米ブルームバーグが10日、中国が米国債購入の減額や停止を検討していると報じた。米10年債利回りは2.59%台へ上昇。為替市場ではドル売りが優勢となり、111円台前半へ円高・ドル安が進んだ。
米債安や円高の要因として、9日の日銀オペ減額もあげられている。マーケット関係者からは「日銀発のグローバル・スティープニング?」「オペ減額を契機に、世界的なフラットニングが反転?」など、やや当惑した声もきかれた。
もっとも、日銀による異次元緩和の総括的検証以降、ステルステーパリングやカーブのスティープ化は順当な流れというのが円債市場関係者の大半の見方。グローバルに株式相場は堅調に推移しており、フラット化も進んでいることから、多少の減額は問題ないと判断したとしても不思議はないとの見方も多い。いずれにしろ積極的に金利水準を引き上げようとする意図はないのだろう。
ただ、9日の日銀オペでの超長期債買い入れ減額は意外感のあるタイミングであり、「市場とのコミュニケーションに支障を来した」(証券会社)点は否めない。今月は40年債入札、30年債、20年債と超長期債の入札が続く。金利上昇(スティープ化)が意識されやすい時期であり、意図が明確でない減額が行われれば、買いにくくなるのはいたし方ない。12日の40年債入札は気になるところだ。
また、10年金利の「0%」を修正させようとする意図はないとしても、0.06%まで上昇しているタイミングで減額が行われており、0.11%の壁が揺らぐ恐れもある。10日の10年債入札は無難に乗り越えたが、買いは続かなかった。
本日11日は、「1年超3年以下」「3年超5年以下」「5年超10年以下」のオペが予定されている。さすがに減額はないだろう。ただ、多少なりとも気にする向きがいることから、維持されれば相場の下支え要因になり得る。
米債は2.6%に接近後、買い戻されていることや、為替が円高に振れていることもフォロー。
一方、海外金利の水準自体は切り上がっており、JGBも金利上昇に振れやすい地合いが続こう。10年金利が0.11%に近づく場面があった場合、日銀がどう動くか注目される。
(QUICKデリバティブズコメント)
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