中国、エコカー普及へ優遇策相次ぐ 比亜迪など急成長も、目標に遠く

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は、フィリップ証券(香港)のルイス・ウォン(Louis Wong)氏がレポートします。※本記事は2015年12月11日にQUICK端末で配信した記事です。 目標台数達成に向け新政策でテコ入れも 中国が新エネルギー自動車の発展に力を入れている。2009年に発表した「自動車産業の調整と振興計画」で、新エネルギー自動車市場の発展に向けて3年間で取り組む目標と措置を打ち出していた。すなわち、11年までに純電動やプラグインハイブリッド、一般型ハイブリッドなど新エネルギー自動車の年間生産能力を50万台にまで引き上げ、乗用車全体の販売台数に占める新エネルギー自動車の割合を5%前後にするという目標だ。しかし、11年の中国自動車市場の総販売台数は1850万台。このうち5%に相当する台数は92万5000台だが、同年の中国の新エネルギー自動車の生産台数は8368台、販売台数は8159台と、目標数値から遠くかけ離れている。  新エネルギー自動車産業の発展を加速させるため、中国国務院(政府)弁公庁(事務局)は14年に「新エネルギー自動車の活用・普及の加速に関する指導意見」を発表、新エネルギー自動車産業の発展に向けて全面的で系統化されたガイドラインを提示した。その後、新エネルギー自動車に関する奨励策や支援策を相次いで公布。今年について言えば、「2016~2020年新エネルギー自動車の活用・普及の財政支援策に関する通知」「省エネ、新エネルギー使用の車両・船舶に対する車両・船舶税の優遇策に関する通知」「電動自動車の充電インフラ設備建設の加速に関する指導意見」など、ほぼ毎月のように新たな政策が打ち出されている。 純電動車の売れ行き好調…新エネルギー車全体では販売量過去最多も 主要都市で相次いだ新エネルギー自動車の購入制限の撤廃、及び新エネルギー自動車の購入補助などの優遇政策を受け、今年に入り中国の新エネルギー自動車市場は飛躍的に拡大した。中国自動車工業協会のデータによると、新エネルギー自動車の1~10月期の生産台数は18万1200台と前年同期の3.7倍に、販売台数は17万1100台と同3.9倍に増加した。現時点の市場統計に基づく今年の販売台数は25万台前後に達する見込みだ。米国の今年の新エネルギー自動車の予測販売台数は18万台であり、中国は販売台数で米国を抜き世界最大の新エネルギー自動車市場となるもようである。 しかし、中国の今年の新エネルギー自動車販売台数は同国政府が12年に制定した目標から依然としてかけ離れている。中国国務院は12年6月発表の「省エネと新エネルギー自動車産業の発展計画(2012-2020年)」の中で、純電動車とプラグインハイブリッド車の累計生産販売台数を15年までに50万台に、生産能力を20年までに200万台に、そして同年までに累計生産販売台数を500万台超に、それぞれ増やすという主な市場目標を明確に掲げた。この目標達成に向けて、今後さらに多くの奨励策や支援策が発表されることになるだろう。 現在、中国で販売されている新エネルギー自動車の車種は数十種類、主な車種にそれぞれ10種類以上のモデルがある。テスラ・モーターズ(コード@TSLA/U)やトヨタ(7203)など日米のブランド以外は大半が国産だ。中国の自動車関連の調査機関である全国乗用車市場信息聯席会(CPCA)の統計によると、新エネルギー乗用車の販売台数は10月に2万1375台と前年同月の4.1倍に達して過去最多を記録した。今年1~10月の累計販売台数は11万600台だった。このうち純電動車は累計6万8300台、プラグインハイブリッド車は同4万6600台だった。純電動車の販売台数は3カ月連続で増加し、10月の新エネルギー乗用車全体の販売台数の72%を占めた。一方、プラグインハイブリッド車の販売台数は減少傾向だった。 中国自動車大手の比亜迪、大量受注と「7+4」戦略で純利益5倍超見込む 中国自動車大手の比亜迪(BYD、コード@1211/HK)が新エネルギー自動車で急速な成長を遂げている。「秦」「唐」「宗」「元」「商」といった車種を相次いで投入。今年1~10月の新エネルギー自動車の累計販売台数は4万3100台と、前年同期の3.2倍に膨らんだ。1~9月期の売上高は前年同期比20%増の484億9400万人民元、純利益は前年同期の5倍の19億6000万元だった。同社は15年度の純利益が14年度の5.35~5.81倍になると予測している。14年度の純利益(4億3300万元)をもとに算出すると、15年度の純利益は23億2000万~25億1500万元に達する見通しだ。同社によると、第4四半期(10~12月期)にプラグインハイブリッド車の売れ行きが引き続き急速に伸び、公共交通関連や特用車の分野の受注が大量に納品となる見込み。BYDは今後、新エネルギー車戦略を自家用車と公共交通関連という2つの主軸から全方向の市場開拓へと切り替え、「7+4」戦略に積極的に取り組む。「7+4」戦略とは、自家用車やタクシー、公共バス、環境衛生関連の車両、都市部の商品物流関連、陸上旅客輸送関連、都市部の建築物流関連という従来の7つの領域と、倉庫、鉱山、港、空港という4つの特殊領域をカバーすることを指す。  BYDがプラグインハイブリッド車の分野でトップと称される一方、北京汽車(コード@1958/HK)は純電動車分野の王者だ。北京汽車が発表した統計によると、今年1~9月期の同社の新エネルギー車の販売台数は累計1万1251台と前年同期の12.75倍に達した。2年間連続で純電動車の国内生産販売台数トップを記録し、純電動車の販売台数で世界で4位に入った。同社の事業計画「衛藍事業計画2.0」によると、20年までに新エネルギー車の販売台数を20万台にまで引き上げ、国内市場シェア15%超を達成する計画だ。

インドネシア、成長の牽引役は「一次産品」から「観光産業」にシフト

※QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はインドネシアの現地記者アディ・ビナルソ氏がレポートします。※本記事は2015年12月7日にQUICK端末で配信した記事です。 インドネシア、観光産業に熱意…ビザ免除も 世界の一次産品価格の低迷が続き、最高値の水準まで戻る可能性が低いとみられる中、インドネシアに待望の外貨収入をもたらし、経済成長を促進する産業として、いま、観光産業に関心が集まっている。 この東南アジアの国には数多くの自然の景勝地や個性的な歴史的、文化的に価値の高い遺跡がある。しかし、宣伝不足や現状に対応できない老朽化したインフラ環境、官僚主義といったことが長い間、観光産業の妨げとなってきた。インドネシアには毎年約900万人の外国人観光客が訪れているが、隣国のマレーシアやタイに大きな後れを取っている。マレーシア、タイにはそれぞれ毎年2400万人、2700万人の外国人観光客が訪れている。  ジョコ・ウィドド大統領はこの実績に不満を示し、2019年までに旅行者数を2000万人呼び込むことを目標に、より多くの旅行者を誘致するための複数のプログラムを実行に移した。大統領の最初に動いた計画は、具体的には45カ国・地域から訪れる観光客の査証(ビザ)を免除するもので、この結果、9月の外国人旅行者数は前年同月比で10%近く増加した。  観光省も観光キャンペーンを見直し、国内の観光地を紹介するため、地域のケーブルテレビチャンネルの番組に資金を援助し、その制作にも関わっている。これは、この1年間にマレーシアとシンガポールが考案し、インドネシアやそのほかの東南アジア各国の観光客の誘致に大きく成功した戦略を模倣したものだ。入国管理局も、観光客が短期滞在ビザの延長をより簡単に行えるようサービスを改善すると約束した。 空の旅を快適に…航空インフラ整備続く インドネシア中央銀行のデータによると、第3四半期の観光産業による外貨収入は28億米ドルで、前年同期の23億米ドルに比べて22%増加した。これは17%減少した一次産品の輸出収入とは対照的な結果だ。また、海外で働く380万人のインドネシア人労働者からの送金は16億ドルで横ばいだった。  同国のインフラ未整備に対処するため、運輸省は国内各地にある空港185カ所のうち100カ所の滑走路を2000メートル以上に拡張することを計画している。2019年までにボーイング737-800型狭胴機に対応することが目的だ。イグナシウス・ジョナン運輸相は「我々は空港間の接続を改善し、空の旅を人々にとって手頃なものにしようとしている。しかし、現在の滑走路のままでは実現できない」と話した。ジャカルタ郊外の国際的な玄関口であるスカルノ・ハッタ国際空港やバリ島のングラライ国際空港など26カ所の空港を運営している国営空港運営アンカサ・プラ1とアンカサ・プラ2も、より多くの旅行者に対応するため、空港の能力を拡張している。 低成長脱却の切り札なるか 民間企業も精力的に事業を拡大している。インドネシアの上場旅行大手の1つであるパノラマ・セントラウィサタ(コード@PANR/JK)は先月、ジョグジャカルタのホテル買収を完了したところだ。同社は、訪問する旅行者数を2016年に22万3000人以上に倍増させることを計画しており、ベトナム、ミャンマー、中国、日本といった新しい市場に働き掛ける広告宣伝活動を強化している。同社のブディ・ティルタウィサタ社長は「我々は観光客のビザを免除するという政府の政策を頼りにしている。ビザ免除はインドネシア観光産業の成長を確実にする良い方向への第一歩だ」と話した。  インドネシアの大手不動産複合企業の1つ、リッポー・グループもまた、伝説の生物コモドオオトカゲの生息地である東ヌサトゥンガラ州ラブアンバンジョなどインドネシア東部に新たに旅行者を誘致する目的でホテル、ショッピングモール、病院開発に投資した最初の企業群の1つだ。  バリ、東ヌサトゥンガラ、西ヌサトゥンガラ各州の経済は合わせて、2015年第3四半期に前年同期比で11.8%成長した。これらの地域の成長率は国全体の成長率である4.73%を上回った。観光業がけん引役となった各州は、同国経済にある程度の貢献をしたといえるだろう。  バンバン・ブロドジョネゴロ財務相は「我々は観光という1つの産業により照準を合わせることで、経済成長を実現する上での障害を克服する方法を見つけたのだ」と話している。 【翻訳・編集:NNA】

中国、株価てこ入れの出口策を段階的に実施 課題は「国家隊」保有株の処分

※QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は、香港の現地記者ジェスロ・オー氏がレポートします。※本記事は2015年12月4日にQUICK端末で配信した記事です。 規制緩和は自信の表れ 中国政府は今年7月、株式相場の暴落を阻止するべく「暴力的な相場てこ入れ」を行った。証券会社やファンドに共同で株式購入を命じて相場を下支えするように求めただけでなく、多くの行政的な措置を打ち出した。これらの措置には、新規株式公開(IPO)の一時凍結や証券会社に自己勘定取引で日次ベースでの買い越し(すなわち購入額が売却額を上回ること)を厳令したことなどが含まれる。しかし、最近、これらの「暴力的な相場てこ入れ」措置が次第に撤廃される兆しがある。その背景には、株式相場の先行きに対する中国政府の自信がある。  中国証券監督管理委員会(証監会)はこのほど、IPOの審査・認可を再開して株式市場の資金調達機能を回復すると宣言した。これまでIPO再開は相場下落の口実とされがちだった。市場の資金をIPOに大量に持ち去られることを懸念する投資家がリスク回避で利益確定売りを出すためだ。しかし、今回の証監会のIPO再開宣言に対する投資家の反応は比較的に冷静だった。株式相場は急落せず、中国政府は「暴力的な相場てこ入れ」時の非常措置を徐々に取り消すことに対して自信を十分に強めた。  その後、証監会は「証券会社の自己勘定取引に対する日次ベースの買い越し要求の取り消しに関する通知」を発表。7月の株価暴落期間に規定した、上海総合指数が4500ポイント以下の時に証券会社が日次ベースで買い越しを維持しなければならないとする要求を明確に撤廃した。この出口策が伝わった後も株式市場の動きは冷静で、証監会は市場運営を今後徐々に通常の状態へ戻すことへの自信を強めた。 出口戦略移行は織り込み済み?  数カ月前、中国政府が出口策を準備中との誤報を中国メディアが報じてパニックを引き起こしたことがあった。中国政府はその後、証券会社やその他機関による株式市場での不法な活動の取り締まりに乗り出し、中国政府の出口策という偽りの情報を「悪意」で報じたとして国内の記者を取り調べた。しかし、中国政府の出口への動きが今回再び伝わったものの、金融市場はパニックとならず、人民元建てA株市場の動きは冷静だった。前回と今回の反応がこのように大きく異なったのはなぜか。それは、前回は市場心理が落ち着いておらず中国政府の出口策が伝わりパニックとなったものの、数カ月が過ぎて市場心理が次第に回復し、また政府の多くの景気下支え策を目にして投資家が相場の先行きに対する自信を取り戻したことで、政府の出口策を恐れなくなったためだと思われる。  IPO再開と証券会社の自己勘定取引の日次ベースでの買い越し規定取り消しという、いずれも「暴力的な相場てこ入れ」のヘビー級の行政措置を撤廃することに中国政府は自信を持った。加えて、「場外配資」と中国語で称される、証券会社以外の融資会社からの融資について清算作業が完了したうえ、証券業界の不法な活動の取り締まりで成果が出たことで、株式市場が回復軌道を取り戻すことに対して中国政府は自信を充分に強めたようだ。もっとも、「暴力的な相場てこ入れ」では当初、上海総合指数の4500台回復を目標としていたが、現時点でわずか3500付近にとどまっている。なぜ政府は前倒しで「矛を収めた」のだろうか。それは恐らく、現実的な方法を考慮したためと思われる。中国経済は勢いが衰え、マクロ的な外部環境も芳しくない。加えて米国の利上げが迫る中、無条件で相場を4500台に押し上げることは現実離れしている。一方、株式相場は現在の水準で落ち着きを見せており、比較的に低水準にあるときに徐々に出口策を行えばそれに伴う動揺を減らすことができる。逆にむやみに4500台に押し上げて出口策に動けば多くの利益確定売りを招き、新たな株価暴落の危険を生み出す恐れがある。 ”国家隊”の退路確保がカギ  今なお残る比較的大きな課題は、「暴力的な相場てこ入れ」時に証券会社や国有企業などの「国家隊(国家チーム)」が購入した株式だ。中国株式市場全体の時価総額の6%を占めると推測されるこれらの株式が出口策により市場に売り出されれば、動揺を招く恐れがある。このため、どのようにこれらの株式を売却するかについては慎重に取り組み、ゆっくりと時間をかけて秩序正しく進める必要がある。香港政府が1998年に海外資本の攻撃に対抗して行った株式市場介入を参考にすることも可能だろう。大量の資金を投じて株式を購入し、上場投資信託(ETF、当時の香港では「盈富ファンド」と呼んでいた)の形で証券取引所で売買する方法により機関投資家や市民に売却して持ち株を徐々に減らすという方法である。

インドネシア、経済特区への優遇税制で投資呼び込む 財政再建に課題も

※QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はRHB OSK証券インドネシアのヘルミー・クリスタント氏がレポートします。この記事は11月24日にQUICKの端末サービス上で配信されたものです。   先月に続き新たに景気浮揚策打ち出す…SEZへの投資呼び込みに積極的 インドネシア政府は、経済政策パッケージをさらに進めるため、主要3項目からなる景気浮揚策の第6弾を打ち出した。最大25年間のタックスホリデー(一時免税措置)をはじめとする経済特区(SEZ、インドネシア語ではKEK)による景気対策などは、海外からの投資を呼び込もうとする姿勢を明確にした。 ■経済特区への優遇税制 インドネシアのSEZは現在8カ所。SEZにはそれぞれ重点産業があり、主要な資源や人材を得られる地域に設置されている。インドネシア政府は、経済刺激策第6弾に、SEZへの投資を呼び込むためタックスホリデーを盛り込んだ。1兆ルピアを超える投資については、10~25年に渡り、法人税の20%~100%を免除、5000億~1兆ルピアまでの投資については、免税率は同水準のまま、期間を5~15年とする方針だ。投資が各SEZの重点分野以外を対象としている場合も、6年間にわたって30%のタックス・アローワンス(一時減税措置)を付与する。これらすべての税制優遇措置に加え、SEZに対してすでに導入されている輸入税、付加価値税(VAT)、奢侈(しゃし)税の免税措置も継続する。政府はまた、SEZ内で外国人の不動産購入を認める方針だ。一連の政策は投資先としてのインドネシアの魅力を高めるだろう。 ■水供給に関する規定の見直し インドネシア政府は水供給の規定を見直す方針だ。水供給事業は今後、公共事業化される計画。水供給事業の運営権や認可付与などの権限はすべて中央政府に返還される。これは新規投資の誘致と矛盾するように思われるが、これらの変更は憲法裁判所が2月に下し水資源法『2004年第7号』を無効とする判決を順守するために必要な措置だ。ただ、インドネシア政府は、既に水資源利用に関する事業認可を所有している民間企業については、新たな規定が制定されるまで事業を継続できるようにする考えを明らかにしている。それでも、今後、規定がより強化される可能性もあることから、インドフードCBP(@ICBP/JK)やユニリーバ・インドネシア(@UNVR/JK)といった消費財企業のボトル入り飲料水事業にマイナスの影響が及ぶ可能性がある。 ■手続きのさらなる簡略化 政府は、景気浮揚策第1弾に盛り込んだ貿易の規制撤廃をさらに進めるため、薬品とその原料に関する輸入手続きをさらに簡素化する予定だ。手続きに要する時間は1時間未満に短縮される見通し。この規制緩和は、カルベ・ファーマ(@KLBF/JK)やミトラ・クルアルガ(@MIKA/JK)、サラナ・メディタマ・メトロポリタン(@SAME/JK)などの医薬品企業や病院に前向きな影響を与えるはずだ。 経済特区モロタイ島開発…総面積1200ヘクタール、費用は6兆ルピア超見込む ほかに、景気浮揚策第6弾で恩恵を受ける企業としては、カワサン・インダストリ・ジャバベカ(@KIJA/JK)をあげる。同社は現在、タンジュンレスン(バンテン州)とモロタイ島(北マルク州)の2カ所のSEZで開発事業を進めている。開発面積は合わせて2647ヘクタール。KIJAは今年初め、タンジュンレスンのSEZの開発に向け、7社(地場企業3社、海外企業4社)と出資に関する覚書(MOU)を締結した。また、モロタイ島の(SEZ)開発については、台湾の投資企業約20社と提携している。同SEZの開発費用は推定で最大6兆8,000億ルピア、総面積は1200ヘクタール。 インドネシア政府が、SEZの開発をさらに進めるため、インフラ整備に取り組んでいることも好材料とわれわれは考えている。公共事業・国民住宅省のデータによると、8カ所のSEZで予定されているインフラ整備事業は、タンジュンレスンを除き、今年に入札が完了し、発注先が決まった。ただ、(タンジュンレスンについても、)政府はジャカルタ~メラク~タンジュンレスン間を結ぶ有料道路を建設する計画を表明している。延長80キロメートルとなる同道路の建設は、入札から3年以内の完工を見込んでおり、来年には着工する必要がある。 予想下回るGDP成長率の流れはいつまで? ■7~9月期のGDP成長率、予想を下回る インドネシアの中央統計局が発表した7~9月期の国内総生産(GDP)成長率は前年同期比4.73%と、4~6月期(4.67%)をわずかに上回った。ただ、中央銀行の予測(4.85%)と市場予測(4.80%)には届かず、依然として経済回復の鈍さが浮き彫りになった。これを受け、インドネシア政府がより効果の高い景気刺激策対策を打ち出すと見込んでいる。同国政府は現在、財政赤字リスクの拡大に直面している。税収が目標を下回り、10月中旬時点で57%にしか達していないことが主な要因だ。10~12月期に財政支出が拡大する見通しであることから、財政赤字幅が今後拡大する可能性は高い。このため、インドネシア政府は当初の支出目標を達成することはできないかもしれないが、特に今年前半の予算執行ペースが鈍かったこともあり、それはある程度予想されていたことだといえる。より重要なことは、10~12月期に支出パターンが目に見える形で改善されることだ。支出パターンの改善は支出目標の達成よりも重要なことであり、今後のインフラ開発事業の推進に関して政府への信頼感を高める。当社のエコノミストは、インドネシア経済は2015年下半期に前年同期比で4.9%の成長を達成し、前年同期比4.7%だった2015年上半期よりも成長が加速すると予測している。この予想は、政府支出が堅調に伸び、投資が順調に進むことを前提としている。通年では、(これまでの)実質GDP(成長率)予測を維持する。われわれは、(インドネシアの)2015年の成長率を4.8%と予測し、2014年の5%を下回るとみている。【翻訳・編集:NNA】

騰訊、7~9月期決算に期待高まる アリババ好業績で連想、決算直前チェック

※QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は、フィリップ証券(香港)のルイス・ウォン(Louis Wong)氏がレポートします。この記事は11月11日にQUICKの端末サービス上で配信されたものです。 中国ネット大手テンセント、アリババ好決算で市場が注目 中国ネットサービス大手の騰訊(テンセント)が10日に第3四半期(7~9月期)業績を発表する。発表を前に足元で同社の株価が堅調だ。節目の160香港ドルに迫り、約3カ月半ぶりの高値にまで上昇した。その背景には、ネット通販最大手のアリババグループ・ホールディングが先に発表した7~9月期業績が多少なりとも関係していると思われる。アリババの売上高は前年同期比32%増の221億人民元(約34億9000万米ドル)と、市場予測を上回った。このため、騰訊の7~9月期業績に対する期待が市場で高まっている。 騰訊の4~6月期業績を振り返ると、全体的に市場予想を上回った。売上高は前年同期比19%増の234億人民元、電子商取引業務を除いた場合は27%の増収だった。このうち、付加価値サービス収入が同17%増の184億元で、オインラインゲームとソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)業務が主に業績をけん引した。ネット広告収入は97%増の40億元だった。モバイル端末向けSNSのアフィリエイト広告や動画広告が主に業績を押し上げた。純利益は25.3%増の73億1400億元だった。 ユーザー状況は、6月末時点で騰訊のSNSである「QQ」の月間アクティブユーザー数(MAU)が前年同期比1.7%増の8億4300万人、スマートフォン(スマホ)向けQQのMAUは同20.4%増の6億2700万人に達した。また、同社のチャットアプリ「微信(WeChat)」のMAUは36.9%増の6億人で、ブログサービスの「QQ空間」のMAUは2.2%増の6億5900万人、スマホ向けQQ空間のMAUは15.4%増の5億7300万人だった。 オンラインゲーム、ネット広告業務に新たな動き…施策の有効性探る 騰訊は前評判が高いパソコンゲーム『モンスターハンター・オンライン(中国語名:怪物猟人Online)』や『ムーンライト・ブレーム(中国語名:天涯明月刀)』を発表する。また、『地下城と勇士』や『FIFAオンライン3(中国語名:足球在線3)』といった人気を集めているパソコンゲームの知的財産権をモバイルゲームにまで拡大する。さらには、世界のスポーツ競技とクロスオーバーさせた拡販を更に進めて、スポーツゲームとの組み合わせを開発する。その一例として、騰訊の動画サイト「V.QQ.COM(中国語名:騰訊視頻)」で米プロバスケットボール協会(NBA)の新シーズンを放送する際にゲーム「NBA2Kオンライン」を投入して、より多くのユーザーを獲得する。一方、ネット広告では、NBAの試合や音楽オーディション番組「ザ・ボイス・オブ・チャイナ(中国語名:中国好声音)シーズン4」などの優良ネット動画コンテンツに引き続き投資していくと同時に、モバイル広告資源の充実やアフィリエイト広告サービスの機能向上に取り組み、こうした新しい施策がオンラインゲームやネット広告業務をけん引する新たな動力となるかどうかを探る。 財務面は、6月末時の騰訊の現金および現金同等物が482億7000万元、定期預金が209億4000万元。借入金が85億6000万元、支払手形が389億9000万元で、現金(純額)が216億6000万元となっている。今年4月、騰訊は全世界で行う中期債(MTN)発行計画の元金総額の限度額を50億米ドルから100億米ドルに引き上げた。7月と9月にそれぞれ1億米ドルの優先債を発行して会社の運営資金に充当した。 業界特化の戦略的提携関係に重きを置く 現時点で騰訊は、モバイル端末を中心とした活発な「生態系」を構築して自社または提携先が持つ商品やサービスを中国の消費者にもたらすということに戦略の重点を置いている。そして、主に以下の方法により戦略を実行する。まずは、銀行カードと携帯電話機向け決済サービス「QQウォレット(中国語名:QQ銭包)」や「WeChatペイメント(中国語名:微信支付)」とが既に連携されているユーザーや提携先の企業による騰訊の決済ソリューションの採用を増やすことで、決済サービスの取引量を拡大する。次に、広告資源の拡充や広告主となる客層の拡大、社内組織の調整により、アフィリエイト広告の業務の流れを改善して同業務を伸ばす。3番目に、コンテンツ開発業者と収入を分配することでモバイル生態系のコンテンツの優良化を促し、ユーザー参加の度合いを高める。4番目に、ネット上の読書や動画鑑賞、音楽視聴といったデジタルコンテンツ定期購入サービスを新しいコンテンツや機能で充実させると同時に、主要コンテンツ提供業者との提携関係を拡充する。そして、最後に、中国トップクラスのクラシファイドサイトを運営する58.com(中国語名:58同城)への投資を増やすなど、業界内の垂直方向での戦略的な提携関係を高める。 留意すべき点として、MSCIが海外に上場する中国関連銘柄を同社の新興国指数に組み入れる動きを始めたという報道がある。現在、MSCIの新興国指数に採用される中国企業株は香港上場のH株(中国企業株)に限られている。このため、MSCIの新興国指数に海外上場の中国関連銘柄が採用されることになった場合、香港上場のH株から一部の資金が流出する可能性がある。こうした場合、最大の受益者は米国で株式を上場しているアリババとなるだろう。アリババ株には16億米ドルの資金が流入する見込みで、騰訊の株価に影響を及ぼすことになるもようだ。

中国の紫光、台湾・力成の株式25%取得へ 米マイクロンへの出資も模索

※QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は台湾の現地記者、李臥龍(リー・ウォーロン)氏がレポートします。この記事は11月16日にQUICKの端末サービス上で配信されたものです。 合併、引き抜き…株式取得で半導体産業チェーン構築を目指す 中国の紫光集団が正式に台湾のメモリー・メーカーに資本参加した。10月30日、同社はメモリ・パッケージング・テストの力成科技(パワーテック)の第三者割当増資で、発行済み株式の25%を1株当たり75台湾ドルで取得すると発表。同時に、紫光集団傘下の展訊通信と鋭迪科微電子が台湾のICデザイントップの聯発科技(メディアテック)と合併する可能性があるとも表明し、世界の半導体業界に大きな衝撃を与えた。 紫光は既に、台湾のDRAMメーカーの華亜科技(イノテラ・メモリーズ)から高啓全・前会長を、全世界執行副総裁(グローバル・バイス・プレジデント)として引き抜き、メモリー分野の布陣を整えていた。こうした動きに続く今回の行動は、台湾メモリー関連上場企業に対する初の資本参加でもある。 紫光集団の趙偉国会長は自ら台湾を訪れ、この投資案件を発表した。これらの一連の動きは、「チップからクラウドコンピューティングまで」という完璧な産業チェーンを構築するためだ。力成科技はメモリーの後工程であるパッケージング・テストのメーカーである。紫光集団は将来、中国でNAND型フラッシュメモリーに積極的に進出しようとしており、それに必要な安定したパッケージング・テストの生産能力を確保したことになる。力成科技は1997年創業で、現在はパッケージング・テストで世界第5位に位置している。アメリカのメモリー・メーカーであるキングストンテクノロジーが大株主で、約3.83%の株式を保有し、取締役4ポストを持っている。また、台湾東芝半導体も1ポストを持っている。将来、紫光集団の資本参加に合わせて、増資後の株主構成と取締役ポストは変動があると見られている。紫光集団はここに高啓全氏を法人代表として派遣してくると予測されている。 「う回作戦」…虎視眈々と買収をねらう 消息筋によると、紫光はDRAM大手のアメリカのマイクロン・テクノロジーに買収を申し込んで拒否された後、「う回作戦」を採用した。まず、38億米ドルでハードディスク大手のアメリカのウェスタン・デジタルの株式15%を買収。さらに、このウェスタン・デジタルを通じ、フラッシュメモリー大手のアメリカのサンディスクを買収し、フラッシュメモリー分野に衝撃を与えた。こうして着々と、「チップからクラウドコンピューティングまで」に関連する技術と生産能力を構築している。紫光集団はまた、傘下のチップメーカーである同方国芯電子による増資で800億人民元を調達し、半導体業務に投じることを計画している。うち、37億9000万人民元を力成科技の株式25%買収に充てるほか、600億人民元をメモリー工場建物の建設に、残りの162億人民元を半導体関連企業の買収に、それぞれ充てる予定だ。   米マイクロンは紫光との資本提携に積極的 消息筋によると、紫光集団は工場建設に当たって「合資」方式で進めることを考えているという。現在、合資の対象として交渉を進めている企業には、すでに遼寧省大連市での工場建設を発表しているアメリカのインテルのほか、技術を持つ韓国のSKハイニックス、マイクロン、日本の東芝(6502)がある。 このほか、紫光集団はまた、マイクロンとの提携の戦略を変更し、ウェスタン・デジタルの方式を採用し、マイクロンに資本参加する可能性も模索している。 紫光集団が発表した800億人民元の増資で、引受先として親会社の清華控股に所属する西蔵紫光国芯、西蔵紫光東岳通信、西蔵紫光神采、西蔵紫光樹人教育、国研実業、同方国芯などの9社が含まれていたことから、マイクロンがこれに特に注目。双方は積極的に提携交渉を進めており、これが双方の提携成立を促進すると予測されている。  

インドネシア経済、7~9月期は回復か インフラ投資寄与、個人消費に懸念も

※QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はインドネシアの現地記者アディ・ビナルソ氏がレポートします。この記事は11月5日にQUICKの端末サービス上で配信されたものです。 GDP低調改善なるか…市場は4.8%成長を予想 東南アジア最大の経済国であるインドネシアに景気回復の兆しがみられるかどうか、投資家は5日に発表される2015年7~9月期の国内総生産(GDP)の結果を注視している。  8000億米ドル程度の経済規模を誇るインドネシアの7~9月期GDPは、政府支出の拡大を背景に前年同期比で4.8%成長するとの予測がエコノミストらの一致した見解だ。市場予想通り4.8%成長を達成すれば、4~6月期の4.67%成長を上回り、2014年10~12月期以降で初めて経済成長率が拡大することになる。  シンガポール在住でDBS銀行のエコノミスト、ガンディー・カヒャディ氏は「7~9月期のGDPで投資の伸びが回復していることを示す何らかの兆候があれば、今後の見通しのプラス材料になる」と指摘する。「8月には貸し出しが伸び、特に新規投資に向けた融資が回復していることは好材料だ。政府は年末に向けて予算執行を急いでおり、こうした資金流入が民間企業に前向きな影響を及ぼすことから、全体的に投資が拡大している可能性もある」(カヒャディ氏)という。 投資の受け入れ好調も家計消費は依然として低迷 インドネシアの投資調整庁(BKPM)のデータによると、投資実現額(石油、ガス、銀行部門を除く)は7~9月期に前年同期比17%増加している。とりわけ、海外直接投資(FDI)は、シンガポール企業と日本企業の投資が堅調だったことで、同18%の増加を記録した。  インドネシアの経済成長を占う上で重要な指標の一つであるセメント販売量は、今年に入り7カ月間にわたって減少していたが、8月は一転して16%増に転じ、9月も3%の増加となった。  インドネシア・セメント協会(ASI)のウィドド・サントソ会長は「インフラ整備のほか、住宅・マンション建設が進んでいることが、セメント販売量が増加した理由だ」と説明する。同会長は「政府が公共案件の予算執行を進めていることから、セメント販売量は年末まで拡大し続けるだろう」との見方を示している。  一方、一次産品の海外輸出が縮小しているうえ、電子機器や機械、衣料品の輸出量も横ばい圏で推移していることから純輸出はインドネシアの成長にあまり寄与していない。また、消費者が家計収入の低下を受けて支出を見送る傾向にあるため、同国GDPの55%を占める家計消費は低迷状態が続いている。  インドネシア中央銀行の調査によると、9月の消費者信頼感指数(IKK)は97.5と、8月の112.6から大幅に低下し、2010年8月以来の最低水準となった。これは、消費者が今後の収入についてほとんど楽観的ではなくなったことを意味している。 5つ経済政策、景気浮揚の切り札となるか ジョコ・ウィドド大統領は、9月9日から10月15日の間に、投資と対外貿易に関する煩雑な手続きの合理化や企業が負担するエネルギー費用および輸送費用の軽減、中小企業向け輸出関連資金の調達支援など、5つの景気浮揚策を打ち出した。  インドネシアの国会本会議が10月30日、2016年度予算案を可決したことは経済を活性化させようとする政府の取り組みへの支持の表れといえる。同予算案には、来年度に5.3%のGDP成長率を達成するため、国営企業を通じた多くのインフラ開発関連支出が盛り込まれている。来年度の推定財政赤字は、対GDP比2.5%に相当する273兆ルピア(約200億米ドル)となる見込みだ。 【翻訳・編集:NNA】

台湾TSMC、iPhoneチップでサムスン上回る評価 半導体、ゼロ成長で競争激化か

※QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は台湾の現地記者、李臥龍(リー・ウォーロン)氏がレポートします。この記事は11月2日にQUICKの端末サービス上で配信されたものです。 ナノメートルで性能変わる…競争激化する半導体業界 米アップルの新機種iPhone6sとiPhone6sプラスについて、新プロセッサーのA9チップに半導体受託生産会社(ファウンドリー)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)と韓国サムスン電子の製品をそれぞれ採用したことから、ユーザーテストで両機種のバッテリー消費量に1時間の差が出た。このニュースは台湾から全世界へと伝わり、返品騒動を引き起こした。  アップルは後にiPhone6sとiPhone6sプラス両機種のバッテリー使用の差はわずか2~3%に過ぎないと説明した。しかし、市場ではTSMCの回路線幅16ナノ(ナノは10億分の1)メートル製造プロセスで生産されたA9チップがサムスンの14ナノメートル製造プロセスのA9チップを性能上で大きく上回るとの認識が一般的となっている。 こうした3次元構造の半導体設計の領域に突入したファウンドリー間の競争は、回路線幅が1Xナノ(10ナノメートル台)に突入に伴い熾烈(しれつ)化しつつあるようだ。 半導体の設備メーカーによると、TSMCは16ナノメートルでサムスンに出だしで遅れをとったものの後に同社を追い越す勢いとなり、TSMCのプロセス技術能力にアップルも注目している。次世代機種iPhone7に搭載するA10プロセッサーの生産をすべてTSMCに託す可能性もあるという。 これだけにとどまらず、これまで生産委託を分散させていた米クアルコムも2017年にTSMCの10ナノメートル製造プロセスを大々的に採用する予定だ。これによりTSMCは10ナノメートルの試験生産の進展を一段と速めて、サムソンを一層引き離す。 ゼロ成長も株価への影響は一時的か しかし、TSMCは今月中旬に開催した機関投資家向け業績説明会で、今年の設備投資を当初予定の105億~110億米ドルから80億米ドルへと大幅に下方修正すると発表した。削減幅は2割を超すが、依然として米インテルの73億米ドルを上回る規模だ。  TSMCの説明によると、20ナノメートルの設備のうち95%を16ナノメートルに転換可能であり、これに伴う設備調達の削減が設備投資の下方修正の30%を占めるという。さらに、生産効率の向上で可能となる機械購入の削減が下方修正の33%を占める。その他の投資削減は設備購入を来年に繰り越すことによるという。  TSMCは同時に、今年の半導体の成長予測値を当初予測の3%からゼロ成長へと下方修正した。同社が今年の成長率予測を下方修正するのは3度目。また、半導体の在庫調整が年末まで続くとの見方を示した。  さらにTSMCにとってマイナスなニュースであるのが、ハイテク関連ウェブメディア「ベンチャービート」の報道だ。同社の報道によると、インテルがアップル社の次期iPhoneに搭載するモデムチップの受注とSoC(システム・オン・チップ)の生産受託を希望しており、クアルコムまたはTSMCへの発注分を奪うもくろみだという。  もっとも、これら2つのマイナス報道もTSMCの株価に影響を及ぼすまでには至っていない。同社の株価は業績説明会前から上げ基調が続き、業績説明会で設備投資の大幅削減が明らかになって下落する局面もあったが、その後は再び堅調に推移している。 18年めどに南京で量産体制確立へ 一方、TSMCの中国進出計画については、同社の設備サプライチェーンから得た情報によると、同社が初めて中国大陸で設立することになる12インチのウエハー工場の場所が南京に確定した。同工場では16ナノメートルのFinFET(フィン型電界効果トランジスタ)製造プロセスを当初から直接導入し、17年末に試験生産、18年から正式に受注と量産を開始する予定という。  台湾中部の中部科学工業園区(中科)にあるTSMCの中科15工場の立ち上げも急ピッチで進んでいる。第1期で16年第2四半期(4~6月期)に装置が設置され、10ナノメートル製造プロセスを当初予定から半年前倒しして16年末までに段階的に稼働させる計画だ。

中国・習主席、積極経済外交で海外進出強化 インフラ関連銘柄に恩恵

※QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は、香港の現地記者ジェスロ・オー氏がレポートします。この記事は10月28日にQUICKの端末サービス上で配信されたものです。 習主席の米英訪問、中国の重要計画展開に寄与 中国の習近平国家主席が過去2カ月間、次々と忙しく外国を訪問した。9月の米国公式訪問に続き、10月には400億ポンド超のビジネス契約を「手土産」に英国を華々しく訪問、中英両国は包括的戦略パートナーシップを構築すると高らかに発表した。このように中国の指導者が2カ月間で米国と英国を相次いで訪問するということは極めて異例だ。  今回の習主席の米英訪問は、中国共産党の第13次「5カ年計画」策定前であることに特別な意味がある。習主席の外交強化は、次期5カ年計画で「一帯一路(新シルクロード)」やアジアインフラ投資銀行(AIIB)といった重要な計画を本格的に展開するうえでプラスとなる。 「5カ年計画」、成否のカギは中米相互の信頼関係か 「5カ年計画」は中国政府の経済と社会の発展に関する遠大な計画である。第1次「5カ年計画」は「一五計画」と称され、1953~57年にかけて実施された。これまでに12回の「5カ年計画」が行われている。そして、習主席が訪英から帰国した後の10月末に開催される中国共産党の中央委員会第5回全体会議(5中全会)で、2016~20年の第13次「5カ年計画」の枠組みが決定される。このような重要な国家計画に関する会議を前にして習主席が米国や英国を続けて訪問したのは、彼が既に政権を掌握することで中国の政局が比較的安定しており、今後は経済発展の促進に全力で取り組むという姿勢を対外的に示すためだと思われる。また、積極的な外国訪問は習主席が主張する「一帯一路」やAIIBが発展していく上での障害物を取り除くことにもなる。  「一帯一路」とAIIBは、中国が近隣国との経済的な連携を強め、経済や貿易に関する発言権を一段と発揮する場となる。この2つの計画により、中国は欧米が牛耳る世界銀行や国際通貨基金(IMF)に対抗するのだという見方もある。しかし、経済的な観点では、中国は「一帯一路」とAIIBを通じて発展資金を渇望するアジア新興国市場に資金と市場開拓のチャンスを提供することに協力する。  同時に、中国は余剰生産能力を「輸出」することができ、双方に利するウィン・ウィンの関係だと言える。「一帯一路」沿線国は、中国がインフラ建設発展への融資の旗振り役となって協力し、中国と経済貿易の地域的な連携を強めることを大いに歓迎している。ただ、米国はこれまで、この2つの計画に疑問を抱き、非協力的な姿勢を示してきた。このため、習主席の訪米で中米の相互信頼を高めれば、2つの計画への参加に関心を抱く他の諸国の計画に対する自信を一段と強める。  一方、英国は欧州の中で率先してAIIBに参加した国だ。習主席の訪英はAIIBに対する英国の支持に謝意を示すと同時に、両国の関係を強化することで2つの計画を全力で推進するための基盤を固めることになる。習主席とキャメロン英国首相は一緒にパブへ行き、フィッシュ&チップスやビールを味わっており、両者は友好をそれなりに深めたようだ。 市場はインフラ関連銘柄に注目 5中全会は10月26~29日まで開催される。すなわち、習主席の帰国後に開かれるタイミングだ。国有企業改革とインフラ強化による経済発展が焦点になると伝わっている。習主席の訪米と訪英で「一帯一路」とAIIBの発展基盤が強化され、外交の場が確立されたことで、中国は次期「5カ年計画」でインフラプロジェクトの海外進出チャンスの拡大に全力で取り組むことになるだろう。このため、インフラ関連銘柄は今後の中国・香港株式市場で引き続き輝かしいスター銘柄であり続けるとみられる。

インドネシア、セメント需要に回復の兆し 供給も増加で競争は激化か

※QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はRHB OSK証券インドネシアのアンドレイ・ウィジャヤ氏がレポートします。この記事は10月30日にQUICKの端末サービス上で配信されたものです。 インフラプロジェクト増加…競争激化に懸念も インドネシアのセメント需要に回復の兆しが見えている。9月の販売量は、8月に引き続き堅調な伸びを維持した。ジャワ島とカリマンタン島以外での販売量が拡大、インフラプロジェクトが増加したことが背景にある。当社が追跡しているセメント企業に関しては、新規のインフラ案件関連で受注したことが分かった。ただ、向こう2年間で供給量が増大する見通しであることから、競争が激化すると予想し、インドネシアのセメントセクターの投資判断は「ニュートラル(中立)」を維持する。 9月セメント販売量、年初来最高水準も伸び率は減少 ■販売量の伸びは堅調に推移 9月の国内セメント販売量は、ジャワ島とカリマンタン島以外で販売量が拡大したほか、インフラ事業が増加したことから、年初来の最高水準となる570万トンに達した。8月の550万トンから4.7%増加している。1~9月の累計国内販売量は、4230万トンに達している。ただ、伸び率は前年同期比で1.7%減だった(1~8月では同2.3%減)。ジャワ島とカリマンタン島のセメント販売量が91万トン減少した一方で、スラウェシ島やスマトラ島、東部インドネシアでの販売量が18万トン拡大したことで、減少分の一部は相殺された。 ■回復の兆し 2015年第3四半期のセメント販売量は1450万トンと、前年同期の1400万トンから3.6%増加した。当社が追跡しているセメント企業は、新規のインフラ案件関連を受注している。セメン・インドネシア(コード@SMGR/JK、買い、目標株価:1万500ルピア)は、軽量高架鉄道(LRT)、東カリマンタン州バリクパパン~サマリンダ高速道路や東ジャワ州スラバヤ外郭環状有料道路の建設事業、中ジャワ州スマランのアフマドヤニ空港の拡張工事へのセメント供給契約を獲得した。また、インドセメント・トゥンガル・プラカルサ(インドセメント、コード@INTP/JK、中立、目標株価:2万ルピア)は、ジャワ島横断高速道路の中ジャワ州ソロ~東ジャワ州クルトソノ間の第1区間、西ジャワ州バンドンのソレアン~パシルコジャ高速道路、ジャカルタ外郭環状線(JORR)の西ジャワ州デポック~南ジャカルタ・アンタサリ間に関してセメントの供給を受注している。 セメント供給、需要を上回る見通し ■セメン・インドネシアがシェア首位 セメン・インドネシアは、2015年第3四半期に市場シェアを前四半期の42.2%から42.9%に伸ばした。一方、インドセメントの市場シェアは、前年同期の29.8%から26.8%に縮小した。ホルシム・インドネシア(コード@SMCB/JK)の市場シェアは、同期間に14.7%から14.4%に縮小している。東部インドネシアの販売量が堅調に伸びたことで最大の恩恵を受けたのは、セメン・インドネシアだった。セメン・インドネシアとインドセメントの経営陣はまた、2015年第3四半期の平均販売価格(ASP)が前四半期比で約2%下落したことを明らかにしている。販売量に占めるバラセメントの割合が増加したことと、販売価格の低下が要因だという。 ■投資判断:中立 セメント需要の拡大は見込めるが、供給量が需要を上回る速度で増加すると予測されることから、インドネシアのセメントセクターへの投資判断は「中立」を維持する。なぜなら当社は、国内セメント業界の競争が激化すると予想しているからだ。インドネシアのセメント生産能力は2015年度に前年度比20%、2016年度に同10%増加するのに対して、セメント販売量の増加率が2015年度に前年度比3.5%、2016年度には同6%にとどまると想定しており、当社の計算では2014年度に87%だった国内セメント生産設備の稼働率は、2016年度に72%に低下する見通しだ。 【翻訳・編集:NNA】

香港にIMAXチャイナが新規上場 中国映画産業は急成長、興行収入は米国に匹敵

※QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は、フィリップ証券(香港)のルイス・ウォン(Louis Wong)氏がレポートします。この記事は10月13日にQUICKの端末サービス上で配信されたものです。 IMAXチャイナHD上場…先進的映写システムの提供で4億香港ドル超を調達 映画好きであれば、IMAXについて聞き覚えがあるだろう。IMAXの映写システムは、IMAX DMRという映像リマスタリング技術や先進的な映写システム、湾曲スクリーン、幾何学的な構造を持った専用シアター、プロフェッショナルな音響システムを結集して、従来の映画館よりも強烈で臨場感のある刺激的な体験を映画の観客に提供する。 中華圏でIMAX技術を提供するIMAXチャイナ・ホールディング(コード@1970/HK)が10月8日に香港株式市場に上場した。資金調達額は約4億6000万香港ドル。同社の主要業務は映画館業務と映像業務の2大業務からなる。このうち映画館業務には、提携先である映画館運営会社を対象とした優れたデジタル映写システムの設計、調達、提供のほか、関連プロジェクト管理や継続的なメンテナンスサービスの提供が含まれる。一方、映像業務には、専有のDMRリマスタリング・プロセスにより、ハリウッドや中国語の映画をデジタルリマスター技術を用いてIMAXフォーマットに変換し、中華圏のIMAX映画館ネットワークでこれらの映画を放映することが含まれる。 映画館業務の収入は、映画館運営会社から徴収するIMAX映写システムや同システム関連のサービスやブランド・技術ライセンス、メンテナンスサービスに関する費用からなる。一方、映像業務の収入は、提携先の映画製作会社のIMAXフォーマット映画興行収入の中から固定の比率に基づいて得る利益からなる。このような収益体制とすることで、映画興行収入の成功を共有する一方、映画製作に必要な大量の資金投資に伴うリスクを抑えることができるのだ。 月間興行収入が初の米国越え…急成長する中国の映画産業 過去数年間、中華圏でIMAXシアターの数は急速に増加した。中華圏で運営されているIMAXシアターの数は、2012年時点で128カ所、13年時点で173カ所、14年12月31日時点で234カ所、15年6月30日時点で251カ所となっており、年平均成長率が30.9%に達した。中国で設立されてから15年近くとなるIMAXチャイナが同国で運営する商業用IMAXシアターは今年6月末時点で221カ所と、中華圏で運営されているIMAXシアター全体の88%を占めている。また、今後に提携契約が結ばれることになるIMAX放映システムが217カ所あり、その多くが商業用映画館で、97.2%が中国にある。 ここ数年間で中国の映画産業は急速に成長した。統計によると、10年~14年の期間における中国の映画興行収入の年平均成長率は30.7%だった。一方、同期間の米国の映画興行収入の年平均成長率はマイナス0.5%、世界全体ではわずか4.2%だった。中国の映画興行収入は今年1~9月期で327億人民元に達し、前年同期の217億元から51%増加した。今年2月、中国の月間映画興行収入は初めて米国を越え、中国は世界最大の映画市場となった。今年は映画興行収入が400億元を突破する見込みだ。 中国では映画興行収入の急増とともに映画館の数も急激に増えている。10年時点で2000だった映画館の数は、14年に5813に達した。今年上半期(1~6月期)では新たに600が増設され、6413となった。また、同期間にスクリーンの総数は2449スクリーン増の2万6244となり、1日当たり平均で13.5スクリーン増えた。座席の総数は30万6000席増加、1当たり平均で1692席増となった。17年には映画館が9591、スクリーンが4万123に達すると予測されている。   ”映画館チェーン”…独特な政府規定も 香港株式市場に上場する企業の中には、星美ホールディングス・グループ(コード@198/HK)や橙天嘉禾娯楽(コード@1132/HK)といった中国の映画業務に携わる企業がある。星美は今年6月末時点で中国の主要都市に映画館が130、スクリーン数では1000超を有している。同社の中国全土における映画館の総数は15年末時点で200に達する見通しだ。また、同社の映画興行収入は今年1~8月期で前年同期比89.34%増加し、中国全土の同期の増加幅である47.73%を大きく上回った。一方、橙天嘉禾娯楽は今年6月時点で中国で映画館を合計63運営しており、スクリーン数が合計447となっている。 中国の映画産業における「映画館チェーン」とは、独特のものである。同国政府の規定によれば、中国の映画館はいずれも映画館チェーンに属さなければならない。また、映画館チェーンが映画館の放映権限をコントロールしているため、映画配給会社が映画館に映画を直接配給することができない。今年1月時点で中国では合計48の映画館チェーンがあり、トップ10の映画館チェーンが中国の映画興行収入の66.8%を握っている。最大の映画館チェーン運営会社は深センの中小企業向け株式市場「中小板」に上場する万達電影院線(コード@002739/SZ)である。  

人気記事

  1. 登録されている記事はございません。

最新記事

  1. 登録されている記事はございません。

アーカイブ

PAGE TOP