日経平均株価は30日、前日比337円安の2万3291円と5日続落した。下げ幅は今年最大。午前終値は152円安だったが、午後に一段安となり下げ幅は一時400円に迫った。午後に日本株売りが膨らんだのは、米国の時間外取引で米国債と米国株への売りが続いたのが一因だ。
29日の米国市場では、米長期金利が上昇(債券価格が下落)し米国株も大幅安だった。米長期金利の上昇は、景気拡大と低金利が共存する「適温経済」が株価を支えるとの投資家のシナリオに修正を迫る。このため30日の日本株は朝方から売りが先行したが、午後になると投資家心理は一段と悪化した。
日本時間30日昼に、米国の時間外取引で米長期金利は一時2.73%まで上昇し、29日に付けた3年9カ月ぶりの高水準(2.72%)を上回った。これに呼応するように、ダウ工業株30種平均に関連した先物で流動性の高い「Eミニ・ダウ先物」3月物は13時すぎに309ドル安の2万6121ドル近辺まで下落した。
17年度末が近づくタイミングの国内機関投資家は、相場の波乱で決算への対応を急いだようだ。「(価格が下落している)米国債を売って損失を確定すると同時に、含み益がある日本株を売った利益で債券の損失を穴埋めしようとしている」(あおぞら銀行の新村昌寛市場商品部次長)との見方があった。米長期金利の上昇が日本株売りを促している一側面だろう。
日経平均が30日午後に節目の2万3500円を下回ると、相場の下げは加速した。大和証券の石黒英之シニアストラテジストは「日経平均オプション2月物の2万3500円のプット(売る権利)は建玉が増えていたため、プットの売り手から株価指数先物に損失回避の売りが出た」と指摘する。プットの売り手は相場が下落すると損失が拡大するため、先物売りで損失を回避しようと動いたようだ。
日銀は現在の政策枠組みを通じ長期金利の上昇を抑え込む方針ながら、米長期金利の上昇は日本の国債利回りにも上昇圧力をかけている。10年物国債利回りは30日午後、前日比0.015%高い0.095%と6カ月半ぶりの高さに上昇した。世界のマーケットでの異変は「適温経済」に安心していた投資家を身構えさせている。
【日経QUICKニュース(NQN) 高橋徹】
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