6日の東京株式市場で日経平均株価は連日の大幅安となった。市場では、信用取引による損失が膨らんだ個人投資家が持ち高解消の売りを出し、相場の下落を加速させているとの見方が出ている。年初までの株高で国内市場の信用買い残は2年4カ月ぶりの高水準に達していた。需給の逆回転が相場を揺らしている。
信用取引は証券会社などから資金や株式を借りて売買する。このうち信用買いは、お金を借りて自己資金以上の株を買う行為だ。株価上昇時は高いリターンを狙えるが、思惑に反して株価が下げると「追い証(追加担保)」を差し入れるか、反対売買して損失を確定させる必要がある。
カブドットコム証券の河合達憲・投資ストラテジストは「追い証の発生による投げ売りが相場下落の一因になっている」と指摘。「5日の市場では個人投資家の押し目買いがみられたが、6日はまだ相場の底がみえないことから個人は様子見姿勢だ」と解説する。
東京証券取引所によると、1月26日申し込み時点の信用取引の買い残高(東京・名古屋2市場、制度信用と一般信用の合計)は3兆2921億円と2015年9月以来の多さだった。「借金」を元手とするリスクマネーが相場をかさ上げしていた構図が読み取れる。
6日の市場では信用買い残の多い銘柄に下げが目立った。信用倍率が44倍のユニチカ(3103)は7.2%安、25倍のディーエヌエ(2432)が5.6%安となり、ともに日経平均の下落率(4.7%)を超えた。
日ハム(2282)やKDDI(9433)などは昨年来安値を更新した。市場では「7日も含め大幅安が3日続けば個人投資家の相当な損失につながり、追い証発生による投げ売りが短期的に下げを加速させる可能性がある」(インベストラストの福永博之代表)との声が聞かれた。
<信用倍率が高い銘柄の6日の株価下落率>
(注)日経平均採用で信用倍率の高い銘柄の下落率。信用倍率は制度信用と一般信用の合計をもとに算出、株数ベース。
【日経QUICKニュース(NQN)太田明広 三好理穂】
※NQNが配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。