元光電(エピスター)に売却したのに続き、最近ではさらに6年間にわたって奮闘を続けてきた台積太陽能(TSMCソーラー)の業務を8月末に停止することを決定した。台積太陽能の赤字は台湾積体電路の株価を1株当たり0.07台湾ドル引き下げている。台湾積体電路が投資しているもう一つの太陽電池メーカーの茂迪(Motech)の株式についても、段階的に売却することを計画している。 台湾積体電路は太陽電池事業から撤退することで、台積太陽能の350人の従業員を台湾積体電路に移した。これによって、台湾積体電路は本業である半導体ウエハ・ファウンドリに専念し、12インチ・ウエハの生産能力拡大に全力を挙げることになる。これには、中国での12インチ・ウエハ工場への投資も含まれている。台湾積体電路は9月に中国当局に対して12インチ・ウエハ工場の建設申請の提出を予定している。 自社株買いの動きも…投資家保護と経営の自信示す 世界的な株価の下落に対して、台湾の多くの上場企業は自社株買いを実施し、自社株の株価を守ろうとしている。統計によると、8月以来、台湾ではすでに上場121社が自社株買いを実施しており、特に8月中下旬に急速に増えている。買い戻した株式数で最も多いのは金融持ち株会社の中華開発金融控股(コード@2883/TW)とウエハ・ファウンドリの聯華電子(UMC)だ。いずれも2億株を買っている。このほか、金宝電子、宏達国際(HTC)もそれぞれ5000万株を買い戻している。 一部の上場企業では、オーナーが自ら個人名義で自社の株式を買っている。中租(チャイリース、コード@5871/TW)の辜仲瑩会長、群光電能の林茂桂会長、宸鴻光電(TPK)の江朝瑞会長などが挙げられる。いずれも、投資家に対して自社の経営に対する自信を示すことを目的としている。

インドネシア、ルピア安も銀行は現時点で「安全」 強固な資本基盤で

※QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はインドネシアの現地記者アディ・ビナルソ氏がレポートします。この記事は8月31日にQUICKの端末サービス上で配信されたものです。 通貨安進行も大多数の銀行は資金注入要さず インドネシアの銀行には、中国の景気低迷と人民元切り下げの影響に伴うルピアの下落から生じたショックを乗り切ることができる強固な資本基盤がある。インドネシア国内の銀行は、同国の経常収支が赤字に陥っている中で同国経済に資金を提供するため、過去数年間にわたって対外債務に依存してきた。残念なことに、ルピア安はそうした債務に対する国内銀行の返済能力低下につながる。ルピアの対米ドルレートは、年初から13%下落している。  ただ、インドネシア金融監督庁(OJK)のネルソン・タムプボロン副理事は「我々はいつも金融機関に対して、あらゆる変化に非常に敏感な、そして用心深い姿勢を取るよう警告している」と述べた。OJKが5カ月前に実施した最新の銀行の健全性審査によると、ルピアの対米ドル相場が1米ドル=1万5000ルピアまで値を下げた場合に資金注入が必要になる銀行は、インドネシアの銀行120行のうち小規模な5行のみだった。足元でルピアは1米ドル=1万4000ルピア程度の水準で推移している。   一段安に警戒、国内銀行の自己資本比率は2割超える OJKのデータによると、国内銀行の6月末時点の自己資本比率は20.3%に上り、起こり得るあらゆる損失に対応できる資本基盤の強さがうかがえる。インドネシア中央銀行は銀行各行に対して、自己資本比率を8%以上に維持するよう要請している。  OJKのデータでは、銀行の流動資産も非コア預金の約81%をカバーすることが可能な水準となっており、健全な流動性を示している。  インドネシア中銀のアグス・マルトワルドヨ総裁は「我々は国際情勢を注意深く見守る必要があるが、ルピア安にもかかわらず、インドネシアの銀行システムは健全かつ安全だ」との見解を示している。  一方、ルピアのさらなる下落を予測して警戒心を示している銀行もある。匿名を希望するある小規模銀行の幹部は「為替レートが1米ドル=1万6000ルピアの水準まで下落した時に当行の体力が試されると考えている。それは当行が考えるまさに最悪の筋書きだ。さらにルピアが下落した場合どうなるのかは、想像もできない」と話している。 ただ、アグス総裁は「中央銀行が中国の突然な人民元切り下げに端を発したいわゆる『通貨戦争』に参戦し、ルピアのさらなる下落を促すことはない」と述べている。 実質実効為替レートは過小評価…材料輸入に影響も 国際決済銀行(BIS)の実質実効為替レートのデータをみると、ルピアは依然として米ドル以外の主要通貨に対して過小評価されていることが分かる。このことは、国際貿易で同国の競争力になるはずだ。  一方、DBSグループ・ホールディングスのエコノミストで、シンガポール在住のガンディ・キャヒャディ氏は「インドネシア中銀がルピア安をいつまでも許容できるわけではない。まず、ルピア安による直接的なインフレ圧力がある。さらに重要なことに、インドネシアは輸出品の生産過程で輸入材料を多く使用していることを考えると、ルピア安はインドネシア経済にとって大きな障害になっていく」と指摘している。 【翻訳・編集:NNA】

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