インドネシア、税収厳しく財政規律を堅持 投資環境改善の兆しも

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はインドネシアの現地記者アディ・ビナルソ氏がレポートします。 (※この記事は2016年11月7日にQUICK端末で配信した記事です。) インドネシア政府は税収の確保に苦戦 過去2年間、財政赤字が法定上限に達する危険性に直面したため、ジョコ・ウィドド政権は「経済回復のためにこれ以上財政拡大してはいけない」との決意を固めた。一次産品価格の低迷が家計、企業に打撃を与えており、政府は税収の確保に苦戦している。 インドネシア政府が2015年、赤字を法定上限である国内総生産(GDP)の3%に抑えることができたのは、土壇場で緊急性の低い政府支出を削減したためだ。今年は、積極的な支出削減に加え、比較的好調なタックス・アムネスティ(租税特赦)制度の運用を通じて100兆ルピアの税収の上振れが達成できれば、財政赤字はGDPの2.7%を超えない見通しだ。 (出所:QUICK) 政府は国債発行で388兆ルピア以上を調達 インドネシア政府は今年、これまでに国債発行を通じて388兆ルピア(300億米ドル)以上を調達した。これにより、金融機関の流動性が低下したことに加え、不良債権が膨らんでいることもあり、銀行はこれまで以上に融資を増やしにくい状況だ。 さらに悪いことに、インドネシアの国家予算は、2012年から基礎的財政収支が赤字の状態にある。GDPに占める基礎的財政収支の赤字額は、2012年(0.6%)から2015年(1.2%)に倍増した。負債を増やして調達した資金を、各地での道路や橋りょう、学校の建設ではなく、負債元本の支払いに充てていることになる。 このため、国会本会議で先週(10月26日)、赤字目標をGDPの2.4%に設定した2017年度予算案が成立したことに、多くの人が安堵感を示した。 バンク・ダナモン・インドネシア(コード@BDMN/JK)のエコノミスト、ウィスヌ・ワルダナ氏は、「今回の予算案には、『賄える範囲での支出』という考え方が示され、歳入次第という方針が堅持されている。必要な支出ありきで、歳入や調達資金を決めていたこれまでの予算案とは対照的だ」と述べている。 ワルダナ氏は、インドネシア政府が基礎的財政収支の赤字額目標をGDPの0.8%に縮小する方針を示すなど、来年度の予算に関して慎重になっていると指摘。「税収が目標を下回っている限り、重要性が低い支出を削減する方針は変わらない」と述べている。 インドネシアのスリ・ムルヤニ・インドラワティ財務相は、政府は今回の予算案では歳出のやりくりに注力したと説明。「政府は信頼感、安心感、信用を維持する必要がある。まず、我々が直面している経済の実情を予算案に反映させた」と述べた。 投資環境は改善しつつある 一方、投資環境の改善という明るい兆しもある。インドネシアは世界銀行の最新のビジネス環境レポートで順位を15ランク上げて91位となり、調査対象国の中で最大の伸びを示した。 世界銀行は、投資拡大と健全な財政政策が追い風になるとして、インドネシアの来年の経済成長率について今年の予想(5.1%)を上回る5.3%と予測している。 【翻訳・編集:NNA】  本情報は、情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘することを目的としたものではありません。有価証券その他の取引等に関する最終決定は、お客様ご自身のご判断と責任で行って下さい。株式会社QUICK、翻訳・編集者であるNNAおよび情報提供元であるアディ・ビナルソ氏は、本情報を利用して行った投資等により、お客様が被った、または、被る可能性のある直接的、間接的、付随的または特別な損害またはその他の損害について、一切責任を負いません。    

中国の不動産市場、「緊縮すれば死」を防げ! 連休中の住宅販売が急減

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は、香港の現地記者ジェスロ・オー氏がレポートします。 (※この記事は2016年10月24日にQUICK端末で配信した記事です。) 中国は一貫して計画経済を実施しており、政府は依然として多くの重大な経済活動の各所に介入している。しかし、政府による経済調整には、薬の処方を間違えたり、薬効が強すぎたりするという弊害がしばしば発生する。 緩和すれば乱れ、乱れれば緊縮し、緊縮すれば死んでしまう 中国人の間で政府の経済と投資市場の調整についての常套句がある。それは、「緩和すれば乱れ、乱れれば緊縮し、緊縮すれば死んでしまう」。つまり、中国人の投資に対する態度は成熟したものではなく、市場である種の投資商品への評価が高まると、冷静な判断もせずに一斉に同じ対象に投資をする。しかし、市場が過熱して政府が調整に乗り出すと、一気に谷底に落ちていく。 株式市場がまさにそれだった。最近、急速に過熱している不動産市場も、これと同じである。しかし、「緩和すれば乱れ」のあと、各地で不動産バブル抑制のため再び「乱れれば緊縮し」ということで、購入制限や住宅ローン制限が相次いで打ち出される。そうして「緊縮すれば死んでしまう」という歴史が繰り返される可能性がある。 中国政府のスローガンは「新常態」 中国経済は近年、成長が減速しており、中央政府はすでに早い時期から低成長率を「新常態」とするスローガンを打ち出し、経済成長に対する市場の期待を引き下げようと試みている。輸出という牽引力が不足する中で、不動産市場が経済成長を推進し、雇用を確保する重要な一環となっている。 (出所:QUICK) このため、中国政府は昨年、供給面で過剰生産能力を削減する改革を打ち出すと共に、不動産市場で売れ残り物件の販売を大きく推進し、不動産市場への投資によって経済を刺激することを期待した。中央政府による売れ残り物件の販売奨励を受け、土地売却を主要な収入源とする地方政府は喜んでこの政策に合わせて住宅購入の制限を緩和し、銀行による住宅ローン提供を奨励。これによって、不動産市場で需要が拡大し、価格は高騰した。中国には投資対象が不足しており、また国民に投機心理が充満していることから、資金が相次いで不動産投機に投じられ、不動産市場のバブルがますます拡大した。 中国統計局の発表によると、過去1年で住宅価格が30%以上も上昇した中国の都市は少なくない。廈門、合肥などの「二線」都市(地方中核都市)では上昇幅は40%に達しており、異常な情況にある。しかし、不動産価格が上昇すると同時に、中国の一般市民の間では、住宅購入難に対する不満がますます高まっている。現在、中国の「一線」都市(主要大都市)、「二線」都市の不動産価格は、すでに現実的な購買力から大きくかけ離れている。特に若い世代ほど、住宅購入に希望が持てず、安住の手段がない。そうした若い世代がどうやって将来身を立てて家庭を作れるというのか--。こうして、このような不動産バブルが社会の不安定要素となっている。 最近、浙江省杭州市である新築物件の販売が始まると、購入希望者が先を争って押しかけ、押し合いの末に販売センターのドアを倒してしまうという場面の画像がネット上で広まり、大いに話題になった。これは、不動産投機の熱狂が異常な状況にまで高まっていることを示す場面として、不動産市場の狂乱に警鐘を鳴らすものとなっている。 中国各地方政府は住宅購入や住宅ローンを制限 各地方政府は、不動産従来は不動産市場の繁忙期だった「金九銀十(1市場過熱の危機に気付いており、10月1日からの中国の国慶節連休の間に、約10都市で住宅購入や住宅ローンの制限措置が打ち出された。不動産投機ブームを冷却化させようとする制限措置を打ち出す都市は、ますます増えている。市場で突然、調整の風が巻き起こると、年のうちでも販売が伸びる時期とされる9月・10月)」に突然失速した。多くの都市で不動産市場が急速に冷え込み、崖を転がり落ちるような取引件数の減少が発生したのだ。南京市では、国慶節連休中の住宅販売が前週に比べて60%近く減少。買い手が模様眺めに入っている。投機ブームが終息し、短期内に価格を釣り上げて売り抜こうという投機家の皮算用は、すでに通用しなくなっている。このため、資金を不動産市場に投入しようという意欲が低下しており、取引はさらに縮小している。 中国の多くの都市が相次いで調整政策を打ち出していることから、不動産市場はすでに熱狂から模様眺めに転じている。ただ、中国の株式市場のように、不動産市場にも「緊縮すれば死んでしまう」という現象が起きるかどうかは、さらに観察が必要だ。中国の不動産市場には膨大な在庫があり、消化する必要がある。しかし、もし不動産市場が再び寒風に見舞われることになれば、低迷はかなりの期間続くことが予想される。 (出所:中国統計局) 本情報は、情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘することを目的としたものではありません。有価証券その他の取引等に関する最終決定は、お客様ご自身のご判断と責任で行って下さい。株式会社QUICKおよび情報提供元であるジェスロ・オー氏は、本情報を利用して行った投資等により、お客様が被った、または、被る可能性のある直接的、間接的、付随的または特別な損害またはその他の損害について、一切責任を負いません。

インドネシア、ヤマハ発・ホンダの二輪カルテル疑惑で審理開始 11月末までに裁決か

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はインドネシアの現地記者アディ・ビナルソ氏がレポートします。 (※この記事は2016年10月11日にQUICK端末で配信した記事です。) ヤマハ発動機、ホンダがカルテル行為を違反しているとの疑惑 インドネシアの事業競争監視委員会(KPPU)は、同国のスクーター市場で日本のバイクメーカーであるヤマハ発動機(7272)とホンダ(7267)がカルテル行為をしているとの疑惑に関してさらなる証拠を探している。この重要案件の審理は始まったばかりだ。 インドネシアの反トラスト規制当局であるKPPUは7月、2社によるオートマチック・スクーターの価格調整疑惑について事前ヒアリングを開始した。KPPUは当時、ヤマハ発とホンダの幹部が交わした電子メールなど、価格調整の証拠をつかんでいると説明していた。 KPPUは10月に入り、同案件の審理を開始した。事前ヒアリングでは、ヤマハ発とホンダの幹部に加え、インドネシア二輪車製造業者協会(AISI)のグナディ・シンデュウィナタ会長にも聴取し、審理するだけの十分な証拠があると判断した。 KPPUによると、2014年と2015年に二輪車市場全体の売上高は18%減少しているにもかかわらず、ホンダとヤマハ発の利益は同期間に2年連続で拡大しているという。 ホンダとヤマハ発動機でインドネシア国内シェア約96% 両社は、それぞれ現地子会社ヤマハ発・モーター・マニュファクチャリング・インドネシア(YMMI)とアストラ・ホンダ・モーター(AHM)を通じて、実質的にインドネシアの二輪車市場を支配している。AISIのデータによると、ホンダの市場シェアは67%、ヤマハ発の市場シェアは29%となっている。 (出所:本田技研工業、ヤマハ発動機決算書より作成) KPPUの申し立てによると、ホンダとヤマハ発はスクーターの価格を生産コストの約2倍に引き上げているという。KPPUはさらに、ホンダとヤマハ発が二輪車市場での支配的な地位を利用してこうした価格水準を維持し、消費者は両社の二輪車に対して本来よりも高い金額を支払う負担を強いられていると指摘する。両社はこの疑惑を否定している。 KPPUのヘルミ・ヌルジャミル調査官は4日公表した声明で「我々は他の二輪車メーカーに審理で証言するよう要請する方針だ。二輪各社がどのような事業展開を強いられているのかを知りたい」と述べた。ヘルミ氏は、KPPUが11月末までに裁決を下すとの見通しを示している。 最大1000億ルピアの罰金か? インドネシアの独占禁止法では、カルテル疑惑が証明された場合、企業は最大250億ルピアの罰金を科されることになっている。何らかの犯罪行為が明らかになった場合は、罰金額は最大1000億ルピアまで引き上げられる可能性がある。 ホンダとヤマハ発は委員会の裁決に対して、地方裁判所または最高裁判所に異議を申し立てることができる。 AHMのアフマド・ムヒブディン副部長(コーポレート・コミュニケーション担当)は「価格を操作することは不可能だ。販売実績に関しては、当社が積極的にプロモーション活動に取り組んだことによるものであり、それはヤマハ発も同じだ」とコメントしている。 YMMIのディニシウス・ベティ副社長は、KPPUは不正確な数字を基にこの件を申し立てていると指摘。そのうえで「最も大きな間違いの一つが、当社の収益だ。KPPUは当社の収益を47%増としているが、実際はわずか7.4%増だ」と指摘している。 ベティ副社長は「この件が顧客の当社に対するイメージに影響を及ぼし、販売が低下している。この審理が今後も続く場合、当社の疑惑が晴れることだけを期待する」と述べた。 KPPUがインドネシアの二輪車業界を調査したのは今回が初めてだ。インドネシアにおける同業界をめぐっては、タイやマレーシアなどの近隣諸国と比べて競争が少ないことが明らかになっていた。 今年に入ってから、KPPUは4月に肉牛飼育業者と輸入業者32社に対して、供給量を減らすことで牛肉の価格を操作したとして罰金を科した経緯がある。 【翻訳・編集:NNA】  本情報は、情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘することを目的としたものではありません。有価証券その他の取引等に関する最終決定は、お客様ご自身のご判断と責任で行って下さい。株式会社QUICK、翻訳・編集者であるNNAおよび情報提供元であるアディ・ビナルソ氏は、本情報を利用して行った投資等により、お客様が被った、または、被る可能性のある直接的、間接的、付随的または特別な損害またはその他の損害について、一切責任を負いません。

台湾TSMCの劉CEO、半導体微細化に意気込み 3ナノ開発に400人投入

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は台湾の現地記者、李臥龍(リー・ウォーロン)氏がレポートします。(※この記事は2016年10月7日にQUICK端末で配信した記事です。) 台湾積体電路製造が3ナノメートルの研究開発開始 半導体受託生産会社(ファウンドリー)世界最大手である台湾積体電路製造(TSMC、コード@2330/TW)の劉徳音・共同最高経営責任者(CEO)兼プレジデントはこのほど台湾半導体産業協会の年会に出席した際、回路線幅5ナノ(ナノは10億分の1)メートルの生産準備を急速に進める一方、400人近くの研究開発グループを編成して3ナノメートルの研究開発に取り組んでいることを初めて明らかにした。1ナノメートルの製造プロセス実現に向けて動くとも述べ、米インテル(コード@INTC/U)を追い抜いた後にさらに大きく先行しようという意気込みを見せた。  (出所:日本経済新聞より作成 http://www.nikkei.com/article/DGXNZO74358070W4A710C1FFE000/) TSMCは台湾の半導体産業のリーダー企業として今後の技術発展計画を率先して公表し、3ナノメートルと1ナノメートルの研究開発の進捗を対外的に明らかにした。このことは、TSMCが今後数年間に引き続き半導体の技術開発に大量の資金を投入し、高水準の設備投資を維持することで、生産能力の拡充や関連設備の補充・増強に対応していく意向であることを意味する。  同社の劉徳音氏は、シリコン知的財産(IP)や自動化設備、設備などの構築といったビジネス生態系に関るサプライチェーンと共に今後も技術や研究開発への投資を継続し、同社を世界の半導体産業における最も強固な要塞にすると強調した。  台湾市場に上場するTSMCを筆頭とした半導体メーカーの昨年の投資総額は1兆2055億台湾ドル(1台湾ドルは約3.3円)に達し、製造関連の上場企業全体の投資額の21.4%を占めた。研究開発費は総額5775億台湾ドルで、製造関連の上場企業全体の11.2%を占めた。半導体関連の上場企業の純利益は上場企業全体の26%を占め、普及率が急激に上昇する分岐点「クリティカルマス」到達に伴う効果が一段と顕著になっている。  TSMC・インテル・サムスン電子の三つ巴か!? TSMCは7ナノメートル製造プロセスを巡る攻防がインテルと韓国サムスン電子(コード@005930/KO)との重要な戦いになるとみている。プロセス・アーキテクチャにおいて、TSMCの7ナノメートルはインテルの10ナノメートルに、TSMCの10ナノメートルはインテルの14ナノメートルにほぼ匹敵する。TSMCが開発を急ぐ主な理由は、インテルが英半導体開発大手アーム(ARM)・ホールディングスと技術ライセンス契約を締結したためだ。インテルが今後、ARMアーキテクチャを用いた10ナノメートル製造プロセスの受託生産サービスを提供すれば、TSMCと真っ向から対決することになるのだ。 もっとも、TSMCの10ナノメートル製造プロセスは既に、米アップルや台湾の聯発科技(メディアテック、コード@2454/TW)、中国の海思半導体(ハイシリコン・テクノリジーズ)といった重要な顧客を得ている。TSMCの劉徳音氏は、今年年末から来年第1四半期(1~3月期)にかけて10ナノメートル製造プロセスでの量産を開始すると述べた。  一方、7ナノメートル製造プロセスでは、既存の大口顧客が維持されるほか、40ナノメートルや28ナノメートルでTSMCの最大顧客であった米クアルコムが再び大量発注先をTSMCに戻す予定だ。これは、TSMCの7ナノメートルの性能が世界の大手メーカーから評価されていることを示す。  TSMCの劉徳音氏は、同社の7ナノメートルの歩留まりが想定内で推移しており、来年第1四半期にリスク生産を実施する予定だと述べた。  TSMCが7、10ナノメートルの受託生産で世界市場を独占すると見られる 他方、多くの外資系機関投資家たちは、TSMCが半導体受託生産の技術対応力やウエハー生産能力、原価構成、生産の柔軟性、賃借対照表、全体的な価値といった面でインテルよりも優れていると強調している。また、TSMCが2017~18年に10ナノメートルと7ナノメートルの製造プロセスを用いた受託生産で世界市場を独占するとみており、今月13日に予定される同社の機関投資家向け業績説明会を前に、相次いで分析レポートを発表して目標株価を引き上げた。目標株価はいずれも200台湾ドルを越えている。  TSMCの株価は9月23日に187.5台湾ドルまで上昇し、株価調整後の過去最高値を更新。時価総額も4兆8300億台湾ドルと、台湾株式市場で単体企業として過去最高を記録した。   ※本情報は、情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘することを目的としたものではありません。有価証券その他の取引等に関する最終決定は、お客様ご自身のご判断と責任で行って下さい。株式会社QUICKおよび情報提供元である李臥龍氏は、本情報を利用して行った投資等により、お客様が被った、または、被る可能性のある直接的、間接的、付随的または特別な損害またはその他の損害について、一切責任を負いません。

インドネシア、租税特赦の第1ステージが終了 今後は普及ペース鈍化か

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はRHB証券インドネシアのヘルミー・クリスタント(Helmy Kristanto)氏がレポートします。(※この記事は2016年10月5日にQUICK端末で配信した記事です。) タックス・アムネスティ制度で大幅な税収増 インドネシアのタックス・アムネスティ(租税特赦)制度は、大きな成果をあげて、第1ステージを終えた。この制度による税収増加額(penalty payment)は97兆2000億ルピアまで膨らみ、事前の予想を上回った。この結果は、制度利用者の拡大に向けた複数の魅力的な規制やシステムの推進など、政府の努力に負う部分が大きい。第1期の加算税収は政府が設定する全体目標(165兆ルピア)には届かなかったが、第1期終了に向け、利用者が飛躍的に伸びた。 タックス・アムネスティの第1期で申告された資産額は3621兆ルピア(2780億米ドル)で、国内資産が全体の70%を占めた。一方、国外からの還流資産は全体のわずか3.7%にとどまった。還流資産は主に、シンガポール、ケイマン諸島、香港、中国、英領バージン諸島で保有されていたものだ。   今後、制度の普及ペースは鈍化するだろう。インドネシアのタックス・アムネスティは段階的に税率が上がる仕組みになっていることに注目すると、ほとんどの利用者が最も税率の低い第1期に申告したと思われるためだ。同様に、インドネシア実業家協会も、主要な実業家の95%がタックス・アムネスティの第1期に資産を申告したと述べている。  このため、市場のタックス・アムネスティへの注目度は低下し、マクロ経済や企業業績に焦点が移りそうだ。我々の見解では、全体的な経済回復は依然として緩やかな過程をたどり、2016年第3四半期の企業の収益成長率はイスラム教の断食明け大祭(レバラン)が明けたことによる平常化を受け、前四半期比でやや軟化する見通しだ。 インドネシア経済は今後も順調に拡大か? 中長期的には、主にマクロ経済状況が好調に推移し、これにより企業収益の伸びが見込めることから、インドネシア市場に関して建設的な見方を維持する。インドネシア経済は今後も通貨ルピアの安定性やインフレ率の低さに支えられ、順調な成長傾向が続く見通しだ。こうした要件は、さらなる金融緩和も可能にするだろう。インドネシアの実質国民総生産(GDP)成長率は2017年に5.3%に拡大し、2016年の予想成長率(5.1%)をやや上回ると見込んでいる。 (出所:QUICK) ジョコ・ウィドド大統領は最近の閣議で、2017年の設備投資予算を100兆ルピア増額し、400兆ルピアに引き上げるよう指示した。タックス・アムネスティ制度の導入が奏功し、納税者のコンプライアンスレベルが向上。税収拡大が見込めることが、予算拡大の理由の一つとなっている。  【翻訳・編集:NNA】 本情報は、情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘することを目的としたものではありません。有価証券その他の取引等に関する最終決定は、お客様ご自身のご判断と責任で行って下さい。株式会社QUICK、翻訳・編集者であるNNAおよび情報提供元であるPT RHB 証券インドネシアのヘルミー・クリスタント氏は、本情報を利用して行った投資等により、お客様が被った、または、被る可能性のある直接的、間接的、付随的または特別な損害またはその他の損害について、一切責任を負いません。

インドネシア、流動性ショックに備える銀行業界

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はインドネシアの現地記者アディ・ビナルソ氏がレポートします。※この記事は2016年6月17日にQUICK端末で配信した記事です。 1000兆ルピア相当の資金流入観測…租税特赦法案成立で 銀行業界の課題である流動性管理に対し、インドネシアの銀行は現在、今後起こり得る流動性ショックに備え、第2線支払準備金(secondary reserve)を可能な限り積み増している。年初からインドネシア経済の成長が予想を下回る状況を想定し、こうした動きによって国内銀行は今年、増益を維持することができるかもしれない。 また、タックス・アムネスティ(租税特赦)法案の国会審議の長期化で国内の銀行幹部らは代替案が必要とみているようだ。インドネシア政府は、同法案が成立した場合、国内金融システムに1000兆ルピア相当の資金が流入し、結果的に市中へ流動性が供給されると見込んでいる。 インドネシア中央銀行の最新データによると、国内の商業銀行120行の中銀債(SBI)と国債の保有額は4月末時点で808兆ルピア(610億米ドル)となっており、前年同月の713兆ルピアから13%増加している。 資産規模で国内最大手のバンク・マンディリ(コード@BMRI/JK)のカルティカ・ウィルジョアトモジョ頭取は、「第2線支払準備金の増強を進める傾向は、まさに銀行の防衛措置だ。インドネシアの銀行は昨年、流動性がひっ迫した際の対応に苦戦した。このため、再び流動性ショックが発生すると予想される中、今回は十分な資本バッファーを確実に用意したいと考えている」と述べている 。   大口顧客への規制、銀行に影響波及 経済成長の回復の兆しが現れるのを待つインドネシア企業は、支出を今年中盤以降に遅らせているため、国内商業銀行120行の未実行貸出残高は現時点で総額1236兆ルピア(930億米ドル)に達している。エコノミストらはまた、政府による大規模インフラ整備事業への支出がまだ完全に実現していないことも、融資需要をさらに鈍化させていると指摘している。 カリティカ頭取は、銀行は十分な準備金を用意し、こうした企業が事業を始動した場合を計算に入れておく必要があるとの見方を示している。 ただ、地方自治体や年金基金といった大口顧客は、今年からインドネシア政府が導入した新規制(資産のうち一定額を国債で保有することを義務付ける)の対象になっているため、金融機関にとって預貯金を集めることが難しくなっている。個人顧客もまた、国債の利回りの高さに引かれているようだ。国債はリスクのない資産であり、所有者には所得税の減額制度も適用されている。 国債と銀行預金の逆ザヤ…銀行業界の懸念強く 資産規模で国内3位のバンク・セントラル・アジア(コード@BBCA/JK)のヤフヤ・セティアアドマジャ頭取は、「政府は銀行に対し、貸し出し金利を引き下げるよう迫る一方で、最新の個人向け国債の利率を7.5%に設定している。これに対して、銀行の預金金利は5.25%だ。どうやって競り合えというのか」と述べている。 当座預金、普通預金、定期預金などの第三者資金(残高)の4月の伸び率はわずか6%にとどまり、融資の伸び率(7%)を下回った。今年に入って、融資の伸び率は商業分野の運転資金向け融資需要の鈍化を受け、1桁台に落ち込んでいる。インドネシア政府は今年、税収不足により拡大する財政赤字を埋めるため、58兆ルピア相当の国債を追加発行する方針を示していることから、銀行と政府との資金調達競争が激化することはほぼ確実だ。 資金調達圧力がインドネシアの銀行の利益を侵食し、(商業)銀行全体の今年1~3月期の純利益は28兆9000億ルピアと、前年同期の29兆6000億ルピアから2.2%減少した。財務省のロバート・パクパハン資金調達・リスク管理局長は、こうした懸念を緩和しようと努めている。同局長は「政府が吸収している資金はすべて国内の資金だ。このため、政府が集めた資金を速やかにインフラ事業などに支出すれば、資金は(国内の)銀行システムに還流するはずだ。」と分析している。【翻訳・編集:NNA】

インドネシア不動産MMP、高成長期待で指標割高も許容 2案件の進捗順調

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はRHB証券インドネシアのリディア・スワンディ(Lydia Suwandi)氏がレポートします。※この記事は2016年6月15日にQUICK端末で配信した記事です。 MMPに2案件の新たな動き メガ・マヌンガル・プロパティー(MMP、コード@MMLP/JK)は6日、現在2社と純貸出可能面積(NLA)計9万8000平方メートル相当の施設のリース契約について協議を進めているとの最新情報を発表した。同社はまた、ジャワ島西部シビタンのAE地区(Block AE Cibitung)でNLA3万5000平方メートルのマルチテナント型倉庫の建設を進めていることも明らかにした。  これらの動きは、2017年度のMMPの新規賃貸収入分を12万平方メートル相当とした当社の予測に沿ったものだ。こうした材料から、MMPの投資判断を「買い」で維持し、目標株価を950ルピア(14日終値725ルピア)とする。 MMPは現在、2社と賃貸契約に向けて協議を進めている。1社は日用消費財(FMCG)企業、もう1社は食品物流を手掛ける企業で、両社とも冷蔵設備のある施設を必要としているという。これら2社に関するNLAは約9万8000平方メートルに達するとみられる。当社は、両社との契約が2017年7月以降に年852億ルピア相当の賃貸収入の確保につながると予測している。MMPは6月末までに賃貸契約を締結する見通しで、2社にリースする2施設の完成は2017年下半期を予定している。 MMP賃貸収入1140億ルピア見込む…入居率は85%で算出 MMPはまた、シビタンのAE地区でNLA計3万5000平方メートル(敷地面積は3.6ヘクタール)相当のマルチテナント型倉庫を建設している。同社は現在、新施設に関心を示す3社とリース契約について話し合いを進めている。MMPによると、AE地区の平均賃貸料を基に算出した同施設の推定リース料は1平方メートル当たり月額約7万ルピー。入居率を85%として計算した場合、新倉庫の賃貸収入は年約250億ルピアになる見通しだ。 これらの最新の開発状況を踏まえると、2017年度の同社の新規案件からの賃貸収入は1140億ルピア(ラザダ・グループに提供した倉庫の第一期分賃貸料330億ルピアを含む)に達する見込みだ。 今後の変動につながる可能性がある2要素 一方、MMPによると、同社はNLA6万1000平方メートル相当の物件に関して複数社から引き合いを受けており、今年第4四半期までに契約がまとまるとの見通しを示している。賃貸料を1平方メートル当たり月額7万7000ルピアと想定した場合、この契約により新たに年560億ルピアの賃貸収入を確保できる見込みだ。 インドネシア政府はスカルノ・ハッタ国際空港の旅客収容能力を拡充する方針を示していることから、MMPが同空港近郊に建設を予定しているビジネスパークと倉庫用の土地収用が制限される可能性がある。 MMPは向こう3年間の新規契約目標をNLA50万平方メートル相当に設定しており、当社はこれまでの契約獲得状況に満足感を覚えている。同社株の2016年度と2017年度の予想株価収益率(PE)それぞれ24.3倍、16.1倍、16年度と17年度の予想EV/EBITDA倍率はそれぞれ35.8倍、19.7倍となっている。割高であることは確かだが、成長の可能性や安定した営業キャッシュフロー、高い収益性といった根拠がある。 MMPが、適切な土地の収用と資金調達を含め、プロジェクトを計画通りに進めていることが主な上振れ要因となっている。 【翻訳・編集:NNA】

台湾の日月光とセキ品、ついに経営統合へ 競争関係は維持

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は台湾の現地記者、李臥龍(リー・ウォーロン)氏がレポートします。※この記事は2016年6月6日にQUICK端末で配信した記事です。 経営統合…対立構造から一転 半導体の後工程(パッケージング・テスト)で台湾の二大メーカーである日月光(ASE、コード@2311/TW)、セキ品精密工業(SPIL、コード@2325/TW)が5月26日、対立を打ち破って株式交換に関する覚書に調印した。両社が共同で新しく持ち株会社を設立し、台湾最大の半導体パッケージング・テストのメーカーとなる。  双方はこれまで9カ月にわたって対立してきたが、今回、ようやく握手をし、競争を協力に変え、ウイン・ウインの関係を構築することを決定した。   交換比率は新会社2:日月光1 双方は今のところまだ新しく設立する持ち株会社の名称を決定していないが、株式交換については合意に達している。新会社は日月光が主導権を持ち、その会長には日月光グループの張虔生会長が就任すると見られている。取締役には日月光から呉田玉営運長、董宏思財務長、セキ品から林文伯会長、蔡祺文総経理などが就任する見込みで、詳細は1カ月以内に確定する予定だ。  新会社は1株55台湾ドルの現金で、日月光が現在保有しているセキ品の株式33.28%、およびセキ品の他の株式を買い取る。  また、日月光は普通株1株を新会社の0.5株と交換する。これによって減資を進め、1株当たりの利益を向上させる。新会社の創設後、日月光、セキ品は同時に台湾とアメリカの株式市場での上場を廃止し、改めて新会社が台湾、アメリカで株式を上場する。  台湾の半導体業者によると、セキ品の林文伯会長は新会社に取締役として入ることに正当性をもたらすため、セキ品の株式を売却していったん退場した後、個人または投資会社の名義で再び新会社の株式を購入する予定だという。ただし、この情報については、セキ品からの確認は取れていない。  消息筋によると、日月光が今回のセキ品買収で使う資金の総額は1700億台湾ドル(約5600億円)に達するもようだ。これに関係する資金は、関連会社の株式の一部を売却するほかは、大部分を金融機関の協調融資に求めることになる。 競争関係は良好に…中国、米国の動向に注目 日月光の張虔生会長は、将来、新しい持ち株会社は日月光とセキ品の株式を100%保有するが、両社は平等な兄弟会社であり、今後は「兄弟登山、各自努力(兄弟の登山は、各自で努力する)」という良性の競争方式を採用し、共同で持ち株会社に最大の利益をもたらし、さらには半導体産業の競争ポテンシャルを高めることに努めるが、これは社会が日月光に期待していることでもある、と指摘した。  一方、日月光を敵から友に変えたセキ品の林文伯会長はこの決定について、主に張虔生会長が、セキ品のすべての経営チームと従業員を留任させ、既存の組織、賃金、福利厚生、人事規定を保留し、セキ品の独立経営を維持すると約束したことが、非常に重要な転換の契機になったと語っている。  日月光とセキ品が双方の対立という難関を突破したことは、台湾の半導体パッケージング・テスト産業の地位のさらなる向上に寄与する。両社は今後、台湾の公平交易委員会(公正取引委員会に相当)に経営統合の申請を提出することになるが、すでに敵対的買収から合意による合併に転じているため、台湾当局としてもこれを認める方向に傾くと予測されている。ただし、ハイエンドのパッケージング分野でシェアが85%に達することから、将来、アメリカと中国がこれを認めるかどうかは、今のところやはり不確定要素が大きい。しかし、中国の江蘇長電科技(コード@600584/SH)や米国のアムコア・テクノロジー(コード@AMKR/U)といった他のパッケージング・テストのメーカーに対しては、より大きなプレッシャーが形成されることになるだろう。

香港、中銀航空租賃が6月1日に上場へ アジア最大の航空機リース会社

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はマレーシアの現地記者、ニック・ゴー(Nick Goh)氏がレポートします。※この記事は2016年5月30日にQUICK端末で配信した記事です。 中銀航空租賃上場…42億香港ドル規模調達予定 足元で香港株が低迷する中、市場では航空機リース会社の中銀航空租賃(BOCアビエーション、コード@2588/HK)のIPO(新規株式公開)が賑わっている。  中銀航空租賃は中国の国有大手銀行である中国銀行(コード@3988/HK)からスピンオフして株式上場する。公開株式数2億800万株の半数が売り出しで、上場株式数全体のうちのわずか7.5%を香港で一般投資家向けに公開する。公募価格は42香港ドルで、売買単位は100株。市場からの資金吸収額は87億4500万香港ドル(1香港ドルは約14円)で、中国銀行の保有株式売却額等を除いた正味の調達資金額42億4600万香港ドルは、全額を航空機の購入に充てる計画だ。中銀航空租賃は中核的な投資家を11社引き入れたと伝わった。中核的な投資家には、中国の政府系ファンドである中国投資(CIC)やシルクロード基金、国開国際投資、中国人寿フランクリン資産管理、聯想控股(レジェンド・ホールディングス、コード@3396/HK)傘下の弘毅投資、オーマン投資基金、米ボーイングが含まれるという。これらの投資家による出資額は5億8300万米ドル(約45億5000万香港ドル)と、資金吸収額全体の52%を占める。中銀航空租賃は6月1日に上場する予定だ。 市場から集めた資金でリース用航空機を調達 中銀航空租賃の歴史は1993年までさかのぼる。この年、シンガポール航空と米国の航空機リース会社ボーリオン・アビエーション・サービスによってシンガポール・エアクラフト・リーシングとして設立された。2006年12月に中国銀行に買収され、同行の完全子会社となった。そして、今年5月、国際公募に向けて株式公開会社に組織変更した。  中銀航空租賃が保有する航空機は昨年12月末時で270機(うち227機が自社所有、43機が管理代行。30カ国の航空会社62社へリース済み)。アジアに本部を置く航空機リース会社としては最大規模、世界でも5番目の規模となる。同社が保有する航空機の平均機齢は3.3年と、航空機リース会社の中で最も低い企業に属する。また、航空機リース契約の平均残期間は7.4年で、業界内で最も長期の契約期間を有する会社のひとつだ。中銀航空租賃は航空機を大量に新規購入することで保有機の規模拡大に取り組み続けている。昨年度末時の発注残は241機(主にA320シリーズやボーイング737シリーズといった、人気が高い単通路機)となっている。2016~20年の期間で毎年平均40機を取得する計算になる。これらの今後取得する航空機のうち74機については既にリースが確定している。  中銀航空租賃は、融資、債券市場、米輸出入銀行や欧州輸出信用機関からの有担保融資といった幅広い資金調達ルートを活用することで、競争力のある資金調達コストを維持している。同社の15年の平均資金調達コストはわずか2%と、航空機リース会社としては最も低い企業に属していた。また、同社の支配株主である中国銀行から20億米ドルの無担保融資枠(期限は22年4月)を取り付けている。   22年間連続で黒字…リース需要も拡大か 業績面では、同社は過去22年間連続で収益が黒字となっている。会社設立から15年までの累積利益は約21億米ドルに達した。15年12月期通期の売上高は10億9000万米ドルで、前の期に比べ10.3%増だった。純利益は同11.4%増の3億4300万米ドル。株主資本利益率(ROE)は15.1%、総資産利益率は2.9%だった。  世界の航空業は長期的に成長を遂げている業界だ。中でも旅客需要は1990年以降、毎年平均5.1%の成長率で伸び続けている。航空機も世界的に長期間にわたり増加傾向にあり、24年までに3万機超に達する見通しだ。リース方式は航空機ファイナンスに置き換わる形式として、航空会社に航空機の所有権や運営面でより多くのメリットを提供する。このため、航空会社は今後、航空機ファイナンス方式よりもリース方式を多く利用するようになることが予測される。これにより航空機リース業の成長が続き、中銀航空租賃に引き続き恩恵をもたらす見込みだ。    

インドネシアのセメント業界、成長余地残すも目先は供給過剰か

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はインドネシアの現地記者アディ・ビナルソ氏がレポートします。※この記事は2016年5月17日にQUICK端末で配信した記事です。 セメント各社、大幅な需要増見込む一方で供給過剰懸念も インドネシアのセメント企業は、今年も生産能力を拡張する姿勢を維持している。ただ、海外からの新規参入によって短期的に供給過剰になり、地場企業の利益率が圧迫される可能性が浮上している。 セメント各社は、向こう3~5年間の大幅な需要増に対応する方針を固めている。インドネシアでは今後、インフラ整備が全力で進められ、国内のセメント需要が拡大する見込みだ。国内で2番目に大きいセメント企業であるインドセメント・トゥンガル・プラカルサ(コード@INTP/JK)は、昨年の純利益4兆2,000億ルピアのうち2兆7,000億ルピアを流通網の拡大と新工場の取得に充てる方針を打ち出した。競合の国営セメン・インドネシア(コード@SMGR/JK)もまた、中ジャワ州レンバンと西スマトラ州パダンにそれぞれ年産能力300万トンの工場を設置した。 セメント総生産能力は数年以内に年1億トンを上回る見通し 外国企業もインドネシアのセメント分野への投資に積極的なことから、セメント総生産能力は数年以内に年1億トンを上回る見通しだ。外国企業の投資案件としては、インドのウルトラテック・セメント(コード@532538/INI)が中ジャワ州ウォノギリで年産能力400万トンの工場建設を予定している。ほかに、東アジア各国で最大手のセメント企業、中国建材集団(CNBM、コード@3223/HK)も中ジャワ州グロボガンに年産能力2,300万トンの工場を建設している。 ファンドマネジャーや業界関係者は、経済が伸び悩んでいる影響で住宅部門のセメント需要がまだ増加傾向にないことをふまえ、生産能力の高まりが短期的に供給過剰に陥る可ことを危惧している。CIMBプリンシパル・アセットマネジメント(資産運用額6兆ルピア)のチョリス・バイドウィ(Cholis Baidowi)取締役兼最高投資責任者(CIO)は、「今年のセメント企業への投資判断はニュートラル(中立)だ。セメント需要は政府のインフラ関連事業に支えられているものの、小口の顧客(retail customer)や住宅部門への販売量が低迷したままであれば大幅に増えることはないだろう」と述べている。 インドセメント社長「セメント市場は現在供給過剰状態にあり、価格はさらに下落するだろう」 インドネシア・セメント協会(ASI)の最新の予想によると、今年の国内セメント販売量は前年比わずか5%増の6,300万トンにとどまる見通しだ。ただ、セメントメーカー側は長期的な視野で事業計画を立てている。インドネシアの国民1人当たりのセメント消費量は年間241キログラムと、東南アジア諸国連合(ASEAN)地域の平均である400キログラムを下回っている。このことは、インドネシアのセメント業界に大きな成長の余地があることを示している。 また、インドネシア政府は、遅れが生じている低所得者層向けの住宅100万戸の建設計画を年内に完了させるため、建設認可手続きの簡素化を進めている。さらに、インドネシアでは港湾や有料道路の建設計画のほか、ジョコ・ウィドド大統領が公約に掲げる2019年までに3万5,000メガワット相当の発電設備を導入する目標を実現するためにも、建材需要が高まるとみられている。インドセメントのクリスチャン・カルタウィジャヤ社長は、「セメント市場は現在供給過剰状態にあり、価格はさらに下落するだろう。しかし、これは自然な成り行きであり、将来的には供給と需要のバランスがとれるはずだ」と述べている。【翻訳・編集:NNA】

中国、景気対策の期待打ち砕く「権威」の一声 指導部内で「同床異夢」か

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は、香港の現地記者ジェスロ・オー氏がレポートします。※QUICK端末で5月20日に配信された記事となります。 著名投資家ソロス氏も警告…「中国の債務危機がぼっ発するリスクがある」 「中国の債務問題ぼっ発の危機」--。ここ数カ月間、こうした観測が中国経済について海外勢が弱気な見方を持ち続ける根拠となっている。中国経済は年初に基調がやや好転。銀行が金融緩和の度合いを強め、昨年に提示された中国政府の構造改革の目標が改められるのではないかとの見方が市場で広がっていた。しかし、中国共産党の機関紙「人民日報」が取材した「権威」は、中国経済が今後一定期間、L字型を呈すると発言。さらに、中央政府による大規模な景気刺激策への市場の期待を打ち砕き、まさに鶴の一声で結論を下した。 中国政府はかつて米国の金融危機のあと、4兆元(当時のレートで約57兆円)の景気刺激策を打ち出した。これにより充分に膨れ上がっていた中国本土の債務が更に膨張した。最近では、中央政府が所轄する「中央企業」で債務不履行が発生するまでになり、市場に警鐘が打ち鳴らされた。世界的な投資家ジョージ・ソロス氏は、中国の債務危機がぼっ発するリスクがあると警告。一方、雑誌「エコノミスト」はこのほど、「迫り来る債務の爆発」というタイトルの記事で中国本土の債務危機が最終的に金融危機として終わりを迎える可能性が極めて高いと指摘した。同誌は中国政府に、人民元の国際化を止めて危機対応に向けて「弾薬」を蓄えるよう呼びかけた。 深刻な債務問題に直面する中、「権威」は人民日報に対して、「金融緩和の増強で経済成長の加速を試みるという幻想を完全に捨て去らなければならない」と述べた。また、今後の経済のすう勢について、V字型でもU字型でもないL字型になるとした。このL字型の状況は1~2年間で終息せず、一定期間続くことになるという。 中国本土の経済や市場は引き続き調整? 中国の債務問題は日一日と深刻化しており、債務残高が国内総生産(GDP)の2倍超に達している。実際の問題は表面化している状況よりもずっと深刻だと疑う者も多い。また、ここ数年間、不良債権が銀行の収益の足かせとなっていることから、企業の厳しい経営状況がうかがえる。経済構造の調整に大胆に取り組む必要があり、経営が不振な一部の企業については倒産させることも辞さず、低収益の企業を無駄に延命させるための「以債養命(債務で命をつなぐ)」といった従来のやり方を改めなければならない。 「権威」の見解によると、中国本土の経済や株式市場、不動産市場は引き続き調整が続くことになる。しかし、債務危機がぼっ発して世界中の資本が中国投資に対する自信を失うよりはましだという。債務危機がぼっ発すれば、資金が流出し、株式市場や不動産市場が大幅に下落して必然的に金融市場に大きな動揺が広がり、中国や香港の経済の崩壊を招いてしまう。 当然のことながら、報じられた「権威」が誰であるかは謎のままだ。しかし、中国政府に近い情報筋の多くが、国家主席兼共産党総書記の習近平氏または中央財経領導小組弁公室(中国共産党の経済・財政政策諮問機関)の責任者ではないかとみている。中国は過去にも、毛沢東のような最高指導者が「権威」として人民日報で評論を発表した例がある。このため、今回の「権威」が習近平氏である可能性は非常に高い。そして、こうした理由から、「権威」の経済に関する評論や追加的な金融緩和を否定する言論は、今後一定期間における中国政府の経済政策の主調となる。 ”権威”と首相、経済問題に意見の食い違いも 一方、「権威」は中国の銀行による債務の株式化「デット・エクイティ・スワップ(DES)」についても言及。DESのようなやり方は根本的な解決につながる優れた方法ではなく、多用すべきでないと強調した。DESとは、企業が銀行に対して負っている債務について、その中でも特に質の悪い債務を企業の株式に転換して銀行に取得させることだ。これにより、企業の負債が軽減されるだけでなく、銀行の不良債権を減らすことができる。「権威」はDESに対して反対意見を示したが、こうした姿勢は李克強首相が以前にDESについて繰り返し述べた意見と異なる。このことから、中国の最高指導グループ内で経済問題の解決について明らかに意見の食い違いがあり、「同床異夢」の状況となっている可能性すらうかがえる。  

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