15日付の日本経済新聞は、ソフトバンクグループ(9984)が傘下の携帯会社であるソフトバンクを東証1部に上場させる方針を固めたと報じた。早ければ秋ごろにも上場する可能性が高い。報道を受けてソフトバンクG株は大幅高となり、株式市場の話題をさらった。
日経報道によると、ソフトバンクGは7割程度を保有し続け、3割程度を投資家に売り出すもよう。資金調達額は2兆円程度とされる。過去最高だった1987年の上場のNTT(約2兆2000億円)に匹敵する規模だ。
今回の報道について「仮に事実であれば同社株にポジティブ」と指摘するのは、JPモルガン証券のアナリスト、田辺純氏だ。「保有株式価値を積み上げたSOTPによる試算では、現状株価水準は国内通信事業を含む非上場株式を大幅にディスカウントしている」という。「この上場によってSOTP上の保有株式価値の明確化が進めば、同社株価のディスカウント縮小に寄与する可能性は高い」とみる。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の田中秀明シニアアナリストも「携帯会社の企業価値顕在化につながり株価への影響はポジティブ」と評価する。
一方で「ソフトバンクGの国内通信会社の企業価値を6.2兆円と試算しているため、日経報道の30%売却、資金調達2兆円に違和感はなく、企業評価に関してはニュートラル」(クレディスイス証券のリサーチアナリスト、米島慶一氏)との見方もある。
大和証券の大橋俊安チーフクレジットアナリストは企業価値の明確化につながるメリットを認める半面、「稼ぎ頭であるソフトバンクの経営権が一部ではあるが外部株主に渡ることで経営の自由度が低下する可能性があること、利益が新しい株主に一部外部流出することはクレジット上ややネガティブ」と指摘。そのうえで全体としてはニュートラルとみていた。
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