日経平均2万2000円回復 裏で動いた「先物買い戻し」

19日の東京株式市場で日経平均株価は節目の2万2000円を2週ぶりに回復した。上昇の一因は、一部の海外短期筋による株価指数先物への買い戻しとみられる。日経平均が1071円急落した6日以降に先物売りを膨らませた投資家の「平均売りコスト」を、足元の相場が明確に上回ったことが買い戻しを誘発したようだ。 19日は中国(上海・深セン)や香港などアジア主要市場が休場のうえ、米国も休み。結果、目立ったのが「欧州の短期筋からの日経平均先物への買い」(外資系証券トレーダー)だ。その買い手の過去の売買パターンを勘案すると、新規の買い注文ではなく買い戻しの可能性が高いという。 1月末からの相場調整トレンドに乗じる形で指数先物に持ち高を売り(ショート)に傾けていた投資家の懐具合は悪化している。日経平均が取引時間中に下げ幅を1603円(7.1%)まで広げた6日、日経平均先物3月物の売買高加重平均価格(VWAP)は2万1714円だった。日経平均先物は前週末16日にこの水準を上回った。 VWAPは先物売買の平均価格に相当し、売り方にとっては平均売りコストを意味する。売り持ち高を膨らませている場合、相場水準がVWAPを上回ると評価損が出て、損失覚悟の買い戻しを誘いやすい。 6日だけではない。7日のVWAPは2万1880円、8日は2万1818円だった。日経平均先物はこれらの水準を19日午前に明確に突破した。買い戻しの2段、3段ロケットが点火し、この日の相場はほぼ高値引けとなった。TOPIX先物にも同じことが当てはまりそうだ。 2月第1週(5~9日)の投資部門別売買動向によると海外投資家は日経平均先物とTOPIX先物の合計で約1兆円売り越した。大阪取引所が毎営業日公表している証券会社別の先物手口ではクレディ・スイス証券が連日まとまった額を売り越していた。 もっとも、買い戻しのペースは目先、鈍る公算が大きい。日経平均が急落する前の5日のVWAPは2万2871円、2日以前は2万3000円台と、平均の売りコストはかなり高い。売り方にまだ余裕があり、急いで買い戻す必要がないからだ。 「企業業績などからみて2万1000円台は明らかに割安だった」(野村証券の伊藤高志エクイティ・マーケット・ストラテジスト)ことも手伝って勢いがついた相場上昇。需給面からは、過去数日のような大幅高が続く可能性はやや低下している。 【日経QUICKニュース(NQN) 張間正義】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

進むドル安、日銀人事…… ドル円相場、105円台からどうなる? 

16日の東京外国為替市場で円相場は一時1ドル=105円台に上昇し、2016年11月以来、約1年3カ月ぶりの円高・ドル安水準となった。米国の財政赤字拡大への懸念や物価上昇率の高まりを受け、ドルの価値が目減りするとの思惑が広がり、ドルが円やユーロを含む主要通貨に対して下落したためだ。 政府は16日、衆参両院の議院運営委員会理事会に日銀の正副総裁の人事案を提示した。前日の海外市場で、円相場は事前報道が伝わった円安・ドル高方向に振れたが、一時的な値動きにとどまった。 円高・ドル安の背景や今後の円相場の見通し、日銀人事案の金融市場への影響などに関し、QUICK端末で16日に配信した市場関係者のコメントは以下の通り。 【2016年11月からの円・ドル相場の値動き】 ■「欧米投機筋のドル売りが加速」 諸我晃・あおぞら銀行市場商品部部長  16日の東京外国為替市場で円相場が急伸し、約1年3カ月ぶりに1ドル=105円台を付けた。今回の円高・ドル安の背景にあるのは、欧米投機筋が勢いに任せて積極化しているドル売りだ。日米の経済状況の格差などを見れば、円を買う材料は乏しいのだが、欧州中央銀行(ECB)の緩和縮小観測などを根拠にユーロ買い・ドル売りを膨らませる過程で対円でもドル売りを増やしているようだ。 今回の円高・ドル安も、ユーロが対ドルで3年2カ月ぶりの高値圏まで上昇したのをきっかけに拍車がかかった。市場では、昨年にかけて積み上がった円の売り持ち高の解消がまだ進んでいない。16日も1ドル=105円台にあったストップロス(損失覚悟)の円買い注文を巻き込んで円買いに弾みがついた。 相場の流れに逆らう「逆張り」で円を売ってきた日本の外国為替証拠金(FX)投資家も、含み損が膨らみ、これ以上はドルを買いづらいだろう。円の上昇に歯止めをかけられる要因が今のところ考えられない。円は心理的節目の1ドル=105円ちょうど近辺を目指し、攻防の末に104円台へ上抜ける可能性は十分にある。 ■「含み損抱えたミセスワタナベの買い戻しも」 柳沢浩・FXプライムbyGMOチーフアナリスト 外国為替市場で円高・ドル安に歯止めがかからないのは、日欧でも金融政策の「正常化」が進むとの思惑を強めた海外勢を中心に、2017年末から積み上げてきた円の売り持ち高を調整する動きを続けているからだ。国内で外為証拠金(FX)取引を手掛ける個人投資家「ミセス・ワタナベ」は、円が上昇ペースを速めた1ドル=109円台から、相場の流れに逆らう「逆張り」で果敢にドルを買っていた可能性が高い。現在の水準では含み損を抱えた状態だ。 ドル買いを増やしてきたミセスワタナベは今のところは買い持ち高を保っているが、心理的節目の1ドル=105円ちょうどを超えて円が上昇すると証拠金不足などで堪えきれなくなる人も出てくるだろう。その場合、円の買い戻しが増えると予想され、円は104円台前半まで一気に値を上げそうだ。 ■「投機的な円買いで104円台も視野」 尾河真樹・ソニーフィナンシャルHD金融市場調査部長 今週までは日欧の金融政策の正常化観測の高まりや米長期金利の急上昇などの材料で円は上昇を続けてきた。ただ1ドル=107円を超えてからの円相場は、買いが買いを呼んでいる状況だ。円の上昇余地を試そうとする仕掛け的な円買い・ドル売りは続き、来週までに104円台まで円高・ドル安が進む可能性が高い。 麻生太郎財務相が15日に円相場について「特別に介入が必要なほどの水準ではない」と述べた影響もある。麻生氏はその後、発言内容を打ち消したが、円高容認の印象は残り、円は上値を試しやすくなった。 日銀の正副総裁人事案の円相場への影響は限られる。長期的には金融政策の正常化の思惑がくすぶる可能性が高い。日銀は現行の緩和策を続けるというメッセージを出す必要があるだろう。 【日経QUICKニュース(NQN) 荒木望】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

日銀副総裁候補の若田部氏、「量」から「金利」へのシフトに批判も

政府は16日午前、日銀の黒田東彦総裁の再任に加え、早稲田大学の若田部昌澄教授と日銀の雨宮正佳理事を副総裁に充てる人事案を衆参両院にそれぞれ提示した。若田部氏は積極的な金融緩和を訴える「リフレ派」の経済学者で、安倍政権に近いとされる。一方、雨宮氏は現行の異次元緩和政策を策定してきた「日銀のエース中のエース」。緩和の副作用が強まる中、実質的な政策のかじ取りを担う正副総裁からなる新執行部が金融正常化への道筋を描けるかに注目が集まる。 日銀以外からの起用となる若田部氏はリフレ派の論客として知られる経済学者だ。安倍首相の経済政策上のブレーンである浜田宏一内閣官房参与との共著もあり、政権側とのつながりも深い。1965年生まれという若さながら副総裁候補に抜てきされた。 専門は経済学史だが、2002年に当時学習院大学教授だった岩田規久男副総裁が立ち上げ、原田泰審議委員も所属した「昭和恐慌研究会」に参加。1930年代のデフレ不況を研究した縁から、リフレ派の代表格の1人として存在感を高めた。 あるエコノミストは「大学の授業では遅刻は厳禁で、開始時間と同時にドアを閉め切ってしまう」とのエピソードで、若田部氏のきまじめで厳格な一面を紹介する。 「アベノミクスの最前席にいた日銀が後部座席に移ってしまった」。日銀が長短金利操作付き量的・質的金融緩和を導入し、政策の主軸を資金供給の「量」から「金利」に移した2016年9月の枠組み変更について、日経QUICKニュースの取材に対し、こう批判した。 最近では、昨年12月27日の日本経済新聞電子版のインタビューで「19年10月に控える消費増税の負の影響を吸収し、かつ物価が2%へ上がっていくほどの強力な緩和が必要だ」と主張した。 ある日銀幹部は「安倍政権はわずかでもデフレ脱却の芽があるならば、徹底的に緩和路線を突き進むはずだ」と警戒。若田部氏が政権側の意向をくんで緩和強化を唱える可能性は否定できない。 一方の雨宮氏は1979年に日銀に入行した。早くから才能を認められ、金融政策の立案を担う企画局長といった日銀の中枢部署の要職を経験。2001年の速水優総裁時代の量的緩和や白川方明総裁の包括緩和の導入など日銀の主要な金融政策の策定に関与してきた。 白川総裁時の12年にいったん企画担当の理事から大阪支店長に転じていたが、黒田総裁就任を受けて翌年に再び本店に呼び戻され、同担当の理事に復帰。黒田総裁下での異次元緩和も一貫して考案してきた。 金融政策の主軸を資金供給の「量」から「金利」に移した「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の導入時には「量」の重要性にこだわる岩田副総裁などの行内のリフレ派を説得した交渉力もある。 金融緩和の長期化で、市場機能の低下に加え、金融機関の収益悪化が一段と深刻化している。副総裁を経験した日本経済研究センターの岩田一政理事長は「中銀マンには金融政策を正常化したいという潜在的な思いが強い」と指摘する。16年1月にマイナス金利の導入まで提案した雨宮氏も異例の緩和に対する問題意識が強いのは間違いない。 黒田総裁が過度の緩和による副作用を懸念するなど、日銀内では水面下で異次元緩和の出口を模索する動きが始まっているようにもみえる。雨宮氏にとっては出口戦略をいかに描くかが最大の課題となるが、若田部氏などとの意見集約が困難になれば日本の金融政策が混迷する懸念も否めない。 【日経QUICKニュース(NQN) 後藤宏光】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

円が105円台接近、リスク選好でも上昇 日本政府の円高容認観測も

外国為替市場で円高・ドル安に再び拍車がかかった。15日の東京市場では一時1ドル=106円30銭近辺と2016年11月以来、約1年3カ月ぶりの高値を付けた。前日14日までとの大きな違いは、日米株高や変動性指数(VIX)低下で投資家のリスク選好意欲がだいぶ戻ってきたにもかかわらず、「低リスク通貨」の円に買いが進んだことだ。リスク選好の取引は主に対欧州通貨でのドル売りに集中し、対円のドル売りに波及しやすくなっている。   米株式相場は今週に戻り歩調を強め、14日まで4日続伸した。前週までの株安の引き金となったVIXは20を割り込み、投資家の不安心理が落ち着いたことを示すゾーンに入った。そこで為替市場の参加者はどう動いたか。円を売ってドルを買うよりも先に、「ドルを売って、ユーロや英ポンドだけでなく、ブラジルレアルや南アフリカ・ランドなど新興国の通貨を買う『リスク選好のドル売り』を増やした」(あおぞら銀行の諸我晃・市場商品部部長)という。   円はユーロや英ポンドに対してはドルとともに売られたものの、ドルを売ってユーロやポンドを買う勢いが勝った。もともと1月に3年1カ月ぶりの水準までドル安・ユーロ高が加速した局面で、円やスイスフランの対ドルでの上昇ペースはさほど速まらなかった。「そのためにドル安が波及する余地は相対的に大きくなっている」(あおぞら銀の諸我氏)とみられている。 米商品先物取引委員会(CFTC)が毎週まとめているシカゴ通貨先物市場の建玉報告によると、投機筋をあらわす「非商業部門」の円の売越幅は6日時点で11万枚超と大台を保っていた。今週に入ってにわかに強まった円高・ドル安に耐えきれなくなった円安派は少なくなかったと考えられる。海外で日銀による金融緩和政策の縮小観測が根強いこともあって、市場では「投機的な円の売り持ち高の解消は続く可能性が高い」(HSBC証券の城田修司マクロ経済戦略部長)との声が多い。 季節的な需給面でも円高・ドル安の余地がある。きょう15日は米国債の償還・利払い日に当たる。「(国内金融機関や生命保険会社などの機関投資家は)決算期末の3月に向けて利益や損失を確定させなければならず、円買いに傾きやすい」(大和証券の今泉光雄チーフ為替ストラテジスト)。足元の円高ペースについて行けず、円を買い遅れていた国内輸出企業からは3~6カ月程度の先物で円を買いたいとの注文が増えているようだ。 麻生太郎財務相は15日午前、現在の為替相場について「特別に介入が必要なほどの水準ではない」と述べた。海外投機筋の間では「日本政府は水準面でもスピードの点でも円高を容認している」との受け止めが広がっている。円の先高観は簡単には収まりそうにない。 【日経QUICKニュース(NQN ) 尾崎  也弥】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

ビットコイン、相次ぐ不祥事にくすぶる下値不安 換金売りに警戒解けず

インターネット上の仮想通貨ビットコインの下値不安がくすぶっている。欧米株安に一服感があり、前週のようなリスク回避の売りは見られなくなったため、相場は直近安値からはだいぶ戻した。半面、交換業者を巡るトラブルなどを嫌気してか、新たに流入してくるマネーの規模は細っている。既存の投資家がいつ換金売りに傾いてもおかしくないとの懸念は解けないままだ。 ビットコインの対米ドル相場は日本時間6日に約3カ月ぶりに1ビットコイン=6000ドルを下回った後、9000ドル前後まで持ち直したが、ここにきて動きが鈍くなってきた。14日9時30分時点では8600ドル台で推移している。買い手は下落時に売り持ちを増やしたディーラーの反対取引が中心で、商いは特に膨らんでいない。 情報サイトのコインマーケットキャップによると、14日6時前の時点で直近24時間の仮想通貨全体の売買高は173億ドル程度と、最も活況だった1月5日の700億ドル程度の4分の1になった。前週は何度か300億ドル台を回復したが、キープできなかった。 日本の仮想通貨交換業者コインチェックにおける仮想通貨NEM(ネム)の巨額流出事件に続き、イタリアの同業ビットグレイルでも通貨Nano(ナノ)の盗難が発覚。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによれば流出額はドル換算で1億7000万ドルに達した。ビットグレイルはツイッターで「顧客への全額返還はできない」と早々にさじを投げ、市場心理を冷やした。あまりにも早い白旗宣言に対し「ほんとうに盗まれたのか」と疑問の声が上がったほどだ。 コインチェックは13日、顧客が日本円でプールしているお金の出金を再開したものの、仮想通貨建て資産は留め置いたままだ。「前週にかけての相場急落を見ているだけに、いざ出金再開となれば換金売りが広がるのではないか」(国内証券のセールスディーラー)との警戒感が強まっている。ネム流出問題が起きた当初「出金を速やかに再開できれば市場全体のダメージは少ない」(ロンドンに拠点を置くヘッジファンド、ゼニファス・キャピタルの鈴木涼介氏)と楽観していた大口投資家の視線も厳しくなった。 仮想通貨のデリバティブ(発生商品)取引のプラットフォームを提供するレッジャーXではビットコインのプット(売る権利)オプションに高値が付きやすくなっている。今月12日は3月30日を期日とする権利行使価格1万ドルのプットが1ビットコイン当たり2520ドルで成立した。コール(買う権利)は前日13日に成立した行使価格1万5000ドルのオプションが1ビットコイン当たり1800ドル程度だったが、期日は12月28日とだいぶ先の話だ。 昨年12月21日に初めて取引が成立し、話題となった行使価格5万ドルのコールオプションは今月13日、1ビットコイン当たり276ドルのコストで取引された。コストは昨年12月時点の3600ドル前後の1割にも満たない。「ビットコインは18年も上昇するかもしれないが、5万ドルは当たればもうけものの世界」――。昨年末に先高一辺倒だった相場観が、わずか2カ月でいかに劇的に変わったかを象徴している。 【日経QUICKニュース(NQN) 編集委員 今 晶】 ※NQNが配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

円急伸 根雪の売り持ち解消進む 黒田総裁「再任」で前提崩壊?

14日の東京外国為替市場で円相場は急伸し、一時は1ドル=106円84銭近辺と米大統領選直後の2016年11月14日以来、1年3カ月ぶりの高値を付けた。前日13日の米株価が上昇したにもかかわらず14日の日経平均株価が一時大きく下げ、「きょうは動かない」とたかをくくっていた為替関係者の驚きを誘った。海外投機筋を中心にリスク回避の円買いが改めて進んだ。 「日銀の黒田東彦総裁が再任されると前週末に伝わり、海外勢の間に緩和縮小の思惑が再び強まった」。FXプライムbyGMOの高野保統チーフ・ストラテジストは日本株安・円高に歯止めがかからない理由について、そう解説する。 黒田氏は昨年秋以降、過度の金利低下が金融仲介機能の低下を通じて緩和効果を反転させる可能性に触れたり、物価上昇の兆候があると述べたりした。さらに日銀は1月9日、唐突に超長期債の買い入れ額を減らした。高野氏は「海外勢にとって、黒田体制は緩和策からの『出口』を目指し続けていると映っているのではないか」と深読みしていた。 欧米やアジアには、日本の積極緩和策の長期化を前提に根雪のように積みあがった円の売り持ちがある。ただでさえ相場が荒れてリスクをとれなくなっているところに日銀緩和の前提が崩れれば、持ち高整理の機運は高まらざるをえない。 米商品先物取引委員会(CFTC)が毎週まとめているシカゴ先物市場の建玉報告によると、投機筋をあらわす「非商業部門」の円の売越額は円高進行時にもあまり縮まらず、6日時点でも11万2876枚と10万枚の大台を超えていた。市場では「新たにユーロや英ポンドを対ドルで買い、対ユーロや対ポンドで円売りの『合成ポジション』を作るなどしてどうにか円の売り持ちをキープしようとしている」(外国証券東京拠点の為替ディーラー)との指摘が多い。反動のエネルギーは相当たまっていると受け取れる。 円が昨年9月に付けた17年通年の高値である1ドル=107円32銭を上回ったことで、チャート分析上は16年11月高値の101円19銭近辺まで節目らしい節目がなくなった。あえていえば区切りのよい105円ちょうど前後になる。円の上値余地の大きさが意識される状況だ。 【日経QUICKニュース(NQN) 編集委員 今 晶】 ※NQNが配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

楽天(4755)の株価、三木谷社長「実力が反映されていない」 昨年来高値から3割安

楽天(4755)の三木谷浩史会長兼社長は13日午後、2017年12月期決算に関する説明会で、同社株の動向について「我々の実力が反映されていない」と述べた。株価は昨年6月につけた昨年来高値から3割超下落している。 三木谷氏は「まだ電子商取引(EC)を含めてエコシステム(経済圏)を拡大する時期」と説明。19年中のサービス開始を目指す携帯電話事業について、外部企業との提携や人材採用、資金調達などサービス開始に向けた準備が進んでいるといい、「準備万全だ」と述べた。「(クレジットカードの)『楽天カード』と並ぶ形で重要な戦略となっていく」とも語り、積極的に投資する考えを示した。 朝日火災海上保険(東京・千代田)の買収で参入する損害保険事業については「総合的な保険サービスの提供が可能になる」と説明。「旅行など様々な形で相乗効果がある」と述べ、「楽天トラベル」など既存事業と連携する利点があるとの考えを示した。 楽天が13日発表した2017年12月期の連結決算(国際会計基準)は、純利益が前の期の2.9倍の1105億円だった。クレジットカードなどの金融部門が伸びた。投資先である海外の「ライドシェア(相乗り)」サービスの好調に伴い計上した評価益も寄与した。 売上高にあたる売上収益は21%増の9444億円。グローバルの流通総額は12兆9000億円と21%増えた。「楽天市場」を含む電子商取引(EC)事業の流通総額は1割超伸びた。クレジットカード「楽天カード」の会員数が増え、カードのショッピング取扱額は2割強伸びた。 営業利益は90%増の1493億円だった。クレジットカードを主力とする金融部門のセグメント利益は1割増加。一方、EC事業は減益だった。販促費ががさみ、爽快ドラッグなどの買収効果で補えなかった。 【日経QUICKニュース(NQN) 神能淳志】 ※NQNが配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

「VIXショック」を予見? 日本株、2月急落前に外国人売り「2兆円」

米長期金利の上昇をきっかけとした世界的な株式市場の動揺に歯止めがかからない。日経平均株価は1月23日に付けた約26年ぶりの高値である2万4124円から3週間足らずで11%もの急落に見舞われた。 振り返ると日経平均が上値追いを続けていた1月、海外投資家は週間で1兆円を超える規模の売りを2度にわたり日本株に浴びせていた。海外勢は2月の急落を予見していた可能性がある。 東京証券取引所などが発表した投資部門別売買動向によると、海外投資家は1月第5週(1月29日~2月2日)に日本株(現物と先物の合計)を約1兆2000億円売り越した。過去10年で6番目の大きさだ。海外勢の売り越しは1月第2週(9~12日)も1兆円を突破。株価水準の高さを考慮しても1カ月で2回の「1兆円売り」は珍しい。今年の売り越し累計は約2兆5200億円に膨らんだ。 ■VIXの水準切り上げと連動か 兆しがなかったわけではない。いまや株安の震源として世界に名前がとどろく米株式相場の変動性指数(VIX)。10割れの低水準が恒常化していたVIXは1月中旬からじわりと水準を切り上げていた。1月の海外勢の売りは、このVIXの動きと連動したものだった可能性がある。 前回、海外投資家から1カ月で2度の1兆円超の売り越しが出たのは2015年8月。中国人民銀行(中央銀行)が人民元の切り下げに踏み切った「人民元ショック」で、世界的な株安に見舞われた。日経平均は15年8月の2万1000円近辺から9月には1万6900円台まで急落した。 ■日銀ETFと個人投資家の信用買いが下支え 今回不思議なのは、海外勢が売ったにもかかわらず1月の日経平均が26年ぶりの高値圏に踏みとどまり続けたことだ。「日銀による上場投資信託(ETF)の買いと、個人投資家の信用買いが下支えしたため」(国内証券の情報担当者)との解説が多い。 東証によると、今年に入り個人の信用取引での新規の買いは累計約4200億円。日経平均が2万2000円を上回った17年11月以降では累計約1兆1300億円にのぼる。「逆張り」中心の個人が、上値を買い進む「順張り」に戦略を変えたことが、海外勢の売りを吸収して相場下落を食い止めた構図が見て取れる。 こうした国内勢の買い持ち高が、過去2週間の相場下落で一気に含み損に転じたことは想像に難くない。2年5カ月ぶりの水準に積み上がった信用残の一部は、追加証拠金(追い証)の発生で反対売買を迫られた公算が大きい。国内勢の撤退売りで、相場は支えを失うことになりかねない。 足元では相場変動を売買の手掛かりとして重視するCTA(商品投資顧問)や「リスク・パリティー」ファンドが「2000億ドル(約22兆円)の世界の株式を売却している過程にある」(米バンクオブアメリカ・メリルリンチ)との試算がある。「後始末」による株売りは今後1カ月にわたるとの見方もある。 直近の下落幅と衝撃度を踏まえると、日経平均が急落前の水準を回復するには一定の時間がかかりそうだ。野村証券の試算では17年10月以降の「トレンド追随型」のCTAによる日経平均先物の平均買いコストは2万2350円近辺。この水準では戻り売り圧力が強まるとみられる。 ■200日移動平均下回れば、株安加速も 中長期の株価のトレンドを示す200日移動平均は2万1003円(9日時点)。「これを下回れば、さらなる株安を警戒する必要がある」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘氏)。上昇基調が崩れれば、個人の信用買いがさらに反対売買を迫られる可能性もある。 【日経QUICKニュース(NQN) 張間正義】 ※NQNが配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

米エヌビディア、決算「満額回答」 荒れる相場に光明? AI普及加速

荒れる米株式相場の一筋の光明になるのだろうか。画像処理半導体(GPU)大手の米エヌビディアが8日に発表した2017年11月~18年1月期決算と2~4月期の業績見通しは市場予想を大幅に上回る「満額回答」だった。企業によるAI(人工知能)採用が加速しGPU需要が拡大。「本業」のゲーム向けも好調を維持した。 次世代GPUの採用進む 「ありがたいことに名だたる大企業が『ボルタ』を採用している」。ジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)は決算説明会で中国のアリババ集団や百度(バイドゥ)、米フェイスブックやマイクロソフト、グーグルの名を挙げた。クラウドを介したAIサービスで次世代GPUボルタを採用する企業が相次ぎ、データセンター事業の成長率が一段と高まった。 AI採用はクラウドを提供する企業にとどまらない。エヌビディアは17年11月~18年1月期にゼネラル・エレクトリック(GE)のヘルスケア部門とAI導入を加速させると発表。コマツとも建設現場でのAI導入で協業すると発表した。自然言語や画像認識だけでなく、医療機器の画像処理速度の向上や建設現場の可視化といった分野にもAIの利用が広がっている。 「本業」のゲーム部門も好調を維持 今やAIや自動運転で名をはせるが、「本業」であるゲーム事業も市場予想を上回る成長が続いている。年末商戦期に人気ゲームの「バトルグラウンド」や「コール・オブ・デューティー」、「スター・ウォーズ」などの最新作が相次いで導入され、高性能GPUへの需要が拡大した。ゲーム対戦競技「eスポーツ」の広がりも後押しした。 販売目標の上方修正が続く任天堂のゲーム機「ニンテンドースイッチ」向けを含むプロセッサー「テグラ」の成長もゲーム事業の成長を速めている。前年同期比の伸びは75%と前期の74%からやや加速した。「ゲームの需要は世界に広がっている」。ファンCEOの自信を裏付けるように、ゲーム事業の売上高は市場予想を1割強上回る好調ぶりだった。 売上高、利益ともに過去最高に 7四半期連続で前年同期の倍以上の成長を実現したデータセンター事業と、主力のゲーム事業がけん引役となり17年11月~18年1月期決算では売上高、純利益ともに市場予想を大幅に上回る増収増益。ともに過去最高を更新した。税制改革に伴う一時的な利益が0.21ドル押し上げた影響を除いても、1株利益は市場予想を大きく上回った。 決算説明会では最高値から急落したビットコインなど仮想通貨に関する質問が相次いだ。仮想通貨はネット上の「電子台帳」に取引記録を書き込んでおり、台帳の新しいページをつくるには計算を繰り返す必要がある。並列処理の優れたGPUがマイナーと呼ぶ通貨採掘の専門業者向けに伸びたのが足元の業績を押し上げた部分はあるが、会社側は「先行きの需要を計測するのは困難だ」として仮想通貨向け需要に依存しない姿勢を改めて示した。 好調な業績、荒れる相場に一石投じるか 先行きの収益への自信も鮮明になった。18年2~4月期の売上高見通しは下限でも前年同期比47%の大幅な増加を見込む。17年11月~18年1月期に61.9%と過去最高になった売上高総利益率も一段と改善すると予想する。ゲーム用の高性能GPUやクラウド向けGPUといった採算の良い製品群の売上高比率が高まり収益力が増す見通しだ。 世界の主力企業と協業を進める自動運転向け半導体の収益貢献が本格化するのは「20~22年の間」(ファンCEO)と市場の期待ほど収益化は早くはなさそうだ。だが、市場予想を下回る自動車事業の売上高に失望するような反応は目立たなかった。自動運転の収益化まではゲームとAIの二本柱で稼ぐ――。エヌビディアの好調な業績は相場急落で冷え込む投資家心理をどれだけ支えられるだろうか。 【NQNニューヨーク=滝口朋史】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

ユーロ、米金利上昇で売り加速 投機筋が持ち高整理、先高観は崩れず

外国為替市場で、対ドルや対円のユーロ売りが広がっている。7日の海外市場でユーロ相場は一時、対ドルで約2週間ぶりの安値、対円では約1カ月ぶりの安値までそれぞれ売られた。米金利の上昇やドイツ政治の不透明感を材料に、積み上がったユーロ買いの持ち高を解消する動きが加速した。 8日の東京外為市場では、対ドルのユーロ相場は前日17時時点の水準と比べて0.01ドル程度安い1ユーロ=1.22ドル台後半、対円では同70~80銭程度円高・ユーロ安の1ユーロ=134円台前半~半ばを中心に推移している。ユーロの一段安を予想する声が多い。 【7日以降の対円のユーロ相場】 ユーロ売りが加速した一因は米金利の上昇だ。7日の米債券市場では、需給が緩むとの懸念から債券売りが出て、長期金利の指標となる米10年物国債の利回りは一時、前日比0.06%高の2.86%まで上昇した。米欧の金利差が拡大するとの見方からユーロ買い・ドル売りの持ち高を巻き戻す動きが強まった。 そこへドイツの大連立政権樹立後の人事を巡る不透明感が重なり、ユーロ売りに拍車がかかった。独第2党のドイツ社会民主党(SPD)とメルケル首相率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)は7日、大連立政権の樹立で合意したが、新政権の財務相に誰が就くかが見えないなど、人事を巡る不透明感から外為市場はユーロ売りで反応した。 そもそも、対ドルのユーロ売りは出やすい地合いになっていた。米商品先物取引委員会(CFTC)が2日発表した1月30日時点の建玉報告によると、投機筋を表す非商業部門のユーロの買い越し幅は14万8742枚と、1999年のユーロ導入以降での最高水準まで膨らんでいた。対ドルのユーロ相場は目先、1.21ドル台まで一段の下落余地が残るとの予想も出ている。 だが欧州のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)悪化を映す材料があるわけではない。欧州の経済回復は順調で、欧州中央銀行(ECB)の金融政策も正常化に向かっている状況に変わりはない。難航していた大連立協議が合意し「『親欧州』を掲げるSPDが財務相、外相という主要閣僚ポストを得たのは、中長期的にはユーロの支援材料」(三菱東京UFJ銀行の井上雅文アナリスト)との見方は根強い。 そのため、足元のユーロ安進行は「上昇基調における一時的な調整」との解釈が多い。先行きは「3月末か4月ごろに1.25ドルを回復」(クレディ・アグリコル銀行の斎藤裕司外国為替部長)、「年内に1.30ドルを試す可能性も」(三菱東京UFJ銀の井上氏)などとユーロ高を見込む声が優勢だ。 【日経QUICKニュース(NQN) 蔭山道子】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

どうなるVIX急騰の後始末 世界の株売り圧力「22兆円」の試算も

株式市場で投資家心理が悪化すると上昇しやすい「恐怖指数」の高止まりが、さらなる世界の株売りを促しかねないとの警戒感が広がっている。米国株の予想変動率を示し、恐怖指数と呼ばれる米VIXは高水準のまま。この指数の変動を投資判断の材料にする投資家からの潜在的な売り圧力の規模は、22兆円に達するとの試算も出ている。 7日までに日米の株価急落にはひとまず歯止めがかかった。だが「株売りが本格化するのはこれから」と、機関投資家の運用戦略に詳しいある大手証券の株式担当者は身構える。7日のVIXは前日比7.34ポイント低下の29.98だったが、一時は50まで上昇した。米ダウ工業株30種平均の7日の日中値幅(高値と安値の差)は1100ドルを超え、相場の乱高下は続いている。VIXはS&P500種株価指数のオプション価格を元に算出するが、グローバルの投資家が市場心理を推し量る指標として重視している。VIXの上昇は日欧などのグローバル株の調整につながる。 相場の変動率を投資判断に活用する代表的な投資家はヘッジファンドの1つであるCTA(商品投資顧問)で、そのほか保有資産全体のリスクを予想変動率で測って資産を運用する「リスクパリティ(均衡)戦略」をとる投資家もいる。VIXの上昇は予想変動率が拡大を意味するため、彼らは株式投資のリスクが高まったと判断し、売りを出す。米バンクオブアメリカ・メリルリンチ(バンカメ)は6日付リポートで「CTAとリスクパリティ戦略(の投資家)は2000億ドル(22兆円)の世界株を売却している過程にある」と試算した。 こうした潜在的な売り圧力は10兆円とみるのは、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の古川真チーフ・ポートフォリオストラテジストだ。同氏は「彼らは資産の組み入れ比率の調整を2週間から1カ月ごとに実施することが多い」と指摘する。バンカメも「大幅な配分変更には数日かかる」とみる。いずれも、変動率が大きくなった後、一定の時間をおいて株売りが膨らむとの見立てだ。 国際通貨基金(IMF)が変動率を重視して運用するこうした投資家の17年6月時点の運用残高をまとめたところ、CTAは24兆円、リスクパリティ戦略の投資家は最大19兆円、さらに変額年金は48兆円という。運用資産は株式だけではないものの合わせると100兆円に迫る規模という。17年末まで相場変動率は低位で安定していたため「残高はさらに増えた」との見方もある。それが年明け以降、VIXが急上昇したため、一転して売り圧力として警戒されている。 VIXの急上昇は現物株市場の外にも波紋を広げている。野村ホールディングス(8604)の欧州グループ会社と金融大手クレディ・スイスは6日、運用するVIXと逆の値動きをするETN(上場投資証券)をそれぞれ早期償還すると発表した。これらの商品はVIXが1%上がれば、1%下がるという仕組みだ。VIXが5日にわずか1日で2倍以上に急騰したため、一夜にして価値がほぼゼロになった。 米国株の急落とVIXの急上昇が残した爪痕として、今後1~2週の間にどこから関連した金融商品を通じた株売りが出てくるか。投資家は戦々恐々としている。彼らのリスク許容度の回復は簡単には進まなさそうだ。 【日経QUICKニュース(NQN ) 田中俊行、張間正義】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。 ◆関連記事はこちら◆ VIXショックは去ったか 日米株乱高下 市場参加者はこう見る 上場投資証券「VIXベア」(2049)、1日で価値9割消失 米株の急落受け

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