ユーロ高がけん引する形でドル安が進行している。流れは円相場にも波及し、16日朝の東京市場では1㌦=110円台半ばで取引が進む。しかし、日本の個人投資家は改めて「逆張り」でこの局面に臨んでいるようだ。
QUICKが主要FX業者から建玉を集計する「QUICK店頭FX建玉」では、1月第3週のドル買い建玉が44万7045枚と前週から9万4963枚(27%)増えた。全体に占める買い建玉の比率は64%から73%に急上昇した。日本の個人投資家、いわゆる「ミセスワタナベ」の押し目買いとの見方が大勢を占めている。
買い建玉の比率は2017年9月第2週の76%以来の高水準となる。当時は北朝鮮のミサイル問題に端を発する地政学リスクの高まりがリスクオフのムードを強めた。外国為替市場では円買い・ドル売りが加速。一時は1㌦=107円台に上昇した。この時はロスカットを巻き込みつつも結局はドル円の押し目買いが奏功した形になった。
今回の円高・ドル安局面について外為どっとコム総合研究所の神田卓也氏は「特に(ミセスワタナベによる)ドル買いが多かったのは、17年12月以降に下値支持となっていた112円ちょうど前後。110円がロスカットの第1ポイントになると思われる」と指摘する。しかし「110円割れにはさらなる『押し目買い』が控えているので、個人のロスカットでドル円の下げが加速する展開にはなりにくいのでは」と話していた。
2匹目のどじょう狙いのドル円押し目買いは奏功するのか。FX市場の緊張感がじわり高まっている。
(QUICKデリバティブズコメント)
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