中国株、くすぶる「白馬バブル」崩壊リスク 中長期で強気な見方も

日米が休場だった23日、投資家不在のすきを突くかのように中国の上海と深センの株式相場が急落した。中国当局による投機行為の抑制や資金需給の逼迫、国内景気の減速などさまざまな悪材料への警戒感がピークに達し、間欠泉のように吹き出した。ただ「過熱感が高かった一部銘柄への利益確定売りにすぎない」との見方もあり、中長期の相場には強気論も多い。

上海総合指数は23日に2.3%安と今年最大の下落率を記録した。24日は小反発したが戻りは鈍い。23日に3%超下落した深センの新興企業向け市場の「創業板」指数は24日も下げた。

■大型優良株、年初来で株価2倍に

「『白馬株』はバブルか否か」――。中国の市場関係者の間では11月半ばからこんな論議が出ていた。白馬株とは中国の相場用語で「好業績の裏付けがある優良な大型銘柄」を指す。代表は白酒製造の貴州茅台酒や家電の美的集団などだ。ちなみに白馬株の反対語は「黒馬株」。業績の裏付けが乏しいものの株価が短期で乱高下する。新規上場銘柄は「新馬株」と呼ばれる。

白馬株はもともと長期保有を前提とした投資家が買うことが多く、投機の対象になりにくかった。様相が変わったのは今年に入ってからだ。貴州茅台酒株は11月16日に719.96元の上場来高値を付け、昨年末の2.2倍に上昇した。美的集団も年初来高値を付けた22日まで、今年に入って株価がほぼ2倍になっていた。

大型株が急上昇したきっかけは、指数算出会社の米MSCIが6月に正式発表した中国株の有力指数への採用だ。指数連動型の運用を目指す機関投資家に加え、先回りを狙った個人投資家も巻き込み、買いが買いを呼び込む展開となった。

■中国当局が投機行為に警告

これに神経をとがらせたのが中国当局。習近平指導部はかねて、バブルやその崩壊につながるような金融市場のリスクを抑制する方針を掲げていた。貴州茅台酒が高値を付けた17日に国営通信社を通じて投機的な買いを慎むよう呼びかけたうえ、金融機関の資産運用に関する新たな規制案を発表した。

来年の経済運営方針を決める重要会議である12月の中央経済工作会議が近づいていることも「本格的な引き締め策が発表されるのでは」との疑心暗鬼を市場に招いた。貴州茅台酒株は24日までの6営業日で計12%下落した。

株式だけではなく、シャドーバンキング(影の銀行)の温床との見方があった債券も売られている。中国の長期金利の指標となる10年物国債の利回りは今月中旬に約3年1カ月ぶりに4%の節目を上回った。年末に向け資金需要が高まるなか、バブルつぶしをもくろむ中国当局は引き締め気味の金融政策を大きく変えていない。14日発表の中国の10月の経済指標も全般に弱含み、国内景気の減速懸念もくすぶる。株式相場は「一時的に調整する」(内藤証券上海代表処の鄭暁蕾代表)可能性が高い。

■資金流入期待は崩れず

ただ中国や香港の市場関係者の間では、株安が長引くとの見方は少ない。第一上海証券の葉尚志ストラテジストは、当局が投機家の摘発や金融機関の処分などに動いた2015年と比較し「取り締まりの規模がそれほど大きくなるとは考えにくい」と話す。

投資資金の流入も大幅に細るとの見方は聞かれない。確かに中国の一部の大型株は大幅に値上がりしていたが、相場全体で見ると過熱感は乏しいためだ。上海総合指数の年初からの上昇率は8%と、香港株(35%)や日経平均株価(18%)に対し出遅れている。

「急落を機に(割安感という点から)世界の投資家の目が中国株に向き、海外マネーの流入につながる」(24日の上海証券報電子版)との期待が中国内で浮上している。上海市場の上場企業全体の1~9月期の純利益は前年同期比17%程度の増加と、企業業績も好調だ。「消費市場の拡大に加え、国有企業改革も成果を上げ始める」(香港資産運用会社の恵理集団)と長い目で見た好材料を意識する投資家もいる。

中国株は中長期の成長期待と目先の政策リスクのはざまで神経質な動きになる場面がありそうだ。

【NQN香港・桶本典子】

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