天皇陛下が2019年4月30日に退位し、皇太子さまが19年5月1日に新天皇に即位、新元号に切り替える日程が固まった。これを受けて、19年の大型連休(GW)は10連休になるかもしれないと話題になっている。株式市場ではレジャー産業が注目されそうなほか、改元に伴う印刷需要増加の思惑から印刷関連株に個人マネーが流入している。
政府は12月8日の会議で、退位の時期を定める政令を正式に決定する予定。
19年のGWは現状、飛び石となる予定だ(図表参照)。しかし、皇太子さまが即位する5月1日が祝日になった場合、国民の祝日に関する法律第3条第3項の「前日と翌日の両方を『国民の祝日』に挟まれた平日は休日になる」との規定に基づき、4月30日と5月2日が休日となる。
4月27日土曜日から、振替休日の5月6日までの10連休が実現すれば、まとまった休みを利用して国内より海外旅行に出かける人が増えるかもしれない。旅行関連銘柄といえば、JAL(9201)やANA(9202)、エイチ・アイエス(9603)、KNTCT(9726)といった主力銘柄に加えて、熟年向けに秘境巡りツアーを提供するユーラシア(9376)、ネット販売に特化した旅行会社エボラブルアジア(6191)など独自色を打ち出す銘柄もある。
印刷需要にらみ光村印や光陽社などが買われる
元号改正に伴う関連銘柄は早くも個人投資家の間で話題になっている。皇室会議で退位日などが固まった12月1日、印刷需要が増加するとの思惑から光村印(7916)や商業印刷に強みを持つ光陽社(7946)が買われた。光陽社は一時前日比で約13%上昇する場面もあった。官公庁や企業、金融機関向けのデータ印字などを手掛けるカワセコンピュータサプライ(7851)や、硬貨や紙幣に新元号が刻印されるため、貨幣処理機大手の金銭機(6418)なども関連銘柄の一角として挙がっている。1989年に元号が平成に決まった際もこうした銘柄が注目された経緯がある。
ただ、足元のIT化の進展に伴う書類の電子化などにより、さまざまな印刷物の刷り直し需要は限定的になる可能性があるほか、今回は改元までに準備期間があるため、関連銘柄の業績への影響はじわじわと波及する展開になりそうだ。政府は菅義偉官房長官をトップとする組織を立ち上げ、退位や即位の儀式のほか、新元号制定の準備を進める。2018年中には新元号を発表する見通しだ。
菅義偉官房長官