投信、「日経平均連動型」に資金流入 個人マネーが押し目買い

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日経平均株価に連動するタイプの投資信託に個人マネーが戻りつつある。日経平均が節目の2万円を下回って推移しているのを受け、押し目買いが入っているとみられる。国内株式に投資する国内公募の追加型株式投信(ETFを除く)のうち、8月の資金流入上位10本に入るファンドの半数は「日経平均連動型」が占めた。 「国内株式型」の投信は7月まで13カ月連続の資金流出超。株高局面で利益確定の売りが膨らみ、特に日経平均に連動する運用成果を目指すインデックス型のファンドから資金流出が目立っていた。 8月に入って日経平均が2万円を割り込む日が増え、投信市場でもマネーの流れが変わってきた。15日までの資金動向を調べたところ、「国内株式型」の投信で資金流入超過額の上位10本のうち5本は日経平均連動型だった。 日経平均連動型で流入超過額が最も多いのは「日経225ノーロードオープン」(47311988)で、8月は15日までに設定が解約を86億円ほど上回っている。同ファンドは今年1~7月までの合計で391億円の流出超だった。 (QUICK資産運用研究所 西田玲子)

再考アベノミクス、上場企業が最も力を入れた政策は・・・

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アベノミクスの開始から約4年半が経過し、これまで大胆な金融緩和や成長戦略といった「3本の矢」を軸に様々な政策が打ち出されてきました。こうしたなか、安倍政権による政策のうち、企業が最も注力したのはどの分野だったのでしょうか。上場企業へのアンケート調査「QUICK短観」を通じて、388社に聞きました。回答期間は8月1~13日です。   コーポレートガバナンスに注力 安倍政権が打ち出した経済・社会改革のうち、最も注力した分野を聞いたところ、最も多かった回答は「コーポレートガバナンス(企業統治)」で50%でした。次いで安倍政権が「最大のチャレンジ」とする「働き方改革」が28%でした。また、「新技術(ビッグデータ、AI、IoT、ロボット、フィンテックなど)を用いた事業・サービスの開始」が11%、「女性の活躍」(8%)や「外国人材の受け入れ」(4%)は1ケタにとどまりました。     ESG評価を高めるための取り組みは? 企業が最も注力している分野がコーポレートガバナンスという結果を受けて、環境への対応や企業統治などへの取り組みを投資判断の材料にする「ESG投資」についても聞いてみました。  ESG評価を高めるためにどのような取り組みをしているのか質問したところ、最も多かったのは「特に検討していない」で47%。一方、「社内でESGの研究を始めている」が24%、「関心はあるが具体的な取り組み方がわからない」が23%と、半数近くがESG評価へ関心を寄せていることが見て取れます。世界の機関投資家が投資判断として重視する「ESG投資」の存在感は、日本でも徐々に増していきそうです。   製造業DIは約10年ぶりの高水準 毎月定点調査している製造業の業況判断指数(DI)は、前月比1ポイント改善のプラス31と2007年9月調査以来、9年11カ月ぶりの高水準となりました。非製造業DIは前月比3ポイント悪化のプラス37となり、金融を含む全産業DIも前月比1ポイント悪化のプラス34でした。          

ジャクソンホール会議で何かが起こる?

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金融市場関係者が注目する経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」が来週に迫ってきました。今年はドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁が3年ぶりに出席し、量的金融緩和の段階的縮小(テーパリング)を示唆するとの思惑もあります。発言の内容次第では外国為替相場に影響を与えることもありそうです。  そこで、毎月実施している「QUICK月次調査<外為>」※を通じて、ジャクソンホール会議で注目しているテーマなどについて外国為替市場の担当者に聞きました。調査期間は8月7~10日、回答者数は74人です。 ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。   ECB総裁の発言に注目集まる ジャクソンホール会議は主要国の中銀トップのほか、有力経済学者らが集まって経済政策などを討議する経済シンポジウムです。毎年8月下旬に米西部ワイオミング州にある全米有数の観光地ジャクソンホールで開催されます。バーナンキ前米連邦準備理事会(FRB)議長が金融政策について発言したことなどから、注目されるイベントの一つになっています。今年は24~26日に予定されており、テーマは「ダイナミックなグローバル経済を促進する」です。  こうしたなか、外為部門などの市場関係者に同会議で注目しているテーマについて聞いたところ、最も多かったのが「欧州の金融政策」で6割を占め、次いで「米国の金融政策」が4割弱となりました。ただ、ジャクソンホール会議後の円相場については、「とくに影響はなし」が4割弱と最も多く、相場への影響は限定的との見方です。市場関係者からは同会議にイエレンFRB議長が出席し、来年2月までの任期について進退を示唆するかどうかに注目しているといった声も聞かれました。     年内はレンジ相場が続くとの予想が約7割 次いで2017年のドル円相場は狭いレンジでの推移が続いていますが、年内にドル円相場がどう動くと予想しますか、と質問。最も多かった回答は「110~115円のレンジ相場」で7割弱を占めました。その一方で、「115円より明らかに円安」が16%、「110円より明らかに円高」が15%とほぼ同数で分かれましたが、前月調査より円安の予想が低下し、円高の予想が高まる結果となりました。  また、3日に第3次安倍第3次改造内閣が発足。金融市場では次の総選挙のタイミングに関心が移りつつあります。そこで衆院解散・総選挙の時期はいつになると予想しますか、と聞いたところ最も多かった回答は「2018年の通常国会以降、年前半まで」で39%、次いで「2018年秋の臨時国会以降、12月の任期満了まで」が33%でした。     事業法人の前提為替レート110円台後半 毎月定点調査している為替相場見通しによると、金融機関の外為業務担当者の為替見通しは8月末の平均値で1ドル=110円69銭と、7月調査(113円70銭)から円高にシフト。3カ月後の10月末には111円34銭、6カ月後の1月末には112円77銭との予想です。今後6カ月程度を想定した注目の為替変動要因は、「金利/金融政策」でした。特にユーロについては金融政策の転換点にあるため、金利/金融政策への注目度が高い結果になりました。  ファンドの外貨建て資産の組入状況について運用担当者に聞いたところ、「ニュートラル」が8割と最も多く、相変わらず様子見スタンスが強いようです。また、事業法人の業績予想の前提為替レートは平均値で1ドル=110円87銭、1ユーロ=118円95銭でした。  

10周年を迎えるグリーンボンド市場 HSBCレポート

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QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は、HSBC グローバル・バンキング&マーケッツ、アジア太平洋地域統括責任者のゴードン・フレンチ氏がレポートします。 グリーンボンド、2016年の発行額は900億ドル以上 注目高まる 最初のグリーンボンドが発行されて今年で10年目となるが、グリーンボンド市場は成熟した市場を目指して現在も急成長中である。気候変動の影響を抑制する世界経済全体の取組みを支援するプロジェクトの資金源としてその重要性は一段と高まっている。 これまでの10年間を幼年時代とするならば、全く心配のない幼年時代だったとは必ずしも言えない。世界初の「グリーンボンド」が発行されたのは2007年7月で、その発行額は6億ユーロだった。その後に続く動きもまずまずだったが、当初の勢いは影を潜めていた。2013年には年間発行額が100億米ドルの節目を上回ったが、それでも債券市場全体から見れば極小さな存在だった。 しかし10年の年月を経た今、資本市場に生まれたグリーンボンドという幼子は目覚ましく成長した。昨年のグリーンボンド発行額は900億米ドルを突破し、2015年の2倍以上となった。その中にはポーランドが発行した、発行額7億5,000万ユーロの世界初のソブリン・グリーンボンドが含まれる。この1月にはフランスが22年物の発行額70億ユーロのグリーンボンドを発行した。これは発行額と長期年限の面で画期的だっただけでなく、投資家の需要が230億ユーロ超にまで膨らみ、発行予定額を大きく上回ったことでも大きく注目された。 成長を確信する3つの理由   気候変動は地球にとって差し迫った脅威であり、炭素集約度の高い技術やインフラを減らしていく取組みに充てる資金を確保するためにはまとまった資本注入が必要である。それは、風力発電タービンや太陽光発電企業、低炭素型交通システム、建造物や街全体のエネルギー効率と水資源利用効率を一段と高める技術などの進歩に向けて活用される。 グリーンボンド市場の発展は緩やかかもしれないが、今や低炭素社会を創り出す上で欠かせない存在になっている。気候変動を抑制する事業への投資機会を求めている資金は世界的に増加している。グリーンボンド市場は、企業がそうした資金を利用することを可能とし、またそうした資金を持続可能な環境に保つためのプロジェクト資金に振り向けていくものである。   現時点では世界の債券市場の1%にも満たない規模のグリーンボンド市場だが、我々が今後急速に成長すると確信する以下の理由がある: ①まず、汚染や世界的気温上昇から生じるリスクについての企業や消費者、投資家の認識に根底から変化が生じている。2015年に採択されたパリ協定では気候変動に対処する必要性について全会一致の世界的合意が成立した。その前提として、世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して摂氏2度未満に抑える目標に向け、国家的な計画の推進を200ヵ国近い加盟国が批准することが必要だった。これを受けて環境技術の投資とそのための資金調達が活発化した。 ②次に、技術進歩によって(代替エネルギー技術から電気自動車、バッテリーまで)経済的合理性を備えた低炭素型技術がますます増えている。倫理的な意味だけでなく財政面からも環境投資は一段と理にかなったものとなりつつある。 ③3つ目の理由として、中国とインドが環境重視の経済を強く支持する立場をとったことが挙げられる。中国とインドの発行体が2015年にグリーンボンドを初めて起債したことにより、それまではスカンジナビア諸国や米国、英国が中心だった市場が地理的に広がった。昨年は中国で330億米ドルあまりの規模でグリーンボンドが発行され、15年にわずか10億米ドルで始まった中国でのグリーンボンド発行はすでに世界全体の3分の1を超えた。インドでの発行額はそれよりかなり小規模で、昨年はわずか10億米ドル強だったが、インドもやはり低炭素技術に関するパラダイムシフトを経験している最中である。 グリーンボンドを支援する潮流の勢いは増しているため、債券発行体も投資家もグリーンボンドを無視できなくなっている。 機関投資家の多くは気候に配慮した投資先を増やしたい 気候変動や環境を重視する「グリーン」の姿勢を疑われる債券があることも事実である。調達資金が本当に気候変動や環境に関するプロジェクトに充てられるのか、あるいは「グリーン」な姿勢に疑問のある企業に調達資金が向かっていないか、といった問題である。さらに、ある債券発行が他と同じように「グリーン」であることを誰が評価するのかという問題もある。こうした問題についての一貫した透明性のある回答がいまだ得られない状況に多くの投資家は置かれている。一方の債券発行体も、情報公開や運用報告、「グリーン」なベンチャー事業の認証などに追加的な作業やコストを投入することに消極的である。 しかし追加的な作業やコストは過大に見積もられる傾向があり、標準化と査定の取組みは進展している。例えば格付会社のスタンダード&プアーズは、ある債券がグリーンか否かだけではなくどの程度グリーンなのかを評価する仕組みをこの4月から実用化している。 またグリーンボンドへの然るべき評価がまだ十分に広まっていないと考えられるが、その利点は大きい。 まず、グリーンボンドの発行を通じて企業は、自らの投資ポートフォリオが炭素依存度の高い、持続可能でない債券発行体や事業に関わっていることを懸念している年金基金や政府系ファンドなどの投資家の間で増えている、グリーンボンドのような投資先を求める動きを捉えることができる。2016年の年初時点で、約23兆米ドルの資産が専門家による責任投資戦略の下で管理されている。これは2014年比で25%増であり、専門家が管理している世界全体の資産の4分の1を超えている。 同じように先にHSBCが行った調査でも、世界全体の機関投資家の3分の2が、低炭素型で気候に配慮した投資先への投資額を増やしたいと考えていることがわかっている。 さらにグリーンボンド発行によって、発行体は自らが地球温暖化という長期的な課題を意識しそれに備えていることを周知させることができる。 また気候変動に関するリスク特性の特定や最小化、監視を発行体に要請することは、低炭素型の発想を発行体の企業文化や事業戦略に組み込んでいく上での支援となる。こうしたことが長期的には企業価値評価(バリュエーション)や事業見通しにおいて、準備の遅れている企業よりも優位に立つことにつながる。 このように、グリーンボンド市場が成長を遂げてきたことに対しては歓迎の一語に尽きる。10周年おめでとう。

分配金利回り5%超、高利回り実現するインフラファンドの仕組みとは?

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  世界的な低金利下で個人マネーは行き場を失っています。銀行や信用金庫などの預金残高は3月末時点で1053兆円と過去最高に達しました。こうしたなか、5%超の利回りを捻出しているインフラファンドの存在はあまり知られていないようです。高利回りを実現する仕組みを探りました。 国内市場規模は200億円程度 インフラファンドは道路や空港などインフラ施設に投資する金融商品です。公的資金に限りがあるなか、投資マネーを取り込みインフラの整備や新設に役立てようというものです。これまでは機関投資家向けに提供されていましたが、2015年4月に東京証券取引所が上場インフラファンド市場を創設し、個人も投資可能になりました。ただ、上場しているのは3銘柄のみで時価総額は合計200億円弱にすぎません。 一方、世界各国の取引所に上場するインフラファンドの時価総額は15兆円程度(50銘柄弱)といわれています。市場規模が大きいのはオーストラリアと米国です。 米国にはマスター・リミテッド・パートナーシップ(MLP)と、イールドコ(YieldCo)の2タイプがあります。MLPは主に石油やシェールガスのインフラ施設を運営しています。30年超の歴史を持ち、100銘柄超が上場。オバマ前政権下で起きた「シェールガス革命」を機に脚光を浴びました。国内追加型投信の中には、MLPに投資するタイプもあります。一方、YieldCoは再生可能エネルギー施設を運営しています。 インフラファンドの仕組みは、不動産投資信託(REIT)と類似しており、保有するインフラを通じて得られた収益の9割を投資家に分配しています。国内のインフラファンド市場に上場している3銘柄が運営しているインフラはいずれも太陽光発電施設です。太陽光パネルで電力を発電し、これを売電して収益を上げています。収益は日射量に左右されますが、固定価格買取制度(FIT)という特典を受けられます。FITは、太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーで発電した電気を国が定めた価格で電力会社が買い取らなければならない制度です。適用期間は発電開始から20年間と限られるものの、ファンドにとって安定的な収入を得られるメリットがあります。ただ、足元で今後契約される電力(10kW以上)の買取価格は低下しています。     ※いちご都城安久町ECO発電所   高利回り・安定分配の源泉は利益超過分配金とFIT 7月末時点のインフラファンドの配当利回りは「タカラレーベン・インフラ投資法人」(9281)が6%、「いちごグリーンインフラ投資法人」(9282)が7%と、東証1部の予想配当利回り1.91%を大きく上回っています。高い配当利回りの背景には、不動産投資信託(REIT)と同様に収益の9割を分配金に充てるという仕組みとFITのほか、「利益超過分配金」がカギになっています。 利益超過分配金の原資は減価償却費の一部です。これら3つのインフラファンドの場合、安い土地に太陽光発電所の設備を設置しているため、会計上の資産に占める減価償却費の比率が高くなりがちです。しかし、多額の修繕費などが必要になるケースは少なく、キャッシュが残りがちです。そこで、会計上のみ発生する減価償却費を分配金として投資家に還元しているのです。いちご投資顧問の日色隆善上席執行役は、「当ファンドの分配金のうち、減価償却費の4割相当が利益超過分配金。日射量が平年の水準を下回った場合でも最低水準の売電料(基本賃料)を保証する仕組みを取り入れていることも安定的な高利回りの実現に寄与している」と説明します。利益超過分配金は利益分配金と税制上の取り扱いが異なり、配当所得(原則約20%の課税)には当たりません。 同じく多額の修繕費を必要としない物流施設を投資対象としたREITなども利益超過分配金を活用しています。   この利益超過分配金にFITによる安定的な売電収入が見込めるため、「いちごグリーンインフラ投資法人」(いちごグリーン)は国内インフラ投資ファンドとして初の10期分の予想分配金を発表しました。   ※出所:図表はいちご投資顧問が提供   国内上場は3銘柄のみ、景気拡大局面では株式に見劣りする可能性も 利回りの高さは投資魅力の一つですが、足元で上場しているインフラファンドは3銘柄とバリエーションが乏しいほか、市場規模が小さい点には注意が必要でしょう。加えて、太陽光発電設備を運営するこれらのファンドの運用成績は天候に左右されるものの、景気の影響は受けにくいといえます。半面、景気拡大局面では影響が限定的で株式などと比較すると、パフォーマンスが見劣りする可能性もあるかもしれません。

「インド株式」との組み合わせに適した投信は?  「相関係数」活用術

資産運用研究所

いま保有している投資信託と組み合わせて別の投信を購入したいが、どんなファンドを選べばいいか分からない――。そんなときに参考になるのが「相関係数」だ。 今回は足元で好成績を収めているインド株関連ファンドの中で、最も運用期間の長い「イーストスプリング・インド株式オープン」(83311049)をピックアップ。この「新興国株式型」投信との組み合わせに適したファンドを探す。 まず検証するのは、値動きが比較的近い「アジア・オセアニア好配当成長株オープン(毎月分配型)」(0931105A)との相性。日本を除くアジアやオセアニア地域の株式に投資する「グローバル株式(先進・新興複合)型」だ。新興国株式型との相関係数(日次1年)は0.89と高い。 5対5の割合で投資した「合成」のリターン(分配金再投資ベース、週次1年・年率)は27.92%。「インド株式」だけに投資した場合の30.58%と、「アジア・オセアニア好配当成長株」だけに投資した25.26%のちょうど中間だった。 価格変動を示すリスク(標準偏差、週次1年・年率)は「インド株式」だけに投資した場合が15.35%で、「アジア・オセアニア好配当成長株」は12.89%。2ファンドの平均を単純に計算すると14.12%になる。ところが実際にこの組み合わせで同額ずつ投資した「合成」のリスクは13.16%で、平均値より0.96ポイント低くなる(図1参照)。この差がリスク低減の効果だ。 次に値動きの異なる国内株式型の「フィデリティ・日本成長株・ファンド」(32311984)との組み合わせを見てみる。「新興国株式型」と「国内株式型」の相関係数は0.39と低い。 「合成」のリターンは28.62%で、「インド株式」と「日本成長株」の中間の値になった。「合成」のリスクは11.25%で、2ファンドの平均(13.56%)を2.31ポイント下回る(図2参照)。リスク低減効果はこの組み合わせの方が大きくなった。 このようにリターンはどちらの組み合わせでも2つのファンドを足して半分にした数値を維持する一方、リスクの低減幅は相関が低い組み合わせの方が大きくなった。複数のファンドに投資して全体の価格変動リスクを低減しながらリターン向上を狙う分散効果を上げるには、相関が低く値動きの傾向が異なるファンドの組み合わせが有効と言える。   ▼相関が高い組み合わせ投資 *                    リスク            リターン *インド株式オープン                              15.35          30.58 *アジア・オセアニア好配当成長株OP(毎月分配)     12.89          25.26 ——————————————————————————————- 平均                                        14.12          27.92 ——————————————————————————————- 合成                                        13.16          27.92 ——————————————————————————————- リスク低減効果                               ▲0.96             ―   ▼相関が低い組み合わせ投資 *                                          リスク            リターン *インド株式オープン                           15.35          30.58 *フィデリティ・日本成長株・ファンド               11.76          26.65 ———————————————————————————– 平均                                      13.56          28.62 ———————————————————————————– 合成                                      11.25          28.62 ———————————————————————————– リスク低減効果                             ▲2.31           ―   ※単位は%、小数点以下3位を四捨五入。▲はマイナス。   ●QUICKがサービスしている情報端末「Qr1」を使うと便利 (QUICK資産運用研究所 望月瑞希)

ソフトバンク決算説明会LIVE 孫社長、60歳目前「自己採点は28点」

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  ※このコンテンツはQUICK端末でリアルタイム配信したニュースを再構成しました。 7日に2017年4~6月期決算を発表したソフトバンクグループ(9984)は午後4時30分から都内で決算説明会を開催した。孫正義社長が50分ほどプレゼンテーションを実施、記者への質問に答えた。やりとりは以下の通り。   体調不良は咳喘息が原因  16:32 孫社長 「今週に満60歳を迎える。40代で一勝負、50代でビジネスモデル、60代で後継者を作る。その思いは一度も変わっていない。その60代を今週で迎える。60歳ではなく、60代のどこかで後継者を見つける」 16:35  会見に臨む孫社長の声がかれている。株主総会でも同様に体調が悪く、孫社長の体調を心配する声は多い。 孫社長 「咳喘息だった。初期のものだから心配ないと医者に言われた」 16:38 孫社長 「スプリントについて何を強がりを言っているのかとこれまで言われてきた。しかし、国内の通信に迫る勢いまで改善してきた」 「今、この場ですら粉飾決算ではないか、大赤字だと思いたい人もたくさんいるんじゃないか。現実はスプリントは我々の利益を最もけん引する会社に生まれ変わっている」 16:43 孫社長 「アリババ株は3年後に売却、現金を先に入る形にした。アリババの株価が上がればデリバティブの損が出る仕組み。アリババの株価が上がると本当は有利だが、会計上の損が出る。現金が出るわけではない」 「今から2年後にデリバティブ損は戻ってくる。第一四半期末の株価のままでいれば、デリバティブの繰り戻し分の会計上の益が出る。もし今が2年後だとするならば1兆円弱の含み益が出る」 16:46 孫社長 「今後もアリババ株が上がることを望んでいる。アリババ株の上昇でデリバティブ損はでるが、その後に益が出てくる、貯金している状況だ」 16:50 孫社長 「100万円の財産に対して35万円までの借り入れなら安全な範囲ではないか。ソフトバンクはそれが21%(21万円)の財務状況なので安全な範囲だ」 16:55 孫社長 「モバイルの解約率が初めて同業他社のKDDIさんを下回った」 16:59 孫社長 「ビジョンファンドは我々ソフトバンクが意思決定をする。ヤフージャパンのように投資先の日本法人を作っていきたい」 「世界で最先端を走っている彼らは伸びまくっている。ユーザー数は前月対比で10%、20%増と伸びている。今はシンギュラリティ夜明け前、インターネットが始まったころの興奮を覚えている」 17:05  ソフトバンクは7月18日、オフィスシェア大手の米ウィーワークと合弁会社を設立すると発表した。会見ではウィーワークの事業内容を説明する動画を流した。 孫社長 「世の中は決定的に変わろうとしている。ITやスマホの進化で人々のライフスタイルが変わっている。レンタル屋は昔からある。プラットフォームとそうでないものが全く違う。説明してもわかろうと思わない人にはわからない」 「物凄いチャンスがある。今こそ打って出るべきだ。収益の柱の通信事業は安心してキャッシュを稼げる」 17:05 孫社長 「無理して決算を作らなくていい。それが今のソフトバンクの立場だ」 17:12 孫社長 「17歳のころから恋焦がれていたアーム。出荷したチップは28%増。売り上げは我々のさじ加減次第、スマホのマーケットシェアは98%なので。今はがめつく行くのではなく先行投資の時期。技術者を前年対比で25%増やしている」 「新CPUなど急激に技術を高めている。画像認識では暗い場所で人を認識できるレベルになってきている。今後20年間でアームのチップが1兆個のIoTデバイスに入っていく。非常に買ってよかった」 17:16 孫社長 「同志的結合による起業家集団を作りたい。エヌビディアもそのうちの一つ。たった4.9%しか持っていないが想いは同じ」 17:21 孫社長 「従来の日本の財閥とは違う。ブランドは自由で良い、ソフトバンクのブランドは付けさせない。十分に育ったら卒業していく。成長起業家集団、一緒に革命していく」 「従来のシリコンバレーのように完全に買収、一つのブランドに封じ込めるやり方でもない。ソフトバンク独自の組織論。ベンチャーキャピタルとも違う、群戦略だ」   ~記者からの質問が始まる~   17:25 ――プラットフォームとそうでないものの違いとは。 孫社長 「プラットフォームは胴元、OSのような存在。その上にアプリケーションがのるような共通基盤だ。いちアプリケーションではない」 「圧倒的なマーケットシェアを持って基盤を作らなくてはいけない。アプリケーションと競合するのではなく、場を提供する」 スプリント再編「言うとスカッとするが、ぐっとこらえて我慢している」 17:28 ――スプリント再編の行方は。3か月前は本命がTモバイルだったが。 孫社長 「複数の事業統合の相手先を想定し、交渉を行っている。近い将来なので、なおさらのことコメントを控えたい」 17:30 ――KDDIやドコモなどの値下げに対抗しないのか 携帯子会社の宮内社長 「変える方向性はない」 孫社長 「分離プランなので大きな値下げではないのではないか」 17:33 ――5Gについて 孫社長 「5Gの時代は必ずやってくる。通信速度が速くなり、IoTの接続に適したネットワークができる。時期は2020年以降だと思うが、ソフトバンクは5Gの中核技術を世界で最も早く、商用サービスに入っている」 「5Gの主要機能を既に取り入れている。5Gの時代になると2.5ギガヘルツがプラチナバンドになる。技術を蓄積してきたメリットはたくさんある」 17:36 ――ビジョンファンドについて 孫社長 「だいたいのケースで20~40%の筆頭株主、それに近い立場で影響を与える。単なる事業提携では3年程度で終わる。資本を持つ、血のつながりがあるのは大きい。ベンチャーキャピタルのように上場したら売却するような関係ではない」 「情報革命という志を共有している起業家集団だ。儲かればいい、金銭的つながりとは違う。我々のブランドで染め上げるものでもない同志的結合だ」 17:38 ――スプリントは今でもTモバイルが本命か 孫社長 「統合の時期の意思決定をする時期は近い。1社じゃなく複数を考えている。ヒントになることは言えない。言いたいんですよ私も。言うとスカッとするが、ぐっとこらえて我慢している」 ウーバーとリフト「関心があるとだけ申し上げる」 17:41 ――アームとエヌビディア、半導体などでどんなプラットフォームになるのか 孫社長 「エヌビディアは先見の明と先進テクノロジーが賞賛に値する。本当はもっと前からたくさん買いたいという思いがあった。ビジョンや想いは共通する部分が多い。エヌビディアはアームの重要なライセンス先。具体的に何をどうしようとあるわけではない」 17:43 ――60歳を迎えてやり遂げたこと、やり残したことの自己採点は 孫社長 「自己評価でいくとしまったな、28点。育英財団で8歳の子供たちを見てもう一度戻りたい。とことんやれたのにと思う。後悔することだらけ」 「ただ、人生は終わったわけではない。ソフトバンクの組織体、生命体は300年ぐらい伸び続けていって欲しい、そうするつもり。先は明るい、楽しみ、まだまだ攻めていくという思い」 17:48 ――ウーバー、もしくはそのライバルのリフトについて 孫社長 「ソフトバンクがウーバーに関心がある、という噂は聞いている。リフトに関しても決まったことはない。関心があるとだけ申し上げる」   【QUICKコンテンツ編集グループ:片野哲也】

株式市場が安倍改造内閣に望む政策は構造改革

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  3日に発足した第3次安倍第3次改造内閣は手堅い布陣となり、新鮮味に欠けたため、株式市場への影響は限定的のようです。そこで、今回は毎月実施している株式の市場関係者を対象とした「QUICK月次調査<株式>」を通じて、安倍内閣の支持率の行方や株式にとって望ましい政策などについて聞きました。調査期間は8月1日~3日、証券会社および機関投資家の株式担当者151人が回答。 安倍内閣の支持率は「小幅に回復」が半数以上 新内閣は19人の閣僚のうち、麻生太郎副総理・財務相や菅義偉官房長官ら5閣僚が留任して政権の骨格を維持するなど経験者を軸とした陣容になりました。初入閣は6人にとどまり、政権基盤の安定を重視しました。安倍首相自身はこの新内閣について、経済再生を最優先とする「仕事人内閣」と称しています。  一方、市場の改造内閣に対する期待はあまり大きくないようです。内閣の支持率は今後どうなると思いますか、と聞いたところ最も多かったのは「小幅に回復する」が56%と半数以上を占め、次いで「ほとんど変化しない」が31%でした。 市場関係者からは「存在感は薄いが、安定感がある。比較的若く、清新さもあり、一般世論の支持、安心感を得られよう」「現状では自民党に代わる政党がないため、引き続き自民党政権が継続すると見込むが、支持率回復のためにも積極的な財政出動か減税策などの実施を期待したい」「安倍政権の支持率はこの先はそれほど上がることはなく、じり貧になると予想する。理想論にはなるが、若さと独特の雰囲気を持ち、国民の受けも良い小泉進次郎氏をトップに据えることができれば、国内外で日本に対する評価が大きく変わると考える」などの意見があがりました。   では、安倍内閣の支持率低下は株価にどのような影響を与えると思いますか、と聞いたところ、最も多かった回答は「影響しない」で32%、次いで「方向感はないが、ボラティリティーが高まる」が25%という結果になりました。 市場関係者からは「自民党1強の状態は変わらないため、大勢に影響は無し」との声があった一方、「今回の安倍内閣支持率低下は外国人の投資マインドを抑える材料といえます」との指摘もありました。   次に株式市場にとって望ましいのは、どのような政策だと思いますかと質問。最も多かったのは「構造改革(規制緩和・働き方改革など)」で59%と半数以上を占め、次いで「積極的な財政出動・減税」が22%でした。 市場関係者からは「経済面では現行の成長重視路線をおおむね引き継ぐ公算で、大規模金融緩和、ある程度の積極財政、働き方改革をはじめとする構造改革を推進する姿勢を保ち、市場からの歓迎を得られよう」「支持率低下が止まるかがポイント。次第に経済政策に注目が集まりそうだが、アベノミクスの深堀りは難しそうだ」といった声がありました。  また、株式市場にとって安倍首相に代わる次の首相は誰が望ましいと思いますか(カッコ内の年齢は2017年8月7日時点)と聞いたところ、最も多かったのは党政調会長に就任し「ポスト安倍」の有力候補とされる「岸田文雄氏(60)」で35%でした。次いで「小泉進次郎氏(36)」が15%、「石破茂氏(60)」が14%でした。市場では「若いリーダーに代われば、日本が変わるのだという強いメッセージになると思われる」「小泉進次郎氏はまだ若いが、新しい風を吹かせてくれそうなところを好感。既存の政治家では市場は満足しないのでは」といった若手待望論も聞かれました。   8月末の日経平均予想は1万9979円 「QUICK月次調査<株式>」で毎月調査している日経平均株価の見通しについては、8月末の水準で1万9979円(平均値)の予想でした。前回調査(確報)の2万0057円に比べて下方シフトとなりました。10月末には2万0198円、18年1月末は2万0634円の見通しです。  今後6カ月程度の株価の変動要因としては、「景気・企業業績」との指摘が多くなりました。   国内株式の組入比率「ややオーバーウエート」が上昇  国内の資産運用担当者55人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、「ニュートラル」が前回調査より4ポイント低下して52%、一方で「ややオーバーウエート」が同3ポイント上昇して31%となりました。 セクター別の投資スタンスについては、「オーバーウエートとアンダーウェート」のバランスをみると、前回調査に比べてオーバーウエートの比率が最も上昇したのが「電機・精密」、逆にアンダーウェートの比率が最も高くなったセクターは「公益」でした。

ダウ初の2万2000ドル突破、トランプ政権発足後で最も上昇した銘柄は?

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2日の米株式市場でダウ工業株30種平均が初の2万2000ドルを突破しました。終値は前日比52ドル32セント(0.23%)高の2万2016ドル24セントでした。トランプ氏が大統領選に勝利した2016年11月8日から直近8月2日までのダウ構成銘柄の騰落率を調べたところ、27銘柄が上昇しました。上昇率が最も大きかったのはボーイングで66%、次いでアップルが42%、マクドナルドが38%でした。これらの3銘柄は足元の好決算による株価上昇が寄与したようです。米航空機大手ボーイングの2017年4~6月期決算は最終損益が17億6100万ドルの黒字(約1957億円の黒字)と、前年同期の2億3400万ドルの赤字から黒字に転換しました。 一方、大統領選直後にトランプ氏が掲げる規制緩和の期待から株価が上昇し、トランプ相場の主役といわれたゴールドマン・サックスの上昇率は24%と、ダウ平均並みにとどまりました。トランプ大統領の目玉政策である医療保険制度改革法(オバマケア)の見直しが頓挫するなど、政策に対する期待感がはく落。ゴールドマン・サックスの株価も伸び悩んだようです。    

非製造業・金融で強気見通しが増えるが、製造業がブレーキに

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アナリストによる主要企業の業績予想の変化を示す「QUICKコンセンサスDI」(7月末時点)は、金融を含めた全産業ベースで前月比4ポイント改善のプラス9でした。非製造業と金融セクターに対する強気の見通しが大幅に増加し、指数を押し上げました。   製造業が弱気の見通しも、非製造業、金融は軒並み上昇 次に業種別に見てみましょう。算出対象の16業種中でDIがプラス(上方修正銘柄が下方修正銘柄を上回る)だった業種は10業種。一方、マイナス(下方修正銘柄が上方修正銘柄を上回る)の業種は3業種、変わらずは3業種でした。 製造業では食料品がマイナス6からゼロまで改善しましたが、鉄鋼がゼロからマイナス25まで低下し、非鉄金属も前月比22ポイント低下するなど、軒並み低下しました。一方、非製造業では、不動産が前月比17ポイント低下したものの、卸売が前月比30ポイント、小売は同24ポイント上昇し、金融でも銀行が同30ポイント、その他金融は同67ポイントの大幅上昇となりました。 2カ月連続トップのニチイ学館 上方修正期待強まる 個別銘柄では「強気」が121銘柄、「変化なし」が134銘柄、「弱気」が90銘柄になりました。3カ月比で純利益の上方修正率、下方修正率が大きな銘柄の上位5銘柄をそれぞれピックアップすると、下記のようになります。 純利益の上方修正率が最も大きかった銘柄は、2カ月連続でニチイ学館でした。先月3位だったANAも5位にランクインしました。一方、最も下方修正率が大きかったのは、5カ月連続でサイバーダインとなりました。   <上方修正率の大きい銘柄トップ5> ▽3カ月前比で純利益の上方修正率の大きい銘柄上位(7月31日時点) コード  銘柄名       予想純利益            修正率 7月末  4月末 1   9792  ニチイ学館      2,520         944         166.95 2   6502  東 芝        411,558     241,477   70.43 3   6753  シャープ    48,749       33,652     44.86 4   2503  キリンHD   116,180     80,590     44.16 5   9202  ANA         133,040    94,242     41.17   <下方修正率の大きい銘柄トップ5> ▽3カ月前比で純利益の下方修正率の大きい銘柄上位(7月31日時点) コード  銘柄名          予想純利益          修正率 7月末    4月末 1   7779     サイバダイン     22           213         -89.67 2  6816     アルパイン         1,757      4,229     -58.45 3  9101      郵 船         8,420     16,998   -50.46 4  4565     そーせい       3,082     5,436     -43.30 5  3099     ミツコシイセタン     11,111     18,369    -39.51 ※最終赤字の銘柄は除く。直近3カ月前とも5社以上のアナリストが業績予想を出している銘柄が対象。単位は純利益が百万円、修正率は%

「もう絶滅危惧種とは呼ばせない」 ディーリング収益化へ山和証の挑戦

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 今でも記憶に残る日経金融新聞の名物コラム「スクランブル」がある。2002年5月21日に掲載された「影響強める短期資金――ディーラー栄え個人消える?」だ。当時、東京・兜町だけで3000人以上の契約ディーラーが日計り商いに汗を流していたといい、隆盛を極めていた様子が伝わる。あれから15年、地場証券は相次いでディーリング部門を閉鎖し、今や短期売買の中心はネット証券を利用する個人投資家に移った。証券ディーラーは「絶滅危惧種」とまで揶揄されるようになった。だが、時代の流れに逆らおうとする証券会社もある。    以下のチャートは山和証券のディーリング部門の陣容の推移だ。人員を増強しただけでなく今年4月には新卒4名を採用するなど急速な若返りもはかった。15年4月に大阪にはディーリング室を創設、16年4月にはシンガポールにも支店を開設しディーラーを配置している。  ※山和証券提供   「ディーリング部の収益は市場環境に左右されにくい体質となり高水準で安定しています」と話すのは工藤哲哉執行役員ディーリング部長。秘訣は運用手法が多様なディーラーをそろえたことにあるという。  そもそも00年代前半に市場の影響力を強めたディーラーが衰退した理由は、規制の強化と東京証券取引所の売買システムの刷新が背景にあるとされる。証券会社は自己資本比率の維持に神経質となり、ディーラーに供与するポジション=リスク許容度を絞るようになった。一晩で運用環境が変化しかねず、宵越しのポジションすら厳しくなった。おのずと多くのディーラーは日中の回転売買に注力し、運用手法の多様化から遠ざかっていった。  そこに追い打ちをかけたのが、10年に東証が導入した高速取引に対応した現物株の売買システム「アローヘッド」だった。妙味のある注文が見えても発注する前に消化されてしまう現象が恒常化。外国人投資家が開発してきた超高速取引(HFT)の日本市場参入が日計りディーラーの「飯のタネ」を奪った。    工藤氏が進めたのがポジションの自由度の拡大。「オーバーナイトで持ち越すのはザラにあります。ディーラーによっては半年以上も持ったままです。これらのディーラーは日中、板をあまり気にしません。個別企業の業績・財務分析に注力しポジションを構築しています」。以前までのディーラー像とはかけ離れている。  加えて日本株以外の金融商品の売買が可能なプラットフォームの整備も進める。「海外市場の先物トレーディングを積極的に手掛けるディーラーも出てくるようになりました」(工藤氏)。日本株は円相場や外国人投資家の売買動向に大きな影響を受ける。投資環境の変化がディーリングの収益を直撃しやすかったが、投資対象や運用手法を多様化したことで市場環境の変化に左右されにくい収益構造へと変化し始めた。  その分、マネジメント側には高度なリスク管理体制が必要となる。自宅でも部下の損益状況がリアルタイムでチェックができるようにした。社内のミドルオフィス、バックオフィスからも全面的な協力を得た。「ディーラーが能力を発揮できる環境を整備するため、管理部門の担当者が尽力したことも非常に大きい」(工藤氏)。  ここで疑問も浮かぶ。短期売買のみならず、オーバーナイトのポジションを持つなら個人投資家もできる。収益をそのまま自分の資産にできる個人のデイトレの方が魅力的ではないか。また、かつては市場への流動性供給という存在意義が明確だったものの、HFTの登場により役割は薄まった。  工藤氏にたずねてみても明確な回答はなかった。だが「流動性供給の役割を放棄するつもりはありません。また、様々なスタイルで売買に携わるプレーヤーが多様性に乏しい日本市場には必要だと思います。運用をビジネスとして担える人材を育てる機能の一端を証券会社の自己売買部門が担う必要性があるのではないでしょうか」と返してくれた。即戦力にはならない新卒を採用する狙いもここにある。 ※ディーラーが何を考え悩んでいるのか。工藤氏(後)は常に対話を心掛ける  証券ディーラーの存在感が薄まってから長い年月が経った。この間、業界から去ったプレーヤーも多いが、依然として第一線で活躍するディーラーもいる。山和証券のみならず新卒を採用する証券会社もある。単なる短期筋でも流動性供給者でもない第3の道。証券会社のオフィスにいるディーラー達は新たな存在意義を確立するための挑戦を始めている。 【コンテンツ編集グループ:岩切清司】

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