鴻海によるシャープの買収が決定…交渉経緯と株式市場の動きを振り返る

シャープの買収交渉、ついに決着

3月30日、ついに台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業によるシャープ(6753)の買収が決まりました。3月15日にホンハイが「シャープの2016年1~3月」業績が明らかになるまで買収を見送る可能性があると示唆し、ホンハイとシャープの主力取引銀行(みずほ銀行、三菱東京UFJ銀行)の協議が長引いていましたが、一応の決着を見せた形となります。

これまでの議論の経緯を簡単に振り返っておきましょう。

業績が悪化したシャープは、官民ファンドの産業革新機構とホンハイからの支援提案を両天秤にかけて、協議に進めてきました。今年2月にホンハイからの支援受け入れで一本化したものの、シャープの将来の負債となる恐れのある偶発債務が明らかになったことを受け、鴻海は買収条件の見直しを要求しました。

シャープは偶発債務に関しては「買収に影響しない」とのコメントを発表していましたが、結局、鴻海によるシャープへの出資額は3888億円と当初予定より約1000億円減額することになりました。将来的な負債の恐れなど潜在的リスクについて考慮したためです。

とはいえ、ホンハイの持ち株比率は66%と落ちてはいません。出資時の増資の発行価格が1株88円と従来の118円から引き下げられたためです。「買収価格を値切られた」とみるべきでしょう。もちろん、背景には偶発債務という重要情報があるためであり、ホンハイ側としては理由ある行動となります。

シャープとホンハイ

(出典:日本経済新聞電子版

さて、様々な報道で言われている通り、ホンハイは買収に際して金額面の「揺さぶり」をかけていました。ただし相手は「シャープ」だけではなく、銀行、そして株式市場に対してでもあります。

報道によればホンハイは3月、銀行に偶発債務が実際に発生する場合に備えてシャープに対する追加金融支援を求めました。つまり、何かあったときには追加でお金を貸すと約束しなさい、という要求です。また主力取引銀行2行が持つシャープの優先株の買取予定額の減額交渉もしていました。こちらは「偶発債務が出てくるリスクがあるのでもうちょっと安く譲って」という議論だと伝えられています。

この交渉延長でもっとも揺さぶられたのは、株式市場、つまり投資家とも言えそうです。というのもホンハイ支援で決まりと広がった2月に株価は184円まで上昇したものの、ホンハイの交渉延長が伝わると120円台に低迷する場面が目立ちました。

市場としては「買収されることを期待しての買い」が入っていたと捉えることができます。

 

シャープは投資する価値があるのか?

では現在のシャープは、財務・業績的にみて投資する価値があるのでしょうか? QUICKスコアで分析した結果を見る限り、プロの方は「難しい」と言うのではないのでしょうか。

企業規模は大きいものの財務内容(主に負債)も重く、また買収目的の投機買いによって割安感もない上に、収益性も成長性もないという「成長できなくなった大企業」の形状をしています。

今回の買収に関しても、市場としては「買収されればとりあえず倒産は回避できる」という程度の見方で、ホンハイ側がどのようにシャープ事業を活用して、ビジネスを再成長させていくのかが今後の争点になりそうです。

ですので、チャートの値動きを追っての投機目的でしたら面白みはありますが、財務内容をメインとして中~長期的な投資が目的でしたら、買収されるからといって飛びつくことは控えた方が良いでしょう。来期は一時的に黒字になるかもしれませんが、本質的に立ち直ったのか、という視点が必要となります。

また、市場では新たに追加された条項が話題になっています。契約が破談になっても、鴻海に責任がない破談であれば、ディスプレー事業だけは鴻海が手に入れることを可能にする条項です。つまり、まだまだシャープという会社自体、危機を脱したとは言い切れないのです。

もちろん、今のシャープのようなスコアの形になっても復活した企業、たとえばソニーのような例もあります。シャープはようやくスタートラインに立とうとしている段階なので、投資するにしても、きちんとここからのニュースや開示情報を精査すべきでしょう。

トレンドワードをみると、本日もシャープについて、ネット上で様々な議論が出ています。新しい視点やニュースがないか、ここでチェックするのも良いかと思います。

編集:QUICK Money World

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