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インドネシア、経済特区への優遇税制で投資呼び込む 財政再建に課題も

記事公開日 2015/12/1 09:04 最終更新日 2018/1/9 15:58 経済・ビジネス コラム・インタビュー 中国・韓国・アジア アジア特Q便

※QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はRHB OSK証券インドネシアのヘルミー・クリスタント氏がレポートします。この記事は11月24日にQUICKの端末サービス上で配信されたものです。

 

先月に続き新たに景気浮揚策打ち出す…SEZへの投資呼び込みに積極的

インドネシア政府は、経済政策パッケージをさらに進めるため、主要3項目からなる景気浮揚策の第6弾を打ち出した。最大25年間のタックスホリデー(一時免税措置)をはじめとする経済特区(SEZ、インドネシア語ではKEK)による景気対策などは、海外からの投資を呼び込もうとする姿勢を明確にした。

■経済特区への優遇税制
インドネシアのSEZは現在8カ所。SEZにはそれぞれ重点産業があり、主要な資源や人材を得られる地域に設置されている。インドネシア政府は、経済刺激策第6弾に、SEZへの投資を呼び込むためタックスホリデーを盛り込んだ。1兆ルピアを超える投資については、10~25年に渡り、法人税の20%~100%を免除、5000億~1兆ルピアまでの投資については、免税率は同水準のまま、期間を5~15年とする方針だ。投資が各SEZの重点分野以外を対象としている場合も、6年間にわたって30%のタックス・アローワンス(一時減税措置)を付与する。これらすべての税制優遇措置に加え、SEZに対してすでに導入されている輸入税、付加価値税(VAT)、奢侈(しゃし)税の免税措置も継続する。政府はまた、SEZ内で外国人の不動産購入を認める方針だ。一連の政策は投資先としてのインドネシアの魅力を高めるだろう。

■水供給に関する規定の見直し
インドネシア政府は水供給の規定を見直す方針だ。水供給事業は今後、公共事業化される計画。水供給事業の運営権や認可付与などの権限はすべて中央政府に返還される。これは新規投資の誘致と矛盾するように思われるが、これらの変更は憲法裁判所が2月に下し水資源法『2004年第7号』を無効とする判決を順守するために必要な措置だ。ただ、インドネシア政府は、既に水資源利用に関する事業認可を所有している民間企業については、新たな規定が制定されるまで事業を継続できるようにする考えを明らかにしている。それでも、今後、規定がより強化される可能性もあることから、インドフードCBP(@ICBP/JK)やユニリーバ・インドネシア(@UNVR/JK)といった消費財企業のボトル入り飲料水事業にマイナスの影響が及ぶ可能性がある。

■手続きのさらなる簡略化
政府は、景気浮揚策第1弾に盛り込んだ貿易の規制撤廃をさらに進めるため、薬品とその原料に関する輸入手続きをさらに簡素化する予定だ。手続きに要する時間は1時間未満に短縮される見通し。この規制緩和は、カルベ・ファーマ(@KLBF/JK)やミトラ・クルアルガ(@MIKA/JK)、サラナ・メディタマ・メトロポリタン(@SAME/JK)などの医薬品企業や病院に前向きな影響を与えるはずだ。

経済特区モロタイ島開発…総面積1200ヘクタール、費用は6兆ルピア超見込む

ほかに、景気浮揚策第6弾で恩恵を受ける企業としては、カワサン・インダストリ・ジャバベカ(@KIJA/JK)をあげる。同社は現在、タンジュンレスン(バンテン州)とモロタイ島(北マルク州)の2カ所のSEZで開発事業を進めている。開発面積は合わせて2647ヘクタール。KIJAは今年初め、タンジュンレスンのSEZの開発に向け、7社(地場企業3社、海外企業4社)と出資に関する覚書(MOU)を締結した。また、モロタイ島の(SEZ)開発については、台湾の投資企業約20社と提携している。同SEZの開発費用は推定で最大6兆8,000億ルピア、総面積は1200ヘクタール。
インドネシア政府が、SEZの開発をさらに進めるため、インフラ整備に取り組んでいることも好材料とわれわれは考えている。公共事業・国民住宅省のデータによると、8カ所のSEZで予定されているインフラ整備事業は、タンジュンレスンを除き、今年に入札が完了し、発注先が決まった。ただ、(タンジュンレスンについても、)政府はジャカルタ~メラク~タンジュンレスン間を結ぶ有料道路を建設する計画を表明している。延長80キロメートルとなる同道路の建設は、入札から3年以内の完工を見込んでおり、来年には着工する必要がある。

予想下回るGDP成長率の流れはいつまで?

■7~9月期のGDP成長率、予想を下回る
インドネシアの中央統計局が発表した7~9月期の国内総生産(GDP)成長率は前年同期比4.73%と、4~6月期(4.67%)をわずかに上回った。ただ、中央銀行の予測(4.85%)と市場予測(4.80%)には届かず、依然として経済回復の鈍さが浮き彫りになった。これを受け、インドネシア政府がより効果の高い景気刺激策対策を打ち出すと見込んでいる。同国政府は現在、財政赤字リスクの拡大に直面している。税収が目標を下回り、10月中旬時点で57%にしか達していないことが主な要因だ。10~12月期に財政支出が拡大する見通しであることから、財政赤字幅が今後拡大する可能性は高い。このため、インドネシア政府は当初の支出目標を達成することはできないかもしれないが、特に今年前半の予算執行ペースが鈍かったこともあり、それはある程度予想されていたことだといえる。より重要なことは、10~12月期に支出パターンが目に見える形で改善されることだ。支出パターンの改善は支出目標の達成よりも重要なことであり、今後のインフラ開発事業の推進に関して政府への信頼感を高める。当社のエコノミストは、インドネシア経済は2015年下半期に前年同期比で4.9%の成長を達成し、前年同期比4.7%だった2015年上半期よりも成長が加速すると予測している。この予想は、政府支出が堅調に伸び、投資が順調に進むことを前提としている。通年では、(これまでの)実質GDP(成長率)予測を維持する。われわれは、(インドネシアの)2015年の成長率を4.8%と予測し、2014年の5%を下回るとみている。【翻訳・編集:NNA】

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