年明けの東京株式市場で、日本株の割高感を示唆する投資指標が増えている。QUICKによると、東証1部全銘柄を対象に算出した予想PER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)は2年5カ月ぶりの高水準を付けた。予想配当利回りは2年9カ月ぶりの低水準だ。昨年秋以降の相場急騰で、世界的にみても日本株の出遅れ感は薄れているようだ。
東証1部全銘柄の予想PERは9日時点で17.52倍、PBRは1.47倍。それぞれ15年の8月18日、8月11日以来の高水準だ。15年8月に中国の「人民元ショック」で日本株相場が急落する前後の水準に戻したことになる。PERやPBRは、1株利益や1株純資産に対して株価が何倍まで買われているかを示す指標。数字が大きいほど株価が割高とみなされる。
一方、予想配当利回りは1.45%と15年4月28日以来の水準に低下。株式投資によって得られる収益が減っていることを示す。
投資指標からみた割安感や他国・地域に比べた出遅れ感は、日本株が昨秋以降に一本調子で買われてきた理由の一つだった。だが東証1部のPERはすでに先進国の標準といわれる15倍を上回り、連日最高値を更新する米国株の約19倍(8日時点、米主要500社ベース、ウォール・ストリート・ジャーナル紙調べ)に接近。もはや大幅に割安とはいえなくなっている。
各種指標が久々の水準を付けたことで、相場がいったん天井に近づいたとの見方も出ている。みずほ証券の中村克彦シニアテクニカルアナリストは「日本株は割安感が薄れており、短期的に調整する可能性が高い」と話す。
中村氏はPBRなどに加えて、信用評価損益率の改善に注目する。17年12月29日申し込み時点まで6週連続でマイナス幅を縮め、5.77%となった。一般に評価損益率がマイナス10%未満になると相場地合いが相当に好転し、個人投資家全体の懐も潤っている状況を想起させる。中村氏は「そろそろ上限だ」とみる。指標面からは、相場の先行きをより注視すべき局面に近づいてきたようだ。
【日経QUICKニュース(NQN) 高橋徹】
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