楽天(4755)の三木谷浩史会長兼社長は13日午後、2017年12月期決算に関する説明会で、同社株の動向について「我々の実力が反映されていない」と述べた。株価は昨年6月につけた昨年来高値から3割超下落している。
三木谷氏は「まだ電子商取引(EC)を含めてエコシステム(経済圏)を拡大する時期」と説明。19年中のサービス開始を目指す携帯電話事業について、外部企業との提携や人材採用、資金調達などサービス開始に向けた準備が進んでいるといい、「準備万全だ」と述べた。「(クレジットカードの)『楽天カード』と並ぶ形で重要な戦略となっていく」とも語り、積極的に投資する考えを示した。
朝日火災海上保険(東京・千代田)の買収で参入する損害保険事業については「総合的な保険サービスの提供が可能になる」と説明。「旅行など様々な形で相乗効果がある」と述べ、「楽天トラベル」など既存事業と連携する利点があるとの考えを示した。
楽天が13日発表した2017年12月期の連結決算(国際会計基準)は、純利益が前の期の2.9倍の1105億円だった。クレジットカードなどの金融部門が伸びた。投資先である海外の「ライドシェア(相乗り)」サービスの好調に伴い計上した評価益も寄与した。
売上高にあたる売上収益は21%増の9444億円。グローバルの流通総額は12兆9000億円と21%増えた。「楽天市場」を含む電子商取引(EC)事業の流通総額は1割超伸びた。クレジットカード「楽天カード」の会員数が増え、カードのショッピング取扱額は2割強伸びた。
営業利益は90%増の1493億円だった。クレジットカードを主力とする金融部門のセグメント利益は1割増加。一方、EC事業は減益だった。販促費ががさみ、爽快ドラッグなどの買収効果で補えなかった。
【日経QUICKニュース(NQN) 神能淳志】
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