2018年の米株「2割調整も」 ヤコブセン氏の「大胆予測」 円に反動高リスク

日米の主要株価指数は上昇基調を維持したまま年の瀬を迎えた。世界各国で経済成長が持続するとの観測を背景に、2018年も株高継続を見込む声が多数を占めるが、異論もある。デンマークの金融大手サクソバンクのチーフ・エコノミスト、スティーン・ヤコブセン氏は「来年上期に米株は15~20%下げる可能性が高い」と予想する。ヤコブセン氏には毎年「大胆予測」として公表している、市場が過小評価しているリスクイベントについても聞いた。 ――市場では世界経済に楽観的な見方が増えています。 「好景気にもかかわらず物価が落ち着いている米国を筆頭に、先進国では熱しすぎず冷めすぎずの適温経済のもとで株高が続くというのがメインシナリオだ。だが私はそうはならないと予想する。世界的に信用収縮が続いているためだ」 「国内総生産(GDP)に占める民間の新規の債務比率が過去9カ月間で15%低下した。中国による引き締め気味の金融政策の影響で、米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和の縮小を始める前から信用収縮が起きている。この信用収縮サイクルは実体経済に9カ月ほど先行すると考えられ、18年上期に世界経済は下振れする可能性が高い」 ――株価調整は避けられないということでしょうか。 「そうだ。実体経済の悪化を受けて株価も調整局面に入るだろう。現在の資産価格は、世界経済に対する『無邪気』な楽観論が前提となっている。市場では、S&P500種株価指数は18年に現状の2670ドル程度から5~10%上がるとの見方が多いものの、個人的には上期には15~20%下げておかしくないと思う」 「もっとも、そこまで株安が進めば各国の金融当局は再び緩和政策を強化するはずだ。信用供与はまた増え、株式相場もある程度は回復するだろう。18年末時点のS&P500種株価指数は今より5%安の水準にとどまると予測する。FRBは来年半ばに正常化から緩和の方に政策を戻す公算が大きい。米10年物国債利回りは、18年末時点で2.00%を見込んでいる」 ――ビットコインは6万ドルまで上昇が続いた後に、1000ドルまで下落するとの大胆な予想を示しています。 「ビットコインは昨年終盤の700ドル台に乗せるか乗せないかのレベルから一気に上がった。17年には3倍の2100ドルまで付けるとのリスクシナリオを描いていたが、実際には2万ドルをうかがう情勢だ。長いマーケット経験の中で最も激しいバブルだ。当面、上昇の勢いは続きそうだが、反動のエネルギーもたまっている」 「ポイントは各国で規制が強まるかどうかだろう。規制強化で取引が難しくなれば換金売りなどが加速し、相場は急落しかねない。既に韓国では未成年による仮想通貨の口座開設を禁止するなど、規制を始めた。ロシアでは、当局が独自の暗号通貨発行の準備を進めるのと同時に、ビットコインなどの既存の仮想通貨の規制に向けて動いていると伝わっている」 ――欧米主要国も例外ではないということですか。 「ビットコインの存在感が高まるほど、他の先進国でも何らかの規制を増やす可能性は高まる。投資家保護の目的だけでなく、政府や中央銀行にとって重要である税収の最大化や通貨の発行権を脅かしかねない点にも留意しなければならない」 「現時点では仮想通貨市場に積極介入する可能性は低いが、10年もすれば、仮想通貨に関する技術を利用して政府がデジタル通貨や仮想通貨を発行し、国民のお金のやり取りを管理しやすくなるだろう。ブロックチェーン技術により透明性の高い取引記録の作成が可能になるため、汚職の抑制につながる可能性がある」 ――日本では日銀の長短金利操作が困難になり、円が1ドル=100円まで上昇するとの思い切った予想も立てていますね。 「まずは円安・ドル高に向かう。米国主導で国債利回りが上昇するなかで、日銀が長期金利を低位に抑えることに固執すれば、円は1ドル=150円を探るかもしれない。だが円安が進む過程で各国からの通貨安誘導批判が強まるほか、輸入物価の上昇を背景に金利が高騰する。最終的に日銀が金利操作を放棄するようだと、円が100円まで反動高を演じるのではないか。大胆予想にはそう書いた」 ――国内では、黒田東彦総裁が「リバーサル・レート(金利効果の反転)」に言及して以降、金利調整の思惑が出ています。 「各国中銀の幹部がこうした概念に触れるようになったのは、大規模金融緩和は長期にわたって持続しうるものではない、との認識が強まっていることの表れだろう。あまりに長く続けると、正常化する際のコストが高くなる」 ビットコイン、1000ドルに急落も 18年の大胆予想一覧 ■18年の大胆予想 (1)米国で財務省が主導権を握り、FRBが独立性を喪失 18年の中間選挙に向けた人気取り政策や減税で財政が悪化。金利の大幅上昇を受けて財務省は2.5%の利回り上限を設定する。 (2)日銀、統制力を失い長短金利操作の放棄へ 円相場は1ドル=150円台まで下げた後、100円まで急伸する。 (3)中国が人民元建て原油先物取引を開始 原油先物取引の成功で海外勢の人民元需要が増え、対ドルの人民元相場が1ドル=6.0元超の元高・ドル安水準を付ける。 (4)S&P500の「フラッシュクラッシュ」(瞬時の急落)によりボラティリティー(変動率)急上昇 歴史的な低ボラティリティーを招いた欧米の大規模な金融緩和策は転機を迎えた。(変動率が低下した資産の買い入れを機械的に増やす)「リスクパリティファンド」や「ショート・ボラティリティー戦略」への大量の資金流入が、相場が反転したときに振れを増幅させる。 (5)米有権者が18年中間選挙で左傾化し、米国債利回りが急上昇 16年の米大統領選で民主党候補の一人だった、民主社会主義者のバーニー・サンダース氏がミレニアル世代の支持を集めたことを忘れてはならない。財政拡大路線が強まり、米30年物国債の利回りは急上昇して5%を突破する。 (6)「オーストリア・ハンガリー帝国」、EUの敵対的乗っ取りを開始 移民問題などを巡る西欧と東欧の外交的緊張が一段と高まり、ユーロはドルに対して1ユーロ=1.00ドルまで下落する。 (7)政府の規制強化によって投資家のビットコイン離れが進む 対ドル価格は1ビットコイン=6万ドル台まで上昇余地があるものの、その後1000ドルまで下落する。 (8)「アフリカの春」の後、南アフリカもリーダー交代で復活 ジンバブエのムガベ大統領の辞任を契機に、他のアフリカ諸国にも政変の波が起こる。南アではズマ大統領が権力の座を追われ、南アランドが対新興国通貨で30%上昇する。 (9)テンセントがアップルを抑え、時価総額世界トップに 中国の資本市場解放や消費主導型経済への移行が追い風となり、テンセント株の上昇率は100%に達する。 (10)女性が企業内での権力を握る フォーチュン500社のうち、60社以上で女性が最高経営責任者(CEO)に就く。 【日経QUICKニュース(NQN) 椎名遥香】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

東海カ(5301)、「値上げ力」で18%高 10年ぶり高値

15日の東京市場で東海カーボン(5301)株が大幅高となった。一時は前日比204円(18%)高の1337円まで上昇し、2007年11月以来、約10年ぶりの高値を付けた。手掛かりは14日に発表した国内向け黒鉛電極の値上げだ。鉄スクラップを溶かす電気炉に使うこの素材で世界3位であり、株式市場では大口生産者の強みを生かした「値上げ力」を評価した買いが集まった。 15日の株価上昇率は東証1部で2位だった。株式市場では「原材料高を価格転嫁できる企業には魅力がある」(ちばぎんアセットマネジメントの加藤浩史運用部部長)との声があった。 黒鉛電極の原材料価格は急上昇している。中国では環境規制を強化しており、現地では環境基準を満たす電炉メーカーが増産に動いている。これが、電炉で使う黒鉛電極の需要増を誘っている。 「構造改革を進めてきた」(国内証券アナリスト)との評価も東海カ株を押し上げる。前期までにタイヤ原料であるカーボンブラックの中国工場での生産能力を約4割削減した。合理化効果も寄与し、17年12月期の連結最終損益は、前期の79億円の赤字から108億円の黒字への転換を見込む。 黒鉛電極は電気自動車(EV)に使うリチウムイオン電池の原料にもなっている。東海カでは生産拡大を図っており、10月には独SGLから米子会社を買収した。EV市場の拡大期待も株価浮揚に一役買っており、14日時点での昨年末からの株価上昇率は3.5倍と日経平均構成銘柄でトップにある。 日銀が15日に発表した12月の全国企業短期経済観測調査(短観)で大企業・製造業の販売価格判断DIは上昇しており、なかでも素材業種がプラス14と前回調査(プラス5)から大幅に改善した。これも素材業種の値上げ力の評価につながる。 予想PER(株価収益率)は25倍台で、同業他社の昭電工(4004)の30倍台、日カーボン(5302)の44倍台に比べ割高感は乏しい。投資家は来期の18年12月期も見据えた収益拡大期待を高めている。 【日経QUICKニュース(NQN ) 太田明広】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

中国人民銀、米国に追随「利上げ」 人民元安・資本流出を警戒か

中国人民銀行(中央銀行)は14日、金融機関に短中期の資金を供給する際の金利を0.05%引き上げた。13日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の政策金利の引き上げから間もないタイミングの「利上げ」からは、人民元相場が不安定になったり資本が流出したりすることへの恐れが透けてみえる。 人民銀は公開市場操作(オペ)の売却条件付き債券購入(リバースレポ)の7日物金利を2.45%から2.50%へ、28日物金利を2.75%から2.80%に引き上げた。さらに中期貸出制度(MLF)による期間1年の貸出金利を3.20%から3.25%に引き上げた。人民銀は声明で「拡大している市場金利とオペ金利の開きを縮めるため」とする一方、「(市場金利の上昇は)米連邦準備理事会(FRB)の利上げを受けての正常な反応」と説明した。政策金利である預金と貸し出しの基準金利は変えていない。 人民銀は今年3月に米利上げ決定直後に短中期資金の金利を0.1%引き上げた。だが、いわゆる政策金利を動かしてはいないので、人民銀は「利上げではない」と主張。あくまで資金需給の変化に従った措置だと強調していた。今回は金利引き上げが米国の動きに追随したことを事実上、認めたに等しい。 香港資産運用会社ハリスフレーザーの黄耀宗ストラテジストは今回の中国の「利上げ」について「人民銀が人民元の安定を維持するため、米中の金利差が縮小しないように動いたのだろう」と解説する。 足元の人民元相場は落ち着いているが、米国で緩やかとはいえ利上げサイクルが回り続ければ人民元売り・米ドル買いの圧力が高まる。人民元安が加速すれば、中国からどんどんマネーが流れ出すリスクが高まる。急激な人民元安は中国の企業や経済に大きな打撃を与えるため、人民銀は相場の動きに常に神経をとがらせている。 米国が6月の利上げを決める前には、人民銀が人民元の対ドル取引の基準となるレート「基準値」の算出方法を見直すということもあった。前日の終値を参考にするのをやめ、人民元相場が大きく変動しても基準値をあまり動かさない手法に変えた。市場からは「管理相場への逆戻り」とのそしりも出ていた。 FOMCメンバーが13日示した政策金利の見通しに基づくと、2018年の利上げは0.25%の幅で3回というのがメーンシナリオ。中国当局は引き続き米国にらみの市場運営を強いられそうだ。 【NQN香港・林千夏】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した記事から厳選し、一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

ブラジル、レアル安が長期化観測 大統領が年金改革に「白旗」

外国為替市場でブラジルの通貨レアルが下落している。現政権の政策の目玉である年金改革の越年が決定的とみられ、テメル大統領の求心力は一段と低下している。「中央銀行が続けてきた利下げの出口がようやく見えてきた」との声が出る一方で、政権の先行き不透明感は強まるばかりだ。レアル安シナリオの長期化が現実味を帯びてきた。 12日の外国為替市場でブラジルレアルは対ドルで1ドル=3.33ドル程度と、11月3日以来、約1カ月ぶりのレアル安水準をつけた。12月に入り、下げ基調が改めて鮮明になっている。   ブラジルでは来年10月に大統領選挙が予定されている。「テメル大統領のもとで年金改革に一定のめどをつけられるか」(第一生命経済研究所の西浜徹・主席エコノミスト)がレアル相場を左右する喫緊の課題だ。テメル大統領は連邦議会が夏季休会に入る22日までに下院だけでも法案を通過させようと調整を続けている。来週には採決が予定されているが、賛成票が通過に必要な6割に達していない。 年金受給年齢の引き上げなど痛みを伴う改革は国民の反発が必至で、議員の間では慎重な意見が根強い。「大統領自身も年内の通過は難しく、国会が再開する来年2月以降に持ち越されると認めている」(みずほ証券投資情報部の折原豊水シニアエコノミスト)という。実質的な「白旗宣言」を受け、レアルには売り圧力がかかっている。 テメル大統領は求心力低下に歯止めがかからず、支持率は1桁台に沈んでいる。大統領選には出馬しない可能性が高い。 連立与党であるブラジル社会民主党(PSDB)も先週末に選挙で選ばれた新党首の下、連立からの離脱を模索している。与党の政権基盤が揺らぐなか、現段階でリードしているのは汚職への関与が発覚したルラ元大統領で、軍事政権復活を唱える極右候補などが続く。改革前進への期待が高まらないまま候補者選びが本格化する4月に突入すれば、政治不安からさらにレアルは売られやすくなる。 ブラジル中央銀行は日本時間7日に10会合連続の利下げに踏み切り、政策金利は年7%と史上最低金利になった。一方、利下げ幅は0.5%と、前回会合から0.25%縮小した。利下げによる景気刺激効果は少しずつ出ているもようだ。みずほ証の折原氏は「景気回復と物価安定でファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)は回復しており、来年には利下げは打ち止めになる可能性がある」と予想する。 為替市場でも本来なら上向く景気に目が向いても良さそうだが、先の読めない政権への厳しい見方は強まる一方だ。来年のレアル相場は、景気回復への期待が強まる場面でも安い水準からなかなか抜け出せない裏腹な展開になるかもしれない。 【日経QUICKニュース(NQN ) 尾崎也弥】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

忘年会シーズン、今年大幅高の居酒屋株は U&C(3557)やDDHD(3073)など

2017年の忘年会シーズンがやってきた。居酒屋などを展開する上場企業のなかで、会社員が集まる東京・新橋や神田に店舗を構える主な企業の今年の株価を振り返った。大幅高となったのは、にんにくしょうゆダレの焼き鳥や博多水炊きを提供する「てけてけ」のU&C(3557、マザーズ)や、青森直送の馬肉料理をウリにする「馬並み家」のDDHD(3073)などだ。 グルメサイト「食べログ」でエリアを「新橋」や「神田」に絞り、店舗が載っている主な上場企業17社の株価を調べた。新橋、神田どちらにも「てけてけ」店舗があるU&Cの11日終値は7320円だった。2月に新規上場しており、11日終値は公募・売り出し価格(公開価格)の1620円から4.5倍で、上場初値の4500円からだと63%高となった。 U&Cは、かき入れ時の忘年会シーズンについて「例年並みだが、非常に好調」(リクルーティング・マーケティング部)という。新規出店の費用が先行し2018年2月期は最終減益の見通しだが、営業利益は18%増の3億円を見込む。 新橋に「馬並み家」を構えるDDHDの11日終値は4725円で、16年末から3.7倍だ。同社の広報担当者は「12月の予約状況は前年を小幅に上回っている」と話す。 新橋、神田いずれにも英国風パブ「HUB」があるハブ(3030)の11日終値は1430円で、今年5月の1株から3株への分割を考慮すると16年末の2.5倍だ。12月4日に東証1部指定となった。自社の株高について「1部指定の効果も大きいが、投資家が好業績を評価してくれているのだろう」(同社の広報IR課)と分析する。 株価の上昇は収益拡大への期待を映しており、こうした企業の店舗は勢いがある可能性が高い。忘年会の店選びの参考材料になるかもしれない。 ◎新橋や神田に居酒屋などを構える株高が目立った主な企業 社名(コード)   店舗名  株価上昇率 今期の最終利益予想 U&C(3557)   てけてけ  4.5倍   ▲18% DDHD(3073)  馬並み家  3.7倍    8% ハブ(3030)    HUB   2.5倍    3% トリドール(3397) 晩杯屋   56%    6% 鳥貴族(3193)   鳥貴族   41%    38% (注)上昇率は11日終値と16年末との比較。U&Cは公開価格比。今期予想は、会社側が見込む18年2月期の最終利益の増加率で、▲は減益見通し。トリドールは18年3月期、鳥貴族は18年7月期。 【日経QUICKニュース(NQN ) 石川隆彦】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

三井住友FGが高値 資本規制合意、高まる自社株買い期待

11日の東京株式市場で銀行株が堅調だ。国際展開する大手銀行の健全性を保つための金融資本規制について日米欧の金融当局が合意し、規制に対する不透明感が晴れたからだ。規制の最終決定後に自社株買いの方針を示すとしていた三井住友フィナンシャルグループ(8316)は一時2.4%高となり、1カ月半ぶりに年初来高値を更新した。 自己資本の算出方法決定で、銀行の資本政策が明確になった。三井住友FGは「規制の最終決定後に自社株買いの方針を決める」と説明してきた。マネックス証券の大槻奈那チーフ・アナリストは「自己資本に対する株主還元の割合が他社に比べて低い三井住友FGの自社株買い期待が高まり、株高に勢いが付いた」と話す。ゴールドマン・サックス証券の担当アナリスト、田中克典氏は11日付のリポートで「2019年3月期に500億円の自社株買いを実施する可能性が高い」と指摘する。 今回合意したのは企業向け貸出残高などリスク資産の算出を巡る方法だ。リスク資産額は格付け会社が求めた数値の72.5%を下回らないことに最終決定した。日本のメガバンクが銀行内部で計算してきたリスク資産額よりは厳しく自己資本比率の低下につながるものの、外部格付け会社による算出に比べるとリスク資産額を少なく見積もることができた。 新規制は2022年から5年かけて段階的に実施するため、自己資本を増やす時間的な余裕があるとみられている。例えば三井住友FGは規制適用でリスク資産額は以前から30%程度増えるが、自己資本比率は利益蓄積効果で年間0.45~0.50%程度積み上がる見通しだ。「大不況などで不良債権が急増しメガバンクが最終赤字に転落しない限り、利益の積み上げで自己資本比率の目標は達成できる」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の笹島勝人シニアアナリスト)との声が多い。 もっとも、低金利環境が続くなかで銀行株の先高観は乏しい。大手銀5グループの18年3月期の業績予想で本業のもうけを示す業務純益(単独ベース)は、前期比で13%減の見通し。日銀によると都市銀行の長期貸出平均金利は10月が0.81%と前年同月比で0.074%下がった。市場では「借り換えに伴う貸出金利の低下が続き、大手銀行の業務純益は19年3月期も減少する可能性が高い」(笹島氏)との見方が多い。 持ち合い株の売却で純利益の積み増しは可能だ。だが日経平均株価が2万3000円近辺の高値圏で推移するなか、株価が下落基調に転じると株式売却益も目減りしかねない。ある国内証券のアナリストは「先行きが読めない株価動向が収益状況に直結するため、自己資本が目減りする自社株買いや増配が継続的に実施されるとは期待できない」と読む。金融規制の合意が銀行株買いにつながったが、中長期的な見通しには慎重になった方がよさそうだ。 【日経QUICKニュース(NQN) 田中俊行】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

乱高下のビットコイン、取引所大手が送金手数料2倍に 決済停止する企業も

仮想通貨ビットコインの取引所大手コインチェック(東京・渋谷)は8日、ビットコインの送金手数料を2倍に引き上げるとの声明を発表した。ビットコインの乱高下に伴い取引が集中、それを抑制する思惑があるとみられる。米ゲーム配信サービス企業が7日からビットコインでの支払いの受付を停止するなど、ビットコイン乱高下を巡り、影響が広がりだしている。 8日は値動きの荒さに拍車がかかった コインチェックはツイッターで手数料を12時23分から通常の0.0005BTCから0.001BTCに引き上げると発表した。取引所大手「ビットフライヤー」によると、ビットコインは初めて200万円を超えた。1ビットコイン=200万円とするとコインチェックの手数料は2000円になる計算で、銀行をはるかに上回る水準だ。投資家がビットコインに殺到し送金に遅延が発生していることに伴う措置というが、突然の公表にインターネット上では戸惑いの声が上がっている。 米バルブのゲーム配信サービス「スチーム」は7日からビットコインでの支払いの受付を停止した。取引手数料がビットコイン決済を始めた時期から100倍近くに跳ね上がったことに加え、決済期間内にビットコインの価値が大きく変動し顧客の利便性を損ねかねない事態にあるためだ。ビットコインは8日朝方に200万円台に乗せた後、急落するなど値動きが激しくなっている。 4月にビットコイン決済を始めたビックカメラ(3048)は8日、一会計当たりの上限額をこれまでの3倍の30万円にすると発表した。旅行商品をビットコインで決済できるエイチ・アイ・エス(9603)も手数料を上乗せして販売しているが、今のところビットコイン上昇の悪影響は手数料には表れていないようだ。 ただ、ニッセイ基礎研究所の櫨浩一・専務理事は「ビットコインは乱高下により、決済通貨として使いにくくなっている」と警鐘を鳴らす。「国内でもビットコイン決済について何らかの対応をする企業が出てくる可能性があり、取り扱いを始めようとしている企業は導入に二の足を踏みそうだ」という。連日のように最高値を更新し乱高下を繰り返すビットコイン。企業がどう対応するかに注目が集まりそうだ。 【日経QUICKニュース(NQN ) 川上純平】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

任天堂が3%高 エヌビディアと組み中国でゲーム配信と報道

7日の東京株式市場で、任天堂株が続伸した。終値は前日比1320円(3.05%)高の4万4480円。英フィナンシャル・タイムズ(FT)など海外メディアは任天堂が米エヌビディアと組み、中国市場に進出したと報じた。膨大なゲーム人口を抱える中国市場を開拓する足がかりになるとの思惑が買いを誘ったようだ。 報道によると、任天堂はエヌビディアの据え置き型ゲームを通じ「ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス」「ニューマリオブラザーズ Wii」などのゲームの配信を始めた。FTはエヌビディアとの協業で任天堂は中国市場に進出しやすくなるだろうとの専門家の声を紹介している。〔日経QUICKニュース(NQN)〕 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。  

「慢心」が生んだ株急落 2カ月連続の波乱

6日の東京株式市場で日経平均株価は前日比445円安の2万2177円と今年最大の下げ幅だった。午前11時30分以降に出た株価指数先物へのまとまった売りをきっかけに、オプション市場でプット(売る権利)の売り方の持ち高解消が膨らみ、先物への売りが売りを呼ぶ展開となった。相場の大幅下落はないとの「慢心」が生んだ急落といえそうだ。 日経平均株価や日経平均先物12月物は、下値支持線とみられた25日移動平均線のある2万2500円近辺を午前に下回った。テクニカル分析上は相場の調整色が強まることになる。現物株市場が昼休みに入った11時30分すぎ、先物市場で大口の売りが出て日経平均先物の下げ幅は300円を超えた。その地合いのまま、午後の下げ相場になだれ込んだ。 何が起きたのか。発火点となったのはオプション市場だ。「プットの売り方が急激な下げに対応するため、買い戻しを入れた」(投資助言会社フェアラインパートナーズの堀川秀樹氏)。プットを売った市場参加者は、日経平均が急落して権利行使価格に到達すると取引相手の損失を埋め合わせる義務が生じるため、その回避に動く。売ったプットを急いで買い戻すのに加え、「株価指数先物や銀行株に対してヘッジ売りを膨らませた」(国内の機関投資家)。これが売りが売りを呼ぶメカニズムだ。 焦点となった日経平均オプション。2万2000円から2万1000円のプットの建玉(未決済残高)はそれぞれ1万枚を超える水準まで膨らんでいた。21円で始まった2万2000円プットの価格は、激しい買い戻しのすえ5倍の110円まで急上昇。11月後半以降の日経平均の戻りで安心し、目先はあまり大きく下がらないと想定し、2万2000円前後のプットを売っていた人が多かったことが裏目に出た。 オプション市場の取引は相場変動率の急上昇につながった。「日本版恐怖指数」と呼ばれる日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は日経平均の下落とプットの売り方の損失覚悟の持ち高解消の影響を受けて急上昇。13時31分には前日比9%高の18.28を付けた。 相場変動率の上昇を嫌うシステムトレード系の売りも、相場の下げを加速させた可能性がある。野村証券の高田将成クオンツ・ストラテジストは海外投資家の一種である商品投資顧問(CTA)について「日経平均先物が2万2200円を下回ったところから売りを活発化させた」と指摘する。 フェアラインパートナーズの堀川氏は「1カ月前と逆の動きだ」と話す。約1カ月前の11月9日の日経平均。さしたるきっかけもないままぐんぐん上げ幅を広げ、取引時間中に26年ぶりとなる2万3000円台を回復した。このときは想定外の相場上昇に対しコール(買う権利)の売り方が、コールの買い戻しや株価指数先物へのヘッジ買いを膨らませた。株価指数先物・オプションの特別清算指数(SQ)算出を直後に控えていた点も同じだ。 株式相場は2カ月続けてSQ算出前の波乱となった。きょうの下落は、先週後半までの戻り相場の継続に懐疑を投げかけるきっかけとなりそうだ。中東情勢の悪化懸念やアジアのハイテク株安など外部要因も悪化している。年末の株高に向けたハードルはますます上がった。 【日経QUICKニュース(NQN) 張間正義】  ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

「いぬ笑う」で来年も株高か 平均上昇率は9.8%

 師走に入り、2017年も1カ月を切った。十二支の酉(とり)年にあたる今年の東京株式市場は、日経平均株価が四半世紀ぶりの高値に急上昇し、「申(さる)酉騒ぐ」の格言通りの展開となった。18年は戌(いぬ)年。「戌笑う」にならえば、来年も相場の上昇が続く見通しだ。  今年の日経平均を振り返ると、年初から11月末までに3610円(18.9%)上昇した。年末に2万3000円を回復すれば2割高となる。日経平均の算出が始まった1950年以降、5回の酉年の上昇率は平均15%。このままいけば、今年は平均を上回ることになる。  戌年の日経平均の勝率は80%と、亥(い)年や酉年と並び、申年の83%に次ぐ2位。平均上昇率は9.8%と十二支では7位だが、勝率は悪くない。06年の上昇率は6.9%で、94年は13.2%だった。82年は4.4%だったが、58年は40.5%と大幅に上げた。唯一下げた70年は世界的な投資信託の運用会社を巡る不安が世界株安につながった「IOSショック」で、15.8%安となった。  干支(えと)は十二支と十干(じっかん)からなる。18年は十干でいうと戊(つちのえ)。戊の戦後の勝敗は4勝2敗だ。勝ち星の方が多いが、直近の戊である08年は米リーマン・ブラザーズの破綻で日経平均の下落率が42.1%と過去最大を記録した。98年の戊は日本長期信用銀行(現新生銀行)や日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)が破綻し、年間で9.3%安となった。  来年は60年に一度の「戊戌(つちのえいぬ)」だ。前回の1958年の戊戌に日経平均は4割高となった。当時はちょうど「岩戸景気」が始まったころだが、足元はアベノミクスで戦後2番目に長い景気回復期にある。  みずほ証券の三浦豊シニアテクニカルアナリストは来年の日経平均は上昇しても1桁台にとどまると予想する。「すでに17年に大幅高となったため、来年の上昇余地は限られそうだ」という。来年の話をすると鬼が笑うが、戌はしっかり笑ってくれるだろうか。 【日経QUICKニュース(NQN) 三好理穂】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

Jフロント株が高値、パルコ効果に脚光 上野の客数7割増

4日の東京市場でJフロント(3086)が続伸して前週末比4.7%高の1989円まで買われ、年初来高値を2営業日ぶりに更新した。11月の売り上げ増が手掛かりで、その中身をみると訪日外国人(インバウンド)需要の追い風だけではなかった。11月にパルコ(8251)との初の協業で増床開業した松坂屋上野店(東京)の貢献も大きい。上野店の来客数は前年同月比7割増となり、2012年に子会社化したパルコとの相乗効果がようやく顕在化してきた。   1日に発表した傘下の大丸松坂屋百貨店の11月の既存店売上高は、前年同月比7.2%増だった。まず目に付くのは免税売上高の92%増という高い伸びだ。三越伊勢丹(3099)の44%増、高島屋(8233)の48%増を引き離し、「インバウンド需要を同業他社以上に取り込んでいる」(野村証券の青木英彦マネージング・ディレクター)のが投資家の買いを誘っている。 パルコとの協業効果も増収に寄与した。松坂屋上野店の南館跡地に新業態「パルコヤ」を11月4日に開業した。東京23区内のパルコ出店は渋谷以来、44年ぶりとなる。上野店の顧客層は高齢者の比率が高かったが、「パルコヤ」が目指すのは団塊ジュニア世代を中心とする30~50代の消費者の取り込みだ。かつて文化の発信地として渋谷パルコなどに通った世代だ。 「パルコヤ」も入る上野フロンティアタワーの11月4日の開業後、本館も含む上野店全体は客数が大きく伸び、売上高も2割増となった。小売業にくわしいGマネジメント&リサーチの清水倫典代表は「初のパルコとの協業の成果が、早くも出た」と評価する。 Jフロントは22年2月期までに全国で4カ所のパルコ型店舗を開業する予定で、21年には2店目を大阪市内の旗艦店、大丸心斎橋店の北館にオープンする。「幅広い顧客ニーズを取り組む姿勢をいっそう明確にする」(野村証券の青木氏)ことで、収益拡大を狙う。上野店はまだオープンしたばかりながら、成功体験を重ねていけば投資家の評価は「インバウンド」だけにとどまらなくなるだろう。 【日経QUICKニュース(NQN) 張間正義】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

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