QUICKがまとめた23日時点のFX大手8社の建玉状況、「QUICK店頭FX建玉統計」で円に対するドルの買い建玉は前の週に比べ4.3%増の55万1037(単位:1万通貨)だった。増加は2週連続。一方でドル売り建玉は同23.0%減の10万8073(同)で、QUICKが建玉の算出を開始した2012年10月以降で最低水準を更新した。またドル買い建玉の比率は83.6%と前の週から4.6ポイント上昇し、2012年9月以来、約5年半ぶりの高水準に達した。
ドル円が1ドル=105円割れを試すなど一段の円高局面で、相場の流れに逆らう「逆張り」の投資を得意とする日本の個人投資家が引き続き押し目買いを入れたようだ。「個人は110円を割り込んで以降、買い下がりを続けている。105円割れで含み損に耐え切れずロスカットに動いた向きも一部には見られましたが、104円台ではさらに押し目買いも入っていた。結果的に105円割れでも買い比率はほとんど下がっていないと言う状況」(外為どっとコム総合研究所の神田卓也氏)との指摘もあった。
対照的に米商品先物取引委員会(CFTC)が23日に発表した20日時点の建玉報告によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)では投機筋による円の売越幅は5週続けて縮小した。前週比5万7540枚少ない2万1999枚で2016年11月29日以来、1年4カ月ぶりの低水準だった。
2月上旬のボラティリティ急騰をきっかけに円高が進行。足元でも円買い・ドル売り圧力が強く円売りポジションの買い戻しを進めざるを得ないようだ。ポジションは1週間で7割も急縮小した格好となった。
日本の個人によるドル買い・円売りに対し、投機筋がドル売り・円買いの巻き戻しを進める構図が鮮明で、「個人と投機筋のまさに『真っ向勝負』といった状況」(神田氏)。
市場では「27日に衆参両院の予算委で佐川前国税庁長官の証人喚問を控える中、世論調査で内閣支持率低下傾向が続いており、市場では円安株高政策であった『アベノミクス』終焉懸念からくる円高圧力も加わりやすい状況」(みずほ証券の山本雅文チーフ為替ストラテジスト)という。個人の押し目買いスタンスがどこまで続くのか。円高が進むようだと「投げ」を誘発し円買いが加速する可能性もありそうだ。
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