東京証券取引所が20日まとめた海外投資家の地域別売買状況によると、10月は「欧州」が日本の現物株を2兆41億円買い越した。買越額としては過去最高で、初めて2兆円の大台に乗せた。10月に日経平均株価は連騰し21年ぶりの高値を付けたが、けん引役は欧州マネーだった。
9月に6106億円を売り越していた欧州勢が買いに転じたのは「10月22日投開票の衆院選で与党が圧勝し、安倍晋三政権の安定が好感されたため」(みずほ証券の中村克彦シニアテクニカルアナリスト)。10月は北米勢が1988億円の買い越しだったことから、欧州勢の日本株買いの突出ぶりが分かる。
ゴールドマンサックス証券は11月17日付リポートで「9月末時点でロングオンリー(買い持ち主体)のグローバル投資家は日本株を平均7%アンダーウエートしていた」との試算を出した。「10月には幾分縮小した可能性もある」としており、それまで配分比率が抑えられていた日本株に買いが入ったという。
10年前は4割程度だった海外地域別に占める欧州投資家の割合は足元では7割強に高まっている。年末に再び2万2300円台乗せを目指せるかどうかは、欧州投資家の動向がカギを握る。
欧州の投資家の東京株式市場での存在感は飛躍的に高まっている。東京株式市場に参加する海外投資家のうち欧州勢は売買代金ベースで77%を占める。10年前は47%しかなかった。一般に欧州マネーは年金基金のような長期的な投資資金が多いといわれるが、「最近はヘッジファンドなど短期投資家も増えている」(大和証券の家入直希ストラテジスト)という。
10月以降の相場を主導したのがCTA(商品投資顧問)などヘッジファンドだったことを示す材料がある。QUICK・ファクトセットのデータによると、主要なCTAの運用成績を示すSG・CTAインデックスと日経平均の相関係数(最大1)は10月1日以降、0.94とほぼ連動している。年初から9月末まではマイナス0.34と逆相関だった。10月の欧州の買いはヘッジファンドとの取引が多いとされるフランス経由の公算が大きい。
【日経QUICKニュース・楠千弘】
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