日本株21年ぶり高値、あのファンドも動き出す

21年ぶりの高値圏に浮上した日本株。塩漬けにされていた株に売り抜けの好機到来と言える。それは個人投資家のみならず、「物言う株主(アクティビスト)」にとっても追い風となっているようだ。 ※この記事はQUICKのオプションサービス「QUICKエクイティコメント」で2日に配信したニュースを再構成したものです。 旧村上ファンドがイグジットに成功? 電子部品商社の黒田電気は10月31日、投資ファンドのMBKパートナーズによる完全子会社化を目的としたTOBに賛同すると発表。買収総額は1000億円強で、TOB価格は1株2720円とした。これは10月31日終値(2020円)を34.7%上回る水準だったことから、翌11月1日は買い注文が殺到しストップ高比例配分となった。 黒田電気は、旧村上ファンド系投資ファンドであるレノが実質的な筆頭株主で、村上世彰氏の愛娘の野村絢氏、村上世彰氏と関係の深いオフィスサポートなどの共同保有分を含めて約37%も保有しており、このたびTOBの応募でMBKと合意したという。黒田電気側は液晶関連の取引減少で業績が悪化するなか、MBKから資金や人材などの支援を得て事業基盤を再構築するとしているが、レノがイグジットに成功したとみるのが妥当だろう。 これには伏線があった。黒田電気が6月末に実施した株主総会では、レノが提出した社外取締役を選任する株主提案を賛成多数で可決された。「物言う株主」による株主提案が可決されるのは極めて異例で、2009年にアデランスの総会で米スティール・パートナーズが推す取締役の選任が可決されて以来(約8年ぶり)だったという。黒田電気側はレノの提案に反対していたが、他の少数株主もレノに賛同したことで株主提案が可決された。レノは黒田電気に他社との経営統合や株主還元の強化を求めて圧力を強めていく方針としており、今回のイグジットにつながったとみられる。 ●黒田電気の株価チャート(QUICK ActiveManagerより)   レノ、次の標的は? 今回の黒田電気からさかのぼること約1年前、2016年11月末にはゴルフ場運営大手のアコーディアゴルフが、投資ファンドMBKパートナーズによる買収で上場廃止となった。アコーディアゴルフも旧村上ファンド系投資会社のレノが実質的に筆頭株主で、共同保有分を発行済みの約19%を保有していた。2013年に投資を開始してから約4年でイグジットに達し、投資総額390億円に対して約480億円回収したという。 この2件から旧村上ファンド系投資会社は筆頭株主として数年間にわたり会社側へプレッシャーを与え続け、MBKパートナーズを通じイグジットを図るというスキームを定着させつつあるように見える。今回の回収資金でレノは新たにどの企業にロックオンするのかも注視したい。 ●アコーディアゴルフの株価チャート(2017年3月23日上場廃止、QUICK ActiveManagerより)   エフィッシモの動向に注目 また、シンガポールに拠点を持つ旧村上ファンド出身者らによる投資ファンド「エフィッシモキャピタルマネージメント」の動向にも注目だろう。エフィッシモも株主提案などに積極的な「物言う株主」として知られており、渋チンだったヤマダ電機に圧力をかけて配当金の増加等を勝ち取ったほか、今年5月には宝飾品大手TASAKIがMBKパートナーズによる買収でイグジットに成功した経緯がある。 エフィッシモは保有比率で最も高い川崎汽船(38%超)を筆頭に、日産車体、TOC、ヤマダ電機なども15%程度保有する。エフィッシモの投資スタンスは定かではないが、主に東証1部上場で業績等が落ち込んだ企業の株価が沈む状況で大量に仕込むという戦略と推察される。春先には巨額損失計上で急落した東芝を大量取得したことが話題となったが、取得理由としては「企業価値に比べ割安と判断した。成長を促すために対話することもあり得るが、現時点では具体的に想定していない」と挙げていた。業績不振銘柄への投資のため、イグジットには多少時間かかると思われるが、足元の良好なマクロ環境や世界的な株高の流れがイグジットの流れを後押ししそうだ。 TOBプレーはあるか… 旧村上ファンド系の投資ファンドではレノ、エフィッシモキャピタルマネージメント以外にも、村上世彰氏が関与するとされるオフィスサポートがある。さらに、村上世彰氏の愛娘である野村絢氏、野村絢氏が代表を務めるC&Iホールディングスなどもあり、これらの名称を見かけたら要注目されたい。そのオフィスサポートは10月31日提出の大量保有報告書で、日本郵船の大量取得が明らかとなった。村上世彰氏はニッポン放送株を巡るインサイダー取引容疑で逮捕されてから一線を退いていたが、相場に復帰。今年6月に「生涯投資家」という書籍を執筆し、現在はツイッターで積極的にツイートするなど、精力的に動いているだけに再び「物言う株主」として辣腕を振るう日も遠くはないかもしれない。 旧村上ファンド系投資ファンドが保有する銘柄が下記の一覧で、いつイグジットに向かうも注目点だ。TOBといったイグジット戦略で株価が思惑的に動く局面が近づいているのかもしれない。   ※2017年に入り、金融庁の大量保有報告の提出があったもの   【QUICKエクイティコメント・本吉亮】

次期FRB議長、パウエル氏指名 市場の見方は?

トランプ米大統領は2日、米連邦準備理事会(FRB)の次期議長にジェローム・パウエルFRB理事を指名した。ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)など複数の米メディアが正式発表前の1日にパウエル氏の昇格を報じたことを受け、QUICKでは発表直前、次期議長について市場関係者に聞いた。 ※この記事はQUICKのオプションサービスである「QUICKデリバティブズコメント」で2日に配信されたニュースをまとめたものです。 ▼「金融規制は緩和方向に」 大和証券チーフエコノミスト 永井靖敏氏 パウエルFRB理事は、これまでイエレンFRB議長の金融政策を支持していたことから、政策の急変はないだろう。理事として、5年以上FRBに在籍しているため、実務上の不安もない。投資ファンドの経営を経験したことから市場との対話という点についても、安心感がある。ただ、金融規制については、これまで緩和すべきと主張してきた。議会共和党の意向も受け、緩和方向に修正されそうだ。金融規制が緩和されると、マクロプルーデンスでバブル発生を抑えない分、金融政策で行き過ぎた資産価格の上昇に目配りすることも考えられる。 ▼「マエストロではなく劇場支配人」 東京海上アセットマネジメント チーフファンドマネジャー 平山賢一氏 政府による市場への介入が強化されている昨今、エコノミストによる経済分析よりも政治的立ち回りが重視されているだけに適任と言えるでしょう。マエストロではなく劇場支配人が求められているわけです。ネゴシエーターに徹すれば市場は安定化するものの、それに我慢できなくなれば長期金利のボラティリティ創発の淵源地なるはず。 ▼「副議長がテイラー教授になると、市場はややタカ派的だと受け止められるかも」 シティグループ証券 相羽勝彦氏 パウエル氏については既に市場は織り込み済みで、現行の金融政策スタンスの継続性が保たれる感じでしょうか(弊社では、来年3回利上げするという従来の見通しに変更はありません)。まだ決まっていない副議長がテイラー教授になると、市場はややタカ派的だと受け止められるかもしれません。 ▼「レバレッジ比率の規制緩和を強く推進しない」SGHマクロ・アドバイザーズのサッサン・ガラマニCEO パウエル理事が次期FRB議長になったとしても、ドット・フランク法(金融規制改革法)の大手銀行のレバレッジ比率に関する規制緩和を強く推し進めることはないだろう。注視すべき点はパウエル次期議長が今後FRBが発信する政策のメッセージに金融安定を組み込むかどうかだ。低金利が長引く中で、金融市場が不安定化する可能性を懸念している。 副議長の人事に関してはテイラー氏やウォルシュ氏の可能性は低いとみる。経済学者出身で可能性があるのはグレン・ハバード米コロンビア大教授、グレゴリー・マンキュー教授、ピーター・アイルランド米ボストン大学教授、チャールズ・カロミリス米コロンビア大学教授などだろう。 ▼「理事の指名が重要になる可能性も」 野村證券 中島武信氏 パウエル氏が指名されたことは、市場の予想通りであり、短期的な影響は限定的と見ます。ただし、テイラー氏、ウォーシュ氏が指名される可能性もゼロではありませんでした。パウエル氏が指名されたことで、サプライズが回避されたことや、現行政策の維持の可能性が高まったため、低ボラティリティが継続し易くなるという効果はあるかもしれません。 経済学者出身のバーナンキ前議長、イエレン議長と異なり、パウエル氏は弁護士出身であるため、バーナンキ前議長、イエレン議長と比べて、金融政策について、先進的な取り組みを行う可能性が低いことは、市場にとっては、政策の見通し易さに繋がるかもしれません。 実際、パウエル理事はこれまで、バーナンキ前議長およびイエレン議長の提案する政策を一貫して支持してきました。パウエル理事自身が金融政策についてどれだけ強く自身の意見を主張するかは不透明です。 現在、FRB理事は3名の空席があり、イエレン議長が2月の議長退任とともに理事のポストも辞することになれば、空席は4つになります。パウエル氏が独自の金融政策感を強く打ち出すわけではないとすれば、大統領が指名する他のFRB 理事の顔ぶれも、非常に重要になってくるとみています。その意味では、他のFRB理事の指名次第では、現行政策とは異なる政策が出てくるリスクは意識しておいたほうが良いかもしれません。 ▼「利上げペース速まる可能性も」 クレディ・スイス証券 白川浩道氏 パウエル理事指名であれば、規定路線の印象。金融政策運営に大きな変化はないとみられるが、今後、共和党保守派はより早いペースでの利上げを迫る可能性があり、金融規制緩和と引き換えに、FRBも利上げペース加速に応じるのではないか。また、副議長にテイラー教授が指名される可能性もあり、この場合、利上げ加速期待が強まることになろう。債券市場は来年春にかけて売られやすい展開か。 ▼「クレジット市場にとって最良のシナリオ」 みずほ証券 大橋英敏氏 ハト派色が強く”適温相場”継続の期待が高まることは、クレジット市場にとって最良のシナリオ。パウエル氏は金融実務経験も豊富で、今後の金融規制緩和への期待も高い。 ▼「学者肌の議長が続き、それに慣れてきた市場との対話が上手くいくのか?」  三菱UFJモルガン・スタンレー証券 服部隆夫氏 サプライズはないですね。ただ、パウエル氏はこれまで金融規制や制度についての講演が多く米経済や景気については、イエレン議長を中心とする大勢の意見をまとめる程度にとどまっていました。その点、イエレン路線を踏襲するといえる反面、経済の判断や金融政策についてはどうなるか心配です。弁護士ですし、経済博士号も持っていないと思います。これまで、グリーンスパン、バーナンキ、イエレンと学者肌の議長が続きそれに慣れてきた市場との対話が上手くいくのか、注目しています。 ▼「トランプ政権の意向にそった点を重視したい表れ」 みずほ総合研究所 高田創氏 パウエルFRB理事が事前予想において10月以降、ほぼ独走状況でしたので市場はかなり織り込んでいた感じです。パウエル理事は現在イエレン議長のもとで金融政策を担ってきましたので、金融政策の先行きにも当面大きな変化はないと考えられます。久しぶりに、学者やエコノミストでない法律家出身の議長になることは、現在の経済環境が良好で、”平時”の状況になってきたことを反映し、むしろトランプ政権の意向にそった点を重視したい表れと考えられる。 ▼「優秀な人だと思いますが、未知数です」 野村證券 宍戸知暁氏 優秀な人だと思いますが、インフレが急上昇するなど想定外の事態になって、イエレン議長が作ったゲームプランを破棄しなければならなくなった時に正しく行動できるかは未知数です。 ▼「無難。難があるとすれば面白くないことでしょうね」 SMBC日興証券 丸山義正氏 現状維持路線ですのでサプライズは無し。トランプ大統領は結局、自らの財政政策に有利なFRB議長を選んだ。パウエル氏は官僚経験もあり、無難にこなし、イエレン路線を維持するのでしょう。難があるとすれば、面白くないことでしょうね。特に経済学者が二人続き(かつその前はグリーンスパン)、経済論議に慣れたのちでは退屈かも知れません。 ▼「マーケットへのインパクトは小さい」 東海東京証券 佐野一彦氏 事前に織り込み済みなので、マーケットの初期反応通り、大きな影響はないだろう。実際に就任してみないと分からないとはいえ、基本的に現在の政策を踏襲するスタンスだ。今後のFRBの利上げペースに関しても、経済や金融動向をみながらマーケットにインパクトを与えないよう柔軟に対応するだろう。 ▼「景気にとっても金融機関にとってもプラス」 マネックス証券 大槻奈那氏 金融政策については、基本的にはイエレン氏のゆるやかな利上げを踏襲すると想定されています。加えてパウエル氏は、「規則・規制の強化が金融市場の諸問題を解決する最善策とは限らない」と最近発言しているので、景気にとってプラスと言うことに加え、金融機関にとってもポジティブと思います。 ▼「きわめて常識的な人選で、マーケットに安心感を与える」  日本総研 翁百合氏 共和党主流派に近く、イエレン路線を継承できるという意味で、きわめて常識的な人選で、マーケットに安心感を与える人選だと思います。 ▼「トランプ氏は株高を取った」 銀行 執行役員 パウエル新議長なら概ね織り込んでいると思います。あとはテイラー氏が副議長に入るかどうかですか。トランプ大統領はパウエル氏よりテイラー氏を推していたと思いますが、結果的にはトランプ氏は株高を取ったと言うことですよね。安倍首相を見習ってのことでなんでしょうか。低迷した支持率を回復するには手っ取り早いんでしょうね。 ▼「利上げ水準の決定など困難な仕事が待ち受ける」 バンク・オブ・シンガポール パウエルFRB理事が次期議長となった場合は、経済の過熱を防ぐための金利引き上げの水準を決めたり、景気後退に対する対策を講じる必要が任期中に出てくる可能性がある。困難な仕事が待ち受けているだろう。経済学者でないことから金融政策の議論に役立つ見方を提供することが出来るかもしれないが、博士号(Ph.D.)を持つFOMC参加者の考え方に影響を及ぼすことはないとみる。 ▼「イエレン議長の再任なく残念」 投資顧問 ファンドマネージャー トランプ大統領らしいのですが、イエレン議長は、金融政策の正常化をうまくやってきたと思いますので、再任されないのは残念です。今後の政策運営への政治的な介入により、FRBに対するマーケットの信頼感が薄れていくかもしれません。世界的に景気が拡大している間は大きな問題にならないと思いますが、環境が変わったときにどうなるか注目しています。 ▼「バランスシート正常化後は金利重視の金融政策に」 HSBC パウエル理事がFRB議長に就任した場合、バランスシート正常化後の長期的な金融政策の枠組みを決める必要がある。現行のFRBは政策金利を使って金融情勢に働きかけるが、金融危機前の金融政策に戻すかだ。金融危機前は準備高を調整して金融情勢に働きかけた。ただ、金利調節による金融政策を支持する公算が大きい。金利調節の方が実施が簡単で、市場との対話も容易だからだ。 金融規制緩和については、自己勘定取引を禁止するボルカールールを緩和し、ストレステストを簡素化する可能性がある。 ▼「共和党保守派とトランプ大統領の板挟みで苦労しそう」 市場関係者 副議長や理事が空席だらけで、陣容が良く分かりませんが、共和党保守派の推すタカ派が増えそうな雲行きで、そうなれば低金利大好きなトランプ大統領との板挟みで苦労しそう。その意味では、フィッシャー前副議長という後ろ盾に支えられていたイエレン氏とは大違いですね。いずれにせよ米国経済が変調をきたせば、外需頼みの日本経済への影響も大きいところ、是非とも頑張っていただきたいものです。 ▼「キャスティングボートを誰が握るのか?」 銀行 ディーラー 今までは議長が握っていた政策判断の根幹となるマクロエコノミー分析のキャスティングボートを、今後は誰が握るのか。ダドレー?ブレイナード?空席を埋める新理事?完全にイエレンとの連続性が保たれるわけではなく、案外タカ・ハト度合いに差があると思います。 ▼「考えは主流だが、危機対応はイエレン議長と異なる」 パンテオン・マクロエコノミクス パウエルFRB理事が議長に就任しても、金融政策の面ではFRBをかき乱すことはないだろう。金融政策に関する考え方は主流だからだ。ただ、ショックに対する対応はイエレン議長と異なる可能性がある。経済学者でないことからFRBスタッフやFOMC参加者から手引きを受けるとみるが、理事に4つ空席があることから不透明要因が残る。

中国の「シリコンバレー」が主導するデジタル革命 HSBCレポート

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は、HSBC広東省チーフ・エグゼクティブのモンゴメリー・ホー氏がレポートします。   中国、テクノロジー利用拡大 シリコンデルタが目覚ましい成長 世界のテクノロジー産業における次の大変革はおそらく、中国国内で最も革新的な企業の多くが本拠地を置く広東省の都市集積地帯のシリコンデルタから生まれるだろう。起業家精神や創造性、市場構造、通信インフラ、壮大な規模などを併せ持つ中国本土のテクノロジーセクターが、中国全体のけん引役となる日がやって来るのは時間の問題である。 その萌芽は特に珠江デルタで容易に見出すことができる。世界最大級のハイテク企業の本拠地である深センをはじめとする珠江デルタ地域全体は、今や世界をリードする先進的デジタル製造業のエコシステムへと進化している。 中国でテクノロジーの利用が急速に拡大したことが、シリコンデルタの目覚しい成長のきっかけとなっている。HSBCの「トラスト・イン・テクノロジー(Trust in Technology、英文レポート:http://www.hsbc.com/trust-in-technology-report)」調査によれば、中国本土の回答者の100%がスマートフォンを所有し、そのうち82%がソーシャルメディア上の金融サービス・プログラムを利用し、43%が無線接続と音声操作の機能を備えたスマートスピーカーを所有している。これらを踏まえると、今年4月に深センに本社を置くインターネット企業騰訊控股(テンセント)が時価総額で世界第10位となり、11位に電子商取引大手のアリババが続いたことは驚くにはあたらない。 百度、アリババ、テンセントは単一プラットフォームでアプリ構築 西欧では、スマートフォン利用者がそれぞれ異なるニーズでワッツアップやアマゾン、フェイスブック、ウーバー、エアービーアンドビーなど異なるアプリを使用している。これに対し中国では百度(バイドゥ)、アリババ、テンセントのいわゆる「BAT」が単一のプラットフォーム上で作動するユニバーサルアプリを構築している。アプリからアプリに移動する必要が無く、一つのアプリをインストールすればほぼ事が足りる。 6年前にテンセントが微信(ウィーチャット)のサービスを開始したときは単純なチャットアプリに過ぎなかったが、現在のウィーチャットはソーシャルメディア、決済、マッチングサービス、ニュース、メッセージをはじめとするサービスを9億人以上のアクティブユーザーに提供している。いわば、スナップチャットやワッツアップ、スカイプ、インスタグラム、ペイパル、フェイスブックライブ、イェルプ、ティンダー、アップルペイなどのアプリが一体になったものと考えることができる。これに対し、ウィーチャットに相当する西欧のサービスでは、単一のプラットフォームで提供できるものは比較的限られたユーザー体験にとどまる。 しかしウィーチャットが、競合相手のサービスの単なる模倣版を寄せ集め、利便性を提供していると考えるのは大きな間違いである。わずか10年前に地味なスタートを切った中国のインターネット企業だったテンセントは、今や世界のテクノロジーセクターのクリエイティブなアイデアを生み出す中心的存在だ。3つの基本的なアプリを使えば、ほぼ全てのものを手にすることができ、どんなことでも可能で、誰とでも会うことができる。ウィーチャットを使えば、ショッピングモールに向かう前にその場所がどれだけ混雑しているかを色分け地図によってリアルタイムで表示することまで可能だ。 中国国内で一段と増加している洗練された若い世代は、デジタル技術とその革新を受容する能力が極めて高い。HSBCの調査では中国の回答者の90%がテクノロジーによって生活は改善され、また89%がテクノロジーの進歩によって世界はより良くなるとの見方を支持した。   実際、中国の消費者は新しいテクノロジーが秘める可能性に沸き立っており、79%の消費者が出来る限り新しいテクノロジーを使って用事の大半を済ませたいと考えている。事実、中国では指紋認証技術を取り入れることに積極的で利用率は40%と世界最高であり、インドが31%でそれに続いている。対照的にフランスとドイツでは指紋認証技術を本人確認に利用している比率は9%、カナダでは14%にとどまっている。 「BAT」をはじめとする中国のテクノロジー企業は巨額のイノベーション投資を行っており、人工知能の研究では最先端を走っている。人工知能は医療機器から自動運転、決済サービスなどの分野の製品の機能性をさらに高める技術として、電力の発明に匹敵するほどの影響を人類生活に及ぼすと予測されている。 13億人の膨大な消費者、迅速な規模拡大が可能 また中国では、国内の巨大なインターネット産業が生み出す膨大なデータの通信に必要な物理的インフラを、一部の先進国をはるかに上回る規模で構築している。中国の地方村落の大半では4G通信が可能であり、インターネット接続速度では欧州内の多くの首都をしのいでいる。これによってオンラインショッピングを利用する消費者の利便性は大幅に向上し、オンラインで購入した品物は効率化の進んだ配送会社と近代的な高速交通網によって玄関口まで配送される。 おそらく最も重要な点は、中国には13億8,000万人もの膨大な消費者が存在するということだろう。これを背景にインターネット企業やテクノロジー企業は迅速に規模を拡大することができる。有望な新興企業は、この巨大な市場のごく一部を捉えさえすれば、その将来性だけでベンチャーキャピタルから資本を引き出すことができる。 まさにこれが今、珠江デルタで起きていることである。米国のシリコンバレーに触発されて、深センにはベンチャーキャピタリスト、アクセラレーターそして巨大テクノロジー企業出身者が集まり、次に成功する新興企業を見出そうとしている。 こうした要素のすべてが、既成概念を覆す大変革を生み出している。中国のインターネット企業が世界的な成長を遂げている中で、次世代の世界的なインターネット巨大企業は中国から誕生すると考えるのが妥当だ。それは、中国の大手旅行サイトのシートリップ(Ctrip)がスコットランドの同業スカイスキャナーを買収したような企業買収の形で進むこともあれば、またアリババの決済サービス「アリペイ」のように小売業者の世界的ネットワークを構築し、事業の成長により拡大する形で進むこともあるだろう。 アイデアに詰まった米国のシリコンバレーのトップは、中国のシリコンデルタに目を向けてみると何か得られるかもしれない。数年中にはもっとはっきりとそのような状況になっているはずだろう。  

2017衆院選 与党3分の2超、どこよりも早い市場関係者の見方

22日投開票の衆院選では、与党自民党が単独で過半数(233)を上回り、絶対安定多数(261)を確保。公明党とあわせて300議席を超え、改憲の国会発議に必要な3分の2(310)を上回った。野党第1党は立憲民主党となった。QUICKのデリバティブズコメントチームが市場関係者の声を聞いた。 米調査会社「大規模な財政政策や補正予算は限定的か ●「海外勢の目には『日本の政治が最も安定』と映るのでは」 外為どっとコム総合研究所・神田卓也氏 野党分裂の影響が大きかったとはいえ与党が圧勝したことで、海外勢の目には日本が先進国の中で最も政局が安定していると映るだろう。日本株は、外人買いが期待できそうだ。日経平均は14連騰中とあって一旦利益確定売りが出る可能性もあるが上昇基調は崩れないと見る。長期金利は黒田日銀総裁の再任観測が強まるため上昇する事はないだろう。円は米国を中心として海外情勢に大きな変化がなければ下落する公算が大きい。 ●「大規模な財政政策や補正予算の推進ないか」 米調査会社のSGHマクロ・アドバイザーズ・サン・ガラマニ氏 経済政策の面では、安倍首相は衆院選での大勝を言い訳に大規模な財政政策や補正予算を推し進めることはないだろう。あらかじめ目標を設定するなどして規模は限定的だろう。ただ、北朝鮮に対処し、中国に政治的、軍事的、経済的にアジア圏で中国に対抗し続けるという点では政権基盤が強固な安倍政権は日本にとって有益だろう。安倍首相は現実的な政治家で、憲法改正については今後も手を引く公算が大きい。 ●「与党勝利もドル円相場のテーマにならず」 三井住友銀行チーフストラテジスト・宇野大介氏 与党勝利は事前の報道通りだ。アベノミクスは金融緩和拡大から人づくりに移行しており、ドル円相場は選挙前から衆院選をテーマとしていない。来年中間選挙に向けた米国のドル安政策と、米税制改革の行方が主要テーマとなろう。当面は110~115円という方向感なき相場展開が続くとみている。   独立系運用会社幹部「2万2000円まで短期ラリー、年内は浅い押し目しかないのでは」 ●「株高・円安先行も持続性に欠ける」 ソニーフィナンシャルホールディングス・石川久美子氏 衆院選の与党圧勝を受けて、週明けはご祝儀的な株高・円安となる可能性はある。しかし事前の世論調査で与党の優勢はすでに明らかだったこともあり、持続性には欠ける展開になると予想する。 今後は再び米国や欧州の金融政策の動向や、次期米連邦準備理事会(FRB)議長人事などへ市場の関心が移る公算が大きい。ドル円は今週発表される米7~9月期の国内総生産(GDP)速報値など、主要経済指標などを眺めて方向感を模索していくような流れとなりそうだ。 ●「2万2000円まで短期ラリー、年内は浅い押し目しかないのでは」 独立系運用会社幹部 短期的なリスクオン。株式は日経平均株価で2万2000円程度までの短期ラリーを想定します。その後は、マクロ系の利益確定売りが出る局面も想定されるが、押し目は日銀や国内機関投資家に吸収され、年内は浅い押し目しかないだろう。決算発表で業績好調組とその他で二極化も話題になるだろう。 ●「黒田総裁の再任、金融界にとっては安心感」 別の独立系運用会社幹部 選挙の結果は与党勝利で良い結果と言えるものの、想定内だったことと株式市場も大きく上昇を続けた結果、今回の選挙結果の影響は中立と考えます。自民党に対する期待が高いというよりも、過去に民主党が政権を取って痛い目にあったことが記憶がまだ新しいこともあり、希望の党などのような即席の党には任せられないという思いが働いたのだと思います。自民党にとっては天候が悪く投票率が低かったことも、プラスに寄与したことでしょう。政権維持となったことで、日銀の黒田総裁の再任となることが想定され、金融政策の大きな変更もなく、経済対策も全体的に金融界にとっては安心感のある結果。短期的には出尽くし感から株式市場は調整すると考えていますが、海外情勢に大きな変化がない限り、年末にかけて再び現在の日経平均水準は維持できるのでは。ただし、憲法改正や19年の増税など不安材料もあることから、年明け以降は再び調整する可能性も。   億り人「素直に株高・円安も相場が裏切ってくる可能性も」 ●「素直に株高・円安も相場が裏切ってくる可能性も」 ある億り人 株式相場は自民勝利で一時的に材料出尽くしの動きが出るかもしれませんが、トレンドと日経平均のバリュエーションを考えると、もう一段高あってもおかしくないのでは。金利は軽く上昇するかもしれませんが、日銀の金融緩和継続で上値は限られるかと思います。為替はアメリカの減税や利上げが効いていき、日米の金利差や政策の違いから円安の方向。これは全て相場が素直な反応を示した場合の予想です。北朝鮮のリスクに加え、トランプ大統領誕生の時も事前の予想と異なる動きをしたため、相場が裏切ってくる可能性もあります。 ●「関心は閣僚の変更の有無、憲法改正は優先事項にならず」 米調査会社テネオ・インテリジェンスの日本株担当アナリストのトビアス・ハリス氏 安倍内閣で閣僚の変更があるのか、もしあるとすればどれぐらい変えるのかに関心が短期的に集まるだろう。2018年上半期の議題はすでに周知されている通り、18年度予算の可決、日銀新総裁の任命(黒田総裁の再任)、働き方改革、財政政策の議論などだ。20年までの財政健全化は不可能なことを反映した内容となる公算が大きい。憲法改正が優先事項となる可能性は低いだろう。自民党員や公明党員だけでなく他党の議員を納得させる修正案を出す必要があり、国民投票で大多数の賛成を必要とするなど時間を要するからだ。 ●「23日に限っては素直に株高」 eワラント証券の小野田慎氏 政権安定は株式市場にとっては好材料ですので、23日に限っては素直に株高で評価されるかと思います。ただ、直近の株高は日本に限った話ではなく、米国において債券から株式に資金が流れていることが背景と見ているので、選挙は株式相場の一段高の材料にも、反落の材料にもならないものと見ています。 ※QUICKのオプションサービスである「QUICKデリバティブズコメント」で配信したニュースを再編集した内容です。 Qr1などQUICK端末のオプションではすべてのニュースをリアルタイムでご覧いただけます。 http://corporate.quick.co.jp/service/professional/#forAdvisor  

どうなる神戸製鋼所、3つのシナリオ

神戸製鋼所が品質データ改ざん問題に揺れている。海外メディアでは、「Kobe Steel Scandal」と見出しが躍る。今後はどのような展開が予想されるだろうか。例えば、神戸鋼が誰かに買収されるとすれば、どういったケースで誰に買収されるのか。ひとまず、神戸製鋼が経営破たん、債務整理という経過をたどらないという前提で考えてみよう。 1.債務過剰になったとき  ⇒ 業界再編の契機に 品質のデータ不正の発覚で、懸念されるのは顧客による損害賠償請求や、その損害を回復する費用がかさむことだ。神戸鋼の川崎博也会長兼社長は12日の記者会見で、顧客からの費用請求には応じる意向を示した。ただ、製品の信頼が低下して売上高は伸びにくいなかで、費用が膨らむとみられ、経営が圧迫される可能性は高い。金融機関の支援があったとしても中長期的に神戸鋼が債務に耐えられないと判断すれば、業界再編が想定されるとみられる。 その際、まず思い浮かぶのは新日鉄住金による買収だろう。同社は持ち分2.95%ながら、信託口を除けば神戸鋼の筆頭株主になる。以前は旧新日鉄、旧住金と神戸鋼の3社で株式を持ち合っていた。17日付の日本経済新聞朝刊によると、新日鉄住の進藤孝生社長が神戸鋼について「できることがあればやっていきたい」と述べたという。「データ改ざんが起きた原因や影響の分析が必要だ」と指摘しながらも、神戸鋼との関係強化に関心を示したともとれる。 2.きわめて大きな債務過剰になったとき ⇒ 海外企業の買収か、事業売却か 外国企業が動く場合 新日鉄住の時価総額は2兆5000億円、売上高もざっと5兆円といったところ。上場会社は株主に対する説明も必要で、無尽蔵に資金を拠出できるわけではない。仮に損害賠償なども含めて海外企業から巨額の費用が請求された場合、その費用の合計がかなり膨らむケースもないとはいえない。そうした場合に新日鉄住に代わる買い手として名前が上がるのは外国企業だろう。 神戸鋼の主要な海外の提携先は米USスチールと、中国の鞍山鋼鉄集団(遼寧省)などだ。それぞれ共同で自動車向けの超高張力鋼板などの生産会社を米国と中国で運営する。大きな負債を持つ状況の神戸鋼を資金力にまかせて丸ごと飲み込むようなケースを想定するならば、中国資本の登場を想定することになるだろうか。 分割して売却する場合 一方、神戸鋼の特徴といえば多角化だ。高炉を持ちながらもアルミや銅の事業にも幅広い販路がある。決算のセグメントを見ると、「鉄鋼」「アルミ・銅」のほか「機械」「エンジニアリング」「建設機械」「電力」「その他」と事業分野の幅は広い。ということは事業分野ごとに会社を分割して売却することができる。神戸鋼は否定したが、11日には子会社である神鋼不動産の売却も報じられた。 もっとも、東芝と同社の半導体メモリー事業にも見られるように、売却できるのは不正が起きなかった健全な事業分野ということになるだろう。素材事業以外にもデータ改ざんの問題が拡大するようなら、事業売却→賠償費用ねん出というシナリオは描きにくくなるとみられる。 3.資金繰りに問題が出ないケース ⇒ 業績への影響は軽微? 17日付の日本経済新聞朝刊などは「トクサイ(特別採用)」という「隠語」によって規格外品の出荷が常態化していたと指摘した。ただ製造業の現場から「特採」は隠語というよりも、むしろ日常語として使っているとの声が聞こえてきた。寸法など外形が規格に合わなくても、強度などに問題がなく正常な使用に耐えうる場合は、顧客と相談のうえで製品として出荷するケースが少なくないという。試しに「特採」をネット検索すると、ウィキペディアに英訳の「concession」「waiver」とあわせて詳しい解説を見ることもできた。 本当は規格外だった神戸鋼の部品を採用した三菱重工業のH2Aロケットは10日、準天頂衛星「みちびき4号」の打ち上げに成功した。JR東海(9022)も新幹線に使った神戸鋼の部品で安全性に問題はないと表明。タカタの欠陥エアバッグ問題のようは死亡事故も発生していない。勝手に約束を破った神戸鋼に非があるとはいえ、部品交換などの必要性が発生せず、今後の顧客との個別交渉で意外に問題が収束する可能性は残る。その場合は「業績への影響は軽微」ということになるだろう。 カギは顧客の損害の程度か 従って、カギになるのは、どの程度の損害が神戸鋼の販売先(顧客)に発生するのかという点だ。米国や欧州の自動車など消費者のもとに届く製品でリコール(無償修理・回収)などが発生すれば、賠償やリコール費用に加えて、当局による多額の制裁金を求められる可能性も出てくる。半面、現時点でも業績への影響が軽微に終わる可能性がゼロというわけでもない。 傘下の神鋼鋼線ステンレスで昨年発覚した日本工業規格(JIS)違反から続くさみだれ式の情報開示や、隠ぺいの可能性、ガバナンス不全など投資家サイドからみれば腹立たしいことは多い。今回も一連の取引先への情報提供と当局への報告は9月中に済ませたというのに、株主向けの発表は10月に入って1週間以上経過してからだった。だが、神戸鋼の技術や市場シェアなどが何らかの形で再び評価されるとの期待感は当面、株価の底を支えることにはなりそうだ。(山本学) ※QUICKのオプションサービスであるQUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した内容です。 Qr1などQUICK端末のオプションではすべてのニュースをリアルタイムでご覧いただけます。 http://corporate.quick.co.jp/service/professional/#forAdvisor *本情報は、現時点までの値動きの分析であって、現在または過去における有価証券の価値の情報を提供するものであり、将来における有価証券の価値(値上がり益、利子、配当等の経済的価値)に関する情報を提供するものではありません。

2017衆院選 自民30%、立憲23%、希望16% 最終世論調査(JX通信)

報道ベンチャーのJX通信社が14~15日に実施した東京都内での衆院選情勢調査(第4回)で、比例東京ブロックでの投票意向首位は自民党で30%(1ポイント増)となる一方、第2党として立憲民主党が23%(5ポイント増)で続いた。2週間前の前々回調査で首位だった希望の党は2週続けて投票意向を減らし、16%(前回比2ポイント減)にとどまった。 支持政党別では、支持する政党はないとしたいわゆる無党派層が30%(前回比4ポイント減)、自民党が28%(2ポイント増)となったほか、立憲民主党が19%(4ポイント増)、希望の党が11%(2ポイント減)、共産党が6%(1ポイント増)と続いた。東京都内では比例投票先、支持政党ともに立憲民主党が希望の党を大きく上回る傾向が明確になったと言える。 東京都内での小池百合子知事の支持率は前週比3ポイント減の34%だった。不支持率は59%となり、今年1月の都内での調査開始以来最も高くなっている。対する安倍政権の支持率は41%で、不支持率は54%だった。 JX通信社では、今回の調査をもとに、衆院選比例代表東京ブロックでの各党の獲得議席(定数17)を予測した。この予測によると、自民党が6議席を固め、最大で8議席までの伸びしろがある状態で第1党となる可能性が高い。続く第2党は立憲民主党で現状4議席を固めており、最大で6議席までは獲得できる可能性がある。希望の党は3議席を固めたが上限は4議席と見られ、共産党と公明党はそれぞれ1~2議席にとどまりそうだ。日本維新の会は1議席を獲得できるかどうか微妙な情勢だ。 調査はRDD方式で実施し、989人が回答した。回答率は71.9%だった。 (QUICK NewsLine)  

2017衆院選 自民29%、希望18%、立憲民主18% 世論調査(JX通信調べ)

  報道ベンチャーのJX通信社が7~8日に実施した東京都内での衆院選情勢調査(第3回)で、前回比例東京ブロックで首位だった希望の党への投票意向が11ポイント下落し18%にとどまった。一方、自民党は1ポイント増の29%で首位を奪還。初登場の立憲民主党がは18%で希望の党に並んだ。共産党は3ポイント減の7%、公明党は1ポイント増の6%となった。 支持政党別では、支持する政党はないとしたいわゆる無党派層が34%、自民党が26%となったほか、初登場の立憲民主党が15%、そして希望の党が13%、共産党が5%、公明党が5%と続いた。前週比で自民党の支持率が1ポイントの微減に留まった一方、投票意向先としての数値を大きく減らした希望の党は、支持率でも3ポイント減と失速が目立っている。 小池都知事、不支持率が初めて支持率を上回る 東京都内での小池百合子知事の支持率は前週比11ポイント減の37%となり、直近2週間での下落幅は21ポイントになった。不支持率は54%と、今年1月のJX通信社の都内情勢調査開始以来初めて支持率を上回った。対する安倍政権への支持率は41%、不支持率は53%となっている。 有権者が投票にあたって最も重視する政策課題を聞いたところ、「外交や安全保障」を挙げた有権者が最も多く、23%に上った。次いで「医療や福祉」19%、「景気や雇用」18%と続いている。昨今の北朝鮮情勢の緊迫化を受けて、通常は上位に来ない「外交や安全保障」が有権者の関心事としてクローズアップされている格好だ。 調査はJX通信社がRDD(乱数番号自動生成)方式で行い、1003の有効回答を得た。 (QUICK NewsLine)  

2017衆院選 緊急市場サーベイ 「与党が1/2~2/3の議席を確保」が最多

衆院は28日、本会議で解散された。QUICKデリバティブズコメント・エクイティコメントは同日、衆院選の結果と相場への影響について市場関係者を対象に緊急サーベイを実施し、30名から回答を得た。 選挙結果は「与党が1/2~2/3の議席を確保」との予想が86%と大勢を占めた。マーケットへの影響は、与党の議席が多いほど株価は、「上昇」、為替は「円安」の回答が多い。一方、金利は与党が過半数以上であれば「中立」が最多で次が「上昇」だが、過半数を割り込んだ場合、「上昇」と「低下」で見方が分かれた。 衆院選の結果は? ※定数465人(2/3は310人)、現在の与党議席数は322人 マーケットへの影響は? ①与党が2/3以上の議席を確保 ②与党が1/2~2/3の議席を確保 ③与党の議席数が1/2を割り込む   市場関係者の声 「なんだかんだ希望の党が躍進してしまいそうな気がします。意味の無い批判や打倒安倍の主張しかしない野党に共感するのはどの層なのでしょうか。与党にも欠点はあれど、結局、『消去法で自民』の流れは変わらないと思います」(投信/投資顧問) 「安倍さん頑張れ!」(信託銀行) 「メインシナリオで自民大敗は現状では想定しにくいですが、金融政策変更への思惑が高まる可能性もあり注視しています。財政健全化先送りや総裁人事等もろもろの要素が重なれば金利上昇もあるのではないかと見ています」(生命保険会社) 「反原発で小泉ジョインなら面白い」(国内証券) 「過半数維持がメインシナリオで、その場合マクロ動向にそった展開が継続、緩やかな株高トレンドが継続すると見ます。2/3は今回非常に小さいシナリオだと思いますが、憲法問題、消費税引き上げなどポピュリズムを好む大衆からは支持されず結局景気にもマイナス。新鮮味のない政策にも失望。初動の評価はポジティブだと思いますが急速に期待は萎むのではないか。過半数割れは新党人気で若干の可能性が出てきたのかもしれませんが、具体的な経済政策のない政権への不安に相場はハードランディングの可能性。デフレ懸念再燃から円高、株安を予想します」(中小証券幹部) 「烏合の衆とはいえ、地域版のニュースや地元紙などで、希望の党への期待(反安倍政権的なもの、安倍一強のおごり、ゆるみへの批判)が目立ち、にわかに世論が巻き込まれつつあるように映る。知人や家族などは、小池氏にかなり前向きのイメージを持っている。過半数割れだけは勘弁して~!!折角の2万円回復も売り投機の餌食になっちゃうよ~(涙)」(証券) 「与党勝利で株式市場にプラスのイメージです。北朝鮮の対応を国民に問うのはよく分かりませんが・・」(銀行) ※QUICKのオプションサービスであるQUICKデリバティブズコメント、QUICKエクイティコメントで配信されたニュースを再編集した内容です。 QUICKデリバティブズコメント、QUICKエクイティコメントはQr1などQUICK端末のオプションサービスです。端末オプションではすべてのニュースをリアルタイムでご覧いただけます。 29日までフリートライアル実施中! http://corporate.quick.co.jp/service/professional/#forAdvisor *本情報は、現時点までの値動きの分析であって、現在または過去における有価証券の価値の情報を提供するものであり、将来における有価証券の価値(値上がり益、利子、配当等の経済的価値)に関する情報を提供するものではありません。

神戸鋼、脱踊り場の鍵は石炭火力?

神戸製鋼所は9月12日に加古川製鉄所(兵庫県加古川市)で2期目の脱りん炉が8月に稼働を開始したと発表した。高炉から取り出したばかりの溶けた鉄から、不純物を取り除くための設備で、設置に90億円を投じた。自動車向けの高級鋼板などを製造するには欠かせない工程だ。これで総額1045億円をかけた加古川製鉄所の設備投資が完了したもよう。10月末の神戸製鉄所(神戸市灘区)で高炉を停止し、加古川製鉄所に集約するための準備がひととおり整ったことになるという。 <10月末で停止を予定する神戸製鉄所(神戸市灘区)の高炉>   高炉跡地に石炭火力発電所 「電力事業」を収益の柱に 神戸製鉄所の高炉跡地に建設を予定するのは石炭火力発電所だ。同社は既に隣接地で、2基の石炭火力発電所を運転している。1基目が運転を開始したのは2002年で、04年に2基目を増設。現在は140万キロワットを発電して、電力を関西電力に販売している。これだけでも神戸市のピーク時の約7割をカバーする電力だが、さらに神戸鋼は2基130万キロワットと大規模な発電能力を持つ発電所を建設する予定だ。 16年4月に発表した21年3月期を最終年度とする中期経営計画では、従来の鉄やアルミ・銅の「素材系事業」、圧縮機やコベルコ建機などの「機械系事業」に加え、新たに「電力事業」を収益の柱と位置付けた。16年7月には都市ガスを燃料に火力発電する真岡発電所(栃木県真岡市)を着工。神戸製鉄所の高炉跡地に増設する発電所についても、環境アセスメントの手続きに入っており、「収益の3本柱」化は順調に見える。   火力発電に地元住民から不安の声 ただ、ここにきて神戸鋼の株価は踊り場状態が続いている。中国での鋼材需要回復などを追い風に、JFEHDが今月14日に年初来高値を更新したのに対し、神戸鋼は7月31日の年初来高値を上回れないままだ。アナリストの間では高炉株におおむね強めの投資判断が目立つ中で、あるベテランの市場関係者が「神戸鋼は電力事業が当初の計画通り順調に進むかという点で、先行きに不透明さを感じる投資家も一部にいるようだ」とこぼしていた。   <神戸鋼とJFEHDの7月末を100とした株価チャート QUICK端末(ActiveManagerより) というのも、神戸で増設する発電所が石炭火力であることから、環境への影響を懸念する住民の声が増えているからだという。地元紙の神戸新聞が手厚く報じている。いくつか拾ってみると「石炭発電に意見書495通 神鋼公表『健康被害心配』の声も」(9月21日付)、「石炭火力発電所計画 神鋼 問われる説明姿勢」(9月20日付)、「神鋼火力発電 公害患者団体 設置是認せず 県などに要請書提出」(9月1日付)――といった見出しが並ぶ。 神戸鋼が現在、売電用に運営しているのは神戸の出力140万キロワットの発電所のみ。建設中の真岡発電所は出力124.8万キロワットの計画だ。新たに神戸で計画している発電所は130万キロワットだから、同社の出力全体で約3分の1を占める重要な発電所になる。23年3月期までに順次稼働する予定だが、建設が遅れたり、あるいは建設できないといった事態になれば、電力事業の中長期的な収益予想を大きく見直す必要に迫られかねない。 7月に4回の住民説明会 「国の計画、法を順守」 神戸鋼はQUICKエクイティコメントの取材に対し、7月に4回の住民説明会を開催したうえ、環境影響評価準備書への一般意見に対する事業者見解の提出や、公聴会への出席を通じて、住民からの意見に対応していると説明。大気汚染や二酸化炭素の排出など環境への影響についても、高効率の発電設備を導入することなどで「国の計画、法を順守していく」(秘書広報部)としている。客観的に見れば、法的に逸脱している部分がなければ、発電所建設は計画通り進む公算だ。 とはいえ足元では石炭火力発電の建設に逆風が吹いている。同じ兵庫県内でも今年4月、Jパワー(9513)が石炭火力で発電する高砂火力発電所(兵庫県高砂市)の建て替えを延期したことが明らかになっていた。売電先である関西電との交渉がまとまらなかったという。その関西電も1月、節電の浸透などを受けて当初の見込みより投資回収に時間がかかると判断し、赤穂発電所(兵庫県赤穂市)で石炭への燃料転換を取りやめたと発表した。 神戸鋼が中期計画で目指す財務指標である「ROA(総資産利益率)5%以上」「負債資本倍率(DEレシオ)の1倍以下堅持」は、21年3月期の目標。神戸の新たな発電所稼働は、ひとまず織り込まれていない。だが、中長期的な成長イメージの中に、新たに収益の柱として「電力事業」をきちんと位置づけられるのか。それを見極めるうえで今後、神戸製鉄所の石炭火力発電所計画が改めて注目される展開もありそうだ。 【QUICKエクイティコメント:山本学】 ※QUICKのオプションサービス「QUICKエクイティコメント」で配信された記事を再編集しています。 QUICKエクイティコメントはQr1などQUICK端末のオプションサービスです。端末オプションではすべてのニュースをリアルタイムでご覧いただけます。 29日までフリートライアル実施中! http://corporate.quick.co.jp/service/professional/#forAdvisor *本情報は、現時点までの値動きの分析であって、現在または過去における有価証券の価値の情報を提供するものであり、将来における有価証券の価値(値上がり益、利子、配当等の経済的価値)に関する情報を提供するものではありません。

優待の悲劇、額面5倍の豚角煮セットやQUOカード 特設サイトで確認

東京株式市場で恒例の「優待の悲劇」が2017年9月末にも発生した。前日26日に3月期や9月期決算の企業は権利確定日を迎えた。日証金はきょう27日昼、信用取引で空売りをする投資家が株式を借りる際に払う手数料「逆日歩」の前日26日分を発表した。株主優待だけを狙った「両建て投資家」には、約2万円の豚角煮セットや額面5倍のQUOカードなど割高な優待が手元に残ったようだ。 両建て取引で株価の変動リスクなく優待を確保 株主優待のある銘柄の株を買って権利を確保、同時にその銘柄に信用売りを出す。その後に買いと売りの取引を解消すると株価の変動リスクをなくして株主優待が手に入る。この「両建て取引」は株式市場で有名だ。その結果、空売りが膨らんで割高な株主優待がしばしば出現する。 5倍になった豚角煮セット、割高なQUOカード 9月26日に権利確定日を迎えた企業の最低単元の株主優待と逆日歩を比較すると、カネ美食品(2669)では3000円相当のセレクトグルメ配達便を手にするためのコストは1万7280円だった。優待の内容は「豚角煮セット」や「かに缶詰・ふかひれスープ缶詰」、「カゴメフルーツジュースギフト」だ。両建て投資家にとってはスーパーで購入するよりも5倍超も割高な食品類となった。 優待で割高になりやすいのが換金しやすいQUOカードだ。システムリサーチ(3771)の株主優待は2000円のQUOカードだ。両建て投資家にとってこの金券を手にするためのコストは1万1040円となった。成学社(2179)では1000円のQUOカードが5280円、ソネック(1768)では4320円と割高だった。 ゴルフ場の優待券など割安なケースも 一方、SANKYO(6417)では平日1万円のゴルフ場の優待券が1125円と割安に手に入った。学研HD(9470)はグループが発行する4000円相当の雑誌や書籍、キャラクターグッズに対して手にするコストは810円と割安だった。 ■QUICKが提供するQUICK Knowledge 特設サイト「株主優待ウオッチ」より ◆逆日歩(ぎゃくひぶ)とは ◆ 信用取引において信用売り(空売り)が、信用買い(空買い)を上回り、株券が足りなくなった場合、株を貸してくれる人に支払う貸株料のこと。通常の信用取引では、投資家が信用買い(空買い)をした際に徴収される金利を日歩といい、買い方が日歩を支払い、売り方が受け取る。これとは逆に、売り方が買い方に日歩を支払うことを逆日歩という。(QUICK用語集より) 【QUICKコンテンツ編集グループ:片野哲也】   ■QUICKのサービスについてはこちら http://corporate.quick.co.jp/service/professional/#forAdvisor *本情報は、現時点までの値動きの分析であって、現在または過去における有価証券の価値の情報を提供するものであり、将来における有価証券の価値(値上がり益、利子、配当等の経済的価値)に関する情報を提供するものではありません。

神戸鋼、脱踊り場の鍵は石炭火力?

※QUICKのオプションサービス「QUICKエクイティコメント」で配信された記事を再編集しています。 神戸製鋼所は9月12日に加古川製鉄所(兵庫県加古川市)で2期目の脱りん炉が8月に稼働を開始したと発表した。高炉から取り出したばかりの溶けた鉄から、不純物を取り除くための設備で、設置に90億円を投じた。自動車向けの高級鋼板などを製造するには欠かせない工程だ。これで総額1045億円をかけた加古川製鉄所の設備投資が完了したもよう。10月末の神戸製鉄所(神戸市灘区)で高炉を停止し、加古川製鉄所に集約するための準備がひととおり整ったことになるという。 <10月末で停止を予定する神戸製鉄所(神戸市灘区)の高炉>   高炉跡地に石炭火力発電所 「電力事業」を収益の柱に 神戸製鉄所の高炉跡地に建設を予定するのは石炭火力発電所だ。同社は既に隣接地で、2基の石炭火力発電所を運転している。1基目が運転を開始したのは2002年で、04年に2基目を増設。現在は140万キロワットを発電して、電力を関西電力に販売している。これだけでも神戸市のピーク時の約7割をカバーする電力だが、さらに神戸鋼は2基130万キロワットと大規模な発電能力を持つ発電所を建設する予定だ。 16年4月に発表した21年3月期を最終年度とする中期経営計画では、従来の鉄やアルミ・銅の「素材系事業」、圧縮機やコベルコ建機などの「機械系事業」に加え、新たに「電力事業」を収益の柱と位置付けた。16年7月には都市ガスを燃料に火力発電する真岡発電所(栃木県真岡市)を着工。神戸製鉄所の高炉跡地に増設する発電所についても、環境アセスメントの手続きに入っており、「収益の3本柱」化は順調に見える。   火力発電に地元住民から不安の声 ただ、ここにきて神戸鋼の株価は踊り場状態が続いている。中国での鋼材需要回復などを追い風に、JFEHDが今月14日に年初来高値を更新したのに対し、神戸鋼は7月31日の年初来高値を上回れないままだ。アナリストの間では高炉株におおむね強めの投資判断が目立つ中で、あるベテランの市場関係者が「神戸鋼は電力事業が当初の計画通り順調に進むかという点で、先行きに不透明さを感じる投資家も一部にいるようだ」とこぼしていた。   <神戸鋼とJFEHDの7月末を100とした株価チャート QUICK端末(ActiveManagerより) というのも、神戸で増設する発電所が石炭火力であることから、環境への影響を懸念する住民の声が増えているからだという。地元紙の神戸新聞が手厚く報じている。いくつか拾ってみると「石炭発電に意見書495通 神鋼公表『健康被害心配』の声も」(9月21日付)、「石炭火力発電所計画 神鋼 問われる説明姿勢」(9月20日付)、「神鋼火力発電 公害患者団体 設置是認せず 県などに要請書提出」(9月1日付)――といった見出しが並ぶ。 神戸鋼が現在、売電用に運営しているのは神戸の出力140万キロワットの発電所のみ。建設中の真岡発電所は出力124.8万キロワットの計画だ。新たに神戸で計画している発電所は130万キロワットだから、同社の出力全体で約3分の1を占める重要な発電所になる。23年3月期までに順次稼働する予定だが、建設が遅れたり、あるいは建設できないといった事態になれば、電力事業の中長期的な収益予想を大きく見直す必要に迫られかねない。 7月に4回の住民説明会 「国の計画、法を順守」 神戸鋼はQUICKエクイティコメントの取材に対し、7月に4回の住民説明会を開催したうえ、環境影響評価準備書への一般意見に対する事業者見解の提出や、公聴会への出席を通じて、住民からの意見に対応していると説明。大気汚染や二酸化炭素の排出など環境への影響についても、高効率の発電設備を導入することなどで「国の計画、法を順守していく」(秘書広報部)としている。客観的に見れば、法的に逸脱している部分がなければ、発電所建設は計画通り進む公算だ。 とはいえ足元では石炭火力発電の建設に逆風が吹いている。同じ兵庫県内でも今年4月、Jパワー(9513)が石炭火力で発電する高砂火力発電所(兵庫県高砂市)の建て替えを延期したことが明らかになっていた。売電先である関西電との交渉がまとまらなかったという。その関西電も1月、節電の浸透などを受けて当初の見込みより投資回収に時間がかかると判断し、赤穂発電所(兵庫県赤穂市)で石炭への燃料転換を取りやめたと発表した。 神戸鋼が中期計画で目指す財務指標である「ROA(総資産利益率)5%以上」「負債資本倍率(DEレシオ)の1倍以下堅持」は、21年3月期の目標。神戸の新たな発電所稼働は、ひとまず織り込まれていない。だが、中長期的な成長イメージの中に、新たに収益の柱として「電力事業」をきちんと位置づけられるのか。それを見極めるうえで今後、神戸製鉄所の石炭火力発電所計画が改めて注目される展開もありそうだ。 【QUICKエクイティコメント:山本学】 QUICKエクイティコメントはQr1などQUICK端末のオプションサービスです。端末オプションではすべてのニュースをリアルタイムでご覧いただけます。 29日までフリートライアル実施中! http://corporate.quick.co.jp/service/professional/#forAdvisor *本情報は、現時点までの値動きの分析であって、現在または過去における有価証券の価値の情報を提供するものであり、将来における有価証券の価値(値上がり益、利子、配当等の経済的価値)に関する情報を提供するものではありません。

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