27日の韓国株式市場でサムスン電子が5%下落した。アナリストのリポートを受けて半導体需要の先行きへの楽観的な見方が後退。韓国半導体のSKハイニックスも連れ安し、東京市場や台湾市場でも半導体関連に売りが出た。世界的な株高をけん引してきたハイテク株の下落に投資家の警戒感が強まっている。
「NAND型フラッシュメモリーの需要サイクルが2017年10~12月期に16年1~3月期以来、初めて下降局面に入った」。米モルガン・スタンレーのアナリスト、ショーン・キム氏らはこう指摘し、サムスン電子の投資判断を3段階で最上位の「オーバーウエイト(買い)」から真ん中の「イコールウエイト」に引き下げた。目標株価は290万ウォンから280万ウォンに下方修正した。
背景にあるのがデータセンターや中国のスマートフォンの記憶媒体向けの需要の弱含み。「NANDの市況は市場の想定よりも速いペースで下落しそうだ」とも警告する。同じ半導体メモリーのDRAMについても業界の設備増強を受け、19~20年に供給過剰になる可能性があるという。
27日の韓国の半導体株売りは海外にも波及した。NANDでサムスンに次ぐシェアを持つ東芝(6502)が2%安となり、製造装置の東京エレクトロン(8035)やディスコ(6146)も下げた。台湾では台湾積体電路製造(TSMC)が約3%下落した。
サムスンの7~9月期は営業利益が前年同期の2.8倍となる14兆5300億ウォンと好調だった。このうちNANDとDRAMなどの半導体部門が7割近くを稼ぐ。半導体事業の勢いが鈍れば、株価の先高期待がしぼむのも無理はない。
サムスン株は今年に入り前週末までに54%高となっていた。米フィラデルフィア証券取引所の半導体株指数(SOX)は今年に入って48%上昇するなど、スマホやデータセンターなどの需要増の恩恵を受ける半導体銘柄は世界的に買われてきた。リポートに冷や水を浴びせられたサムスン株。不可逆的な変調の到来なら、世界株に一段と波紋を広げかねない。
【NQN香港=柘植康文】
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