「採用増やす」企業は全体の25%…雇用増の本格化に期待(3月調査)

トヨタ自動車(7203)は3月11日、2015年度の採用計画(新卒は16年春入社)を発表しました。15年度の従業員採用の計画総数は前年度比3割増の2275人と、リーマン・ショック前に計画を策定した08年度に次ぐ規模となります。2015年春季労使交渉でもベースアップ(ベア)に相当する賃金改善分について月4000円と、02年以降の最高額で決定しました。円安で収益改善が進む輸出型製造業が攻めの姿勢を見せており、日本経済にとって明るい話題と言えます。 日銀発表の短期経済観測調査(日銀短観)に先行して作成されるQUICK短観の3月発表分(調査対象は計369社)をみると、製造業の景況感を示す業況判断DIは前月に比べて2ポイント上昇し、プラス18になるなど、景況感の改善が進んでいます。消費増税の影響で昨年春先から低下傾向をたどってきた全産業の業況判断DIも、ようやく底を打って改善の兆しを見せるようになってきました。統計にも徐々に明るさが見え始めています。 では、トヨタのような採用増・賃金改善の動きは上場企業全体にどれほど波及しているのでしょうか。今回のQUICK短観で特別質問として、上場企業に聞いてみました。 採用予定「横ばい」が7割弱…製造業の本格的な採用増はこれから まず採用予定の動向です。ほぼ横ばい予定の企業がまだまだ多いようですが、25%の企業が「増やす予定」と回答しました。非製造業中心に、採用を増やす動きが出てきています。 <設問1> 貴社では、2016年春採用(2016年4月入社)予定の社員数は、前年に比べてどのようになりますか。 1:増やす予定・・・・・・25% 2:ほぼ横ばいの予定・・・67% 3:減らす予定・・・・・・8% 円安効果による企業業績の改善もあってか、日銀の黒田総裁は日本経済について「完全雇用(現在の賃金水準で働きたい人が全て雇用されている状況)に近い」と発言しています。 QUICK短観でも雇用人員の現状に関する設問がありますが、製造業は現在の雇用について「適正」という回答比が8割近くある一方、後述しますが、不足感がじわりと高まってきています。非製造業では「不足」は4割に上り、「適正」は6割弱にとどまっています。 堅調な雇用や賃上げの動きは個人消費の活性化、ひいては国内景気全般を押し上げる効果が期待でき、株価にも反映されてくるでしょう。一方、建設や外食など一部業種では、雇用不足は高賃金の提示による労働力確保の動きにつながり、企業にとってコスト高を招きます。コスト増を招く恐れのあるセクターについては、業績への影響を注視する必要がありそうです。また、製造業の採用増がどのタイミングで本格化するかは、今後の日本経済への影響を占ううえで重要なポイントとなってくるでしょう。 手元資金の従業員還元はまだ先 次は、従業員への還元についてです。従業員への還元に重点を置く企業はまだ1割に満たず、やはり中心は設備投資や研究開発。手元資金の積み増し方針の企業も2割近く存在するようです。 <設問2> 貴社では今後、手元資金をどの分野に特に重点的に配分する方針ですか。 1:設備投資や研究開発投資・・・・・・・・46% 2:給与や賞与の増額など社員への還元・・・9% 3:配当の増額など株主への還元・・・・・・12% 4:当面は手元資金を積み増して備える・・・19% 5:手元資金に余裕はない・・・・・・・・・14% リーマンショック後、資金繰りに窮した経験のある企業は、どうしても手元流動性を高めておきたいという意識が、未だに強く働くようです。企業が設備投資や研究開発投資に手元資金を振り向けるのは当然のことだとしても、「当面は手元資金を積み増して備える」という回答比が19%も占め、「給与や賞与の増額など社員への還元」という回答比を大きく上回ったことからも、それを強く意識させる結果になりました。 アベノミクスがスタートして2年と4カ月が経過。2013年4月、2014年10月に行われた質的・量的金融緩和は、金融政策面から景気の下支えを行うのが目的で、実際、この間に進んだ円安、株高により、その目的は徐々に達成されつつあります。 ただ、問題は金融政策による下支えをしている間に、実体経済の着実な回復を図れるかどうかという点です。実体経済が着実に回復するためには、雇用環境の回復が何よりも待たれるところです。それは、端的に言えば賃金の引き上げです。すでに、春闘でベースアップ回答をしている企業が出始めていますが、この点を抜きにして個人消費の改善は期待できません。したがって、今後は社員への還元が加速するかどうかという点が注目されるところです。 景況感指数は改善したが…業況「さほど良くない」が6割超 特別質問の回答を見る限りでは、採用増や従業員への利益還元に対して積極的とは言えない企業が多いことが分かります。QUICK短観の回答を細かく見ていくと、企業が慎重姿勢である理由が見えてきます。 確かに全産業の業況判断DIには底打ち感があり、前月比では、製造業が微増(プラス16→プラス18)で、非製造業が変わらず(プラス20→プラス20)。金融機関が突出して大幅な伸び(プラス36→プラス56)となりました。金融機関については調査対象の母数が9社と少ないため、ブレが大きくなる可能性がある点には留意しておいてください。また先行きについては、製造業が変わらず(プラス18→プラス18)で、非製造業が微増(プラス22→プラス24)。金融機関が大幅な伸び(プラス36→プラス67)を見せています。 このようにDIだけをみると明るさが見えますが、景況感の改善は一部企業にとどまっている可能性もありそうです。というのもDIは業況判断の「良い」から「悪い」を差し引いたものであり、「さほど良くない」という回答比は数字に反映されません。 実は製造業、非製造業ともに、「さほど良くない」という回答比が6割を超えています。現状、企業の景況感改善は一部企業限定で、裾野はまだまだ狭いと判断しておいた方がよさそうです。 製造業でも人員不足感がじわり強まる さきほど触れた雇用状況について、QUICK短観の回答内容をもう少し深く見ておきましょう。 雇用については3割が「不足」、7割弱が「適正」と回答。非製造業を中心にまだ不足感がある状況です。とはいえ、製造業もDI(「過剰」の回答比から「不足」の回答比を差し引いた指数、マイナスだと不足感がある)をみると、マイナス9と前月からマイナス幅が6ポイント増えています。求人意欲が高まる兆しが見てとれます。 景況感改善の裾野が広がるにつれて、この人員不足感が採用増や賃金増という企業行動として、徐々に現れてくる可能性があります。そうなれば、日本の景気改善はさらに弾みがつくと考えることができます。 なお、企業物価については、仕入価格については全体の6割が「もちあい」と答え、製造業・非製造業ともに上昇とする回答比が3割を超えました(製造業32%、非製造業38%)。一方、販売価格については、「もちあい」の回答が7割を超えていますが、DI(「上昇」の回答比から「下落」の回答比を差し引いた指数)をみると製造業が下落優勢(マイナス9)、非製造業が上昇優勢(プラス12)となっています。非製造業先行で、販売価格への転嫁が進んでいると考えられそうです。 消費者物価指数の見通しについては、2月調査と同様、1年後で1%程度という回答比が大勢を占めました。

今年のベア「実施する」は1割 製造業景況感は改善(2月調査)

日銀の短期経済観測調査(日銀短観)に先行して作成される「QUICK短観」の2月発表分(2月2~15日に調査、対象は上場企業計381社)が公表されました。製造業の景況感を示す業況判断DIは前月に比べて3ポイント上昇し、プラス16になりました。また、将来の業況を示す「先行き」の数値はプラス18で、前月に比べ2ポイントの上昇。3カ月前と比べても5ポイント上昇しています。 2015年3月期決算は、東証1部上場の最終利益合計額が過去最高額に達する見通しと言われており、株価も2月に入って堅調に推移しています。昨年10月末の質的・量的金融緩和第2弾で円安に弾みがついたことから、特に輸出型製造業を中心に為替差益が期待されること、外国人観光客増によるインバウンド効果が高まっていることなどが、国内企業の業績を支えています。 なお、製造業こそ3ポイントの改善になっていますが、一方で非製造業は4ポイントの低下、金融機関が2ポイントの低下となり、全産業ベースでは1ポイントの低下となりました。企業業績に関して円安効果は認められるものの、直接効果が波及しているのは輸出型の製造業だけであり、内需関連型の非製造業は、業種によって波及効果がまちまちのようです。 今年のベア実施予定企業は1割、企業は賃上げに依然慎重 さて、業績好調となれば、従業員の賃金上昇も期待したいところ。賃金上昇は個人消費の下支え要因であり、景気回復をより確実なものとします。そこで2月の特別調査では、春闘のベースアップなどについて聞いてみました。 <設問1> 貴社では今年、ベアを検討していますか 1:実施する/実施の方向で検討している・・・・・・・10% 2:ベアは難しいが別の形で賃上げを検討している・・・11% 3:実施するかどうかは検討中・・・・・・・・・・・・23% 4:実施するかどうかは未定・・・・・・・・・・・・・35% 5:実施は難しい・・・・・・・・・・・・・・・・・・21% 企業業績が回復し、過去最高益の可能性が高まれば、賃上げの期待も高まってきそうですが、どうやら企業側は賃上げに対して慎重な姿勢を崩していない模様。「実施するかどうかは検討中」、「実施するかどうかは未定」という回答が、合わせて半分超を占めていることからも、それが伺われます。 アベノミクスによる景気浮揚効果を高めるには、金融緩和や規制改革など政策面での後押しだけでは不十分で、やはり企業努力も求められるところ。企業の賃上げは個人消費を刺激し、景気浮揚効果を高めます。ただ、今回のアンケート調査にも表れているように、多くの企業はベアに対して慎重な姿勢を見せているため、個人消費を主導にした景気回復には、まだ時間がかかりそうです。 非製造業の業況改善は限定的…雇用も不足 冒頭で述べた通り、企業業績に関して円安効果が波及しているのは輸出型の製造業中心であり、内需関連型の非製造業は業種によって効果がまちまちのようです。 実際、内需の押し上げ要因として期待されているインバウンド効果についても、現状は観光業や物販業がメイン。外国人観光客が免税店で購入できる商品について、徐々にその対象を拡大させる動きはあるものの、まだ限定的です。国内景気の本格的な拡大、および株価のさらなる上昇に期待するためには、現状ではやや調整気味で推移している全産業ベースの業況判断改善が待たれます。 また設備や雇用の現状について見ると、生産・営業用設備DIは全産業ベースでマイナス2ですが、これはほぼ適正水準と見て良いでしょう。ただ、雇用DIに関しては、全産業ベースでマイナス21ですから、労働市場は売り手市場です。特に、非製造業と金融における雇用不足が目立っています。 物価見通しも大きく変わらず また、消費者物価指数の見通しについては、先月に引き続き安定見通し。1年後の見通し平均は1.2%で前月と変わらず。2年後以降については前月の1.6%から1.5%に低下していますが、これもほぼ変わらずと見て良いでしょう。 足元、原油価格はやや上昇していますが、直近高値から見れば半分の水準にまで低下しており、物価上昇の頭を抑えています。当面、原油価格が低位安定推移するようだと、日銀が公言している「2015年度近辺で物価上昇率2%」という物価目標が未達になることも考えられ、マーケットが追加金融緩和を促す動きになりそうです。 SNSの活用についても質問 今回、特別質問の二つ目として、企業のSNS活用についても尋ねてみました。 <設問2> 貴社ではSNS活用の効果を実感できていますか。 1:予想以上の効果を実感できている・・・・・・・・・・・・・・0% 2:一定の効果を実感している・・・・・・・・・・・・・・・・・13% 3:活用しているが、効果はあまり実感できていない・・・・・・・19% 4:活用していたが、効果が実感できず休止した/休眠状態だ・・・1% 5:ほとんど活用していない/利用していない・・・・・・・・・・67% 設問2は、ツイッターやフェイスブックなどのSNSに対する活用効果について聞いたものですが、多くの企業がSNSの効果に期待を見出していないことが分かりました。一定の告知効果はありそうですが、具体的な「集客」、あるいは「マネタイズ」など数字として表れる効果が得られていないということのようです。

製造業景況感が悪化、アベノミクス効果「感じない」が4割(1月調査)

日銀が発表する短期経済観測調査(日銀短観)に先行して作成されている「QUICK短観」の1月発表分によると、製造業の景況感を測る指数である業況判断DIは、前月に比べて7ポイント低下し、プラス13になりました。また、将来の業況を示す「先行き」の数値はプラス16で、前月に比べ1ポイント改善したものの、3カ月前と比べると3ポイント低く、消費増税後の伸び悩みから脱したとは言えない状況です。今回の調査対象となった上場企業は計402社で、回答期間は1月5~18日でした。 全産業のDIを見ても、前月比1ポイント悪化のプラス20となりました。先行きは前月から3ポイント改善のプラス20でした。 アベノミクスは企業の事業環境にじわりプラス? 安倍政権が本格スタートして2年。2度にわたる量的金融緩和政策は長期金利を0.1%台まで低下させると共に、株価を押し上げ、円安を促しました。マーケットの動きだけを見れば、確かに経済環境は大きく好転したかも知れません。 では、実際に経済を回している企業の環境はどうでしょうか。今回のQUICK短観では、同時に「今月の特別調査」として以下の質問を行いました。 <設問1> 現政権の経済政策「アベノミクス」が掲げられた2年間で、貴社の事業環境に変化はありましたか? 1:事業環境は好転してきた・・・・・・17% 2:事業環境に好転の兆しがある・・・・25% 3:特に変化を感じていない・・・・・・40% 4:事業環境が厳しくなる兆しがある・・12% 5:事業環境は厳しくなっている・・・・6% 兆しが生じていることも含めると「好転している」が合計で42%、「厳しくなっている」が合計で18%であり、この数字からは徐々に事業環境が良くなってきていることが伺えます。 ただ、変化を感じていないという回答比が40%もあり、これがどちらに傾くのかが、今後の注目点になりそうです。年明け以降、原油安やスイスフランの暴騰、それらに伴う株安など、ややマーケット環境が不透明になっているだけに、企業のセンチメントに与える影響が気になります。 気になる今後の消費者物価指数 前月に引き続き、業況判断DIの数字は低下傾向をたどっています。全製造業ベースで見ると、生産・営業用設備の現状については86%が、雇用人員の現状については78%が適正と見ており、設備、雇用ともに過剰感はなさそうです。 また、仕入れ価格の現状については、上昇という回答比が35%を占める一方、販売価格の現状については、14%が下落と答えています。製造業にとっては収益の利ザヤが縮小する傾向が見られるものの、年初から円安に歯止めがかかり、かつ原油価格が45ドル近辺まで値下がりしていることを受け、企業にとっては仕入れコストが今後、下がっていく可能性も高まっています。 こうしたなかで気になるのは、今後の消費者物価指数の見通しでしょう。上場企業の見通しの平均値は、1年後で1.2%です。まだ、販売価格を本格的に引き上げられる環境にはないことを物語っています。販売価格を引き上げられなければ、製造業の収益の利ザヤは広がらず、業績面でも苦しい状況が続く恐れがあります。 「想定よりも円安」が業績を後押しするか とはいえ、業績面で追い風になる材料もあります。それは「円安」です。 製造業の全産業ベースで、現在の為替レートが「想定よりも円安」と答えた回答比は、全体の77%を占めており、「想定通り」が22%、「想定よりも円高」が1%となりました。特に製造業の場合、円安が進むほど為替差益が膨らみ、業績面でプラスになります。3月決算に向けて、円安が業績押し上げ要因になる可能性があり、株価への好影響も期待されます。 社外取締役の複数化「対応難しい」が4割以上 もう一つ、特別調査を実施しました。コーポレートガバナンスに関することです。 <設問2> 貴社の社外取締役の複数化に向けた状況をお聞かせ下さい。 1:社外取締役を有効活用する仕組みを構築した/検討している・・・8% 2:複数の社外取締役を置いている・・・・・・・・・・・・・・・・26% 3:社外取締役の複数化を検討している・・・・・・・・・・・・・・23% 4:すぐに対応することは難しい・・・・・・・・・・・・・・・・・41% 5:対応は難しい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2% 2015年6月に日本版コーポレートガバナンスコードの導入が予定されており、そのなかで社外取締役の複数化が盛り込まれているだけに、喫緊の課題になっていますが、現状、「すぐに対応することは難しい」という回答比が41%も占めており、企業としては悩ましい課題になっています。 機関投資家の行動指針を示す「スチュアードシップコード」と共に、株価に与える影響も大きいと見られているだけに、日本版コーポレートガバナンスコードの制定を前提にした社外取締役の複数化への動きは注目を集めそうです。

追加緩和と増税延期、景況感好転にはつながらず(12月調査)

日銀の短期経済観測調査(日銀短観)の先行指標として注目されているQUICK短観(2014年11月18日~12月2日調査、392社が回答)によると、製造業の景況感を示す業況判断DIは、前月に比べて1ポイント低下し、プラス20になりました。 また、将来の業況を示す「先行き」の数値はプラス15に鈍化。数字そのものはプラス圏にあるものの景気の先行きに対して、やや不透明感が強まってきています。 10月末の日銀の追加金融緩和、そして11月に安倍信三首相が消費増税延期の方針を示したにも関わらず、景況感の改善が見られない状況です。 追加緩和が実施されるも「事業環境に変化はない」が64% 今回のQUICK短観では、同時に「今月の特別調査」として、企業のIR担当者に2つの点を質問しています。全産業ベースの回答割合を見てみましょう。 <設問1> 日銀は10月末の金融政策決定会合で金融緩和を決めました。 11月上旬にかけて円安が進み、株式相場は上昇に転じました。 貴社の事業・今後の見通しに影響は見られますか? 1:事業全般で好転の兆しが出てきた・・・・・・5% 2:業況の好転に備えて在庫積み増しなどの積極策に踏み切った、または検討中・・・・・・2% 3:事業環境に変化は見られず、見通しも変わらない・・・・・・64% 4:景気回復はもたつき感が強く、今後は厳しい状況が見込まれる・・・・・・25% 5:業況は厳しさを増し、業績のマイナス要因が顕在化してきた・・・・・・4% 金融緩和によって株高、円安が進行していますが、3と4の回答比が高いことから考えると、企業は業況の先行きに対して、慎重な姿勢を崩していません。 <設問2> 首都圏ではオフィスの空室率が低下し、大規模オフィスの賃料は上昇基調をたどっています。 貴社では賃料引上げなどの動きに対し、どのような対応策を取っていますか。 1:業況が拡大基調のためオフィス拡張を検討する、または拡張した・・・・・・11% 2:現在のオフィス環境には満足で、賃料引上げに応じる方針・・・・・・18% 3:賃料引き上げは受け入れられず。オフィス移転等を検討または実施する予定・・・・・・31% 4:オフィスは自社保有物件のため、不動産市況による影響は軽微・・・・・・39% オフィスビルの賃料上昇圧力が強まってきていますが、企業の景況感が今ひとつ伸び悩んでいるだけに、賃料の引き上げについても、そう簡単には応じられない状況にあるようです。 円安による仕入れ価格の上昇が企業収益を圧迫? 業況判断DIの伸びが頭打ちになり、やや低下傾向をたどっている点は気になるところですが、それと共に企業の利ザヤが縮小している恐れも、今回の調査結果では見て取れます。 まず販売価格についてですが、「上昇」から「下落」を差し引いた販売価格DIの数字は、製造業(全産業)でマイナス12でした。「もちあい」が全体の78%を占めていますが、販売価格が上昇したという回答比率は5%に過ぎず、一方で下落したという回答比が17%を占めたためです。 本来、円安が進んでいる分、企業は海外から輸入している素材、部品、あるいはエネルギーなどの円建て価格が上昇しており、こうしたコスト上昇分を販売価格に転嫁できないと、収益の利ザヤは縮小する一方になります。 実際、仕入れ価格の現状について、製造業(全製造業)の仕入れ価格のDIを見ると、「もちあい」が60%を占めているものの、「下落」の4%に対し、「上昇」が36%を占めました。結果、上昇から下落を引いた仕入れ価格のDIはプラス32となっています。 このように仕入れ価格が上昇しているのは、この2年で大幅に進んだ円安の影響と考えられます。12月に入り、ドル/円レートは1ドル=120円の水準にまで達しており、今後も、販売価格へのコスト転嫁が進まない限り、企業の収益利ザヤは一段と低下する恐れがあります。 消費者物価指数は1%程度の上昇見込み アベノミクス効果で注目される物価動向。特に消費者物価指数は、国民の生活に直結してくるだけに、その行方が注目されます。 企業側は今後の消費者物価指数の推移を、どう見ているのでしょうか。2014年12月調査分によると、1年後(2015年12月)の消費者物価指数は前年比1%程度になるという回答比が最も高く、46%を占めました。また、2年後以降になると、やや物価に対する上昇期待が強まるのか、前年比で2%程度になるという回答比が最も高くなり、36%を占めています。

製造業景況感が低下、先行きは増税のマイナス影響大きい(11月調査)

QUICKが実施した11月の「QUICK短期経済観測調査」(上場企業386社が回答、回答期間は10月23日~11月6日)で、製造業の景況感を示す業況判断DIはプラス21となり、10月調査のプラス22に比べて1ポイント悪化しました。また、金融を含む全産業はプラス20で、こちらは2ポイントの悪化です。 景気先行きDIは低下…消費税率引き上げの影響が顕著に 景気の先行きに対する見通しは、さらに厳しそうです。景況感の先行きを示す先行きDIを見ると、数字そのものはプラス圏にあるものの、プラス幅は徐々に低下してきました。DIの3か月平均値を見ると、2014年6~8月期調査分の先行きが全産業でプラス28であるのに対し、9~11月期調査分はプラス22となり、6ポイント低下しました。特に製造業の落ち込みが大きく、全製造業で13ポイントの低下となっています。 このように、業況全般がやや後退ぎみになっている一番の理由として、消費税率引き上げの影響を無視することはできないでしょう。2014年4月以降、消費税率は従来の5%から8%に引き上げられました。1~3月期のGDPは、駆け込み需要の影響で大幅に伸びたものの、4~6月期はその反動で大幅低下。7~9月期はさすがに上向くだろうと思いきや、11月17日に公表されたGDPは、よもやのマイナス1.6%。2期連続でGDPがマイナスになったことから、リセッション入りという声も浮上してきました。 円安の影響が景況感の先行きにも影響、価格転嫁難しい こうした企業の景況感悪化の理由は、消費税率引き上げにともなう消費の悪化もありますが、それと同時に、企業の利ザヤが薄くなっている可能性もありそうです。 今年前半の為替レートは、1ドル=100~103円のレンジで推移していましたが、9月以降、円安が急伸。10月末に発表された黒田バズーカ第2弾で、一気に円安に弾みがつき、11月17日時点で1ドル=116円台の円安水準に達しました。 円安が進めば、国内製造業が海外から調達している原材料の円建て価格が押し上げられます。仕入れ価格の上昇は、企業にとってコストアップ要因になります。もちろん、一方で販売価格を引き上げることが出来れば、コストアップを吸収できるのですが、まだデフレから完全に脱却できたとは言えない状況が、販売価格の動きを見ると分かります。11月調査分では大半が「もちあい」。DIを見ると、製造業は全製造業でマイナスになっています。仕入れ価格の上昇分を、販売価格に転嫁し切れていない状況が浮かび上がってきます。 これは、消費者物価指数の見通しにも表れています。1年後の消費者物価指数について、2%程度(+1.5%~+2.4%)の上昇と答えた企業は、10月調査時点で32.9%でしたが、11月調査時点では30.4%まで低下。これに対して、1%程度(+0.5%~+1.4%)と答えた企業は、10月調査時点の40.8%から45.8%まで上昇しました。それだけ消費意欲がまだ低迷していると、企業側は考えています。 円安の急伸は、まず海外から輸入されている原材料価格に反映されます。一方、消費マインドの回復が遅れ、消費者物価の低迷が長引けば長引くほど、企業の利ザヤが圧縮され、企業の景況感はなかなか改善しないという状況につながりかねません。 特許に対する報酬「欧米並みに手厚くすべき」は8%…今月の特別調査 政府は、「2020年までに有給休暇の取得率を70%にする」という目標を掲げています。 これに対して現状、多くの企業において有給休暇の取得率はどの程度なのでしょうか。厚生労働省は、早ければ2016年春にも、社員の有給消化を義務付ける方針で検討を進めていますが、現状、有給休暇の取得率は、それほど進んでいないのが現状のようです。 ちなみに、今月の特別調査の結果は、次のようになりました。 ① 7割を超えている・・・・5% ② 5~7割程度・・・・・・19% ③ 3~5割程度・・・・・・39% ④ 3割を下回る・・・・・・37% 上記の数字は、全産業ベースのものです。ちなみに「3割を下回る」とした回答比が最も高かったのは、非製造業の43%でした。 次に、会社と特許の問題に関する調査です。こちらは、特許庁が特許法の改正案として、仕事上の発明による特許権の帰属先を会社にできるよう検討を進めていることから、特許を会社のものとする場合、開発した従業員への報酬をどのように考えているかという点について、質問したものです。 ① 欧米並みに手厚く報酬を与えるべき・・・8% ② 欧米企業ほどではなくても、会社への貢献度を踏まえて報酬を与えるべき・・・44% ③ 仕事に対する奨励金として一定の報酬を与えるべき・・・35% ④ 賞与や昇進で対応すれば良い・・・13% ⑤ 継続雇用による安定した給与・賞与の支払いを考えると、特別な報酬は不要・・・・・・1% さすがに、④や⑤のような考え方は、日本においても少数派になりつつあり、この点では欧米企業に近い考え方をする企業が増えてきています。ただ、それは同時に、日本のかつての雇用形態の中心だった終身雇用制度、年功序列賃金が、ほぼ過去のものになりつつあることをも、意味しています。

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