FDルールで何が変わる?① 金融庁「対話は積極的に」 モザイク情報は規制対象外

金融庁は上場企業に公平な情報開示を義務付ける「フェア・ディスクロージャー(FD)・ルール」を2018年春に導入する方針だ。上場企業がまだ公表していない重要情報を特定の者に伝えた場合に、ホームページなどで速やかに開示するよう求める。決算の財務情報をはじめ、業績予想の修正や中期計画で掲げる利益予想などが規制対象になりうる。

透明性向上で海外マネー呼び込み

欧州や米国ではすでにFDルールが導入されており、市場の公正さを保つのに一定の効果を上げているとの評価がある。国内への導入で情報開示の透明性が高まれば、海外投資家の資金呼び込みに資するとの声は少なくない。

そもそも国内導入の一つのきっかけとなったのは、一部の証券会社でアナリストが業績関連の情報を企業から公表前に手に入れ、特定の顧客だけに伝えていた問題が相次いで発覚したことだ。インサイダー取引などの不正を防ぎ、市場参加者間の情報格差の是正を図る規制とあって、表立って導入に反対姿勢を示す市場関係者は少ない。

それでも新しい規制とあって、副作用を懸念する声がある点は否めない。中でも多いのが、どこまでを株価に影響を与える重要情報ととらえるべきかを企業側で的確に判断できず、結果として情報開示に及び腰になってしまうのではないかというもの。足元では一部の企業で売上高など月次情報の開示を取りやめる動きが出ている。

一方、大和総研の横山淳主任研究員は「これまではアナリストだけに送っていた資料をウェブ上でも開示しようと検討し始めている企業もある」と指摘。確かに企業にFDルールへの戸惑いはあるものの「対話を積極的に進めたいがゆえの悩み」であり、決して情報開示に後ろ向きな姿ばかりではないと強調する。

FDルールの旗振り役である金融庁にしても、当然のことながら企業の委縮や情報開示後退を意図しているわけではない。金融庁は2014年に機関投資家の行動指針「スチュワードシップ・コード」、15年には上場企業向けの統治指針「コーポレートガバナンス・コード」をまとめ、企業と投資家が対話を深めながら日本企業の信頼・価値を向上させる取り組みを促してきた。FDルール導入にあたっても「企業とアナリスト・投資家との一対一の対話はどんどん積極的にやってほしい」との立場だ。

投資家説明会「いままで通りで問題ない」

企業の投資家向け説明会などについても、金融庁では「いままで通りのやり方で進めてもらえば、特に問題になるようなことはないはず」との認識を示す。企業としては過度に気にせずに従来のスタイルで説明会を続ければいいことになる。もっとも説明会資料はできればホームページ上にもなるべく早めにアップするのが無難と言えよう。

FDルールでは単一では重要情報にならなくても、ほかの情報と組み合わせた場合に重要情報になりうる「モザイク情報」については規制の対象にしていない。アナリストにとってはモザイク情報やほかの情報を組み合わせて企業分析する余地は残された。今後はそうした情報をどれだけ深掘りして付加価値のある材料へと高められるか、独自の分析力が問われることになりそうだ。

【QUICKコンテンツ編集グループ・内山佑輔】

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