企業の業績予想、上方・下方修正の「常連さん」は? データでクセをチェック

国内上場企業の2017年7~9月期の決算発表が終わり、企業業績が全体として一段と改善している現状が明らかになった。日本経済新聞社によると、18年3月期の純利益は前期比17%増えて過去最高を更新する見通し。電機や機械を中心に通期業績の上方修正も相次いだ。この業績予想修正、データで詳しく見ていくと、企業によってクセや特徴がある。  企業で異なる業績修正の傾向 一般的に日本の企業はもともと慎重な業績予想を出す傾向が強いと言われる。後で下方修正に追い込まれて悪い印象を市場に与えるリスクを避けたいためだ。そのため見通しがはっきりしてきた中間決算の発表時や下期になってから、業績予想を引き上げる展開は少なくない。QUICKのKnowledge特設サイトでチェックできる「業績修正アノマリ」によると、415(11月17日時点)の企業が直近5期連続で期初時点の純利益予想を後から引き上げている「連続上方修正銘柄」として名を連ねている。 ※期初予想からのかい離率上位の銘柄 一方で経営者の威勢がよく意欲的な数字を期初からいつも掲げていたり、事業をとりまく環境の悪化が年々加速していたりする場合には下方修正の常連企業になってしまうこともある。業績修正アノマリでは123(同)の企業が「連続下方修正銘柄」との位置づけだ。このように企業や業態によって業績修正にクセのあるケースは少なくない。 ※期初予想からのかい離率上位の銘柄  新たな収益の柱で上方修正の常連に 業績の上振れ具合の変遷から、企業の新たな特徴が発見できることもある。純利益の連続上方修正銘柄に含まれる東映(9605)。13日に18年3月期の純利益予想を前期比22%減の85億円(従来予想は76億円)に引き上げた。 コンテンツ産業はヒット作の有無で業績が大きく左右されるため、同社はかなり保守的な業績予想で知られる。17年3月期までの過去3期を振り返ると期初時点ではすべて2ケタの最終減益を見込んでいたのに対し、上方修正を繰り返して結果はすべて増益。直近2期に至っては2ケタ増益での着地だ。 注目すべきは期初時点の予想からの上振れ幅だ。15年3月期は18億円だが、16年3月期は30億円、17年3月期は45億円と年々大きくなっている。邦画の勢いの盛り返しもさることながら、近年はスマートフォン(スマホ)向けゲームが無視できない存在に育っている。「ワンピース」など同社グループが版権を持つコンテンツのゲーム化が版権収入につながっており、今回の上方修正もスマホゲーム「ドラゴンボールZ ドッカンバトル」の好調が大きく寄与した。既存のキャラクターを新たな商品に着せ替えて収益の柱を太くした好例と言えそうだ。  世界景気の拡大映すコマツ コマツ(6301)の業績修正からはまた違った側面が見えてくる。建機国内最大手の同社は4~9月期の決算発表と同時に18年3月期の連結営業利益予想を前期比24%増の2160億円へと、従来予想を600億円引き上げた。一転増益となる。市場予想の平均であるQUICKコンセンサス(11社17日時点)は2300億円と、一段の上振れを見込んでいる。 通期の営業利益見通しを1000億円近く引き下げて株価が急落した2013年10月の「コマツ・ショック」からはや4年。当時は東南アジアや中南米で鉱山機械の需要が急減速したのが大規模な下方修正につながった。足元では北米やインドネシアで鉱山機械の販売が伸びているほか、インフラ工事の進む中国で建設機械の需要が拡大している。 コマツは資源開発や建設に使われる製品特性から、世界景気に業績が大きく左右されやすい傾向がある。今回の上方修正は世界経済の上向きを鮮明に反映していると言えそうだ。経済協力開発機構(OECD)は17年の経済成長率について、調査対象の45カ国が10年ぶりにすべてプラス成長になると予想する。コマツにとっても引き続き強い追い風に働きそうで、会社側は18年3月期は展開するすべてのエリアで主力の建設機械の販売が前年を上回ると予測。10年ぶりの高値圏で推移する株価の裏付けとなっている。 【QUICKコンテンツ編集グループ・内山佑輔】 ※「業績修正アノマリ」はQUICKの情報端末でご覧いただけます。データはCSVダウンロードも可能です。

決算の進捗率を一目で確認 傾向踏まえ業績修正余地探る

 企業の7~9月期決算の発表が相次いでいる。売上高や利益の前年比成長率もさることながら、決算を評価するうえでのもう一つのポイントが、企業の計画に対する足元の進み具合をあらわす進捗率だ。  QUICKでは四半期ごとの売上高の進捗率が一目でわかる「進捗率ダッシュボード」を提供している。単純に考えれば四半期ごとに25%程度ずつ売上高が進捗する計算になるが、実際は企業や業態によって上期に売上高が大きく増える傾向にあったり、下期に偏る傾向があったりとさまざま。進捗率ダッシュボードではそうしたトレンドを「先行」や「期末追い込み型」など7つのタイプに分類したうえで進捗率を示すことにより、それそれの企業の実態を踏まえた評価、分析が可能となっている。  24日の取引時間終了後に2017年1~9月期決算を発表したキヤノン(7751)をみてみよう。連結売上高は前年同期比21%増の2兆9597億円で、会社の2017年12月期計画(4兆800億円)に対する進捗率は72.54%となる。単純計算なら第3四半期(3Q)を終えての進捗率としては若干物足りない印象も受けるが、キヤノンは「少し出遅れ傾向」のタイプに属する。  1~9月期時点での業績進捗率は、実際のところ過去平均を上回る水準であり過去6期では最高だ。キヤノンの売上高の四半期ごとの偏りを踏まえれば、物足りないどころかむしろ上振れ余地を示しているようにも見える。翌25日のキヤノンの株価は通期業績予想の上方修正などほかの材料も好感して上昇した。  進捗率ダッシュボードでは営業利益や純利益の進捗率も確認できる。過去の傾向と照らし合わせて分析に役立てることで、より的確な企業評価につなげられるだろう。

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