東海カ(5301)が値上がり率トップ ちょっと早い今年のベスト・ワースト銘柄

「流行語」「今年の一皿」など、12月に入って1年を振り返る企画が目立ってきたが、株式相場の2017年を振り返ってみよう。日経平均採用の225銘柄について、5日終値で昨年末と比較したランキングを作ったところ、値上がり率の首位は東海カ(5301)だった。

東海カは、タイヤなどの材料になるカーボンブラック(炭素主体の微粒子)大手で、製鉄用の電炉に使う黒鉛電極の首位。2017年12月期業績の会社予想は、すでに3回も上方修正した。1度目は5月9日。カーボンブラックの販売数量増と価格上昇を主な理由に挙げた。2度目の7月31日は黒鉛電極の販売数量増とカーボンブラックの値上げを挙げた。3度目の11月2日には、これらに円安が加わった。今期の純利益は08年12月期以来9期ぶりに100億円を上回る。

3位には昭電工(4004)の名前も見える。昭電工は10月に黒鉛電極を製造する独SGLカーボンの黒鉛電極事業を買収したが、このうち米国事業は独禁当局の要請で獲得できなかった。いったん買収した米国事業の売却先が東海カだった。中国政府が粗鋼生産の削減や、環境規制の面から違法な粗鋼生産の取り締まりを強化しているうえ、北米で鉄鋼需要が堅調とあって、黒鉛電極の需要も回復しているという。米国事業こそ取得できなかったが、独社から欧州・アジアの黒鉛電極事業を取得したことで、同事業で世界最大手になった。

相場のテーマとしては電気自動車(EV)やフィンテック、道具やセンサーなどの物をネットにつないでリアルタイムで情報処理する「IoT」など、折に触れて新技術が話題になった。ただ主力銘柄を集めた日経平均を見ると、化学や鉄鋼のほか東エレク(8035)やSUMCO(3436)といった半導体関連など典型的な景気敏感株が買われていたことが分かる。

<日経平均採用銘柄の値上がり率上位>

上位

※12月5日終値を2016年12月30日終値と比較

最も値下がりしたSUBARU

一方、値下がり率の上位で目立つのは自動車だ。4月1日に富士重から社名変更したSUBARU(7270)が首位。タカタ製のエアバッグを採用した自動車のリコール(無償修理・回収)に伴う費用に対する懸念が重しになった。特にSUBARUは、無資格の従業員が完成検査に携わっていた問題も発覚し、一段と株価の重荷になった。

タカタのエアバッグと無資格検査という同じ問題が影響した日産自(7201)も20位に顔を出した。ただSUBARUがこれまで18年3月期の業績予想を2回も下方修正したのに対し、日産自は今期の業績予想を維持しており、これが順位の差につながったとみられる。

2位の大平金(5541)は5期連続の最終赤字を見込む。ステンレス鋼の主材料であるフェロニッケルを製造するが、原材料価格が上昇する一方、マージンの改善が見込めないとして、収益の先行きに不透明感が強いようだ。不振の造船事業再編に出遅れた三菱重(7011)や、大型新薬の特許切れを来期に控える大日住薬(4506)も上位に並んだ。

<日経平均採用銘柄の値下がり率上位>

下位

※12月5日終値を2016年12月30日終値と比較。▲はマイナス

業績による銘柄選別が効く

日経平均採用銘柄の値上がり・値下がり上位の顔ぶれからみると、今年の相場の特徴は3つにまとめることできそうだ。

(1) 業績による銘柄選別が効いている
(2) 特に部品や素材、製造装置など海外需要銘柄が好調
(3) 不祥事銘柄は売り

つまり、通常の市場機能が働いているということではないか。上場企業の4社に1社が過去最高を記録する中にあって、それに見合った相場水準を維持している可能性が高い。日経平均は一時バブル経済崩壊後の最高値を付けたが、日本株に関しては、どんな銘柄も一斉に買われるようなバブルの状況ではなさそうだ。

市場関係者から多く聞かれる「過熱感はない」との実感を、物色動向からも裏付けたといえそう。日経平均採用銘柄のPER(株価収益率)が5日終値で14.9倍と、それほど高くない状況とも整合的だ。したがって来年の相場を見通すうえでは、企業の収益動向に目を凝らすという、王道を歩み続ければよいということだろう。

【QUICKエクイティコメント・山本学】

※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

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