東京株式市場で恒例の「優待の悲劇」が2017年9月末にも発生した。前日26日に3月期や9月期決算の企業は権利確定日を迎えた。日証金はきょう27日昼、信用取引で空売りをする投資家が株式を借りる際に払う手数料「逆日歩」の前日26日分を発表した。株主優待だけを狙った「両建て投資家」には、約2万円の豚角煮セットや額面5倍のQUOカードなど割高な優待が手元に残ったようだ。
両建て取引で株価の変動リスクなく優待を確保
株主優待のある銘柄の株を買って権利を確保、同時にその銘柄に信用売りを出す。その後に買いと売りの取引を解消すると株価の変動リスクをなくして株主優待が手に入る。この「両建て取引」は株式市場で有名だ。その結果、空売りが膨らんで割高な株主優待がしばしば出現する。
5倍になった豚角煮セット、割高なQUOカード
9月26日に権利確定日を迎えた企業の最低単元の株主優待と逆日歩を比較すると、カネ美食品(2669)では3000円相当のセレクトグルメ配達便を手にするためのコストは1万7280円だった。優待の内容は「豚角煮セット」や「かに缶詰・ふかひれスープ缶詰」、「カゴメフルーツジュースギフト」だ。両建て投資家にとってはスーパーで購入するよりも5倍超も割高な食品類となった。
優待で割高になりやすいのが換金しやすいQUOカードだ。システムリサーチ(3771)の株主優待は2000円のQUOカードだ。両建て投資家にとってこの金券を手にするためのコストは1万1040円となった。成学社(2179)では1000円のQUOカードが5280円、ソネック(1768)では4320円と割高だった。
ゴルフ場の優待券など割安なケースも
一方、SANKYO(6417)では平日1万円のゴルフ場の優待券が1125円と割安に手に入った。学研HD(9470)はグループが発行する4000円相当の雑誌や書籍、キャラクターグッズに対して手にするコストは810円と割安だった。
■QUICKが提供するQUICK Knowledge 特設サイト「株主優待ウオッチ」より
◆逆日歩(ぎゃくひぶ)とは ◆
信用取引において信用売り(空売り)が、信用買い(空買い)を上回り、株券が足りなくなった場合、株を貸してくれる人に支払う貸株料のこと。通常の信用取引では、投資家が信用買い(空買い)をした際に徴収される金利を日歩といい、買い方が日歩を支払い、売り方が受け取る。これとは逆に、売り方が買い方に日歩を支払うことを逆日歩という。(QUICK用語集より)
【QUICKコンテンツ編集グループ:片野哲也】
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