東芝は19日の取締役会で、約6000億円の資本増強を決議したと発表した。海外の投資ファンドなど60社を対象に第三者割当増資を実施する。割当先は筆頭株主であるエフィッシモ・キャピタル・マネージメントのほか、米キング・ストリート・キャピタル・マネージメントなど。1株当たりの発行価格は262円80銭と、17日終値(292円)を10%下回る水準とする。これにより、東芝は来年3月末までに半導体メモリー事業の売却が完了しなくても、2期連続の債務超過に陥らず、上場廃止は回避できる見通し。
<東芝の第三者割当先上位10社>
「エフィッシモ・キャピタル・マネージメント」はシンガポールに拠点を持ち、旧村上ファンド出身者が運営する投資ファンド。株主提案などに積極的な「物言う株主」として知られている。投資先では、ヤマダ電機に圧力をかけて配当金の増加等を勝ち取ったほか、宝飾品大手TASAKIがMBKパートナーズによる買収でイグジッドに成功した経緯がある。エフィッシモは保有比率で最も高い川崎汽船(38%超)を筆頭に、日産車体、TOC、ヤマダ電機なども15%程度を保有。エフィッシモの投資スタンスは明らかではないが、主に東証1部上場で業績等が落ち込んだ銘柄を株価が低位に沈む状況で大量に仕込むというスタンスと推察される。
東芝に対しては、春先の巨額損失計上で急落した際に大量取得し、筆頭株主となった。その際の取得理由としては「企業価値に比べ割安と判断した。成長を促すために対話することもあり得るが、現時点では具体的に想定していない」と説明していた。今回、東芝が実施する第三者割当増資に応じることでエフィッシモの株式保有比率は現在の10%弱から11%強に上昇し、筆頭株主の座は維持される見通し。今後どのよう形で東芝に圧力をかけていくのか注目されそうだ。
<エフィッシモキャピタルマネージメントの投資先一覧>
・2017年に大量保有報告書を提出した銘柄 (保有比率順)
【QUICKエクイティコメント・本吉亮】
※QUICKのオプションサービス「QUICKエクイティコメント」の記事を再編集しました。「QUICKエクイティコメント」は日本株を中心に日々の相場動向をリアルタイムでLIVE解説しています。
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