金融庁が「つみップ」女子部を開催 率直で実践的な質問が続々

バレンタインデー明けとなる2月15日の夜、金融庁の会議室に30人近くの女性が集った。金融庁が主催する積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)の意見交換会「つみたてNISA Meetup」(通称:つみップ)の14回目。昨年11月に続く2回目の「女子部」は、文字通り女性だけを対象に参加者を募って開催した。 ■金融庁の制度説明、iDeCoとの違いにも言及 ゲストには、おなじみの経済評論家の山崎元氏やファイナンシャルプランナー(FP)の岩城みずほ氏らに、男性ベテラン投信ブロガーの「NightWalker」さん、「虫とり小僧」さん、「吊られた男」さんの3名が加わった。さらに女子部に花を添える形で、ブログやツイッターで自身の資産運用について積極的な情報発信し、つみたてNISAを既に始めるなど投資経験豊富な「おぱる」さん、「スバル」さん、公務員の「yoko」さんの女性3名が特別ゲストに招かれ、豪華な顔ぶれが揃った。 参加者約30人のうち、6人の投資未経験者を含む半数ほどが投資歴3年未満で、経験歴の分け隔てなく「つみたてNISA」への関心が高いことがうかがえる。 金融庁担当者からは、つみたてNISAを制度化した背景や投資信託の仕組みに加え、同じく税制優遇が受けられる個人型確定拠出年金(iDeCo=イデコ)との税制上の違いも説明に盛り込まれたのが今回の特色だった。 ■制度乱立の不便さや償還の不安などリアルな声飛ぶ 質疑・応答の時間では、障害を持つ娘にはつみたてNISAとiDeCoのどちらを勧めたらよいか、子供にはジュニアNISA(子供名義)とつみたてNISA(親名義)のいずれを選択すべきかといった女性目線での質問が目立った。 年間非課税枠がどうして12で割り切れない40万円なのかといった制度に関する素朴な疑問も出た。NISA(一般NISA、ジュニアNISA、つみたてNISA)をすべて一本化してもらった方が便利などの実直な要望もあり、金融庁担当者が熱心に耳を傾ける姿が印象的だった。 つみたてNISA対象ファンドの繰り上げ償還の可能性に関する質問に対して、投信ブロガーからは「繰り上げ償還をそれほど不安視せずにまずは始めることの方が重要」とのアドバイスもあり、そのうえで別の投信ブロガーからは投信制度そのもので「繰り上げ償還されると換金益に課税されるなど、何かと投資家に不利益になるのは改善して欲しい」と金融庁への要望が出る場面もあった。 今回開催されたつみップ女子部の感想を聞くと、ゲストの女性投資家からは「率直で実践的な質問」が多かったとの声が上がっていた。「ジュニアNISA口座で金融機関の変更ができないのは不便」という金融庁への要望もその一つだ。投信ブロガーからは「最近の波乱相場に関連した質問がなかったのは意外」との感想がもれた。   ■懇親会ではゲストを囲む華の輪 木曜日の夜にも関わらず、懇親会には約20人が参加し、ゲストや金融庁職員を囲みながら談笑する華の輪ができた。 ゲストのアドバイスがとても参考になったとの声もあった。「インデックスファンドの低コスト化が進んでいるが、乗り換えた方が良いのか」との質問に対し、山崎氏からは乗り換え時に換金税がかかる場合は「期待リターン×税率」が目安になるとの説明があった。例えば、外国株ファンドの期待リターンをおよそ年率5%とし、税率が約20%なので、信託報酬の差が両者を掛け合わせた1%以上だと乗り換え、1%未満だとそのまま保持、という基準だ。 投資信託の仕組みのイロハを「金融当局」が丁寧に解説していたのは「凄い」とゲストの女性投資家は感心していた。「投信の資産は信託銀行において、ファンドの保有者ごとにきちっと分別管理・保全されている」ので安全という説明が金融庁からあった。 ■50代女性「コツコツ投資もいいかな」 上場企業に勤める50代の独身女性は「職場の周りは自分と同年代の男性ばかり。私もそうだが、みんな定年後の生活に不安をもっているはずなのに、資産運用について話をするような雰囲気は全くない。今回参加して、ブロガーの皆さんと知り合えてよかった。つみたてNISAの非課税期間が20年といっても、定年が近い自分には無関係と思っていたが、今日の話を聞いて少し考えが変わった。一般NISAをつみたてNISAに切り替えてコツコツ投資してもいいかなと考えている」と話していた。 30代の会社員はNISAを少し前に始めたが、「職場の同僚から最近『つみたてNISAのことを教えて』とよく聞かれても、うまく答えられないので今回参加してみた。ヒントをつかめたような気がする」という。働く女性の間では、つみたてNISAの関心度合いがじわり高まってきているのかもしれない。 ゲストの岩城氏は「質疑のレベルが高かった半面、今回参加した投資未経験者が『つみたてNISAをどのように活用し始めたらよいか』を考えるのにどのくらい役立ったか少し不安。昨年11月の女子部では、つみたてNISAを始めるにあたり、その前に必要となる資産形成の金額や適切な運用場所などを5つのステップに分けて考える手順を紹介した。金融庁のつみップのサイトに説明資料が残っているので、投資未経験者の参考になれば」と話していた。 ■「20年という投資なんて・・・」、女性の歌声響く 懇親会の締めの挨拶は山崎氏。「つみたてNISAは失敗しにくい制度なので、『始める』『続ける』そしてそのよさを『教える』を是非実践して欲しい」と述べた後、恒例になりつつある合唱の音頭取りに移った。 今回ひねり出した曲は「20年」と「女性」にひっかけて、1997年に大ヒットした歌姫・安室奈美恵の「CAN YOU CELEBRATE?」。歌詞のサビを「20年という投資なんて知らなかったよね」に置き換えて歌うというシャレタ計らいだった。 ■再び地方へ、つみたてNISAキャラクターも誕生 3月のつみップは地方へ繰り出す。昨年12月のQUICK資産運用研究所の調査では、首都圏に比べ地方の方がつみたてNISAの認知度はやや低い傾向にある。東京でのつみップの熱気がどこまで伝播するか注目だ。 そして、金融庁はつみたてNISAのマスコットキャラクターを募集することを発表した。2月中には募集を開始する予定のようだ。   ◯「個人の資産形成に関する意識調査」の概要はこちら <金融庁> つみたてNISA Meetup (QUICK資産運用研究所 高瀬浩、小松めぐみ)

「グローバル・ロボティクス株式(1年)」と組み合わせに適した投信は? 「相関係数」活用術

いま保有している投資信託と組み合わせて別の投信を購入したいが、どんなファンドを選べばいいか分からない――。そんなときに参考になるのが「相関係数」だ。 主に先進国の株式に投資するタイプの投信で「グローバル・ロボティクス株式ファンド(1年決算型)」(02311158)を選んだ。この「先進国株式型」投信との組み合わせに適したファンドを探す。 まず検証するのは、比較的近い値動きをするバランス型の「投資のソムリエ」(4731312A)との相性。様々な資産に投資する「バランス型」だ。「先進国株式型」と「バランス型」の相関係数は0.93と高い。 5対5の割合で投資した「合成」のリターン(分配金再投資ベース、週次1年・年率)は11.49%。「グローバル・ロボティクス株式(1年)」だけに投資した場合の21.81%と「投資のソムリエ」だけに投資した1.17%の中間となる。 価格変動を示すリスク(標準偏差、週次1年・年率)は「グローバル・ロボティクス株式(1年)」だけに投資した場合が16.02%で、「投資のソムリエ」は3.04%。2ファンドの平均を単純に計算すると9.53%になる。実際にこの組み合わせで同額ずつ投資した「合成」のリスクは9.12%で、平均値より0.41ポイント低くなる(図1参照)。この差がリスク低減の効果だ。 <QUICKの情報端末「Qr1」を使って簡単に比較> 次に国内株式型の「三井住友・げんきシニアライフ・オープン」(79311005)との組み合わせを見てみる。「先進国株式型」と「国内株式型」の相関係数は0.60と、バランス型との組み合わせより低い。 「合成」のリターンは28.34%で、「グローバル・ロボティクス株式(1年)」と「げんきシニアライフ」の中間の値になった。「合成」のリスクは13.90%で、2ファンドの平均(14.80%)を0.90ポイント程度下回る(図2参照)。 リスク低減効果は相関係数が小さい「先進国株式型」と「国内株式型」の組み合わせの方が大きくなった。 このようにリターンはどちらの組み合わせでも2つのファンドを足して半分にした数値を維持する一方、リスクの低減幅は相関が低い組み合わせの方が大きくなった。複数のファンドに投資して分散効果を上げるには、相関が低く値動きの傾向が異なるファンドの組み合わせが有効と言える。 (QUICK資産運用研究所 望月瑞希)

三菱UFJ国際投信「基準価額」、QUICKが速報 公開APIから情報取得

QUICKは、三菱UFJ国際投信が運用する国内公募投資信託の「基準価額」の速報を始めた。三菱UFJ国際投信が外部システムと接続しやすくする技術仕様「API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)」を使って公開している投信情報を取得することによって、QUICKサービスでの更新時刻を繰り上げる。通常は21~22時前後だが、Qr1など端末サービスに搭載しているQUICK資産運用研究所の特設サイトでは18時ごろに確認できるようした。 三菱UFJ国際投信は情報発信を強化し、顧客の利便性向上を図るため、2017年9月27日から投信情報のAPI公開を始めた。同11月30日には公開対象を同社が運用する国内公募投信すべてに拡大。外部からアクセスすることが容易になったことで、QUICKによる速報が実現した。 <三菱UFJ国際投信「投信情報API」>   同社FinTech推進室長の水野善公氏は「我が社だけでは十分ではないと考えている。他社に先行して、できる限りの情報をオープンにし、QUICKの協力によって競争優位となれば、他社が追随する形で結果として業界全体でのイノベーションに繋がるものと信じている」と語る。今後もAPIによる情報提供を拡大していく方針で、投信がより身近な金融商品として顧客に利用してもらえるように、さらに敏速な情報開示を目指すという。 <QUICK資産運用研究所の特設サイト> (QUICK資産運用研究所)

QUICKファンドスコアで投信比較! ひふみプラスが8、フィデリティ日本成長株は9

長期投資にふさわしいかどうかの視点から個別の投資信託をランク付けした「QUICKファンドスコア」。QUICK資産運用研究所が算出し、日本経済新聞電子版などで公開している。国内の株式で運用する投信のうち、純資産総額(残高)が大きい投信のスコアを比べてみた。 ■5つの項目から分析、「顧客本位」の評価 QUICKファンドスコアは、各投信を①運用成績の安定度②リスクの適正さ③リターンに見合ったコスト④下げ相場での抵抗力⑤分配金の健全度――の5項目によってそれぞれ分析し、10段階で点数化した「総合スコア」を算出。点数が高いほど、分類が同じ投信の中で相対的に長期保有に向いていることを示す「顧客本位」の投信評価だ。 国内株式型で残高上位の投信のスコア(2017年12月末時点)を見ると、1~10まで評価がばらついている(図表1)。過去3年、5年のリターン(分配金再投資ベース)は全てプラス。いずれも好成績を収めているにも関わらずスコアがバラバラなのは、QUICKファンドスコアが残高の大きさや運用成績だけにとらわれず、長期投資に向いているかどうかを評価軸にしている特徴の表れだ。 全体的に比較してみると、評価が低かったのは毎月分配型。通貨選択型やカバードコール型などの複雑な運用手法を用いるファンドのスコアが1~3と低かった。一方、高評価の投信には分配金を支払わずに運用を続け、高いリターンを上げている積極運用のアクティブ型や、指数に連動した成果を目指すインデックス型が目立った。 ■「ひふみプラス」が8、「フィデリティ日本成長株ファンド」は9 具体的に個別のスコアを見てみると(図表2)、残高トップの「ひふみプラス」(9C311125)の総合スコアは8。過去3年、5年のリターンは群を抜いて高かったが、運用期間がまだ5年半と比較的短いこともあってスコアはあまり伸びなかった。QUICKファンドスコアは運用実績が長くなるほど評価が高くなる仕組みになっているからだ。 「ひふみプラス」の総合スコアの元になる5項目の点数を詳しく見ると、「リスク」と「下値抵抗力」の点数が低いことがわかる。これは同じリスク階級に属する投信の中で値動きの振れ幅が相対的に大きかったことや、基準価額の一時的な落ち込みが同じ分類の投信の中で大きめだったことを示している。 残高2位の「フィデリティ・日本成長株・ファンド」(32311984)の総合スコアは9と高い。ただ、項目ごとに見ると「コスト」の点数は低かった。この項目は投資家が支払う信託報酬と購入時手数料の合計が割高だと点数が低くなる。 同ファンドの購入時手数料上限は3.24%で、同じ投信分類の平均値である1.965%(QUICK資産運用研究所調べ)を上回った。年率の実質信託報酬も1.6524%で、平均値の1.118%より高かった。ファンドマネジャーの裁量で組み入れ銘柄を積極的に入れ替えるアクティブ型で、調査費用などのコストがかかる分だけインデックス型よりも信託報酬が高くなりやすい。 一方、「日本株アルファ・カルテット(毎月分配型)」(22314144)はスコアが最も低い1だった。評価項目はどれも低かった。元本を取り崩して分配金を支払ってきたため「分配金健全度」が低く、商品設計が複雑なゆえにリスクやコストが相対的に高かったことなどが評価を押し下げた。 このように投信を運用成績だけでなく、視点を変えた評価項目で比べてみるとそれぞれの特徴をとらえやすくなる。これから長期の資産形成を目指すなら、QUICKファンドスコアを参考にして長期投資に向く投信を慎重に選びたい。 (QUICK資産運用研究所 望月瑞希) QUICKファンドスコアについて詳しくはこちら →  QUICKファンドスコア 個別投信のQUICKファンドスコアの確認はこちら→  日経電子版「投資信託」

金融庁が初心者向け「つみップ」  先輩ブロガーに直球質問

1月19日の夜、東京・霞が関にある金融庁の会議室には金融庁担当者やゲストの声に熱心に耳を傾ける30人近くの姿があった。今年1月から始まった積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)について語り合う、金融庁主催の意見交換会「つみたてNISA Meetup」(通称:つみップ)も13回目を数え、今回は主に投資経験が3年未満の初心者を対象にした「つみップ Rookies」が初めて開催された。 講師に経済評論家の山崎元氏らを招き、人気投信ブロガーの「虫とり小僧」さん、「はちどう」さん、「吊られた男」さん、「個人凍死家テリー」さんの4人が特別ゲストとして加わった。金融庁の「長期投資のベテランとしてルーキーズの質問に答えて欲しい」という要望に応え、長期投資を実践し、米リーマン・ショックをはじめとする数々の市場の変調をくぐり抜けてきた強者(つわもの)がそろった。 ■スマホで「資産運用シミュレーション」実体験 金融庁担当者はつみたてNISAの制度概要に加え、「投資とは」といった根源的内容を説明。「米国で金融資産が大きく拡大したのは非課税制度が起爆剤になった」「(投資を通じて)未来の幸せで明るい自分に会う準備をしてはどうか」「適度なリスクをとるのが必要だが、投資信託を通じ世界の金融市場全体を少額で買うのが可能」などと解説した。山崎氏は「一部の金融機関という『狼』には気をつけて」と注意を促した。 説明会は終始和やかな雰囲気に包まれ、参加者が自身のスマートフォンを使って金融庁ホームページの「資産運用シミュレーション」を一緒に体験する時間も設けられた。例として、想定利回り(年率)が3%の投資信託を毎月3万円ずつ購入すると20年後には投資元本の720万円が約985万円に増え、運用収益が約265万円(元本に対し約37%のリターン)となることを実体験した。 ■ルーキーズから次々と質問 質疑応答の場では、やや緊張しているためか控え目ながらも、ルーキーズから長期投資に関連した質問が次々と出された。 「妻にも『つみたてNISA』を勧めているが、『知識がない』『損しそうで怖い』として全く耳を貸そうとしてくれない。投信ブロガーの皆さんのご家族はどんな感じか」「新しい商品が出てきて目移りしそうだが、乗り換えた方がいいのか」「20年投資するつもりで、例えば18年目に大きく儲かっていてもそのまま続けた方がいいのか」などだ。 虫とり小僧さんは「ルーキーズの皆さんからの質問は自分のブログ経由で同じように受けたことが何度もあり、投資初心者に共通する疑問や悩みのように感じた」と述べ、「ネット経由ではなく、直接受け答えができたのは新鮮で、少しでも参考になれば嬉しい。『損してもあまり考えこまずにひたすらコツコツ投資を続けることが何より肝心』なことを伝えたかった」と話していた。 つみップにほぼ毎回参加し、ツイッターで臨場感あふれる実況中継が恒例となっている若手投信ブロガーの「安房」さんは、今回はルーキーズに同伴する形で参加。「投信ブロガーにとっても、初心者の率直な疑問に答えることは考え方を整理する機会にもなり、今後の活動に大きなプラスになったのではないか」と語っていた。 ■金融庁、「職域NISA」の広がりに期待 「つみたてNISAは若者にはいい制度と思うが、大学を卒業したばかりの初任給でやりくりするのは苦しい。金融庁は制度をどのように広めていこうとしているのか」と質問の矢は金融庁にも向かった。 金融庁を代表し、油布志行参事官は「長期・積み立て・分散投資のつみたてNISAは投資のスタンダードだと考えている。ただ、制度普及には小さな成功体験の積み上げが欠かせない。必ず儲かる魔法の杖でもないので、投資家が成功しやすいように、手数料負けしないような投資信託に対象を絞り込んだ」などと強調した。 金融庁は、働く若者がつみたてNISAを始めやすいよう、職場積立NISA(職域NISA)の広がりに期待をかけている。金融庁幹部や職員、家族が率先してつみたてNISAを始めており、今後は中央官庁をはじめ東京都の職員や教職員に広がる可能性もあるようだ。 ■「家に帰ったらつみたてNISA」「投信ブロガーに会えて最高」 初心者は識者や先輩投資家と交流する場が限られるだけに、つみップを通して投資に対する理解が深まったようだ。 今春から社会人になる学生は「銀行で勧められるがままに投信を買った。今日は投資全般について聞きたいと参加した。近くで投資している人がいないのでこういう場はいいですね。家に帰ったらネット証券でつみたてNISAをしようと思う」と意気込んでいた。 今回で8回目の参加となる女性は「毎回テーマが変わるので飽きずに面白い」と語った。「投信ブロガーって本当に実在していたんですね」「投資を始める時に参考にした『生』ブロガーと会えて最高」「金融庁に入るのに緊張したが、意外に敷居が低くホッとした」といった率直な感想も聞かれた。 「介護の仕事をしていて、日々少子高齢化の厳しさを感じる。年金への不安もあるので自分でどうにかしなきゃいけないと思った」「預金の金利が低すぎる、そうかと言って給料がすぐに上がる訳でもないから少しずつでも殖やす努力をしたい」など、働く世代のリアルな声も印象的だった。 つみたてNISAの誤解が解けたとの声もあった。大学4年の女子学生は「一般NISAと併用不可なのを一般NISA口座の解約が必要と勘違いしていた。そうではないと分かったので、長期に寝かせるつもりで、地元に帰省した時に地方銀行でつみたてNISA口座を開設するつもり」と話した。 一方、「多少投資に関心がある人には今回の意見交換会はとても役立つと思うが、職場で投資の話をしようものなら白い目でみられる。『投資が怖い』と思っている人たちが始めるには相当ハードルが高い。制度が広く社会に受け入れられるにはテレビでコマーシャルをバンバン打つなどが必要なのでは」という指摘もあった。 ■金融庁の一室でまさかの歌声 意見交換会の後に設けられた懇親会は金融庁職員を含む30人以上が参加した。懇親会の締めを任された山崎氏は、いつもの辛口がさく裂すると思いきや、音頭をとったのは伴奏ならぬ自身の口笛に合わせての合唱。曲は「スキヤキ・ソング」として世界的に知られている坂本九の「上を向いて歩こう」だった。 金融庁で歌声というまさかの懇親会お開きとなったが、あたかも「歌詞の最後のように『ひとりぼっちの夜』を感じている投資家はつみップに来て、長期投資の輪に加わると一人ではない」と呼びかけているかのようだった。 山崎氏は「一括投資に比べて有利でも不利でもなく、気休めに過ぎない投資手法」とドルコスト平均法(積み立て投資)に対してはどちらかと言えば否定的立場をとるが、「つみたてNISAはいい」と評価。「若者の多くには一括投資が有効なほどのまとまった資金がなく、毎月の少額投資が現実的」「つみたてNISAは、金融庁が対象商品をノーロード・低コスト商品に絞り込んだことで、失敗しにくくて成功体験を作りやすい投資教育の優れた教材になった」「習うより慣れろで、大いにやってみて欲しい」と語った。 会場にはテレビ局の取材が入り、ますます盛り上がるつみップ。次回の2月15日は人気企画の「女子部」だ。 <QUICK Money World関連記事> 「つみたてNISA」本番直前、金融庁に個人投資家が集結 年内最後の「つみップ」  <金融庁> つみたてNISA Meetup 資産運用シミュレーション <日経電子版> ・虫とり小僧さん バランス型で満足(投信ブロガー) ・吊られた男さん 理詰めのパッシブ(投信ブロガー) (QUICK資産運用研究所 高瀬浩、小松めぐみ)

個人が選ぶ投信の共通点は? FOY2017ベスト20を一覧比較

 個人投資家が年に1回、自分たちにとって本当に良いと思える投資信託を投票で選ぶ「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year」(FOY)。13日に表彰式が開かれたFOY2017で11回を数え、いまや投信業界の恒例イベントになっている。  では、投票に参加した投信ブロガーが高く評価するのは、どのような投信か――。FOY2017のベスト20投信(20位が2本で計21本)をコストや運用成績などを加えた一覧にして比較した。 【ベスト20の特徴】 ◯ノーロード(販売手数料なし)は共通条件(ETFを除く)。実質信託報酬も平均的な投信よりも低い。1位の「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」は販売手数料なし。実質信託報酬は0.2396%と、同じ分類(QUICK分類「グローバル株式(先進・新興複合)-為替リスクあり」)の平均(1.591%)を大きく下回る。 ◯設定後年数(ETFを除く)は平均4.24年で、設定から日が浅い投信が目立つ。2018年1月に始まった積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)をにらんで新規設定された投信が複数選ばれたことが影響した。ETFを除くと、つみたてNISAの対象商品。 ◯決算は年1回が共通条件(ETFを除く)。決算を迎えていない投信を除くと、直近1年に分配金がなかったのも共通点。 ◯設定から日が浅い投信は比較が難しいが、2位の「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」、6位の「ひふみ投信」などは1年リターンが同じ分類の平均を上回る。 ◯先進国株式、グローバル株式(先進・新興複合)を投資対象とする投信が上位に並び、国内株型では直販投信が上位にランクイン。 ◯1位の「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」、3位の「楽天・全米株式インデックス・ファンド」は、それぞれ主な投資対象が9位の「Vanguard Total World Stock ETF(VT)」、16位の「Vanguard Total Stock Market ETF(VTI)」。海外ETFを、税手続きや積み立ての手間がかからない投信として購入できるようにしたことが評価された。 <FOY2017公式サイト> 投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year2017 (QUICK資産運用研究所)

静かな熱気、懇親会には金融庁職員も 投信ブロガーが選ぶ!FOY2017表彰式

1月13日に都内で開いた「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2017」(FOY2017)の表彰式会場は熱気に包まれていた。163人の個人投資家(有料入場者)が詰めかけ、会場はほぼ満席。この日のために大阪や北海道から駆け付けた参加者もいた。 ボランティアによる運営で始まったFOYも今回で11回目。個人投資家が自分たちにとって本当に良いと思える投資信託を投票で選び、それを広めることで「自分たちの手でよりよい投資環境を作っていこう!」という趣旨で毎年開催されている。 前回FOY2016の表彰式では、金融庁の森信親長官からメッセージが寄せられ、消費者目線での良質な投信を選んで育てていこうとする取り組みに最大級の賛辞が送られたことは記憶に新しい。もはや単なる個人投資家の人気投票と侮れない。運用会社の将来の浮沈を左右しかねない、消費者代表としての影響力を秘めている。 ■熱い声の数々、会場は静かな熱気に 投信ブロガーの投票理由が「海外株(先進国)型」など主な投資先分類ごとに「熱い声」として司会者から紹介された。参加者の眼差しは正面のスクリーンにくぎ付けとなり、会場内は静かな熱気に包まれた。熱い声の一部は、ファンドごとに公式サイトにも紹介されている。 司会者からは「月次レポートなどへのマザーファンドの規模の明示」や「同じファンドの販売会社名もNISA、iDeCoなどで詳細区分してはどうか」という有益な提案もあった。 「熱い声」は寄せ書きにして上位5ファンドの代表に手渡された。初めて上位入選した野村アセットマネジメントをはじめ、運用会社は投信ブロガーの声援にどう応えていくか。消費者の関心は移ろいやすい面がある。運用各社の今後の取り組みに注目が集まる。 折しもインデックス運用の巨人バンガードが形を変えて日本に上陸した。楽天投信投資顧問が運用する1位の「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」(9I311179)と3位の「楽天・全米株式インデックス・ファンド」(9I312179)は、主に米運用大手バンガードのETFに投資する。国内の運用大手から独立系まで、今後どのように迎え撃つのか目が離せない。 ■山崎氏「つみたてNISAの影響が色濃く」 「積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)が始まったことによる低コスト化競争が色濃く影響した結果になった。今後一段と低コスト化するうえでは、組み入れる世界の株式の株券を現物保管するカストディアン(管理銀行)をグループ内に持つ運用会社が有利になる可能性が高い。連動指数の使用料が低コスト化のネックになるおそれもある」。 経済評論家の山崎元氏は上位入賞結果をこう評し、「この表彰式は素晴らしいが、低コストに焦点を絞った商品性だけではなく、運用内容も含めて総合評価されるよう成熟化していって欲しい」と期待を寄せた。 ■懇親会で熱のこもった議論、金融庁職員も参加 「本家」表彰式が静かな熱き声に満ち溢れていたのは打って変わり、場所を居酒屋に移して開かれた懇親会は熱のこもった議論が充満した。 懇親会には本家の運営委員と上位入賞ファンドの運用会社代表に加え、金融庁職員も数名参加し、官民の交流の場ともなった。 懇親会の実行委員長を務めた投信ブロガーの「個人凍死家テリー」さんは「70人の当初参加枠があっと言う間に埋まったのには驚いた。こうして個人投資家が集まり、輪が広がっていくのは楽しいし、イベントを主催するやりがいがある」と話していた。 投信ブロガーの「takachan」さんは「自分も首位となった楽天・全世界株式インデックス・ファンドに1点投じたが、中小型株を含む世界の株式市場に低コストのファンド1本で投資できる利便性と、海外ETFのVT(バンガード・トータル・ワールド・ストック)に直接投資した場合にはできない配当金の自動再投資が実現可能となったのが魅力的だ」と話した。 ■「投信ブロガーはコストに敏感」「投票締め切りが延びたなら違った結果も」 FOY2017運営委員の「m@」さんは「新たなファンドが上位入選しているのは、投信ブロガーが情報感度が高く、コストに敏感なことを反映し、特に今年の上位はブロガーの間での米国株ばやりの流れを受けているのではないか」と分析していた。 「信託報酬の引き下げは歓迎するが、自分が保有している既存のファンドではなく、(似たようなファンドを)新たに設定する形で低コストにするのは正直どうかと思う。それより販売会社の同意を取り付けたうえで、既存ファンドで信託報酬の引き下げを実行する運用会社を積極的に評価したい」と話す投信ブロガーもいた。 「11月末に投票が締め切られたが、それ以降に続々と低コストファンドが登場している。投票締め切りが少し延びたら、また違った結果になったのでは」との声も聞かれた。 ■終わりなき熱い議論、2次会・3次会へ 懇親会終了後、自発的に参加者30名以上が居残り2次会が開かれた。金融庁のつみたてNISA推進担当者も交え、消費者本位の良質な投信を巡り、熱心に語り合う姿がそこにあった。その後、相当な人数が3次会にも流れ込んだようだ。 FOY2017は、日本の資産運用業界が本当の意味で顧客本位に変わる静かなムーブメントが起こりつつあるのを感じさせるイベントだ。5年後、10年後に振り返ってみると、消費者本位への地殻変動の動きはここで始まったと思い起こさせることを予感させる会であった。 <FOY2017公式サイト> 投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year2017 (QUICK資産運用研究所 高瀬浩、小松めぐみ)

投信ブロガーが選んだのは? 1位はRV全世界株・Fund of the Year 2017

1月13日、昼下がり。都内のイベントホールで「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2017」(FOY2017)が発表された。発表会を兼ねた表彰式は、160人を超える個人投資家(有料入場者)が参加し、会場はほぼ満席となった。 「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year」は、個人投資家が自分たちにとって本当に良いと思える投資信託を投票で選び、それを広めることで「自分たちの手でよりよい投資環境を作っていこう!」という趣旨で毎年開催しているイベントだ。投信ブロガーや著名ファイナンシャルプランナーらがボランティアで企画・運営を続け、今回で11回目を迎えた。 投票は17年11月末に締め切られた。17年9月末までにブログを開始している”投信ブロガー”が投票権を持つ。投信ブロガーは1人5ポイントを保有し、アクティブ(積極運用)型、インデックス(指数連動)型を問わず、1~5本のファンドを選んで自由に投票する。今回は過去最多となるおよそ200名もの投信ブロガーが投票に参加した。 1位に輝いたのは、楽天投信投資顧問が運用する「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」(9I311179)で、獲得ポイント数は95だった。17年9月末に設定されたばかりのニューフェイスが2位に16ポイントの差をつけて首位となった。1本で日本を含む全世界の株式に投資できることなどを理由に幅広い支持を集めた。授賞式で登壇した楽天投信投資顧問の東眞之代表取締役社長は1位獲得を「感無量」とコメントした。  ニッセイアセットマネジメントの「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」(2931113C)が79ポイントで2位となった。4連覇を逃したが、4年連続でトップ3入りを果たした。代表者は「<購入・換金手数料なし>シリーズのファンドは純資産総額が拡大するにつれ、受益者とそのメリットを分かち合えるよう、信託報酬を下げて行くコンセプトに変わりはない」と明言した。 楽天投信投資顧問は「楽天・全米株式インデックス・ファンド」(9I312179)も70ポイントで3位に入った。 野村アセットマネジメントが運用する「野村つみたて外国株投信」(0131317A)は4位にランクイン。国内最大手運用会社の野村アセットマネジメントは上位入賞が今回が初めてとなった。代表者は今回の賞を「”粋な賞”と受け止め、まだまだ上がいる、継続こそ力なり」と運用の質は下げすに上を目指す気概を見せた。 5位は三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」(03312175)が入った。2017年にインターネット専用で販売を開始したスリムシリーズの人気商品だ。代表者は「正月休み明けとかけて、つみたてNISAと解く、その心は常にスリムを目指します」と、「Slim」へのなぞかけで会場を沸かせた。 上位10本のうち、6本が17年に新規設定されたファンドだった。実行委員長の投信ブロガーrennyさんは総評で、初めて入選した運用会社に「今年限りの一発屋にならないで欲しい」と熱いエールを送った。 <FOY2017公式サイト> 投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year2017 <参考> 当日の様子は投信ブロガーや関係者がツイッター(ハッシュタグ:#foy2017)で発信 (QUICK資産運用研究所 小松めぐみ、高瀬浩)

「ひふみプラス」との組み合わせに適した投信は? 「相関係数」活用術

いま保有している投資信託と組み合わせて別の投信を購入したいが、どんなファンドを選べばいいか分からない――。そんなときに参考になるのが「相関係数」だ。 主に国内の株式に投資するタイプの投信で「ひふみプラス」(9C311125)を選んだ。この「国内株式型」投信との組み合わせに適したファンドを探す。 まず検証するのは、値動きの異なる「野村インド債券ファンド(年2回決算型)」(0131316C)との相性だ。インドの債券に投資する「新興国債券型」は、国内株式型との相関係数(日次1年)は0.44と低い。 5対5の割合で投資した「合成」のリターン(分配金再投資ベース、週次1年・年率)は23.34%。「ひふみプラス」だけに投資した場合の37.96%と「野村インド債券(年2)」だけに投資した8.72%の中間だった。 価格変動を示すリスク(標準偏差、週次1年・年率)は「ひふみプラス」だけに投資した場合が11.09%で、「野村インド債券(年2)」は6.76%。2ファンドの平均を単純に計算すると8.92%程度になる。実際にこの組み合わせで同額ずつ投資した「合成」のリスクは7.57%で、平均値より1.35ポイント低くなる(図1参照)。この差がリスク低減の効果だ。 ※QUICKの情報端末「Qr1」を使えば、簡単に比較できる。 次に比較的近い値動きをするバランス型の「JPMベスト・インカム(毎月決算型)」(17312149)との組み合わせを見てみる。「国内株式型」と「バランス型」の相関係数は0.78と高い。 「合成」のリターンは22.03%で、「ひふみプラス」と「JPMベスト・インカム(毎月)」の中間の値になった。「合成」のリスクは6.20%で、2ファンドの平均(7.08 %)を0.88ポイントほど下回る(図2参照)。 リスク低減効果は値動きの異なる「国内株式型」と「新興国債券型」の組み合わせの方が大きくなった。 このようにリターンはどちらの組み合わせでも2つのファンドを足して半分にした数値を維持する一方、リスクの低減幅は相関が低い組み合わせの方が大きくなった。複数のファンドに投資して分散効果を上げるには、相関が低く値動きの傾向が異なるファンドの組み合わせが有効と言える。 (QUICK資産運用研究所 望月瑞希)

投信業界の流行語大賞? 「ひふみ」に迫る

今年の流行語にもなった「ひふみん」。現役を引退した将棋棋士の加藤一二三・九段の愛称だが、投資信託業界でも「ひふみ」の人気が急騰した。この1年で急成長したファンドの魅力に迫った。 「ひふみ」を運用するのは、独立系のレオス・キャピタルワークス。シリーズには運用会社が直接販売する「ひふみ投信」(9C31108A)と、銀行や証券会社で取り扱う「ひふみプラス」(9C311125)、確定拠出年金制度を通じて購入できる「ひふみ年金」(9C31116A)の3つがあり同じマザーファンドで運用している。 このうち純資産総額(残高)が最も大きい「ひふみプラス」は今年12月に残高が4000億円を超え、昨年末時点(857億円)の5倍近くに膨らんだ。国内公募の追加型株式投信(ETFを除く)の残高ランキングでは、今年12月25日時点で13位に浮上。昨年末時点の上位100本圏外から大躍進した。 「ひふみ」が広く世に知れ渡るようになったのは、今年2月に放映されたテレビ東京の情報番組がきっかけだった。レオス・キャピタルワークスの藤野英人社長が出演し、独創的な投資理念が反響を呼んだ。その直後から直販の「ひふみ投信」には資料請求や口座開設の申込みが殺到した。 「ひふみプラス」の販売会社も急増。年初に32社だったのが、11月末時点で51社まで拡大した。地方銀行や証券会社に足を運んでネットワークを広げてきた成果もあり、「すべての都道府県に販売窓口を持ちたい」という藤野社長の想いが叶いつつある。 「ひふみ投信」と「ひふみプラス」は金融庁が定めた厳しい条件をクリアし、来年1月に始まる積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)の対象商品にもなった。三菱東京UFJ銀行や三菱UFJ信託銀行、野村証券などの大手銀行・大手証券でも、つみたてNISA専用で「ひふみプラス」の販売が始まる。 「ひふみ」の主な投資対象は国内の株式だ。テレビ番組でも紹介されたように、ファンドマネジャーやアナリストが自ら日本中を走り回って成長が見込める会社を探し出す。 今年6月には初めて米国株を組み入れた。いまのところマイクロソフト(MSFT)とアマゾン(AMZN)の2銘柄で、藤野社長は「これからも地味で地道に成長を続ける国内株式を軸としながら、有望な外国株式があれば組み入れていく」(17年11月の月次運用レポート)としている。 組み入れ銘柄数は11月末時点で201銘柄にのぼる。1年前(134銘柄)の1.5倍になった。残高の急増に伴い、どんな投資先が増えたか。運用報告書(16年10月1日~17年10月2日)で組み入れ銘柄を前期末と比べたところ、新たに投資した銘柄のうち上位20銘柄(期末評価額ベース)は表1のとおり。上位には米国株と国内の有名企業が目立つ。 一方、同時期に積み増した銘柄を株式の増加率の大きい順にランキングしたのが表2。1位はホテルや学生寮を運営する共立メンテナンス(9616)、2位は福利厚生代行のリログループ(8876)だった。「地味で地道な」国内株が中心と言える。 この1年の運用成績は堅調で、「ひふみプラス」の1年リターンは今年11月末時点で43.68%。「ファンド規模の拡大で運用効率が落ちるのでは」との懸念は、いまのところ杞憂に終わっている。 投資家と運用会社の距離の近さも「ひふみ」の魅力の一つだ。レオス・キャピタルワークスは普段から全国各地でセミナーや懇親会を開き、投資家との接点を設けている。「お子様連れ限定セミナー」「女子勉強会」などユニークなイベントもある。 手数料体系も特徴的。「ひふみ投信」には「資産形成応援団」と称したプログラムがあり、5年以上保有し続けると信託報酬の一部が投資家に還元される。「ひふみプラス」も残高が増えると信託報酬が下がる仕組みがある。 運用者の「顔が見える」安心感と、投資理念の共有。そこに好成績などが重なって「ひふみ」人気に火が付いた。投資初心者も巻き込んで急拡大した「ひふみ」。日本人がこれまであまり味わってこなかった「成功体験」の輪を広げられるか。来年はその真価が問われる1年になりそうだ。 (QUICK資産運用研究所 小松めぐみ)

「つみたてNISA」本番直前、金融庁に個人投資家が集結 年内最後の「つみップ」

  街がクリスマスムードに包まれた12月22日、金曜日の夜。東京・霞が関にある金融庁の厳かな会議室に、40人の個人投資家に加え、運用会社、著名な経済評論家らが集まった。2018年1月から始まる積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)の本番直前、金融庁主催の「つみたてNISA Meetup」(通称:つみップ)と称する「個人投資家との意見交換会」も年内最後の会合となった。 つみたてNISAをきっかけに、より多くの人が資産形成に関心を持つようになることを狙い今年4月から始まった「つみップ」も今回で12回目。東京だけでなく、大阪や名古屋、金沢など地方でも開催している。運用会社や販売会社をゲストに呼んだり、女性だけを集めた「女子部」を企画したりするなど、様々な趣向で反響を呼び、今回は40人の募集枠があっという間に定員に達する人気ぶりだ。  つみたてNISA対象の投信は12月18日時点で132本。このうち56本をつみたてNISA向けに新たに組成されたインデックスファンドが占める。今回のつみップでは、新商品の狙いや特徴について、運用会社6社(アセットマネジメントOne、大和証券投資信託委託、ニッセイアセットマネジメント、バンガード・インベストメンツ・ジャパン、三菱UFJ国際投信、楽天投信投資顧問)が説明した。  ***************************************************************************** 【運用会社各社の主なポイント】 ・アセットマネジメントOne:8資産均等型やリスク水準が3段階で異なる「たわらノーロード バランス」を投入。 ・大和証券投資信託委託:「S&P500指数」に連動する「iFree S&P500」の誕生秘話。つみップの場で受けた個人投資家からの要望を反映し、いち早く組成したという。 ・ニッセイアセットマネジメント:国内株・先進国株・新興国株を各3分の1ずつ組み合わせる株式のみの「バランスもどき」を設定。 ・三菱UFJ国際投信:ネット専用の「eMAXIS」とは別に、対面販売専用の「つみたて」シリーズを新設。金融機関の窓口で販売員が顧客に制度説明できる商品に。 ・楽天投信投資顧問とバンガード・インベストメンツ・ジャパン:世界の株式市場の大半に1本の投信でアクセスできるようバンガードの超低コストETFを活用。 ****************************************************************************   「今後、信託報酬を下げる予定はあるのか」「繰り上げ償還しないファンドを見極めコツは」――。質疑応答では、参加者から次々と手があがった。「海外株の配当金への課税も考慮すると指数連動性の点で問題はないのか」といった踏み込んだ質問も飛び出した。  専門的な難しい用語が出た時はすかさず金融庁職員が別の言葉に置き換えて補足説明するので、投資初心者でも気後れすることはない。ゲストの識者からは、ノーロードのインデックスファンドの短期売買を防ぐには「信託財産留保額」を運用会社が新たに設けやすいよう、金融庁が促すのが適当ではないかとの提案も出た。  意見交換会の後に開かれた懇親会で、参加者の声を拾ってみた。2回目の参加となる40代女性は「金融庁が主催なので安心感がある」と今回は友人を誘って参加。著名投信ブロガーの一人であるNightWalkerさんは「色んな声に耳を傾けてくれる。金融庁がリーダーシップをとって約1年続いたことが素晴らしい」としみじみ振り返る。「資産運用にあまり関心がない息子には『つみたてNISA』を始めるよう話す」  「運用会社の生の声が聞けたのがよかった」という声もあった。まとまったお金が入って投資を始めたという30代男性は「普段は周囲の人とお金の話しを気軽にできないけれど、ここに来るとオープンに話せるので楽しい。自分が保有しているファンドの運用会社の方に直接質問ができて勉強になりました」と意欲的に語ってくれた。  今回参加した運用会社の関係者は「自社でセミナーを企画してもなかなか資産形成層との接点を持つことが難しいので、とてもいい機会だ」と話す。最近の相次ぐ信託報酬の引き下げ競争については「正直、厳しい」と苦笑しながらも、「長期的に資産形成の後押しに繋がるのであれば、社会貢献だと前向きに思える」と語った。 今回の参加者は主に20代~40代の資産形成層が中心で、多くはSNS(交流サイト)でこのイベントを知ったとのこと。ただ、つみたてNISAを実際に来年から始めるかどうかは、まだ決定していない参加者も少なくない印象だった。  「投資しながら貯める」趣旨で制度設計された「つみたてNISA」。こうした金融庁の意欲的な説明会に参加した個人投資家の輪を通じて、じわり若い世代に広まっていくことが期待される。    (QUICK資産運用研究所 小松めぐみ、高瀬浩)

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