インターネット上の仮想通貨ビットコインやビットコイン以外の「オルトコイン」の一角がここにきて持ち直している。17日に米国の確定申告の期限を迎え、納税目的で法定通貨に交換するための売りが一巡したためだ。国内の個人投資家を中心に買い意欲が回復し、相場はいくぶん上がりやすくなってきた。
情報サイトのコインデスクによるとビットコインのドル建て価格は前週末以降に上げ幅を広げ、足元では1ビットコイン=8000ドルを挟む水準で推移している。6000ドル台で低迷していた12日ごろまでと比べて1000ドル超値を戻した。
米内国歳入庁(IRS)は仮想通貨の売買益などを課税対象とし、17日までの確定申告を求めている。市場関係者の試算によると米国の家計が納めるべき税額は250億ドル程度、日本円にして2兆円を優に超えるもようだ。納税を控えた仮想通貨の保有者がビットコイン売り・法定通貨買いに動きやすくなるとの見方から、「ヘッジファンドなどの投機筋も現物や先物の売りに傾いた」(アルトデザインの藤瀬秀平チーフアナリスト)。その流れが申告期限を間近に控えた前週末以降に逆回転し始めたわけだ。それに伴い、円建てのビットコインにも底入れ感が出ている。
情報サイトのコインマーケットキャップによるとビットコインの売買高は前週末13日に直近24時間ベースで100億ドル程度と、30億ドル台に沈んでいた前週はじめに比べるとかなり回復した。市場でどの程度自由に売買可能な状況かを示す「流動性」の低下にも一定の歯止めがかかったと受け取れる。
日本国内でも確定申告の季節は既に終わり、個人投資家はだいぶ身軽になっている。FXコインの大西知生社長は「米国の納税期間が終わるのを買いの好機とみなしている個人は多く、今後の相場上昇を後押ししていく」と話す。
仮想通貨の取引プラットフォームを提供するレッジャーXでは14日、2019年12月27日を期日とした2万5000ドルを権利行使価格とするビットコインのコール(買う権利)のオプション取引がまとまった規模で成立していた。以前ほどの熱気はないとしても、中長期的な先高観が復活しているようだ。
日本のコインチェック問題はマネックスグループ(8698)による買収でひとまず幕を閉じようとしている。今後は市場整備に伴い、1~2月のゴタゴタで仮想通貨から離れていた個人が帰ってくるのではないか。市場ではそんな声も聞かれるようになってきた。
【日経QUICKニュース(NQN) 尾崎也弥】
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