QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はRHB証券インドネシアのリディア・スワンディ(Lydia Suwandi)氏がレポートします。※この記事は2016年6月15日にQUICK端末で配信した記事です。
MMPに2案件の新たな動き
メガ・マヌンガル・プロパティー(MMP、コード@MMLP/JK)は6日、現在2社と純貸出可能面積(NLA)計9万8000平方メートル相当の施設のリース契約について協議を進めているとの最新情報を発表した。同社はまた、ジャワ島西部シビタンのAE地区(Block AE Cibitung)でNLA3万5000平方メートルのマルチテナント型倉庫の建設を進めていることも明らかにした。
これらの動きは、2017年度のMMPの新規賃貸収入分を12万平方メートル相当とした当社の予測に沿ったものだ。こうした材料から、MMPの投資判断を「買い」で維持し、目標株価を950ルピア(14日終値725ルピア)とする。
MMPは現在、2社と賃貸契約に向けて協議を進めている。1社は日用消費財(FMCG)企業、もう1社は食品物流を手掛ける企業で、両社とも冷蔵設備のある施設を必要としているという。これら2社に関するNLAは約9万8000平方メートルに達するとみられる。当社は、両社との契約が2017年7月以降に年852億ルピア相当の賃貸収入の確保につながると予測している。MMPは6月末までに賃貸契約を締結する見通しで、2社にリースする2施設の完成は2017年下半期を予定している。
MMP賃貸収入1140億ルピア見込む…入居率は85%で算出
MMPはまた、シビタンのAE地区でNLA計3万5000平方メートル(敷地面積は3.6ヘクタール)相当のマルチテナント型倉庫を建設している。同社は現在、新施設に関心を示す3社とリース契約について話し合いを進めている。MMPによると、AE地区の平均賃貸料を基に算出した同施設の推定リース料は1平方メートル当たり月額約7万ルピー。入居率を85%として計算した場合、新倉庫の賃貸収入は年約250億ルピアになる見通しだ。
これらの最新の開発状況を踏まえると、2017年度の同社の新規案件からの賃貸収入は1140億ルピア(ラザダ・グループに提供した倉庫の第一期分賃貸料330億ルピアを含む)に達する見込みだ。
今後の変動につながる可能性がある2要素
一方、MMPによると、同社はNLA6万1000平方メートル相当の物件に関して複数社から引き合いを受けており、今年第4四半期までに契約がまとまるとの見通しを示している。賃貸料を1平方メートル当たり月額7万7000ルピアと想定した場合、この契約により新たに年560億ルピアの賃貸収入を確保できる見込みだ。
インドネシア政府はスカルノ・ハッタ国際空港の旅客収容能力を拡充する方針を示していることから、MMPが同空港近郊に建設を予定しているビジネスパークと倉庫用の土地収用が制限される可能性がある。
MMPは向こう3年間の新規契約目標をNLA50万平方メートル相当に設定しており、当社はこれまでの契約獲得状況に満足感を覚えている。同社株の2016年度と2017年度の予想株価収益率(PE)それぞれ24.3倍、16.1倍、16年度と17年度の予想EV/EBITDA倍率はそれぞれ35.8倍、19.7倍となっている。割高であることは確かだが、成長の可能性や安定した営業キャッシュフロー、高い収益性といった根拠がある。
MMPが、適切な土地の収用と資金調達を含め、プロジェクトを計画通りに進めていることが主な上振れ要因となっている。
【翻訳・編集:NNA】